第1371話 連絡先の交換
<『名も無き未開の海岸』から『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』に移動しました>
予期せぬ全滅という結果にはなったけど、とりあえず森林深部で復活! あー、久しぶりに死んだ気がする。いやー、ヤバいな、格上の完全体! オフライン版の基準と変わらないのなら、最低でも成熟体の上限Lv60に到達した上での進化だもんなー。
「皆さん、検証はお疲れ様でした。最後は事故にはなりましたが……まぁあれは仕方ないでしょう」
「確かにあれはね。さて、それじゃ今日はこの辺りで解散にしておこうかい」
「だなー! またの機会があれば、その時はよろしく!」
<弥生様のPTとの連結を解除しました>
<ジェイ様のPTとの連結を解除しました>
既に戻る前に挨拶は済ませているから、長々と話す事もなく解散になった。シュウさん、次はルストさんを連れてこないとは言ってたけど……思いっきり脱線しまくってたもんなー。
まぁその分だけ実際に2パターンの『変質進化』を見せてくれてはいたけども。……むしろ、フラムの方が本格的に邪魔だった気もする。
「はっ!? 死んだから、クラゲがいないのさー!?」
「あ、私も竜がいないかな!? ……帰還の実を使う前に、戻しておくべきだったかも?」
「そっか、ハーレとサヤは共生進化だもんね。クラゲと竜、戻してこれる?」
「あっちでも帰還の実は持ってるから、そこは大丈夫なのです!」
「私も大丈夫かな!」
あー、共生進化の時はそれぞれに帰還の実は持てはしたっけ。あくまでログインしてる側の方しか使えないだけで……一緒に復活する支配進化や同調では縁がなくなってる部分だよなー。
というか、PT会話で話は聞こえているけど……みんなはどこだ? 今回は死んで戻ってきてるから、一緒に転移してきてる時と違ってバラバラみたいなんだけど……。
俺は普通に地面にいるし、エンの近くにはプレイヤーが結構集まってて分かりにくい! あー、日付が変わる時間が近いから、思いっきり夜明けの演出になってきてるね。とりあえずすぐに分かりやすそうなアルを見つけて……よし、いた!
「さてと、アルを目印に集まるとして……サヤとハーレさんは共生進化を戻してくるか?」
ちょっと離れた位置に浮いて離れ始めてるね、アル。俺もその方向に移動……の前に忘れないように新しい帰還の実を貰っておいて……よし、入手完了! さて、アルの場所に移動開始!
「そりゃいいが……無理に今、集まる必要があるか? 普段よりももう遅い時間だし、報告は俺がやっとくからそのままログアウトでも構わんぞ」
「わたしもいるし、いつもログアウトしてる時間を過ぎてるなら、任せてくれていいよー!」
「え、いいのか、アル、レナさん?」
「別に前からたまにやってる事でもあるだろ。むしろ、ここで変に引き伸ばして寝坊された方が困るんだが?」
「およ? あ、寝坊でペナルティがあるって話だっけ! 寝坊は駄目だよ、寝坊は! 常習化しちゃうと癖になるからねー!」
「……ですよねー。それじゃ報告は任せた!」
「おう、任せとけ」
「任せなさーい!」
属性としての表示ではあっても、実態としては『変質進化』になる『侵食』の報告はアルとレナさんに任せよう! 報告に全員が行く必要はないし、時間が微妙なのは間違いないしね。
残念ながら『刻浄石』で同じ群集の半覚醒を引き当てたらどうなるかは試せなかったけど、そこは他の人が検証してくれる事に期待! 明日ログインしてきた時に、どうなってるかだなー。
「解散にするのはいいけど、ハーレとサヤはどうするの?」
「このまま解散でもいいけど、共生進化だけは直してきます!」
「明日にするとそれはそれで面倒だから、私も今のうちに戻してくるかな。あ、待ってなくても大丈夫だからね」
「うん、それは了解」
「ほいよっと。それじゃ、今日はここで解散だなー。明日は……まぁ明日考えるか」
「ケイ、サヤ、勝負をやるなら俺も見たいから、夕方は避けといてくれると助かる」
「……へ? あ、そういや模擬戦をやるんだったっけ」
「あ、そういえばそうだったかな! ケイ、負けないからね!」
「その言葉、そのまま返す!」
「あはは、サヤとケイさん、どっちが勝つんだろ?」
「分かりません!」
明日はサヤとの模擬戦か。……距離を詰められたらあっという間に仕留められそうだから、距離を取って戦うのがいいだろうね。サヤ相手に近距離戦を挑むのは危険過ぎる!
「アルマースさん、後でその辺の時間調整をしとこっか? わたしとしては20時半くらいに開始がいいかも?」
「ケイが合流するのがいつも20時くらいだし、下準備を考えたらそんなとこが無難だな。実況は……桜花さんのとこでやるか。群雄の密林で中継は可能なんだよな?」
「うん、そこは問題ないねー! それじゃ報告しつつ、桜花さんにちょっと話を通してこようっと!」
なんか着々と俺とサヤの模擬戦の実況の準備をしていってる!? あー、まぁそりゃそうなるよね。とりあえず、明日の夜にログインした時にやる事の1つは確定だな。
「ふっふっふ、明日が楽しみなのさー!」
「その為にも寝坊しないようにね? ハーレもケイさんも」
「だなー。明日の夕方に何をするかは……まぁ明日考えるとして、ここで解散!」
「お疲れ様! さーて、報告と模擬戦の調整をやっていこー!」
「まずは報告からだな」
「大急ぎでクラゲをこっちに持ってくるのさー!」
「私も竜を持ってこないとかな!」
という事で、今日はこれにて終了。さて、サヤとハーレさんはそれぞれに共生進化に戻す為にログアウトしたし、無理に待つ必要もないって事だから俺はそのままログアウトしようっと。エンからはそれなりに離れたし、場所はここでいいだろ。
◇ ◇ ◇
今日はもう時間が時間という事で、報告はアルとレナさんに任せて、いつものいったんのいるログイン場所までやってきた。今の胴体部分は『しばらくは空白期間をお楽しみ下さい!』となっている。なるほど、今は育成を頑張って進めたり、色んな場所を探索しておけって事か。
明日、サヤとの模擬戦以外は何をしようかな? フィールドボスとの戦闘が安定するにはもう少し全体的なLvが上がらないと厳しいだろうし、それは今日の検証した敵もLv的には同じだよな。あちこち探索しつつ、Lv上げがいいのかもね。まぁそれを考えるのは明日でいいとして……。
「いったん、スクショの承諾はきてる?」
「今は特にないね〜」
「あー、それは了解っと」
まだルストさんを筆頭に、一緒に動いてた時のスクショの承諾は送られてきてないっぽいな。むしろ、これは次に確認する時がとんでもない量になってそうな予感。……絶対、今日の分はルストさんから大量にくるだろ! 弥生さんやシュウさんからも、ほぼ確実にあるだろうしなー。
「ちなみに、のんびりな空白期間ってどのくらい?」
「それはまだ言えません〜。続報を待ってね〜」
「……なるほど」
うーん、次のイベントは共闘イベントなんだろうけど……まだ開催告知すらなしか。来週の木曜日には大型アップデートが来るんだし……1週間くらい、何もなしって可能性はあるんだな。
あー、そういや明日は水曜だし、明後日が定期メンテの木曜になるから、続報があるとしたらそこか? 次の週末って3連休だし、そこで簡単なイベントでもあればいいなー。無ければ、プレイヤー主導で何かをやるのもあり? まぁ今ここで考えてても仕方ないか。
「今日はもう終わりにするから、ログアウトでよろしく」
「はいはい〜。お疲れ様でした〜! またのお越しをお待ちしてます〜」
「ほいよ!」
いつものようにいったんに見送られつつ、ログアウト。さて、ササっと風呂に入って寝ますかね。
◇ ◇ ◇
「ん?」
風呂に入って戻ってきたら、何やら携帯端末の方に通知が出ている? こんな夜に誰から――
「あ、兄貴! ヨッシとサヤの連絡先、送っといたからねー!」
「あー、そういやそうだっけ。それは了解っと」
「えっへん! それじゃお風呂に入ってくるのさー!」
そういやログアウトしたら、連絡先を交換しておくって話になってたっけ。となると、俺が風呂に入ってる間に晴香がサヤとヨッシさんの連絡先を転送してきた状態になってるんだな。
「忘れないうちに、ちゃんと連絡先を登録しておくか」
という事で、携帯端末で表示を出して……なるほど、晴香からのメッセージの中に、アドレスが2件、記載されてる状態だね。
「『四ツ谷雫』がヨッシさんで、『片山紗香』がサヤだったよな」
2人とも前に本名は聞いているんだし、晴香も自分自身の携帯端末には本名で登録してるっぽいね。それをそのままコピーしてきてる感じがする。
って、あれ? これ、俺の連絡先は既に伝わってるのか? その辺、言わないまま風呂に行ったよな!?
「あー、まぁ実際に連絡してみれば済む話か」
どのくらい使う事になるか分からないリアルでの連絡先だけど、まぁ普段の感覚でメッセージを送っておけばいいだろ。目的としては緊急時の連絡用ではあったけど、それ以外で会話したら駄目って訳でもないしなー。
とりあえずサクッと連絡先を登録して……よし、完了! 2人とも本名で登録しておいたけど――
「ん? あー、ヨッシさんからメッセージか」
こうやって届くなら、既に俺の連絡先も伝え済みか。とりあえずヨッシさんからのメッセージを開いてみて……ふむふむ、『ハーレからケイさんのアドレスは受け取ったから、登録は済ませたよ。何かあったら、こっちで連絡するね』か。呼び方は……まぁ普段通りになるよなー! 急にリアルの名前で呼ぶのも変だし、苗字で呼ぶのは余計に変だしね。
「『こっちも登録が終わったところ。何かあったら、俺の方からも連絡するよ』……でいいか」
シンプルな返信内容だけど、少し前まで普通に話してたしな。特にパッと思いつく話題もないし、連絡先の交換が済んだかどうかのチェックが確認ならこれで問題なし! よし、送信完了!
「……サヤからは届いてないみたいだけど、まぁこっちから送っとくか」
サヤはサヤですぐに目を通せる状態ではない可能性もあるし、とりあえず連絡先を登録したって事が伝わればいい状況だろ。えーと、どう送ろう? シンプルに――
「って、おわっ!?」
メッセージを送ろうと思ったら、なんか通話が……ってサヤから!? アドレスが分かれば文字のメッセージじゃなくて、通話もいけるもんな。でも、通話でくるとは思わなかったからビックリしたわ! ……なんで、通話? いや、別に悪い訳じゃないけど……とりあえず出てみるか。
「もしもし?」
「えっと、ケイで合ってるかな?」
「……これで別人だったら、晴香にお仕置きが必要なとこだろうなー。てか、通話だとサヤの声の印象が変わるな?」
「あはは、それはケイも同じかな!」
「まぁそりゃそうだ」
フルダイブ中は自分の声だと認識している声になって、携帯端末での通話の場合はそのままの声が届いてるはずだから、その差異が出てきてるんだろうね。本人だと分かっていれば分かるけど、そうと知らなきゃ気付きにくい部分なんだよなー。
サヤの声は、少し違いはするけど……そこまで極端に違うって事もないんだね。なんというか、これはこれで新発見?
「これはハーレが最初に気付かなくても仕方ないかな?」
「おーい、それを確認したくて通話にしてきたのか?」
「前からちょっと気になってたからね。テスト期間の時のは、フルダイブでの音声だったし?」
「まぁそうだけど……そんなに俺のフルダイブ中の音声って今と違うのか? いまいち、その辺の実感がないんだけど……」
「元々同一人物だって知っていたら分かるけど、知らなかったら別人だとは思いそうかな?」
「……なるほど」
うーん、思っている以上に俺が自分自身の声と認識しているものと、実際の声には差異があるっぽい。でも、知っていれば気にならない範囲ではあるんだね。
「あ、流石に通話中は呼び方を変えた方がいいのかな?」
「別にそのままでいいんじゃね? お互い、本名の一部だしさ」
「あ、確かにそれはそうだね。それじゃケイ、おやすみ!」
「おやすみ、サヤ!」
お互いにおやすみと言ってから、通話は終了っと。……別に今の通話の中で変な事は言ってないよな? なんか妙に緊張したけど、普通にいつも通り話せてたよな!? うん、そのはず!
「なんで、俺、こうも緊張してたんだ?」
サヤと2人で話す事が初めてという訳でもないのに……あー、急に想定してなかった通話になったから、妙に緊張したのかも? うーん、声の雰囲気のちょっとした違いっていうのも要因だったのかもしれない?
「……『おやすみ』か」
何気に、家族以外からそういう風に言った事も、言われた事も初めてな気がする。って、うっわ!? なんかそう考えたら、妙に気恥ずかしくなってきた!?
えぇい、とにかく寝よう! 寝て起きて、明日にはいつも通りで! ……なんか妙に落ち着かないけど、寝れるのか、これ!?
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