第1350話 連携させたら
色々と脱線し過ぎた為、少しペースを上げて移動を開始。あまり早過ぎると水中の敵が明確に寄ってくるので、獲物察知で反応を見ながらそうならない程度の速度を見極めて……。そろそろ獲物察知の効果が切れるし、交代のタイミング――
「はっ!? アルさん、下から攻撃が来るのです!」
「ちっ! 『空中浮遊』! この速度でも出し過ぎか!」
<ケイが成熟体・暴走種を発見しました>
<成熟体・暴走種の初回発見報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>
<ケイ2ndが成熟体・暴走種を発見しました>
<成熟体・暴走種の初回発見報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>
「あ、今度は魚じゃなくて、ワニかな!? これ、速度は関係ないんじゃ?」
「あはは、そうかも?」
「ケイさん、指示をお願いねー!」
「ほいよっと!」
「ケイさん達の戦闘が終わるまで、僕らは移動を止めておくよ」
「おうよ、シュウさん!」
「えぇ、その方がいいでしょうね」
「ホホウ、当然なので!」
川の少し上に浮いたアルに向かって、大口を開けているワニの姿が見える。王冠マークもないし、ただの黒の暴走種だな。あー、本当にここのエリアはまだ進出が進んでなくて、まだ誰も討伐出来てない敵が多い!
他のPTは動きを止めてくれたから、さっさと倒して移動を再開だな! とりあえず奇襲してくる敵の識別はしておこう。何度も出てきたピラニアとは別物だし、もし振り切れるなら振り切ってもいいけど……それが出来るか確認で!
<行動値を5消費して『識別Lv5』を発動します> 行動値 119/124(上限値使用:1)
『激顎跳躍ワニ』Lv10
種族:黒の暴走種(激顎跳躍種)
進化階位:成熟体・黒の暴走種
属性:なし
特性:顎撃、強靭、跳躍、一撃強化
こりゃまた随分とシンプルだけど、一点特化型って感じだな。しかも、特性に『跳躍』があるなら……この程度の高さじゃ危険か。振り切るのも厳しそうな気がするし、迎撃の方が安全だな。
「アル! このワニは跳び上がってくる可能性があるから、口を縛って捕獲! ヨッシさん、毒性と効果時間を高めた神経毒! 2重で動きを封じてから迎撃していくぞ!」
「了解! 『トキシシティ・ブースト』『トキシシティ・エクステンション』『ポイズンインパクト』!」
「おー! 見事に決まったのです!」
「おし、アルは根で捕獲!」
「分かってる! 『根の操作』! おらよ!」
「よし、ナイス!」
アルが根でワニの口を塞いだ状態で高度を上げて吊り上げた状態になったけど、ここからどうする? 完全に物理型だから、攻めるのは魔法の方がいいだろうし……よし、あんまり使えてないこれらを使っていきますか!
<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>
<行動値15と魔力値76消費して『砂岩魔法Lv1:サンドショット』は並列発動の待機になります> 行動値 104/124(上限値使用:1): 魔力値 234/310
<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>
<行動値30と魔力値76消費して『清水魔法Lv1:ウォーターハンマー』は並列発動の待機になります> 行動値 74/124(上限値使用:1): 魔力値 158/310
<指定を完了しました。並列発動を開始します>
<『サンドショット』の魔力凝縮を開始します>
<『ウォーターハンマー』の魔力凝縮を開始します>
砂岩魔法と清水魔法の同時展開! この辺の応用魔法スキルは全然使えてないし、使わないとスキルLvも上がらないからこの機会に使っていく!
「ケイが清水魔法を使うのは、地味に初めて見る気がするな?」
「そういや、俺も初めて使ったような気がする?」
「……なぜ使った事もない魔法を持っているのですか、あなたは。いえ、水魔法Lv8で手に入ったのでしょうけども!」
「いやー、まぁそういう事もある!」
ジェイさんが呆れた風に言ってくるけど、地味に溜めがある応用魔法スキルって急な対応が必要な場合には使いにくいんだよなー。スキルLvが上がればどんどん使い勝手が良くなっていくらしいけど……まぁ、機会を見つけて積極的に使っていかないとなー。
「ケイさん、指示をお願いします!」
「ほいよっと。このワニ、完全に物理型だから魔法メインで攻撃でいくぞ! レナさん、もし毒が切れて拘束から抜け出たら、蹴り上げてもらえるか!? あと、他の敵が出てこないかの警戒も! サヤ達は時間稼ぎをしつつ、削ってくれ!」
「およ? 私はサポート役だね。了解!」
「分かったかな! ケイの溜めが終わるまでに削れるだけ削るね! 『略:魔法砲撃』『略:エレクトロインパクト』!」
「はーい! ヨッシ、魔法を下さいな! 『並列制御』『魔法弾』『魔法弾』!」
「任せて! 『並列制御』『アイスインパクト』『アイスインパクト』!」
「いっくよー! 『並列制御』『連投擲』『連投擲』!」
さて、他のみんなが攻撃してる間に俺は溜めていこ。てか、今更だけど、チャージ系の応用スキルの表記は『チャージ』だけど、応用魔法スキルは『魔力凝縮』なんだよなー。まぁ目の前で生成された水と砂が凝縮されていってるんだから、チャージというよりは凝縮が表現としては適正か。
そういや応用魔法スキルを重ねたら、複合魔法とかになったりするんだろうか? 地味に試してみた事はない気がするんだけど……って、あれ?
「……ケイ、なんだか水の方がデカくねぇか?」
「あー、それは俺も思ったとこだけど……なんでだ?」
前にアルがウォーターハンマーを使った時には、今のサンドショットと同じ程度だった気がするんだけど……並べて見てたら1.5倍くらい大きいぞ? え、これの原因って……あっ! もしかして『水属性強化Ⅲ』の影響か!?
「なるほど、それが『水属性強化Ⅲ』の効果になるんだね」
「そうみたいだねー。シュウさん、やっぱり2属性のアブソーブにするより、土か風に絞った方が良かったんじゃない?」
「基本的に倒すのは弥生に任せるから、僕はフォローしやすい手段でいいんだよ」
「……まったく、あっさりととんでもない事を言ってくれますね。ケイさんもですが、Lv10の2つ持ちは簡単な事ではないんですけども……」
「およ? その割にはジェイさん、冷静な感じだねー? さては、誰か何かの属性強化Ⅲを持ってると見た!」
「えぇ、それを隠し立てする気はありませんよ。構いませんよね、ジャック」
「……まぁ既にどういうものか知っているなら、隠したところで意味はないな。ぶっちゃけると、俺がその『風属性強化Ⅲ』持ちだ」
「この場にいたんかい!」
まさかのジャックさんが風魔法Lv10と風の操作Lv10持ちだったわ! でも、群集を代表するような戦力の人が持ってるのは不思議でもないし、ある意味納得は出来る人な気はする。
「ケイさん、余所見をし過ぎなのさー! 『並列制御』『魔法弾』『魔法弾』! ヨッシ、今度は爆発させるのです!」
「今度はこっちだね。『並列制御』『アイスボム』『エレクトロボム』!」
「いっくよー! 『並列制御』『狙撃』『狙撃』!」
おっと、ハーレさんに怒られた……って、そういや魔法弾って全ての魔法を弾に変えられる訳じゃないけど、拡散魔法やクラスター系の魔法だとどうなるんだ? それに今溜めている、この2つの応用魔法だとどうなる? ……折角の機会だし、試してみるか?
「ハーレさん、ちょっと実験に付き合ってくれるか?」
「あ、ケイが何か企んでるかな!?」
「このタイミングで……あ、もしかして魔法弾?」
「はっ!? それを魔法弾にするの!?」
「正解! 魔法弾に出来るかどうかは分からないけど、それの実験!」
「ほう? それは興味深いな?」
「……スミが食いつきましたか」
「ホホウ! 同じ投擲使いなら、気になるのは当然なので!」
あ、しまった。思いっきりそこに魔法と投擲の両方を使う厄介な相手が……まぁいいや。むしろ、ここで堂々と見せてしまえば、それがスミの手札の中にあるというのは確定させられるからな。下手に隠そうとして、そういう機会は逃さない方がいい!
「ケイ、それを試すのはいいが……もうワニはかなり弱ってるぞ?」
「……え? あ、マジだ!?」
ちょ、神経毒で動けなくなってる上に、麻痺と凍傷での継続ダメージまで入ってるんだけど!? いやいや、もうHPが8割を切ってるし……うん、その辺で普通に出てくる雑魚敵相手に、ヨッシさんの状態異常が効き過ぎ!
「……ちょっと削り過ぎたかな?」
「あはは、ケイさんの溜めが終わる前に倒し切るつもりでやっちゃってたんだけど……まずかった?」
「あー、俺の思いつきで言っただけだから、そこは問題ないけど……」
そもそも、俺の清水魔法と砂岩魔法の同時使用がやり過ぎか。まぁでも、多少のオーバーキルは問題ないし、溜めが終わるまでワニが生きてさえいれば――
<『サンドショット』の発動が可能になりました>
<『ウォーターハンマー』の発動が可能になりました>
よし、考えてたら溜めが終わった! まだワニのHPは2割を切ったとこだから、試すには十分!
「溜めが終わったから、ハーレさん、魔法弾の準備!」
「おぉ!? 上手くいくかなー? 『並列制御』『魔法弾』『魔法弾』!」
さーて、ハーレさんが両手を掲げている状態だから、魔法弾にするにはそこに目掛けて魔法を放てばいけるはず。ウォーターハンマーは魔法砲撃にしたウォーターフォールの小規模版みたいな感じで、サンドショットは砂の散弾だから……どうなるんだろうな?
ま、ここはダメ元でやってみるか。魔法弾にならずにハーレさんを吹っ飛ばす可能性もあるけど、そうなったらそうなった時! 応用スキルを通常スキルで受け止められるのか、そこ次第だし!
「はっ!? 失敗した時は私が吹っ飛ぶの!?」
「まぁ、その時はすまん! って事で、いくぞ!」
溜めが終わってから発動までの猶予時間はそれほどないから、即座に撃ち放つ! 声に出てたっぽいのは、もう今更だし気にしない!
「わー!? あ、弾になったのさー!?」
「あ、成功したのか。……正直、ちょっと意外?」
「ケイさん、酷くないですか!?」
「あー、うん。成功したから、結果オーライって事で!」
「うぅ!? というか、これってどれで投げたらいいの!?」
「知らん!」
ぶっちゃけ、思いつきはしたものの、本当に上手くいくとは思ってなかったしなー。いやはや、何でも試してみるもんだね。
とはいえ、知らないで済ますのも無責任過ぎるし、ちゃんと考えようか。右手に凝縮されて石みたいになった砂の塊、左手には大きめな水の塊を持ってる状態だよな。
「まぁ応用魔法スキルを使ってるんだし、最低でも投擲の方も応用スキルと仮定して……『サンドショット』は『拡散投擲』ってとこか。『ウォーターハンマー』は――」
「……『貫通狙撃』か『爆散投擲』の2択か? だが、これはチャージが発生するが……」
「出来なきゃ弾かれるだけだから、とりあえずやってみるのさー! 『並列制御』『拡散投擲』『爆散投擲』! わっ!? え、すぐに発動になったのです!? チャージは!?」
「ちょ!? え、そうなる!?」
「……ほう?」
砂の塊も水の塊も、両方から銀光が放ち出してるんだけど、どっちも既に最大強化までいった眩さなんだけど!? 連撃にしろ、チャージにしろ、強化分はどこいった!?
「ともかく、これでやるのさー! えいや!」
ハーレさんが両手で同時に投げ放って……ワニに当たった瞬間、更に銀光が強まって……何が何だか分からないうちにポリゴンになって砕け散っていった。
<ケイが成熟体・暴走種を討伐しました>
<成熟体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>
<ケイ2ndが成熟体・暴走種を討伐しました>
<成熟体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>
討伐報酬が出たのはいいとして……今、当たった瞬間に何が起きてた? かなりの威力が出てたのは間違いないけど……ワニが弱り過ぎてて、状況が正しく把握出来てないんだけど?
えーと、見えた範囲では……アクアボムと砂を使った散弾投擲の威力を相当強化した感じにようなものっぽい?
「……ふん、チャージも連撃も強化度合いを無視した発動か。それでいて、投擲スキルの特徴は残っているときたな」
「これは……応用魔法スキルの運用方法が変わってきますね。スミ、後で詳しい検証に付き合っていただいても構いませんか?」
「……いいだろう。1人で使うにはコストがかかるが、複数人で使う分には相当軽減はされるはずだ」
あれ? 手の内を知っておけるのがありだとは思ったけど、この手段ってひょっとすると見せたらダメだったやつなのでは? いやいやいや、溜めで隙が出来すぎるのと、魔力視で発動がバレバレになるのが応用魔法スキルの欠点だと思ってたけど……その辺、無視出来るようになりません!?
魔法弾に変えてしまえば、普通の投擲の感覚で応用スキルの投擲スキルで投げられるってヤバくない!? いやいや、攻撃する地点を変えられるって相当マズいような――
「んー、投擲ねー? オフライン版のライオンとかみたいに、弾く形でネコでも使えたら面白そう?」
「なるほど、確かにやってみる価値はあるかもしれないね。弥生、『特性付与の水』は確か持っていたね?」
「うん、あるよ! あ、そっか! 無理矢理にでも『投擲』の特性を得たら、なんとか使えるようになるかも!」
いや、ちょっと待って。そこのネコ夫婦が凶悪な事を言い始めているんだけど、これは……とんでもなくやらかした?
「わっはっは! ありがとよ、ケイ! 色々とパワーアップ出来そうだぜ! 水月、戻ったら俺らも色々やって――」
「あー、死んどくか、フラム?」
「おわっ!? 何でキレてんの、ケイ!?」
思いっきりやらかした気がしてるところで、余計な事を言うのが悪い! あー、くっそ! 今、こいつは味方になってるから、殺そうとしても殺せないじゃねぇか!?
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