青年の証言3
岩井はしばらく青年を睨んでいたが…フッと笑って言った。
「池照交代…。」
交代って、相手の前で言ったらダメだろ、スカポンタン!
心の中でそう言うと顔ではニッと笑って池照は言った。
「あの、じゃあ質問変えますね。」
「はい。」
「アラームが鳴ってて鳴りやまないのでおかしいと思ってお店の人をよんだのね?」
「はい。」
「なにか、大変な事が起こってると思った訳ね?」
「はい。」
「それで、扉を開けたら、ひどいものを見てしまったよね?」
「はい、それで、驚いてしまって…逃げたのは謝りますけど…そんなに悪いことだとは…思わずに…。」
「いや、発見が早くなったので悪いことじゃないんだけど…矛盾してないかな?」
「は、はぁ?」
「だって、驚いて逃げるくらいなら、最初から逃げてると思うんだけど…。それこそ、誰も呼ばずにそこから立ち去れば、厄介毎に巻き込まれずにすむよね?」
池照は言葉の意味が相手に伝わるのを確かめる様にゆっくりと待ちながら観察した。
「アラームがなり続けてることで大変な事が起こってるのはわかった筈だからね…。その時逃げないで、後から逃げるのはちょっとだけ…心理的に矛盾してる様に思えるんだけど…。どうかな?」
「あ、あの、それは…大変な事が起こってる気が…したんですが…まさか…。」
「まさか、あんなことになってるとは…。」
「はい、あんなことになってるとは…。」
「思わなかった…。」
「はい、思わなかった…です。」
池照はじっくりと観察したが、嘘をついてるのかどうか判断しかねた。
池照はニコッと笑って言った。
「だよねぇ。ごめんね変な質問をして。もう少しだけ答えてくれたら終わるからね。」
池照の笑顔に少しだけ安堵の表情を浮かべた青年を見て、確かにジャニーズの後ろの方に居てもおかしくないかな…と、岩井は思った。
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