第14話 駅の救護室で
5月になって、学校には慣れた。学校は少し複雑な構造をしていたため、私はたまに迷ったが、それもなくなった。単位制の高校なので授業ごとに教室とクラスメイトが変わるが、それにも慣れた。
電車に乗れなくなった。前はなんとか乗れていたものの、ホームに立つことさえできなくなった。調子のいい日はホームにある椅子で電車を待っていて、調子の悪い日は列の中でしゃがみこんでいた。
電車が到着して乗り込むが、5分も乗らないうちに息が苦しくなり、過呼吸の発作が起こるようになっていた。息が苦しい程度だったら周りには迷惑がかからないが、過呼吸になると周りから心配され、迷惑がかかる。それが嫌だった。「大丈夫ですか?」と言われてもこっちは息ができなくて返事ができないので、余計に心配される。10分乗っていると駅に着くので、そこで一度降りることが習慣になっていた。
電車に乗っている間はまだいい。ホームに行くと、発作がひどくなる。意識を失うことさえないが、基本的に立っていられなくなる。ホームの椅子に直行して座るが、それでも座っていることさえできなくなる。体に力が入らないからだ。そして手や足の先がしびれるため、余計に力が入らなくなる。ひどくなると駅のホームに倒れてしまう。そうするともちろん周りが心配し駅員さんを呼ぶ。駅員さんは「救急車呼びますか???」と動転してしまう。
発作はこれでも時間が経てば収まるので、駅の救護室で休ませてもらう。救護室まででさえ歩くことができないため、大概駅員さんが車椅子を持ってきてくれる。申し訳なかった。
発作が起きてから収まるまでに1時間程度はかかるため、場合によっては学校に間に合わないこともある。
精神科閉鎖病棟の窓から 409号室 @409
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