青年の証言4

「あとは、たいしたことじゃないんだけど…これ、見てくれる?」


池照は例のネイルを青年に見せた。


青年はほんの僅かな時間だが、ハッキリと動揺が見えた。


「ん?知ってるの?」


「…いえ、知りません。」


「本当に?」


「……はい。」


「後から知ってるとか言うのなしだよ?」


「………はい。」


どんどんはぎれが悪くなる。


岩井がダメを押すように言った。


「偽証罪って知っとる?」


「え?」


「簡単に言うとやな、嘘つくと最悪、牢屋に入っちゃうで!って事や。」


確かに、簡単に言うとそうだが重要なところがわざと抜けている。


「え?そん…な。」


「どうなんや?」


しばらく沈黙したあとに青年は重い口を開いた。


「なんとなくですけど…。ねいちゃんのに…似てるかな…と。」


「ねいちゃん?」


「はい。」


「そのおねいさんのお歳は?」


堪らず池照が聞いた。


「ちょっと離れてるんですけど…二十歳です。」


池照と岩井は顔を見合わせた。


「あの、もう少し時間あるかな?」


池照はやんわりとそう言った。

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少女探偵 ハイブリッジ万生 @daiki763

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