第1483話 次の捜索の方針
ルストさんから教えてもらった落下物を4個ほど回収したものの……正直、当たりとも言い難い内容だったね。まぁヨッシさんが夕方に使った、純結晶の進化の軌跡が補填出来たのが良かった程度?
「完全なハズレとは言い切れないけど、微妙な内容だな。ケイ、次を探しに行くか?」
「だなー。ただ、同じエリアにどの程度落ちてくるもんかが気になるけど……」
既にここのエリアの1ヶ所に存在していたのは確認出来たんだし、しばらくは探すだけ無駄って可能性もありそうなんだよな。
いや、そう思わせておいて、実は複数ヶ所あるって可能性もあるか? UFOがどういう頻度で出現してるかも不明だし――
「ケイ、それは実際に探ってみるしかないんじゃないかな? どっちだとしても、判断を下すには流石に気が早い気もするよ?」
「……まぁそれもそうか」
思いっきり声に出てたみたいだけど、これの修正にはまだ時間がかかりますかねー!? うーん、癖じゃなくて不具合なら、俺がいくら気を付けてもどうしようもないか。まぁそこはちゃんと修正される事を期待するとして……。
とりあえず、これからの方針を考えようか。ぶっちゃけ、実物は見れたし、手に入りもしたけど、見つける手段はノーヒントのままなんだよな。
とはいえ、サヤが言ってるように、もうこのエリアには落下物が存在しないと決めつけるのは早計過ぎるし……。
「いっそ、このエリアを完全踏破でもする?」
「おぉ!? 完全踏破!」
「……その方が、後々の傾向ははっきりするかも?」
「……2ヶ所以上……確認出来れば……かなり大きい?」
「そうそう、そういう感じ。今回ばっかりは、自分達でやるしかないしなー」
群集のみんなと協力出来ればいいんだけど、流石に今回の仕様的にそれは難しそうだしね。ルストさんみたいな例外を除けば、普段から馴染みがあったとしても今回は出来るだけ警戒した方がいい!
それも、大規模な集団であればあるほど、警戒対象だよなー。まぁ普段の馴染みの人達なら、教えてくれない事はあっても、わざわざデマ情報までは持ち込んでこないとは思うけどさ。……馴染みがあっても、ジェイさんとかだと絶対に信用は禁止だな。高確率でデマ情報を流してきそうだし!
「完全踏破と軽く言うが……ケイ、範囲は広いぞ?」
「分かってるけど、あるかも分からない既に落ちてるやつを探すとなると……もうそれしかなくね? UFO自体の出現に居合わせないと、落下場所のヒントも何もないしさ。まぁアルに何か妙案があるなら、それを採用するけど……?」
「……案は特にないな」
やっぱり特に案はなしか。広いのは分かってるけど、現状で取れる選択肢ってそれほど多くもないしなー。無闇にノーヒントで進めばいい訳でもないし、やっぱり今はこれしかないか。
「なら、完全踏破でいくぞ! まだそれほど進んでないから……南東まで行ってから南西まで進んで、端まで行ったら少し北上して、そこから折り返して南東まで進んでいくのでいいか?」
「……問題……ないよ」
「……うん、それでいいよ」
「ま、そうなるか」
他のみんなも頷いているから、ここからの探索方針はこれでいこう! 正直、無駄骨になる可能性も高いけど……どこかで1回はしっかりと確認しておいた方がいいはず! もしこれで複数ヶ所に落ちているのが分かれば、貴重な情報にはなるしね。
その辺の事をルストさんに聞ければよかったんだけど……まぁ、落下物の場所を教えてもらえただけでも破格の内容なんだから、それでよしとしないとね。
◇ ◇ ◇
この河口域の完全踏破をする事になって、まずはスタート地点となる南東の端まで移動中。移動中だけど、やっぱり結構人がいるなー。あちこちで戦闘してる様子も見えるしさ。
「みんな、バラバラに探してるのさー!」
「まぁしらみつぶしに探すのは、非効率ではあるもんね。先にヒントを探したくなるかも?」
「確かに、それはそうかな! ルストさんから場所を教えてもらわなければ、完全踏破は狙わないかな?」
「まぁ、そうなんだよなー」
あくまで、最初の1ヶ所目を教えてもらったからこその完全踏破狙いだしね。自分達で見つけていたら、他のエリアへの含めて移動しながらUFOそのものを探しているかも?
ぶっちゃけ、どういう形状のものを探せばいいのかが分かったからこそ、選べる選択肢だよな。どういう物を探せばいいのか分からない段階から、完全踏破は中々厳しい。……まぁ闇雲に探すのが効率がいいとも言い難いけど。
「はい! 待ってれば、ここに新たにUFOが出てくる可能性もありますか!?」
「あるとは思うけど……それがいつかは分からんぞ? まぁ既に何回か出現済みって可能性もあるからこそ、完全踏破をする訳だけど……」
悲しい可能性としては、踏破済みの場所に後から落ちていく事かもなー。いや、それを気にし始めたら何も進まなくなっちゃうけどさ。今回、どう探すかってのは判断が難しいとこだよね。
「それなら、空と陸の探索に役割分散をした方が良くないですか!?」
「あー、それもそうか」
確かにハーレさんの言う通り、いつどこで出てくるかが分からないんだから、それはやっておくべきとこだね。そうなると……。
「ハーレさんと風音さんは、今回はコンビで上空の警戒に回ってくれるか? 曼珠沙華の3人も、そっちで一緒に動いてくれ」
「はーい! 風音さん、コンビでやるのです!」
「……うん!」
「……分かった。UFOが出てきた場合は?」
「曼珠沙華の判断で、墜落させに動いてくれ! ただ、墜落させる事よりも、落下物の位置確認を優先で!」
「ふふーん! 任せなさーい! なんなら、全部水で受けて回収しちゃおうじゃん!」
「楽観的過ぎるぞ、リコリス。出てくる位置によって、その時々の動き方は変わってくるぞ」
「それくらい分かってますよーだ! ちょっとくらい、気合い入れてもいいでしょ!」
「……空回りしなければいいんだがな?」
「警戒し過ぎよりはいいと思うけど!?」
「……2人とも、そこまで。言い争って、見落とすのは一番駄目だよ?」
「ぶー! だって、ラジアータが――」
「俺のせいにするな」
うーん、UFO探索を任せたけど……これは本当に大丈夫なのか? まぁこういう雰囲気はいつもの事みたいだし、俺らの方が慣れていくしかないのかもなー。
「あ、サヤ。地上には降りずに、アルの上から探索で頼む!」
「え、降りないのかな?」
「流石に地上を進むと時間がかかり過ぎそうだし、戦闘にもなりやすいだろうからさ。ある程度は落下した痕跡があるだろうし、上からそれを探す感じで頼めるか?」
「あ、戦闘は避けていくのかな?」
「まぁ最小限にはしておきたいとこだな」
今回のメインは落下物の捜索なんだから、不要な戦闘を無理にやる必要もないだろ。とはいえ、ここのLv帯は今が適正くらいだから……避けられる範囲にも限度がある。多少の戦闘があるのは、仕方ないだろうね。
「……ふと思ったんだけど、あの落下物の中身ってアイテムだけなの?」
「へ? え、ヨッシさん、それってどういう意味だ?」
「UFOの集めているものって、この惑星のサンプルなんだよね? それ、黒の暴走種を筆頭にして敵の全ても該当したりしない?」
「あー、そういう可能性もあるのか!? 確かに、そういうパターンもあるかも……」
「開けてみたら、敵が出現って事か。ないとは言えんな」
「……それは、厄介そうかな?」
うーん、可能性としては否定出来ない内容だよ! 宝箱といえば、他のゲームとかでは宝箱に擬態するミミックなんてのもいるんだし、十分考えられるよな……。
「はっ!? 私達、プレイヤーが捕まる可能性もありますか!?」
「……それも……あり得そう?」
「……否定は出来ないかも?」
「おー! それはいいね! わざと捕まって、中から大暴れで大量回収ってのもいいかも!」
「確かに、そういう手段もありだな。ケイさん、可能なら狙ってみるか?」
「あー、絶対にそういう要素があるとも言い切れないけど、試せそうなら試してみてくれ!」
「了解だ。その場合は、俺が突っ込む。いいか、彼岸花、リコリス」
「えー! それ、私もやりたいんだけど!」
「……リコリス、今の役目はラジアータの方が適任だよ?」
「ぶー! そりゃラジアータは近距離も遠距離もいけるし……仕方ない、今回はそういう事にしといてあげましょう!」
「なんで、そこで妙に上からになる?」
さてと、とりあえずの役割分担は出来たみたいだし、UFO出現時の対応は曼珠沙華に任せよう。あくまで可能性の話だからどうなるかは分からないし、確かめるにしても実際に次のを見つけないと意味ないしね。
◇ ◇ ◇
役割分担の話をしている間に、なんとか南東の端までやってきた。その途中で何かあればよかったんだけど、特にこれといって何もなし……。ただ、段々と人が増えてきてる気もするな? その辺の動き、なんか情報があったりしない?
「桜花さん、こっちのエリアの人が増えてきてるんだけど……何かあったりする?」
「いや、これといった情報はないが……もしかすると、ケイさん達がそこを探っているのに釣られて、そっちに人が流れてる可能性もあるぜ?」
「へ? え、俺らが原因!?」
「今は指標が何もない状態だからな。見つけそうな人達が進んだ場所に行って、おこぼれ狙いって人もいるだろうよ」
「あー、そういう……」
うーん、俺らだって何かの指標がある訳でもないんだけど……俺らの行動自体を指標にする人も出てくるか。まぁそういうのを狙って連結PTを組もうとしてた人もいるんだから、こういう状況はあり得るよなー。
完全にノーヒントな状態だから、気持ちは分かるんだけど……明確に追いかけてこない限りはスルーしかない? 流石に力技で追い払うのは無理があるし……。
「ケイ、どうする? 何か対処はするか?」
「いや、変に敵対しても後々が面倒になるだろうし、露骨に何か邪魔してこない限りはスルーで。むしろ、逆に探してくれる人が増えたと考えよう! ハーレさん、観察対象に他のプレイヤーも入れといてくれ! 何か見つけたような動きがあれば、そっちに向かうぞ!」
「おぉ!? 逆に利用していくんだ!? 了解なのさー!」
利用とは言い方が悪いな!? いや、まぁ内容的にはまさしくそうだけども……この状況なら、正直お互い様じゃね?
「今回の仕様的には、こういうのも想定済みじゃないかな?」
「あはは、そうかもね」
「ま、違いねぇな。ケイ、その場合での強硬手段はどうする? 強引にでも取りに行くか?」
「んー、状況次第?」
同じ群集であったとしても、利用しようとしてきているのなら、利用し返すのもあり。もし、奪い合いになれば強引な手段で排除も……まぁ運営としても想定はしている手段だろう。でも、戦うのが最善策かといえば……状況次第としか言いようがないんだよな。
「……どういう状況なら、強引にでも取りに行くの?」
「無条件で譲る気はないから、相手が仕掛けてきた場合は確実に排除でいいぞ。それに対しては配慮する意味もないからなー」
「それは当然だね! なんで襲われて、大人しく引き下がらなきゃいけないって話だし!」
「奪いにきた場合は迎撃だな。それは了解だ」
この場合については、冗談抜きで遠慮する理由はどこにもないから、強硬手段を使うので問題ない。問題は……。
「こっちから奪いに行くのは……基本的には無しでいこう。なんか、漁夫の利を誰かに掻っ攫われそうな気がする……」
「……私達が戦ってる間に、誰かが戦闘を避けて取りに行くパターンかな?」
「それ、戦い損だよね?」
「そうそう、だから基本的には避けておきたい」
「俺はどうしても目立つし、大々的に戦えばその近くにあると知らせるようなもんだしな。その判断は支持するぞ」
「どうやって目立つし、得する事はないのさー!」
俺らを追いかけてきている人が多いのなら、尚更に避けておきたい可能性だしなー。無理をして取りに行かなければならない状態なら、素直に諦めた方がいいかもね。ただ、数は限定されるけど、こういう手段もいけるか。
「例外として……俺とラジアータさんが、コケを遠隔同調で離して、漁夫の利を取りに行くのはありだと思うけど……どう?」
「……ありだな。その場合なら、俺らから意識を逸させる為に誰かが暴れるのもありか?」
「あー、それもありだな!」
強引に奪っていくように見せかけて、その裏でこっそりと取りに行くのは成立しそうだね。その時は、彼岸花さんの氷の操作で冷気を操作してもらって霧の偽装でもするのもありかも?
でも、何度も通用するはずもないから、これはとっておきの手段として置いておこう。
「まぁ基本的には奪いに行く前提にはしないから、そのつもりでいてくれ。でも、何か見つけた時は報告をよろしく! そこからどうするか考えるからな」
「了解です! ふっふっふ! 周囲の動向も見落とさないようにするのさー!」
「……頑張る!」
「……方針は分かった。戦闘は控えめでいくね」
「ともかく、見つけていかないとだね! まだ自力じゃ見つけられてないし!」
「まずは何にしても、見つけるところからか」
手に入れるまでの方針を考えたところで、肝心の落下物かUFOを見つけられなきゃ意味がない! 今決めた方針は、何かを見つけた後の事だしね。
「それじゃ、とりあえず南東に向かって出発!」
「「「「おー!」」」」
「……うん!」
「……見つかればいいね」
「ラジアータ、どっちが先に異変を見つけるか勝負!」
「いいだろう。その勝負、受けてやる」
なんかリコリスさんとラジアータさんが勝負にしちゃってるけど……まぁいいか。こういう勝負ってハーレさん達がちょいちょいやってたりもするし、結構成果にも繋がったりするからなー。
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