第1498話 謎のアイテム
今回拾った落下物の確認の真っ最中だけど、思わぬ方向から成果あり。そもそも食材系のアイテムも落ちるとは、ちょっと予想外。
「彼岸花とリコリスは申告したし、次は俺だな」
「ラジアータの事だから、まーたしょぼいんじゃない?」
「残念だったな、リコリス。俺は今回は『転移の種』を引き当てた」
「……3人とも、揃ったね?」
「なんですと!? これ、どんな確率?」
「知るか!」
まさか、まさかの曼珠沙華の3人がそれぞれに『転移の種』を引き当ててるよ!? いや、本当にどんな確率!? 3人全員にここまでの拾った回数で揃うとか、とんでもない話だよな!?
「……曼珠沙華は良い引きだな」
「……十六夜さんは……何が……出たの?」
「……俺は『刻印石』だな。悪くはないが、普段から手に入れられるものは微妙な心境になる」
「……その気持ち……分かるかも。……未強化の『瘴気珠』が出たのは……本当に微妙な気持ち……」
「十六夜さんも風音さんも、なんとも微妙な内容だな!?」
どっちも使い道はあるけども、こういうイベントで手に入れたいかというと凄く微妙……。うーん、この辺はハズレ枠になってくるのか? 出来れば、イベントでしか手に入らないものが欲しいしさ。
「さて、あとは俺らか。ケイは1番最後にするとして……俺にも『転移の種』が出たぞ」
「アルもか!? あれ? もしかして、意外と確率は高め?」
「最大個数は限定されるが高確率で入手とかになっているかもしれんな。流石にこの頻度では出過ぎだ」
「ですよねー!」
まともに探せば、最低限でもこれくらいは手に入るみたいな調整になってたりするのかも? いや、まだ分からないし、その辺はサンプルが増えてからじゃないとなんとも言えん!
「まぁ俺だけの入手になったとしても、1人で動く際に活用させてもらうか」
「アルさんにはそういう使い方が出来るのさー!」
「あー、そりゃそういう時間帯がいつもあるんだしな」
最近はあまり転移の種を使ってはいないけど、全員で揃って登録しておかなくてもいい枠の『転移の種』をアルが持っているのはいいかもね。アルは、単独行動で動く深夜の時間が多いんだしさ。
「次は私なのさー! 『投擲用の小石』なのです……」
「……ハーレ、ドンマイかな!」
「……あはは、そんなのも出るんだね」
なんというか……投擲を主力にしてるハーレさんだから使い道があるけど、それ以外の人には完全な無用の長物だな!? これこそ、本気でハズレ枠な気がしてきた……。小石って、真面目に拾っていくと時間はかかるとはいえ、その辺で手に入るじゃん!?
「いつも使ってるただの小石と同じだけど、3000個って数は異様に多いのさー!」
「多いな、その量!?」
それだけの数、揃えようと思えば相当大変だろ! あー、これって意外とハズレとも言い難いかも? 日常的に弾の補充が必要な投擲メインなら、ある意味では大当たり?
自分で使わなくても需要自体はあるから、トレードで手放しても問題はないもんな。……やっぱり1番のハズレは、トレード不可だけど、自分では使わないアイテムかも?
「ん? それだけあれば、当分は小石の補充は不要か?」
「そうなりそうなのさー!」
「……なるほど。それなら、しばらくは特殊な弾の仕入れを増やしておくか」
「えっ!? 桜花さん、いいの!?」
「アルマースさんからの蜜柑の供給が止まるのも困るしな。別の弾で要望があれば聞いておくぜ?」
「それなら、花粉の弾をお願いします! あれ、地味に効果はあるのさー!」
「あー、あれか。生産出来る奴が限られるから量産も難しいんだが……まぁ杉の並木に行けば、前よりは調達はしやすいか。おし、後でその辺は交渉しておく」
「お願いします!」
ふむふむ、あの花粉の弾って杉の不動種と関係があるっぽい? あー、材料として杉の花粉が必要になってるのかも? そもそもスキルとして『杉花粉』ってあったもんなー。
ただに小石が大量の詰め合わせになって出てくるという事は、他の投擲用の弾も出てくる可能性もある? うん、否定は出来ない可能性!
「ヨッシとサヤは何が出ましたか!?」
「私は『瘴気珠+15』かな! 丁度、最低Lvのフィールドボスに進化させられるよ!」
「あ、それいいね! どこかの機会で使っちゃう?」
「Lv上げに丁度いいのさー!」
「だなー。まぁ問題はいつ使うかだけど……流石に今日はなし?」
「上限Lvになってる未成体が必要だし、それを見つけた時に手が空いていればでいいんじゃねぇか? いつUFOや落下物が見つかるか分からんし、その過程で見つける事もあるだろうしな」
「あー、それはそうかも。よし、ならその方向で!」
みんなを見回してみれば頷いているし、Lv上げに有益なのは全員の共通認識か。ま、これに関しては本当にそういう機会があればだなー。
ここまでの移動では戦闘は避けてきたけど、Lv上げも兼ねて普通に戦ってるいきたいしさ。進出が出来るエリアを増やすには、Lv上げも大事! ある程度の差ならプレイヤースキルで埋められるけど、素のステータスの差は可能ならない方がいいしね。
「あとは……ケイを除けば、ヨッシかな?」
「あ、そだね。といっても、『転移の実』だから大したものは出てないよ?」
「おぉ! 課金アイテムなんだし、十分当たりなのさー!」
「あはは、まぁそれはそうなんだけどね」
他の当たりに比べると見劣りはするけども、それでも『転移の実』は悪くない。ちょいちょい、こうやって課金アイテムが手に入る機会があるのはいいですなー!
「さて、残るはケイの謎のアイテムだが……とりあえず目的地には辿り着いたし、止まるぞ」
「ほいよっと」
いつの間にやら、谷の上まで到着してるもんな。この周囲にプレイヤーの反応はないけど……あー、落下物があった位置に青の群集の一団が辿り着いたとこか。ふむふむ、西の方からあそこに近付いてきてる灰の群集の一団も出たね。
「このタイミングで落下物に西から近付いてる灰の群集の一団って……十六夜さん、『縁の下の力持ち』だったりする? 今、青の群集の一団が物色中みたいだけど……」
「あぁ、その一団は俺らだな。青の群集の奴らが、隠したのに気付かなければいいんだが……」
「そればっかりはなー。あ、ハーレさん、落下物の反応ってどうなってる? 拾った後も、反応は出たまま?」
「ううん! 近くに辿り着いた時点で、すぐに消えました!」
「……なるほど、ずっと反応が出てる訳じゃないんだな」
「そもそも、あの周囲にあるってまでしか分からなかったから、隠されてても分からないと思います!」
「ほほう?」
そういう仕様になってたとはね。なるほど、なるほど。反応が出てる状態で現地に辿り着いても、そこから見つけ出すのは自力でか。……それなら、協力関係にある人に向けて隠しておくのは本当に有効な手段かも?
「……その青の群集の一団……察知手段を……持ってる?」
「あー、多分? ハーレさん、ここから誰がいるかって見える?」
「誰かいるのは分かるけど、流石に遠過ぎて分かりません!」
「……ですよねー」
獲物察知だから反応を拾えているだけで、まともに目視出来る距離ではないもんなー。うん、まぁそれだけ離れていれば、俺らが何をしてても分からない……っと、効果が切れたか。周囲の動向は把握しておきたいし、再発動しとこ。
<行動値を5消費して『獲物察知Lv5』を発動します> 行動値 118/123(上限値使用:6)
よし、これでいい。もし誰かが近付いてくる気配があれば、すぐに気付けるはず! 擬態されてたら流石に無理だけど、ここまで擬態して探りにくる相手もいないだろ、多分。
「おし! それじゃ俺が手に入れた謎のアイテムを見ていきますか!」
「念の為、樹洞の中でやるか?」
「……移動種でこの人数、入れたっけ?」
「成熟体に進化した段階で、上限人数は増えてるから問題ないな」
「そんな変化、あったんかい!」
いやまぁ、不動種でも入れる人数が増えるって要素もあったはずだし、移動種でも多少の緩和があっても不思議じゃないか。普段は、大々的に大勢でアルの樹洞に入る機会ってないし、アルとしても説明する機会はなかったのかも?
「そういう事なら、念には念を入れとくか。アルの樹洞の中で確認するぞ!」
「「「おー!」」」
という事で、みんな揃ってアルの樹洞の中へと移動開始! いやー、アルの樹洞って隠れて何かやりたい時には便利っすなー!
◇ ◇ ◇
手早くアルの樹洞の中へと移動を済ませて、俺が手に入れた謎のレンズっぽいものをインベントリから取り出して、みんなに見えるように置いてみた。
「さてと……これが例の物なんだけど、マジで何?」
「……見た目的にはレンズかな?」
「レンズっぽい形だけど、内部に小さな泡みたいなのが沢山見えるのです?」
「よく見る前だと、これを通して何かが見れるのかとも思ったけど……そういう感じでもないよね?」
「まぁ、そうなるよなー」
ロブスターのハサミでつまんでレンズみたいに覗き込んでみるけど……それを通して何かが見える訳でもない。透き通ってはいるけど、内部の小さな泡っぽいのがレンズとしての役割を果たさせていない感じ?
「……カットされた、宝石みたい?」
「んー、レンズ型の宝石って事? でも、それならアイテム名が出そうだけどなー?」
「ケイさん、アイテム名は出てないんだよな?」
「出てないというか、『???』で名称不明なんだよな」
手に入れてすぐの時には慌ててたから、改めて観察してみてるけど……謎という印象は変わらない! 彼岸花さんが言ったように、何か内部に泡みたいな模様が出る宝石をレンズの形状にカットしているって印象はあるけども……用途が分からん! 一応、アイテム情報を見てみて……。
『???』
?????????????????
ちょっと待てや! 『?』だけの表示で、何を把握しろと!?
いやいや、今までだって『???』表記の謎の要素ってあったけど、ここまで謎な事ってあった!? ……何気に『使用する』ってのは選べるけど、何が起きるか分からなくて怖いわ!
「……ケイ、それの説明欄は見れるか?」
「さっきからやってみてるんだけど、『?』だけしか表示されなくてなー。でも、何故か使用は出来るっぽい……」
「……不気味だな、それは」
「そうなんだよなー」
これを落としていったのが、あの謎のUFOなんだし……余計に謎過ぎる。これ、下手に使ったら救難信号とか発信したりしません?
「っ!? 救難信号はありそうかな!」
「確かに、あのUFOが落としたものだしな。自分達の元へ、UFOを呼び寄せるアイテムか?」
「あー、真面目にその可能性も考慮した方がいいんだな」
うん、まだ直らない思考のダダ漏れですか、そうですか。まぁそれは今更だし、普通に話を続けていこう。てか、由来がプレイヤー側にないから、アイテムの詳細情報が不明って可能性もあるのか。……そういや、この点は気になってたし、ちょっと意見を聞いてみようっと。
「この謎なレンズとは離れる話にはなるんだけどさ。ちょっと気になってる事の意見を聞いてもいい?」
「……俺も気になっている部分はあるが、ケイは気にしているのはどういう内容だ?」
あ、十六夜さんも気になってる部分はあるんだ? これ、もしかして同じ事を気にしてたりするのかも。まぁとりあえず言ってみようか。
「いやー、これだけUFOが降りてきてるのに、グレイやクオーツから何もないのが気になってさ。なんか演出ありそうなもんだけど、何もないじゃん?」
「……同じ事を気にしていたか」
「あ、十六夜さんもやっぱりそこが気になってたか!」
「……確かに……不自然では……あるかも?」
いつも、異変の発生から多少のタイムラグがあって、イベント演出が始まったりするから、そのパターンだと思っていたけども……そういう時でも異変の報告を上げるアナウンスとかは表示されていた。
でも、UFOと遭遇してもそのアナウンスは今回、出てないんだよね。流石にそろそろ何かしらの演出があってもいい頃合いだと思うんだけど……そんなタイミングで、こんな謎のアイテムの登場だしなー。
「群集の長達やクオーツが、UFOに気付いてないって事はあるのかな?」
「それ、流石になさそうな気がするけど……」
「逆に、知らせないようにしてるって可能性はないですか!?」
「今の時点では、まだ私達には知らせられないって事かな?」
「そこまでは分かりません!」
ふむふむ、意図的に知らせないようにしているからこそ、イベント演出が発生していない? まぁこのUFOが機械人に由来するものなら、積極的に関わらせないようにするだけの理由はあるか。
実際に体感した訳じゃないから実感はないけども、設定上はこの地に来ている全てのプレイヤーの仇みたいなもんだし、クオーツも関わりを持ちたくない相手だもんな。その設定上の都合を考慮すれば……。
「これ、演出を引き起こす為の鍵か? 知らせたくなくても、知らせざるを得ない状況を作り出すとか……」
「可能性はありそうだが……ケイ、使ってみるか?」
「うーん、流石に躊躇があるな。いや、でもイベント演出があるなら、それは進めて――」
<規定条件を満たしましたので、緊急クエスト【謎の飛行物の落とし物】が進行します>
ちょ!? え、まだ使ってないのに緊急クエストが進行になったんだけど!?
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