第1375話 みんなと合流
予想外の状況でバタバタしたものの、アルバイト絡みで今日やる事は終わったので、とりあえず帰宅中。晴香は駅までは自転車通学だけど、今は隣で自転車を押しながら歩いている状況。
「さーて、帰ったら続きをやってくか」
「当然なのさー! あ、そういえば兄貴と一緒のシフトになる可能性もあるの!?」
「まぁ相沢さんと直樹次第ではあるんだろうけど、可能性はあるよなー」
「ふっふっふ、その時は楽が出来そうなのです!」
「おいこら!? サボらせはしないから……って、品出しって食品は大丈夫なのか……?」
「店長さんに心配されたけど、自分が食べない時は普通に大丈夫そうなのです!」
「……なるほど」
店長さんに既に心配されてたというのがびっくりだけど、晴香自身が食べていない時には問題にならないって事もあるのか。まぁそういう事実が分かっただけでもマシだけど……。
「もしかして、色々やらかしてんのって食い気が原因?」
「分かりません!」
「……だよなぁ」
食べるまでの間ならそっちに気を取られて意識散漫になってるのが原因な可能性はあるけど、食べ終わった後の片付けでもやらかすのには説明がつかないもんな。いや、食べる量的に満足してなかったり、余韻が残ってたりすると駄目なのか? うーん、分からん!
あ、そんな事を考えてるうちに自宅へ到着。流石にアルバイト関係の話があると、帰ってきたのが16時半くらいになったか。とりあえずさっさと家の鍵を開けて、中に入ろう。
「こりゃ、それほど色々は出来そうにないな」
「流石に仕方ないのです! あ、ヨッシとサヤには既に言ってるからねー!」
「ほいよっと」
そういや俺自身も直接遅くなるって連絡が入れられるようにはなってるのか。サヤは既に相談するのに有効活用してきてるけど、もうちょっと意識的に使ってみてもいいのかもなー。今回は晴香と用事が被ってたから問題ないけど、俺単独で遅くなる事もないとは言えないしね。
「それじゃ、急いでみんなと合流なのさー!」
「へいへいっと。あんまり急いで転ぶなよ」
「はーい!」
何とか暑い中を歩いて自宅には到着したし、サッと汗だけ拭って着替えて、ログインしていきますか。アルバイトのシフトの希望を出すのは来週末が期限だから、すぐにやらなくても大丈夫だしね。
俺らは朝の9時から夕方の18時までの範囲ではあるけど、どういう風になるかはシフトが決まってから次第か。あくまで高校生が4人だけって話で、普段からのパートのおばちゃんとか、新しく8月から雇う事になった人の研修とかもあるらしいから……本当にどうなるか実際に決まるまで微妙に分かりにくいな?
「あっ! おぉ!」
「ん? 晴香、どうかしたか?」
「サヤから手土産の希望が届いたのさー! オリーブオイルだってー!」
「ほほう? あー、そういやこっちの特産品ではあるもんな」
「パッと思いつかなかったけど、確かにそうなのです! ふっふっふ、オリーブオイルといえばアヒージョなのさー! あ、ペペロンチーノもいいかも!」
「……なるほど」
普通に焼く時の油として使うものかと考えてたけど、オリーブオイルそのものがメインになってくるのもあったか。ヨッシさんなら作るのは問題ないだろうし、店長さんは凄くいいアドバイスをしてくれたもんだね! 今度、シフトを出しに行った時にお礼を言っとこ。
まぁサヤが俺に相談してきてたのは内緒にしておこう。これは言う必要がない事だし、どういう風にオリーブオイルを使うかはみんなに任せるさ。
「兄貴、お母さんに報告しておくから、先に行っててー!」
「そりゃいいけど……母さんが帰ってくるまで待ってる気か?」
「ううん、その辺の話は後でするから報告だけなのさー! でも返事は待つから、それ次第なのです!」
「そういう事か。それなら了解っと」
母さんは遅くても18時前には帰ってきてるはずだけど、返事がどのタイミングで来るかは母さんの状況次第か。別に帰ってきてからの話でもいい気もするけど……まぁ晴香が決めたならそれで問題ないな。
◇ ◇ ◇
という事で、自室に移動してきた。帰る前に遠隔で冷房は入れておいたから、快適、快適! ん? サヤからメッセージが届いてるから、内容を確認しておくか。
「あー、さっき晴香に要望を伝えたって報告か」
流石に晴香にそのメッセージが届いた時に、俺が真横にいたとは想定はしてないよなー。まぁいる可能性は考えたとしても、こうして報告はしてくるんだろうけどさ。報告と一緒にお礼も言われてるしね。
「なんだかんだで、サヤって律儀なもんだな」
別にこの後、ログインすれば会うのに……って、それだとハーレさんとしての晴香がすぐ合流するから駄目か。ま、とりあえず『どういたしまして』と『これからログインする』と送っておこう!
さーて、それじゃ今日も今日で色々とやっていきますか! サヤとの対戦は夜からの話だから、それまでの間に何をやるかを考えないとなー。ま、それは合流してからだね。という事で、VR機器を被ってフルダイブ開始!
◇ ◇ ◇
いったんのいるログイン場面へ、いつものようにやってきた。えーと、今の胴体部分の内容は『なんというか……全体的に攻略が早くない?』って、そう言われても知らんわ! あ、でもこういう内容が出てるって事は……競争クエストの終了って運営の想定より早かったとか? あー、あり得そうだし、ちょっとダメ元でいったんに聞いてみようっと。もしかすると、何か反応があるかもしれないしさ。
「いったん、ちょっと質問!」
「はいはい〜。どういう内容かな〜?」
「運営的には、この前の競争クエストの終了って早過ぎたりする?」
「えーと、それは何とも説明が難しいね〜。僕からは運営さんの想定スケジュールの情報は見れないし〜」
「あ、そうなのか」
「そうなります〜。答えられなくてごめんね〜」
「ダメ元だったし、それは別にいいよ」
流石にいったんから確認出来る情報の中に、今後の色々なスケジュールとかまでは含まれていないのか。まぁそれならそれで仕方ないけど……期限が決まってない形での開催だもんなー。
俺が参加出来てない部分でも色々と動きは多かったんだし……そもそも、済んだ競争クエストの事を気にしても仕方ないか。早く終わって困るなら、共闘イベントみたいに期限を区切って開催してもらうしかないしなー。
あ、あれはあれで終了期限よりも早くに終わってたような……って、それを含めた攻略の早さへの言及か!? うん、それはあり得そう。まぁそれでどうしろって話ではある気がするし、気にするだけ無意味だな!
「ところで、スクリーンショットの承諾が結構な量になってるんだけど……時間はあるかな〜?」
「あー、流石に今は無理かも? それは後でやるわ!」
「はいはい〜。後で処理だね〜」
大量のスクショの承諾は……間違いなくルストさんのもの! 他にもレナさんやハーレさん、シュウさん、弥生さんからもあるだろうしなー。普段ならこのタイミングで処理したいけど、アルバイトの件で遅れてるし、晩飯を食べる前に早めにログアウトして処理しよう! 今はログインを最優先で!
「それじゃ今日のログインボーナスをどうぞ〜」
「サンキュー! コケでログインをよろしく!」
「はいはい〜。今日も楽しんでいってね〜!」
「ほいよっと!」
いつものように、いったんに見送られながらログインしていこう! 多分、サヤとヨッシさんはもうログインしてるだろうし、すぐに合流していきますか! 晴香は、どうなったかな?
◇ ◇ ◇
ログインしてみれば、エンの葉の合間から射し込む木漏れ日が気持ちいいような状態である。昨日は完全体のリュウグウノツカイに壊滅させられて、そのまま解散になったからなー。エンの木の端の方まで移動した状態からスタートだね。すぐにみんなと合流を目指すけど、忘れないうちにこれだな!
<ケイが『進化ポイントの実:灰の群集』を使用します>
<アイテム使用により、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント7獲得しました>
<ケイ2ndが『進化ポイントの実:灰の群集』を使用します>
<アイテム使用により、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント7獲得しました>
これで、今日の分は確保完了! とりあえず、みんなのログイン状態をフレンドリストで確認! えーと、今日は時間が時間だから既に色んな人がログイン済みですなー。何をするにしても、声をかけられる人は結構いそう。
よし、サヤもヨッシさんもハーレさんもいるから、すぐにでも集まれそうだ。てか、ハーレさんが既にいるって事は、母さんからの返事は早かったっぽいね。
それにしても……この時間帯は、エンの周辺に人が多いな。あ、クラゲを被ったリスが……いや、プレイヤー名が別物だし、クラゲの色やリスの身体の白い模様が違うから別人か。流石に地面に降りてる状態じゃ、周囲を見渡すのも――
「あ、ケイさん、発見!」
「おっ、ヨッシさん!」
声がした方を見てみれば、上から飛んで探している様子のヨッシさんがいた。やっぱり飛んで見渡せる方が見つけやすいよなー。俺の方まで降りてきたし、ひとまずこれでヨッシさんとは合流っと!
「サヤとハーレさんは?」
「多分近くにはいると思うけど……私もログインしてきたばっかでね?」
「あ、そうなのか? てっきり、先にやってるものかと思ったんだけど……」
「ほら、サヤがケイさんに相談してたじゃない? あれ絡みでね?」
「あー、ヨッシさんには伝えてたのか。なら、ハーレさんには内緒にしてるんだけど、言っておいてもいい感じ?」
「内緒にしてるならそのままでもいいよ。そこの判断はケイさんにお任せで!」
「……なるほどなー。わざわざ言う必要もないし、黙っとく」
「うん、それならそれでいいよ」
「なら、そういう事にしとくわ」
教えても問題ない内容ではあるんだろうけど、わざわざ伝えるべき内容でもないからなー。何を手土産にするかが決まったなら、それで問題ないだろ! ……もはや、手土産と言っていいのか疑問ではあるけども。
「そういや、ゲーム内でもオリーブオイルって作れるようになってなかったっけ? ひまわり油の量産もどうなった?」
「あ、そういえばどうなってるんだろ? スキル強化の種が補填で配られたし、絞りやすくはなってるかも?」
「油繋がりで、今日はその辺の確認でもしてみるか」
「あはは、それもいいかもね」
おっと、そうやって話している間に共同体のチャットが光り始めたね。ヨッシさんは目の前にいるから、サヤかハーレさんが書き込んだか? とりあえず確認しとこ。
ハーレ : どこで合流ですか!?
サヤ : ケイとヨッシを見つけたから、私はそこに向かってるかな! ハーレはどこにいるの?
ハーレ : はっ! サヤを発見です!
ケイ : これ、合流場所を決める必要ってなくね?
ヨッシ : もう完全に私達の方に向かってきてるよね?
ハーレ : 確かにそうなのさー! あ、ヨッシとケイさんも発見なのです!
「きゃっ!? え、ハーレ!?」
「ふっふっふ、サヤへの奇襲、成功なのです!」
「見つからないと思ったら、上にいたのかな!?」
「エンによじ登って探してたのさー!」
なんか近くから知った声が聞こえてくると思えば、竜を背負ったクマの頭に、大きく傘を広げたクラゲが覆い被さっている状況だった。うん、これはハーレさんがサヤの上に飛び降りて、クラゲの『傘展開』で減速した状態っぽいね。
「ハーレ、なんだかテンションが上がってない?」
「それは当然なのです! 夏休みに遊びに行くの、今から楽しみなのさー!」
「……それはいいんだけど、飛び乗るのは勘弁かな?」
「思った以上に人が多かったのさー! でも、次はやめておきます!」
「それでよろしくかな!」
ふむふむ、まぁサヤが驚くのも仕方ない気はするけど……なんだか妙に混雑してる様子ではあるもんな。これ、一体何事? PTの募集……って訳でもなさそうだし、普段とは違う混雑具合な気がする?
「ケイ、ヨッシ! お待たせかな!」
「それほど待った訳じゃないから問題ないけど……この混雑ってなんでだ?」
「それ、オオカミ組が主催のトーナメント戦をやってるからだってー! 『刻浄石』の入手狙いのやつ!」
「あ、そうなんだ? でも、流石にやるのは気が早くない?」
「チラッと聞いただけだから、詳しい事は分かりません!」
「なるほどなー」
掲示板で『刻浄石』を試している人の書き込みがチラホラあったけど、オオカミ組が実際に入手しやすいように動き出している状態か。今の段階でトーナメント戦をしてるのは気が早い気もするけど……。
「あー、もしかして後々で連戦していくつもりか?」
「……あ、それはありそうかな? 今のうちに数を確保しておいて、適切Lvまで上がってから一気にやるのもありかも?」
「その可能性はありそうです!」
「んー、確かにそうかもね。その辺、誰かに情報を確認してみる?」
「だなー。そうなると……」
この手の情報に詳しそうな人はいくらでも心当たりがあるけど、さっきの油の件も含めて考えるなら、桜花さんのとこがいいかもね。さっきフレンドリストを見た時にはログインしてたしなー。
「よし、とりあえず情報収集をしに桜花さんのとこに行ってみるか!」
「「「おー!」」」
今日の夜のサヤとの対戦の件もあるし、桜花さんと話しておくのはありだろ! これからどこかに行くにしても中途半端になりそうだから、今日の夕方は遠出しないつもりでいるのがいいかもね。
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