第660話 相対1


「お………、ハザン?」


「む? ………ヒロか?」 



 蓮花会からガレージへと帰る途中、ハザンと出会った。

 相方であるアルスは同行しておらず、珍しくハザン1人きり。


 周りの通行人より頭1つ分長身であり、さらに身体の厚みは2倍近く。

 黒髪の短髪、顔の片頬に鉄のプレートを付けたご面相。

 

 質素な普段着ではあるものの、周りの目を引く存在感がそこにはあった。

 明らかに人とは違うオーラを放つアルスと並ぶと隠れがちだが、ハザンも十分に目立つ人物。


 

「やっぱりデカいから目立つなあ。すぐにわかったぞ」


「ヒロに言われてもな。ゾロゾロと女性型を連れているから、どんな金持ちの大名行列か、と思ったが…………」



 俺の感想にハザンが反応。

 俺に付き従う女性型機種4機、秘彗、胡狛、刃兼、タキヤシャを眺めて苦笑い。


 そして、見慣れない女性型2機である刃兼、タキヤシャに目をつけ、



「ヒロはまた女を増やしたのか?」


「その言い方を止めろ。俺が女たらしみたいに聞こえるだろ」


「間違っていないと思うが………」


「はあ? お前、俺がどれだけモテないか知らないな?」


「いや、ヒロの女性遍歴は飲み会で散々聞いたぞ」


「女性遍歴って何だよ! 俺が女をとっかえひっかえしてるみたいじゃないか!」



 ハザンとはアルスと一緒に何度も飲み会をした仲だ。


 最初の1回は飲み会の後、風俗店へと直行し、痛い目を見て(主に俺とハザン)退散したが、それ以降は普通の飲み会。

 この街での知り合いが少ない俺にとって貴重な友人の1人。

 遠慮なくタメ口を叩ける気安い同期でもある。



「アルスと違って、黙っていても女が寄って来るようなイケメンじゃないんだよ、俺は!」


「ふむ? 少なくともヒロはアスリンチームのニルに迫られていただろう?」


「アレは俺の財産目当てか将来性を見越して取り入りたいからだろ。俺は俺自身を見てくれる人がいいんだ」


「相変わらずヒロは恋愛観をこじらせているな、俺もそんなに詳しいわけじゃないが…………」



 下らない無駄話。

 こういった会話ができるのは、狩人では、アルスとハザン、ガイとレオンハルト、後はアスリンチームぐらいだろうか?

 

 この街にいるのも後僅かだが、結局、同期の面々ぐらいとしか友誼を結ぶことができなかった。

 同じ白翼協商に所属する狩人なら、数人知り合いと呼べる者もいるが、普段から向こうは俺に遠慮して話しかけても来ない。


 狩人としての格の差が大き過ぎるせいだ。

 俺がどれだけ控え目にしていても、相手はどうしても気にしてしまう。


 まあ、俺も決してコミュニケーションが得意なわけじゃないから仕方ないけど。



「しかし………、凄いな。ストロングタイプの女性型を新たに2機購入したのか?」



 話題は少し前に戻って、俺が連れている従属機械種のことへ。


 ハザンが羨まし気に俺の背後に並ぶ女性型機種を眺めながら質問。



「ああ、今回の件で随分と儲かったからな」


「どちらも前衛型か。やはりチーム内に華があるのは良いな」


「お前の所もあの女忍者系がいるだろ?」


「ああ、確かにパラセレネがいるが、女性型が1機だけ。アルスにはもう少し増やして欲しいのだが…………、正直、今はトライアンフのことで一杯一杯だな」


「…………それについては同情するよ」


「ハッシュも頑張ってくれているが…………、とにかく目を離すと何をするか分からない。加害スキルを消去してもらったのに、行動が変わらないとはどういうことだ? 全く………、はあ………」



 深いため息をつき、渋い顔を見せるハザン。


 どうやら元『歌い狂う詩人』こと、トライアンフの件で相当苦労しているようだ。


 おそらくは俺がベリアルで散々苦労してきたことの焼き回しであろう。

 ベリアル程暴力に傾いている訳では無いが、その分性質が悪そう。



「それに………、近頃、アルスが『白ウサギの騎士』として見られるようになった。その度にアルスは否定しているが、周りはなかなか信じてくれん。ヒロには申し訳ないのだが………」


「ああ、それは別にいいぞ。いっそ、その二つ名、熨斗を付けてアルスにあげてもいくらい」


「??? ……………何を言っている。ヒロの2つ名だろう? この半年間で不動の地位を築いた名だ。おそらく中央にも響いているはず。それに最近、街の中で機械種ラビットを連れ、『白ウサギの騎士』の真似をしている奴等もいるぐらいだぞ。今はまだ、お前に憧れただけの連中だから問題は少ないのだろうが、そのうちその名を騙り、悪用しようという輩も出てくるだろう。そんな状況なのに、その当の本人であるヒロがそんなことを言い出すのは良くないぞ………」



 俺の案にハザンはトンデモナイとばかりに反論を並べる。

 

 狩人や猟兵にとって2つ名とは自分が成してきた成果の証でもある。

 狩人や猟兵の実力を現す『レベル』や『ランク』が無いこの世界において、その2つ名がどれだけ世間に響き渡っているかが、彼等の実力を保証してくれる無形の証明書。


 二つ名を騙るなんて、本人の業績を乗っ取るに等しいこと。

 決して許されることではないが………


 

 正直、『白ウサギの騎士』の2つ名はどうでも良いんだよなあ………


 むしろ返上して、もっとカッコ良い2つ名を自分でつけようかと思っている程。


 俺は『実』と『名』のどちらかを選べというなら、迷うことなく『実』を取るタイプ。


 あまりに高い名声なんて要らない。

 精々、周りから舐められないくらいでちょうど良い。


 それを考えれば『白ウサギの騎士』の名は少しデカく成り過ぎた。

 未踏破区域の紅姫2機の討伐もそうだが、『強者へと挑む闇剣士』を一騎打ちで倒したことの功績があまりに大きい。


 このまま俺が中央へと赴き、『白ウサギの騎士』を名乗れば大注目されるに違いない。


 何せ中央の賞金首の1機を討ち取ったのだ。

 それも数々の強者を葬って来た『闇剣士』を。


 それは俺にとっても大変不本意。

 目立つのが嫌いなのに、初っ端から注目の的だなんて耐えられない。



 だからアルスにこの二つ名を押し付けられないかと考えていたのだが………


 確かに『白ウサギの騎士』の真似をする奴等がいるとは聞いている。

 ということは、そのうち『白ウサギの騎士』を名乗り出す奴がいるかもしれない。

 

 もちろん、2つ名を悪用されるのは困る。

 しかし、ただ『白ウサギの騎士』を名乗るだけなら、俺的には全然オッケー。

 

 いっそ、発想を変えて、『白ウサギの騎士』の名を2つ名ではなく………




 思考加速を行いながら、考えをまとめる。

 ある程度形になった所で時間の流れを元へと戻す。


 

 そして、ハザンへと改めて向き直り、俺が経った今形造った案を開示。



「ハザン。逆に考えよう。『白ウサギの騎士』は1人じゃなくてもいいんだ」


「は?」


「機械種ラビットを連れ、世の為人の為に頑張る者全員が『白ウサギの騎士』なんだよ」


「おい! ヒロ! どういうことだ?」


「『白ウサギの騎士』は二つ名じゃない。その生き様なんだ。だから、アルスも、ソイツ等も皆まとめて『白ウサギの騎士』なんだよ」



 俺の言葉に唖然とするハザン。

 

 『白ウサギの騎士』を2つ名と考えるハザンにとっては青天の霹靂。

 まさか俺がこんなことを言い出すなんて思ってもみなかったに違いない。


 たった今、俺が思いついたばかりなのだから当たり前だけど。



「もちろん、『白ウサギの騎士』の名を使って悪さする奴は許しちゃおけない。だけど、世のため人の為に頑張る奴なら『白ウサギの騎士』を名乗っても構わないと思う」



 後で打神鞭を使ってその辺を確かめよう。

 少なくとも俺が街を出る前に『白ウサギの騎士』の名を悪用した奴等に制裁を加えてやらねば! 

 

 まあ、今は占いで調べないといけないことが山積みだから、もう少し後のことになるだろうけど。

 

 

「…………よく分からないな。ヒロが作り上げたと言っても良い『白ウサギの騎士』の名を他人に使わせて何の得がある?」



 俺の説明に納得のいかない様子のハザン。

 随分と2つ名に強い思い入れがある模様。

 未だ2つ名が付かない自分の境遇を鑑みてのことかもしれないが。



「俺個人の得や損じゃないな。でも、人間社会全体には益があるのかもしれない。これからこの街で狩人になろうとする若者達が『白ウサギの騎士』に憧れて、『白ウサギの騎士』らしく生きようとするなら、きっとそれは世の為人の為になるはずだ」


「『白ウサギの騎士』らしく生きる? 機械種ラビットを連れて歩くことがか?」


「まず機械種ラビットを大事にすることからだな!」



 少なくとも機械種ラビットを使い捨てするような使い方をする奴は『白ウサギの騎士』に相応しくない。


 ………それを考えると初期のアルスは機械種ラビット………、今の白志癒と白千世を『野釣り』で使い捨てにしようとしやがったな。

 今は白志癒を大事にしてくれているから許してやるけど。



「機械種ラビットを大事にしていれば、きっと彼等は応えてくれる………、これはラビットに限ったことじゃないが………」



 機械種使いが行う、今のメインの狩り方……機械種を磨り潰して成り上がっていく手法に異議を挟むことができるかも。

 

 ドンドン強くなっていく俺のメンバー達を見れば、絶対に機械種を大事にした方が良いに決まっている。



「そうすれば自ずと強くなる。それは絶対に皆の役に立つだろう」


「………なるほど、機械種使いにおける機械種の運用についてか………、それが『白ウサギの騎士』らしく、というわけだな」


「まあ、そういうこと。あと、機械種ラビットを連れていなくても………」



 俺が腰のポーチに指を入れてゴソゴソ。

 空間拡張機能付きバッグ経由で七宝袋から取り出すのは



「ほい、一枚ハザンにやろう」


「これは………、ハッシュにも貼られているワッペン?」


「ああ、ウサギ型のワッペン。これも『白ウサギの騎士』らしく生きると言う証だ」



 白兎から無理やり押し付けられたモノだが、ここで有効活用させてもらおう。



「これを防具のどこかに貼れば、あら大変、あっという間に『白ウサギの騎士』に早変わり~~」


「これを目立つところに貼るのはなかなかに勇気がいるな」


「目立つのが嫌なら少々隠れた所でも構わんぞ。白志癒も白千世も見えにくい場所に貼ったし………」



 確かに厳つい容姿のハザンがこの可愛らしいワッペンをこれみよがしに目立つ所に貼っていたら………、ちょっと周りが引くな。

 でも、少し見えにくい所に隠したお洒落な感じで貼れば良い。



「どうだ? 君も貴方も『白ウサギの騎士』。フフン! これで誰が『白ウサギの騎士』を名乗ってもおかしくないだろ?」



 エッヘンとばかりに胸を張る俺。


 即興で考えた面白設定だが、何とか破綻することなく説明することができた。


 しかし、思い返せば良いアイデア。

 もしかしたら、俺の不本意な二つ名である『白ウサギの騎士』を有耶無耶にできるかもしれないからだ。


 『白ウサギの騎士』を二つ名ではなく、狩人や機械種使いにおける標語のようなモノに落とし込む。

 そうすれば自然と俺は『白ウサギの騎士』の2つ名を返上できて、新しい二つ名を授けられる可能性がある


 …………いや、もう自分で作っても良いかも。


 新たな2つ名を。

 俺に相応しい、俺を端的に表した素晴らし2つ名を。


 『天覇無双』とか、

 『戦迅乱舞』とか、

 『閃煌一刃』とか、


 漢字四文字で表現できるようなカッコ良い2つ名がいいなあ………

 



 とか何とか頭の中で新たなる2つ名を検討していると、



「そうか! ここで『白ウサギの騎士団』に繋がるのか!」


 

 突然、ハザンが大声を発した。

 まるで今までの疑念が全て解消したかのようなスッキリとした表情。



「うぇ!? ……………何?」


「流石はヒロだと思ってな。そこまでの大望だとは思わなかった。そう考えると、そういった騎士を束ねられるのはヒロだけだろうな」


「んん? だから何だ?」


「ハハハハハ、恍けなくてもいいぞ………、いや、恍けておいた方が良いのか? まあ、そうなるかどうかは中央に行ってから考えさせてもらうが」


「???」



 野太い笑みを浮かべ、俺は分かってるぞ的な表情のハザン。

 どうにも会話が噛み合わない。

 

 何かもの凄い勘違いをしているような…………










「そう言えば、ヒロ。そろそろ試験が終わるんじゃないか? ずっと『最優』を取り続けていただろう?」



 そのまま『白ウサギの騎士』の話題は有耶無耶に。

 次にハザンが口にしたのは、俺のこの街からの卒業について。


 

「ああ、あと1週間ちょいで6か月目も終わる。今月も『最優』が確定しているから、ちょうど60ポイントが貯まることになる」


「凄いな。最短期間で中央行が決定か。俺達も今の戦力なら『最優』は容易いだろうが、最初の方は『優』がやっとだったからな」



 『最優』は1ヶ月で300万M以上(3億円)。

 『優』は1ヶ月で50万M以上(5000万円)。


 

 アルス達の今の戦力なら『最優』も余裕。

 巣やダンジョンに潜って混沌獣型や悪魔型の下位を4,5機倒して機体を確保すればそれで終わり。

 ストロングタイプの守護騎士系や女忍者系がいて、さらに元橙伯のトライアンフがいるのだ。


 妨害術を駆使すれば機体を壊さないように捕獲することだって容易。

 晶石や残骸だけじゃなく、修理した上で完品として売れば1機でも300万Mはすぐだ。


 

 しかし、初期のアルスチームだと、戦力的には『優』も厳しい。

 

 戦闘班はアルスとハザンだけであり、たとえ1機でも混沌獣型や悪魔型の下位と相対すれば苦戦は必至。

 盾となれるハザンが防御をミスって攻撃を後ろに通せばアルスが死ぬ。

 そうでなくても、強力なマテリアル術を真正面から受ければハザンだって即死だろう。



 安全面を考えるなら、魔獣型の中量級や重量級を狙うのが精々。

 中量級なら1機狩っても1~3万M。重量級なら1機10~30万M。

 実力的に機体を壊さないよう確保するのが難しいからこれくらい。


 さらに当時のアルスは輸送手段がトラックしかないから運ぶのが大変。

 どれだけ限界まで荷台に積み込んでも中量級なら10機、重量級なら下手をすると1機で終わり。

 

 おまけに巣と街を往復する間にレッドオーダーや他の人間からの襲撃もありうる。

 荷台に機械種の残骸を積み込んだトラックなんて襲ってくれと言っているようモノ。 



 そこから考えるとアルスチームの躍進は凄い。

 所謂壁を超えたという状態であろう。


 ここまで行くと、赭娼、紅姫を狙えるようになってくる。

 もし、アルスチーム単独で赭石、紅石を得ることができたのなら、晴れて一流の仲間入り。



「先に中央に行って待っているぞ。早く追いついて来いよ」


「ああ、分かっている。そんなに待たせるつもりは無いさ…………おっと、そうだ。ヒロがこの街を発つ前に、お別れ会をしなければならんな」



 ふと思い出したようにハザンが口にした俺のお別れ会。

 

 確かに俺が街を離れたら、絶対に次会えるとは限らないのがこの世界の通信網の劣悪さ。

 それでなくても常に命の危険にさらされている狩人なのだ。

 あまり考えたくないが、これが彼等と会う最後の機会かもしれないことを考えると、参加しない訳にはいくまい。

 

 でも、ちょっとばかり参加する面子が気になる所だけど………



「お別れ会か~~」


「ガイやレオンハルトにも声をかけよう。それにアスリンチームにも」


「それは……………、ダンジョンの地下34階で騒いだ面子だな」


「ハハハハ、後にも先もダンジョンの玄室であれだけ馬鹿騒ぎした狩人もいないだろう! 本当にヒロといるとトンデモナイ経験ばかりすることになる」



 俺が元凶みたいに言うな………


 と言い返しそうになったが、だいたいが俺が元凶であることを思い出して口を紡ぐ。



 そうか………

 確かに色々あったなあ。

 

 アルスやハザン、レオンハルトやガイ、アスリン達とも、あともう少しで当分会えなくなることを考えると、少々物寂しい気持ちなって来る。

 

 こういった経験は今まで2回。


 1回目はチームトルネラとの別れ。


 2回目はエンジュ達との別れ。


 そして、3回目は、このバルトーラの街の皆との別れ…………


 


 あ………

 お別れと言えば………

 まだ、俺が仲良くなった人達から宝貝を貰っていない!




 ここで思い出してしまったのが、俺が頼りにする宝貝の事情。


 宝貝は発掘品とは比較にならない程の強大な力を秘めた品々。


 それ等は俺と仲良くなった人から贈られる品を原材料として造られるモノ。


 ただし贈られる品にもそれなりの格と込められた想いが必要となる。



 この先、強敵が待ち受けているであろう中央に辿り着く前に、出来るだけ手に入れられる宝貝を手に入れておかなねばならない。

 

 この街で手に入れた宝貝はまだ2つ。


 ボノフさんから貰った『現象制御』の翠石を宝貝化させた『定風珠』。

 白露から貰った『感応増幅器』を宝貝化させた『宝蓮灯』。


 いずれも俺に多大な力を授けてくれる超常の品。


 ぜひとも、俺が仲良くなった人達に、思いの籠った品をプレゼントしてくれるようお願いせねばなるまい!



「ハザン! 頼みがある!」


「ん? ヒロからは珍しいな」



 早速目の前のハザンに頼み込む。

 唐突な俺のお願い宣言に怪訝な顔を見せつつも、



「なんだ? その頼みと言うのは?」



 前向きに話を聞いてくれる様子。


 そこで俺がすかさず、お別れの記念として何かプレゼントが欲しいことを話す。

 

 街で出会った仲良くなった人達から色々な品を記念としてもらい、それを眺めながら過去を振り返るのが趣味と説明。

 出来れば普段から身に着けているモノや昔使っていたような武具を希望として述べた。


 少々不躾なお願いではある。

 しかし、ここで言っておかないと、希少なアイテムを貰い逃してしまう可能性があるのだ。

 それはゲーマーとして決して許容できない。




 俺のお願いに、ハザンはしばし考え込むような様子を見せた後、



「いいぞ。今この場で渡せそうなモノがある」

  

「本当か! ありがとう!


「……………その代わりと言ってなんだが………、こちらも1つお願いがある」


「え? お願い……って、何?」



 俺が聞き返すと、ハザンは意外な程に力の籠った視線をこちらに向け、

 その顔に武人としての覚悟が決まったような表情を浮かべて口を開いた。




「俺と一度勝負してくれないか?」





『こぼれ話』

それなりに実力がある狩人が狙い易い獲物として選ぶのが重量級の魔獣型や混沌獣型です。

よほど高難易度の場所でない限り、群れで出てくることが少なく、少数でいることが多い。

また、戦術的な行動を取らず、真正面から挑もうとする性質を持つ為、罠にかけやすいということもあります。


逆に狙いにくいのがジョブシリーズ。

ジョブシリーズはたとえノービスタイプでも戦術的な行動を行い、連携してこちらを攻撃してきます。

時には逆に罠に嵌められることもあり、戦力的に勝っていても、思わぬ反撃を受けて大損害を受けるケースもあるようです。

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