星の輝きの記録 Vol.6

☆レヴァティ

 学名:Pisces

 出身地:リウキウちほー


 うお座のフレンズ。

 ソウジュとは彼の監禁中に出会い、彼の願いでクオを探して会いに行った。


 一人称は『私たち』、もしくは『私』。

 砂浜を思わせる純白の水着の上に、両生類のフレンズを彷彿とさせる半透明のヴェールを纏う幼い少女。


 彼女は後述する特性を生かし、幾度となくソウジュやクオを助けた。

 ある意味最もひどい目に遭っているが、彼女はほとんど気にしていない様子。


 リウキウでの件が解決した後は、また今まで通りに海の中で自由気ままに暮らしていくことだろう。



★『生贄の魚群』


 うお座のフレンズのレヴァティが持つ固有の能力。

 能力というより彼女たちの在り方そのものと表現することもできる。


 簡単に表現すれば、『レヴァティは無数に存在する』。


 普段は海の中で。まるで本当の魚のように群れを成して泳いでいる。


 時折数人のレヴァティが群れから離れて好き勝手に行動したりもするが、その数はそれほど多くない。


 また『本体』は存在しない。

 宝石も全てのレヴァティに存在するが、彼女の身体から離れると力を失う。


 もしも悪意ある誰かが『レヴァティ』を滅ぼそうとするならば、彼は全てのレヴァティを一人残らず消し去らねばならないだろう。



 ―――もしかすると彼女たちは、この世で最も不滅に近い存在かもしれない。




☆スピカ

 学名:Virgo

 出身地:ナカベちほー


 おとめ座のフレンズ。

 ナカベでソウジュを攫った後はリウキウに潜伏し、彼との仲を深めようとしていた。


 レヴァティの助けでリウキウに訪れたクオと交戦し敗北、その後現れた女王にかんむり座とおうしゃく座の力を奪われるも、彼女らの交戦中に隙を見て脱出する。


 その後ソウジュに鏡を返し、追ってきた女王から共に逃げたものの、彼を庇って胸を貫かれてしまう。


 その際に心臓たる宝石に傷が入り、胸に空いた大きな穴はほうおう座の力でも修復できずそのまま死に至る。


 しかし最期に自らの能力を用いて自身の宝石をソウジュの胸に埋め込み、彼女の方法で望みを叶えた。



 ―――心の傷はもう、癒えなくて好い。



★『甘言蜜語』


 言葉に力を与え、自分の思い通りになるよう促す能力。


 無意識下の精神に作用することで、フレンズ、セルリアン問わず影響を及ぼし、無機物にも一定の効果がある。


 絶対的な強制力はないが、能力を発動していなくても微かに効果を発揮し続ける。


 対象がスピカに対して強い好意を抱いているほど、この能力の効果は強くなる。


 また好意に含まれる感情の範疇はそこそこ広く、例えば同情などの気持ちを彼女に対して抱くことも少なからず自らの被影響性を高めることになる。


 この力はソウジュの『言霊』が持つ性質と類似し、それ故に彼に新たな形の能力を授けることとなった。



――――――



星質共鳴プラズム・レゾナンス


 自らのけものプラズムの波長と星座が持つ輝きの波長の”似通った”部分を重ね合わせて、さらなる力を引き出す技術。


 『同調』よりも更にふたご座の持つ性質の本質に近く、これを可能とした場合の出力も遥かに高い。


 ソウジュが行う『共鳴』はより性質に着目した論理的なもので、クオが行うそれは性質に因らずに自分に噛み合う波長を高める原始的な形態をとる。



 『同調』とは自らの波長を相手に合わせるもので、それ自体は決して悪いものではないが、ソウジュ自身の持つ特性を半ば星座の持つ輝きで塗り潰すようにしてその状態を実現していた。


 しかし『共鳴』は元々ある自分の輝きをそのままに、相手と自分の共通点に焦点を絞って強化を行う。


 その特性上、『同調』の場合は相手の持つ能力、すなわち星座の石板や宝石に内包されている輝きの性質がソウジュに齎される力の限界値だったが、『共鳴』の場合はまるで掛け算のようにそれぞれが持つ力を増幅することができる。


 もちろん、増幅する特性を自由に選ぶことは難しく、共通点が存在しなければ『共鳴』を起こすことも難しい。



 このようなことを行える相手といえば。

まったく同じ『能力言霊』を持つ者か。

或いは、同じ『星座』の―――

 


★『御靈、声に宿る』―――共鳴:Virgoおとめ



 ―――その言葉は何よりも重い。



 体内に埋め込まれたおとめ座の宝石と『共鳴』したソウジュの能力。


 彼が元々持っていた『言霊』の力と、スピカの『甘言蜜語』の力が重ね合わさってより強い強制力を持つ言葉を発することが出来るようになった。


 物体のみならず自我のある個体に対しても抵抗をものともしない影響を与えることが可能であるものの、石板などからけものプラズムを補充出来ない『共鳴』の特性によりガス欠しやすいことが難点。


 ただし、おとめ座の宝石が体内に新たに存在している為、多量という訳ではないがその分のけものプラズムは使うことが出来る。


 単体で戦うには出力の高さに反した継続戦闘能力の低さにより些か扱いにくい能力だが、仲間がいれば前に出て戦う彼らを後方から支援しつつ、容易に戦況を支配することのできる強力無比な戦力となるだろう。


 他にこの能力を使いにくい理由があるとすれば、クオの反感を買うことぐらいだ。




★『刹那の月蝕』――共鳴:月、血



 ―――たった一瞬の欠乏が、貪欲となって心を喰らう。



 月の光と共鳴したクオが、自らの血を浴びて暴走した姿。


 欠けた筈の満月は血で赤く染まり、愛に塗れた譫言の狂気で満ちる。


 光を集める力は血液に似た液体を操る権能へと姿を変え、敵を屠る力に特化した。


 赤い液体による攻撃は敵の体表に直接傷を付けるようなことはせず、体組織を構成する分子の隙間から体内へと侵入して内側から敵の身体を破壊する。


 破壊の方法は部位の切断だけに留まらず、圧力を掛けて身体の一部を爆発させたり、無理な方向へ力を掛けて変形させたりと様々。


 どのような装甲をも貫通できる攻撃性能が強みだが、そもそも敵の身体に付着できなければ無力なこと、また魔力などで形作られた結界を貫通出来ないことが弱点としてあげられる。


 ただしこの特殊な能力だけでなく、クオ本体が持つ攻撃力も『久遠の真円』と比較して高くなっていることに注意が必要である。

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