『幻の輝きの記録 第一頁』

☆アス

 学名:Ophiuchus

 出身地:リクホクちほー


 へびつかい座のフレンズ。

 森の中に建つ家で暮らしている。


 一人称は『わらわ』。


 彼女の名の由来はアスクレピオスという人物。

 神話に登場する名医で、へびつかい座のモデルでもある。


 アスは、自身をパークの職員であると言っている。

 古風な口調で話し、時には相手を揶揄うように振舞う。

 食えない性格のように見えることもあるが、世話焼きな一面もある。


 髪色、瞳の色は共通して明るい緑色。

 白衣を身に着け、日によっては首に聴診器を下げていることも。

 その容貌に違わず、彼女は生き物を治療するための非常に強力な能力を持っている。


 アスは正式なパークの職員ではない。

 しかし、彼らへの憧れから、それらしくあろうと努力している。


 ルティを保護して手厚く面倒を見ている理由の一つも、パークの職員ならば決して彼を見捨てることなく、周囲の脅威から守ってあげるに違いないと彼女が確信しているためである。


 無論、ルティに対する個人的な情もある。

 そして彼女は頼られたがりで、寂しがり屋でもあった。


 アスは趣味として星占いを嗜んでおり、その精度はかなり良い。


 星空を観るために幻の星座の力を借りているようだが、万が一のことが無いように彼女しか触れられない場所に保管されている。



 ソウジュとクオについて、何かを知っている様子だったが……?



『―――しかし、あの星を観た時は驚いたのう』


『じゃが…不思議ではない。

 確かに予想外ではあったが、の』


『…うむ、何も可笑しなことではない』


『なにせ』


『ふたご、なのじゃろう?』


『くふふ…』




【能力】


・神の手


 生き物に手を翳し、緑の淡い光を身体に浴びせることで、対象が負っている傷を一瞬にして快癒させることができる。

 この光は外傷か、病気かを問わずに治癒効果を示し、生きてさえいればどんなに絶望的な致命傷を受けていても立ち直れるほど。


 あまりにシンプルかつ強力な能力であるため、特筆すべきことは多くない。


 ……ただ一つ、既に死んでしまった者だけは手遅れである。


 だが、神話のアスクレピオスは死者をも甦らせた。

 彼女もいつか、それほどの力を手にする日が来るのだろうか。




☆ルティ(本名はバルティ)

 学名:???

 出身地:リクホクちほー


 リクホクの森に棲んでいるキメラ。

 セルリアンともフレンズとも言い難い不思議な生き物。

 言葉を話すことは出来ないが、聞いて理解することは出来る。


 バルティの名の由来はバティン、もしくはマルティム。

 ソロモン72柱の悪魔の1柱で、空間を転移する能力を持つ。

 名付けの由来にそれが用いられた理由は後述。


 ジズ、ベヒモス、レヴィアタン、そしてケルベルス座。

 それらの輝きを一つの身体に注入して生まれたルティは、数種類もの生物を継ぎ合わせた見た目をしている。


 犬の頭、鳥の翼、象の足、蛇の尾。

 内面の無邪気さと反目して、外見は不気味だ。


 ルティの生みの親も、ルティを創造した目的も不詳。

 思い通りにならない様子に失望し、ルティは捨てられてしまっている。

 その時に浴びせられた言葉に傷ついて、暴れていた彼をアスが鎮め、そして世話を焼くようになった。


 後述する能力で世界を渡ったルティはコウの存在を見つける。

 ルティは彼のことを甚く気に入り、自分の世界に連れ帰ってしまった。


 リクホクで決して短くない時間をコウと過ごし、再びの暴走事件を彼らと共に乗り越えたルティは決心し、コウを元の世界へと帰した。そしていつの日か、また世界の壁を飛び越えて彼らは逢うことになるだろう。


 これは単に、出会いの物語なのである。



【能力】


・悪魔の門


 何もない空間に扉を生成し、ルティの望む座標に繋げることが出来る。

 基本的に、門を通ればどんな人物でも転移が出来る。

 これは単純なテレポートに留まらず、世界と世界の壁を越えて移動することをも可能とする。


 この能力が『扉』という形を取ることから、アスはケルベルス座の輝きが力の源泉であると推測した。また、バティン、マルティムという名の悪魔が引き合いに出されたのもこの能力が理由となっている。



 世界のどんな場所にだって繋げられる扉。


 世界すら越えることが出来る扉。


 しかし唯一、地獄にだけは、その扉でも行くことができないのだろう。

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