第1535話 今回の落下物
曼珠沙華が埋めていたUFOの残骸と、オリガミさんを引き寄せたUFOの位置がほぼ同じ位置という……とても偶然とは思えない状況になってきた。埋めたはずの場所が窪んでいるらしいし、オリガミさんが無力化した『Ⅱ型』のUFOが回収した可能性が高そうではある。
問題は、その回収された物がどこに格納されているかだけど……とりあえず、散らばっている落下物の確認からだなー。
さーて、ここから見える範囲では色が違っているのは見つからないか。とはいえ、今日は夜の日で、明かりも俺が用意しているものだから……昼の日よりも、些細な色の違いは分かりにくいかも?
てか、個数もなんか少ない気もする……。あー、でも先にこっちを確認しておこうっと。
「サヤ、ハーレさん、微妙に色が違うやつってあるか?」
「うー、分かりにくいです! ガラスの容器っぽいから、光の加減で多少の色合いは変わるのさー!?」
「多分、ないとは思うけど……ちょっと自信はないかな?」
「2人でも判別が難しいなら……逆に色違いはないんじゃねぇか? 見分けられないなら、区別する意味もないだろ」
「あー、それはアルの言う通りかもなー」
サヤやハーレさんでも見分けられないのなら、誰が見分けられるんだって話だもんなー。クオーツの部品を最初に手に入れた時は明確に色が違うのは分かったんだし、色を変えるならあのくらいにはしてるはず。
「……そもそも、個数が少ないな。合計で10個しかないぞ?」
「……全員分……ないね?」
「ケイさん、これはどう分けるのー?」
「あー、個数にも問題ありか……」
このUFO、出発してきたばかりで、あんまりアイテムの回収が出来てなかったのか? 『Ⅱ型』の方が量が少ないとは聞いていたけど、まさか全員分がないとはね。
「それなら、昨日ルストさんから譲ってもらった分だけ差し引くのでどう? 俺と風音さん、リコリスさん……俺らは2個だったし、ハーレさんも除外でいくか」
「……それは何の話だ?」
「……十六夜さんが……合流する……前の話。……個数が……足りなかった」
「そうそう! 赤のサファリ同盟のルストって人が、もういきなりビックリな登場をしてきてさー! まぁその時に譲って貰った落下物の配分の話だね!」
「……なるほど、そういう事か。だが、4人も除外すると……今度は3個余るぞ?」
「あー……」
そうか、今ここで交換出来るのは、俺らグリーズ・リベルテの5人と、曼珠沙華の3人、十六夜さん、風音さん、オリガミさんの11人。あんまり深く考えずに4人除外と言ったけど、どう考えてもやり過ぎっすなー。調整するとしたら……こうか。
「それなら、俺が除外でいい――」
「ケイ、待て。除外するなら、俺でいい」
「アル? 流石にそれは――」
「いいんだよ、それで。俺はスキル強化の種は溜め込んでるし、ケイのトレード不可のアイテムの入手率は上げておいた方がいいからな」
「あー、そういう……」
うーん、アルの狙い自体は分かるんだけど……余分に貰うというのは、何だか気が引ける。でも、こういう時のアルって引かないんだよなー。
「おし、ならそうさせてもらうわ!」
「おう。そうしてくれ」
ここで変に譲り合っても無駄に時間が過ぎるだけだし、他の群集の人が近付いてくる前に手早く済ませた方がいい。まだかなり距離があるとはいえ、こっちに向かってくる反応自体は拾ってるしね。
「ふふーん! さーて、今度は何が出てくるかなー? むぅ……ここで『進化の軌跡・侵食』は微妙過ぎるんですけど!」
「少し前までは有用だったんだが……今となってはな」
「……そのレンズがあれば、要らないアイテム」
「だよねー。これ、桜花さん行きかな? それとも、誰か使う?」
「はい! 桜花さんに預かってもらっておいて、必要な時があれば、その時に取りに行くのでいいと思います!」
「おー! ハーレさん、それ採用で! 桜花さん、それでいい?」
「別に構わんぞ。代用アイテムが出てきたとはいえ、まだまだ入手率は低いだろうしな」
「それじゃ、晩ご飯で解散になった時にでも渡しに行くって事で決定ねー!」
ふむふむ、まぁ妥当な判断だろうね。曼珠沙華と夜も一緒に行動出来るとは限らないし、そういう時には『侵食』の進化の軌跡の出番はまだあるはず。まぁ今、オリガミさんが捕らえているUFOから手に入れる改造の内容次第ではあるけども。
「さぁ、みんなもどんどん拾っていこー! ほら、彼岸花も、ラジアータも!」
「……それじゃ、これにする」
「俺はこれでいいか」
今回はオリガミさんが破壊し過ぎない程度に、盛大に破壊したから、落下物は結構な範囲に散らばっている。個数や状態の確認をしてたから、少し手を出し辛い状況だったけど……もう確保に向かいますか。
という事で、アルのクジラの上から飛び降りて、近くにある落下物に触れていく! 触ればガラスの容器みたいなのは割れて、アイテムの入手になるんだよなー。
<『スキル強化の種』を1個獲得しました>
って、ここでこれがくる!? うっわ、マジか!?
「おっし! スキル強化の種、ゲット!」
「どうやら、ケイに譲って正解だったみたいだな」
「そうみたいだなー! アル、サンキュー!」
「どういたしましてだな。それで、そのスキル強化の種は何に使う?」
「あー、それは悩む……」
うーん、土の操作や土魔法に使いたい気もするけど、それ以外にも色々上げてみたいところではある。とはいえ、この1個しかないんだから、何にしてもLv10への到達は不可能だし……あー、悩ましい!?
「使い道は、今すぐ決めなくてもいいのさー! あっ、干し柿が20個だったのです!」
「あはは、ドライフルーツは結構出るね? 私のは……あ、詰め合わせに使われてた土器だ。これも報酬として出るんだね」
「器は結構当たりかな? 私のは、水属性の使い捨てじゃない『進化の輝石』……ハズレかな」
「サヤは微妙なとこがきたなー。その辺、なんか使い道がないもんかね?」
「死蔵になるのは勿体無いとは思うけど、流石に仕方ないかな?」
「まぁそうだよなー」
『進化の輝石』は群集拠点種で情報ポイントとの交換で得られるアイテムだし、合成進化で属性を得るのにも使えるんだけどなー。本来ならレアなアイテムではあるんだけど、進化が進んだ今の段階では……微妙判定になってしまうのは、少し悲しいとこでもあるね。
「……『転移の実』が……出た。……これは……当たり!」
「おぉ! 風音さん、課金アイテムは大当たりなのさー!」
「いいね、課金アイテム! 彼岸花とラジアータは、今回はどう?」
「……これ、出るんだね。『仲間の呼び声』が手に入ったよ」
「なんですと!? え、あれって出てくるんだ!?」
おー、リコリスさんが盛大に驚いてるけど、まさかそれも出るとは驚きだね。あれって課金アイテムな上に、そこそこの値段なのにさ。いや、期間限定の簡易版って可能性もあるのか?
「……ただ、イベント期間限定ではあるよ。イベント期間限定が過ぎたら、使えなくなるって」
「あー、制限ありなんだ?」
「だがまぁ緊急時の合流手段としては、十分ありだな。流石に課金してまでは使う気になれんが、期間限定でもこれで手に入るのなら当たりだろうよ」
「それはそうだね!」
期間限定とはいえ、仲間の元へと転移が可能にあるのは非常に便利っすなー。これまで出てこなかったのが不思議ではあるけど……入手率はそれほど高くない?
あー、途中からラインナップに加えられた可能性もあるのかも? もし後者なら、俺らもこれから入手出来るかもなー。うん、今後に期待で!
「それで、ラジアータは何が出たの?」
「…………火属性の、進化の軌跡だ」
「ありゃ? サヤさんと属性違いのが出ちゃったかー」
「いや、違う。単なる使い捨ての、成長体用の『進化の軌跡・火の欠片』だ」
「……え? その辺まで出てきちゃうんだ!? 完全なゴミじゃん、それ!?」
「上位変換の素材にはなるが……微妙なのは間違いないな」
うーん、どうしてもその辺は進化階位が上がってくると不要になってくるアイテムだしなー。俺のインベントリの中にも、色んな属性の進化の軌跡が死蔵状態にもなってるし……一度、その辺を整理したいとこでもあるよね。
「肝心の機械の砂は、まだ誰からも出ていないようですね?」
「……いや、俺の方で『情報組成式物質構成素子』が出た。これが落下物から出てくるのは、これで確定だ」
「おっ! 十六夜さんに出たか!」
よし、散らばっている落下物からそれが出たなら、その辺に落ちてる落下物の中からでも入手が出来る可能性が出てきたな! まだこれも用途は分からないままだけど、それもこれから確認すれば済む――
「後はオリガミさんが拾えば、回収は終わりだねー! UFOは私が抑えとくから、ササっと回収しちゃって! 『アースクリエイト』『岩の操作』!」
「ありがとうございます、リコリスさん。それでは私も……あ、『スキル強化の種』が出ましたか。これはラッキーですね」
「……良い引きをしているな?」
「自分だけでやっていた時は、ハズレが多かったんですけどね」
俺がUFOの抑えを代わろうかと思ってたんだけど、リコリスさんが当然のようにサラッと代わってたよ。良くも悪くも、リコリスさんって判断してからの動き出しが早いよなー。
それにしても、今回のUFOの落下物から2個の『スキル強化の種』が出るとは……数自体は少なかったのに、かなり当たりだな! 期間限定とはいえ、まさかの『仲間の呼び声』まで出てきたしさ。まぁその辺は一旦置いておくとして……。
「よし! それじゃ、クオーツから機械の砂の分析をしてもらうか!」
「ふっふっふ! 思ったよりも、早くにこのタイミングが来たのです!」
「……オリガミさんの……おかげ」
「いえいえ、私は大した事はしていませんよ。紅焔さん達が、UFOを無力化する手順を的確に把握してくれていたお陰ですしね」
「いやいや、俺らでも結構苦労したのを、1人でサラッと実行してんの、無茶だけどな!?」
「紅焔に同意! あれ、言ったからってすぐ出来るような簡単なものじゃないから!」
「実力を出していない実力者とは聞いていたが……ここまで、あっさりと完遂するとは思ってなかったぞ」
紅焔さんとカステラさんと辛子さんから声が上がっているけど……まぁそこはオリガミさんだからなー。本当、実際に目立つ活躍をしてないだけで、とんでもない実力者があちこちに隠れてるもんだよね。
「まぁ私の事はいいとして……改造は誰が行うのでしょうか? 聞いた限りでは、2組までが限界のようですけども……」
「その辺はクオーツと交渉してみてだなー。どういう改造が出来るかは、実際に聞いてみないと分からないし――」
「はい! 改造で可能なら、ケイさんに機動装置の妨害を持っててほしいのさー!」
「……へ? あー、まぁ『Ⅰ型』の転移を防げれば、色々とメリットは大きいか」
『Ⅱ型』は頑張れば自力で無力化出来そうではあるし、優先順位としては1番はその機能だよな。まぁまだそれに改造出来るかどうかも分からないけど……。
「てか、妨害装置を持っとくのは俺で良いのか?」
「ま、その手の妨害なら、指揮系統のトップが持っておくのが無難だろうよ」
「……同時に改造は出来ないんだし、今回はケイさんに任せるのが良いだろう」
「あー!? そういや、これってオリガミさんは一緒の連結PTだし、改造は2回分って出来るの!?」
「……あー、どうなんだ?」
クオーツからは1つの集団に1回までの改造と断言されてたし、オリガミさんに改造した物を持ち帰ってもらうのは難しくなる? うーん、ここは俺らが諦めて、オリガミさんに譲るという手も――
「ケイさん、ここで私に譲るという配慮は必要ないですよ?」
「へ? え、でも――」
「もう既に、『Ⅱ型』のUFOを抑えるまでの手順は把握しましたし、必要であれば自力でなんとかします。改造の内容や無力化の手順を教えていただいたので、これ以上は過剰過ぎます。なので、お気遣いは不要ですよ」
「……そういう事なら、了解っと」
今のは声に出てた訳ではないけども、考えを見透かされていたっぽいなー。まぁオリガミさんが現時点で過剰過ぎると判断するなら、下手に譲ろうとするのは愚策だね。
確かにオリガミさんなら、単独で『Ⅱ型』の無力化を行なって、改造の機会を作る事も容易だろうしなー。ここで機会を譲るのが、過剰な事になるって主張も分かるから……今回はこの対応が正解か。
「おし! それじゃUFOの上部を開けて、みんなで見れるようにしてから、クオーツと接触していくぞ!」
「「「「おー!」」」」
「天井部を切り落とせばいいのでしたね。ならば、これでいきましょうか。『魔力集中』『断風』!」
「サクッと切り落としちゃって、オリガミさん!」
「えぇ、そのつもりです。そのまましっかりと支えておいて下さいね、リコリスさん!」
「そのくらい、朝飯前だよ!」
おー、応用複合スキルの『断風』か。これって風属性を持っている『断刀』で、風の斬撃も飛んでいくんだったよな。
緑色を帯びた銀光がどんどん強まっていくのは凄まじいけど……これ、過剰過ぎたりはしない? いや、爆破してしまう部位は既に破壊済みなんだし、これくらいは平気なのかも。まぁとにかく、チャージが終わるまで待機だね。
他の群集の反応は……まだ遠いから、辿り着く頃には全て終わってるはず。そういや、谷にいた青の群集の一団は反応が消えてるけど、どうなったんだろ? 全滅したか、それとも洞窟の中に入ったか……ここからじゃ分からんなー。
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