春と、桜。と、雪。(仮)
k
桜
わぁ、綺麗な人だ……。
由紀は、歩いていた足を止め、その人を見つめる。
病院の中庭に立つその男性は、桜の樹を見上げている。
春の爽やかな風に、彼の茶色がかった髪がふわりと揺れる。
病的なほど真っ白な肌に、髪と同じに茶色っぽく、切なげな目。そして、不思議なまでに整った顔。
だが、由紀が綺麗だ、と思ったのは、整った容姿だけではなく、雰囲気だった。桜の樹を見つめ佇む、大袈裟に言って神秘的なほどの美しさと、脆く壊れてしまいそうな儚げさに、目を引かれた。
桜の妖精みたい。子供っぽいなぁ、と思いながらも、由紀は幼い頃に大好きだった花の妖精達に考えを巡らせる。キラキラしていて綺麗で、キャラクターの中で一番好きだった桜の妖精。
またふわりと風が吹き、由紀は何の為にここにいるのか思い出す。
止まっていた時が動き出し、急いで病院への階段をのぼっていく。
静かで少し暖かくなった春の風で、桜の花びらが舞い落ちる──。
春と、桜。と、雪。(仮) k @AonoHibiki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。春と、桜。と、雪。(仮)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます