第1340話 立ち入りの許可


 なんだかルストさんが盛大に暴走中みたいだけど、それを抜きにしても検証の為に群雄の密林を通れるようにするのは無茶な案ではない。……ルストさんが、このままだと強引にでも突入してきそうってのは本当に心配になる部分でもあるけども!


 とりあえず情報共有板で聞く前に、みんなに確認を……って、PT会話は今使える状態じゃないよ!? あー、だったらこっちだ! こういう時こそ、共同体のチャット機能を……って、光ってるから既に誰かが書き込んでる状態じゃん! 考える事は同じかー。


 アルマース : ケイ、とりあえず一応は伝えとくぞ。今、目の前で弥生さんとルストさんが盛大に暴れ中で……少し騒ぎになっている。幸い、エンから少し外れた位置になってはいるから邪魔にはなっていないが……。

 ケイ    : あー、やっぱりそんな状態?

 アルマース : まぁな。初めはエンの前にいたんだが、早い段階で弥生さんが外れまでルストさんを吹っ飛ばして、最小限の状態にはなっている。

 ハーレ   : とんでもない事になってるのさー!?

 サヤ    : ……それ、大丈夫なのかな?

 ヨッシ   : というか、なんで弥生さんはそこで無理矢理止めてるの? わざわざ、灰の群集の場所でしなくても……。


 あー、それは確かに? ルストさんが暴走しているにしても、エンの近くから離すようにするなら、それこそ赤の群集の森林エリアまで引っ張っていけばいい気もする。


 アルマース : 弥生さんも初めはそうしようとしてたんだが……ルストさんがそこからジャングルの安全圏に転移を狙ってるのが分かって、そういう訳にもいかなくなってな? というか、その辺の会話は聞いてないのか?

 ヨッシ   : ……あはは、声だけじゃイマイチ状況が掴みにくくてさ?

 ハーレ   : そうなのさー! というか、情報共有板でジャングルを通っていいかの確認はいいのですか!?

 サヤ    : そういう状況なら、急いだ方がいいんじゃないかな?

 ケイ    : だよなー。アル、その辺は?

 アルマース : あー、一応はこっちの現状を伝えとこうと思っただけだ。多分、高確率で情報共有板でも話題にはなってると思うぞ。

 ケイ    : ですよねー。てか、ジェイさんには聞いたけど、みんなは向かう先は河口域の先で問題ない? 前に逃げ帰った場所ではあるけど……。


 群雄の密林の北側の河口域は、自然発生の成熟体のフィールドボスと戦った場所だしね。1体はなんとか刻印を活用して倒したけど、その後にもう1体出現して、それの相手はしんどくて逃げたんだよな。


 ハーレ   : ふっふっふ! 前に行った時よりも強くはなってるし、メンバーも多いから大丈夫なのさー!

 サヤ    : 自然発生のフィールドボスが出てきても、望むところかな!

 ヨッシ   : むしろ、自然発生のフィールドボスも検証相手としては丁度いいんじゃない? 瘴気珠なしで試せる相手だしさ。

 ケイ    : あ、そういやそうか!

 アルマース : その辺は問題ないから、サクッと許可をもらってこい。入ってくる事を通達してもらう必要があるから、急いだ方がいいぞ。

 ケイ    : それもそだなー。あ、許可がもらえたらサヤ達の方で、桜花さんの伝手から通達も頼めない?

 サヤ    : 任せてかな!

 ヨッシ   : むしろ、現地での通達の方が重要ではあるかもね?

 ハーレ   : 誰かが決定権を持ってる訳じゃないし、そうなるのです!

 ケイ    : ですよねー。


 絶対的な決定権を持ってる人がいる訳じゃないから、許可をもらうというよりは、そういう事をするってお願いにはなるんだよなー。あえて言うなら、自他ともに認める灰の群集のリーダーであるベスタが決定権らしきものは持っている事にはなるんだろうけどね。


 目の前にいるジェイさんも含めて、連結PTの人達は静かに待っていてくれて――


「フィールドボス戦をするなら、青の群集はもうちょい人数を増やした方が良くね?」

「それは確かにそうなるな? ジェイ、フラムさんの言う通りだと思うが……その辺はどうするよ?」

「斬雨、まだ場所も決まりきっていない段階では声はかけられませんよ。今は待ちですね」

「そりゃそうか! 急げよ、ケイ!」


 だー! 他の人達は静かに待っててくれているのに、フラムだけは空気を読まないのかよ! ……フラムは無視して、さっさと情報共有板に書き込みにいこうっと。


 キツネ   : ん? 妙に大人しくなったけど、観念したか?

 オオカミ  : エンの近くが騒がしいと聞いたが、何があった?

 カンガルー : 赤のサファリ同盟の2人……ネコ夫婦の片方とその弟がエンの近くで大騒ぎをしていたんだと。

 キリン   : なんかジャングルへ行くとか、行かせないとか、そんな感じの喧嘩?

 リス    : およ? あの2人、エンの近くで何やってるんだろ?

 オオカミ  : ……何がどうしてそうなった。ネコ夫婦だと、コケの人達と共同の検証をやろうとしてるとこだろう?


 あー、丁度ベスタやレナさんが顔を出してきたところで、現状が全く把握出来てない状況っぽい。うん、まぁ普通にその状況だけを聞けば何がなんだか分からないのはよく分かる!

 てか、この状況だと早めに話をしに行った方がいいな。どう考えても、俺は関係者の一部じゃん!


 コケ    : その件で話というか、許可してほしい事がある!

 リス    : おー、話をしてればやってきたね! 2人をジャングルに入れてもいいかって話ー?

 オオカミ  : 無意味に言ってくるとも思えんし、例の『刻瘴気石』と『刻浄石』の共同検証の件絡みか?

 キツネ   : え、そうなるのか?

 カンガルー : コケの人のとこの木の人も近くにいるし、無関係ではないだろうよ。

 草花    : あ、コケの人のとこのメンバーがいるのか!

 イノシシ  : てか、暴れ出すまで普通に話してたな? 1人だけだからどうしたのかと思ってたんだが……。

 小鳥    : 他のメンバー、ジャングルの方にいたのは見たぞ? 検証、てっきり中止になったものかと……。

 コケ    : いやー、『刻瘴石』と『刻浄石』の検証をどこでやるかって話し合いをする為に、連結PTにしてたもんでな。今、バラバラに動いてる感じ。

 オオカミ  : なるほど、そうなると……暴れてる赤のサファリ同盟の2人も関係しているんだな?

 コケ    : そうそう、思いっきり関係中。というか、どこで検証するかって話になった時に……まぁ今の状態になったというか……。


 なんというか、俺らの目撃情報も何気にあるな!? バラバラに散ってるのが目撃されて、検証の件が全然進んでないように解釈されてたっぽい。


 リス    : あっ、もしかして暴れてるのって群雄の密林の光景を撮りたいって理由!? それならあの2人が暴れてる理由はよく分かるかも!

 コケ    : えーと、そうなんだけど……。あー、具体的に言うなら……これ、他の群集のプレイヤー名を出来るだけ出さないようにしてるけど、やっぱり伏せとかなきゃ無理?

 オオカミ  : まぁ無用なトラブルを避けるには可能な限りはその方がいいだろうが……今回は流石に名前を出してもいいだろう。誰か分からんと、そもそも通す許可は出せんしな。

 カンガルー : 確かにそうだな。一応誰の事を指し示しているかは分かるが、全員が全員そういう訳でもないし、今回は内容的にも名前は必要か。

 リス    : まぁそうだよねー!

 草花2   : 確かになー。

 リス2   : なんだか通達が必要そうな話題って聞いたけど……確かに必要そうだね? でも、場所的には灰のサファリ同盟の出番ではなさそう?

 ネズミ   : あれ? ジャングルの方にも支部ってなかったっけ?

 ヘビ    : あるにはあるけど、出来たばかりの一番小さな支部だぞ! ジャングルの取りまとめは、特に担当はいない!

 木     : 群雄の密林での不動種の並木道は不動種同士の繋がりで成立したからな! 通りたいなら、馴染みの不動種の人から誰を通したいのか伝手で流してもらえー!

 オオカミ  : まぁその辺は俺やリスの人、他の大きな共同体からでも通達は可能だぞ。

 コケ    : あー、なるほど。


 ふむふむ、ジャングル自体に入るのはここでもいいんだろうけど、どうやってもルストさんがあの並木のスクショを撮りたがるだろうから、そこは不動種の人達への連絡は必須か。うん、そこは後で桜花さんに頼んでおくとして……。


 コケ    : とりあえず入ってくる希望としては、赤の群集の1PTで弥生さん、シュウさん、ルストさん……あー、全員分の名前も言う必要はある?

 ヘビ2   : 別に人数とPTの代表者の名前が分かれば十分じゃね?

 木2    : 固まって動くのであれば、代表者だけで構わんぞ!

 小鳥    : てか、暴れてたのは弥生さんとルストさんか。……あれ? どっちが暴れ出したほう?

 キツネ   : 暴れ出したのはルストさんの方。弥生さんは止めに動いた。

 リス    : だろうねー! スクショ狂いなのはルストさんの方だし……どこかで群雄の密林の並木道の話を聞きつけて、乱入しに行こうとして、弥生に止められて、それに抗って暴れてた感じじゃない?

 コケ    : 俺は直接見てないけど、流れとしてはそういう感じだなー。その中で、今回の検証の目的地へ行く経路としてジャングルを通るのを提案してきたって流れ。……ぶっちゃけ、許可がなければ強引にでも乱入してきそうでもある。

 オオカミ2 : なんかすげぇ事になってんのな!? ルストさんって言うと……実力はあるけど全然対人戦には出てこないし、戦ってみるのもありか?

 オオカミ  : ……流石に今はやめておけ。この状況でそれをすると、コケの人達に迷惑がかかる。

 オオカミ2 : ま、今のは冗談だ! 不動種の人達が良いって言うなら、問題はねぇと思うぜ? あくまで、本題は検証の方だろ? もしスクショを取る為に居座るってのなら、オオカミ組を呼んでくれてもいいぜ!


 このオオカミの人は……オオカミ組って言ってるし蒼弦さんか。ルストさん……地味に戦ってみたい相手として狙われてるんだなー。……個人的には、ルストさんとはあまり戦いたいとも思わないんだけど、まぁその辺は人によるのかも?


 リス2   : コケの人、赤の群集の方はそれで良いとして、青の群集の方は? そっちとも共同だって聞いてるよー!

 コケ    : あー、そっちはジェイさんと斬雨さんの2人だな。まぁ人数がこれから増える可能性があるけど、代表者はジェイさんになる!

 オオカミ  : 状況は大体了解だが、目的地はどの方向になる?

 コケ    : ジャングルの北側の河口域より、もう1つ先のエリア。そこでLv16以上の敵を見つけて、『刻瘴石』と『刻浄石』の検証をする予定。もしいたなら、自然発生のフィールドボス相手にも使えるか試してみたいとこだな。

 オオカミ  : なるほど、北側だな。その内容で通ってくる1PT分には手は出さないように通達しておこう。ただし、無用に居座り過ぎていたり、過剰に人数が増えていたら、どうなっても知らんからな。

 コケ    : ……そりゃ当然ですよねー。その辺、しっかりと言っとく。

 リス    : コケの人、そういう事ならわたしも行っていい? そっち側の繋がり方、まだ見れてないから見に行きたいんだよねー!


 ふむふむ、レナさんも俺らと同行希望か。あー、ここに来るまでの間に風音さんと途中ですれ違ったけど……風音さんは完全に固定メンバーって訳でもないからなー。声をかけようかと思ってたんだけど、今回はやめとくか。

 あ、そもそも灰の群集なら別に移動に制限は必要ないんだし、PTの人数枠を越しても問題はない気もする? でもまぁフィールドボス戦がややこしくはなるか。……まぁそもそも風音さんが必ず来るって訳でもないんだよな。


 コケ    : えーと、他のみんなに聞いてみる必要はあるけど、多分大丈夫だとは思うぞ!

 リス    : まぁそれはそうだよね! えーと、とりあえずマサキのとこに行っとくねー!

 コケ    : ほいよっと! 俺は許可が出た事を伝えてくる!

 オオカミ  : あぁ、了解だ。どういう成果が出るか、期待してるぞ?

 コケ    : そこはどうなるもんだろなー?

 リス2   : なんか敵は強そうな気がするけど、結果に期待だね!

 カンガルー : さて、どういう結果になるものか……。


 『瘴気珠』無しでフィールドボス相当の何かを誕生させられるのか、それとももっと違う何かになるのか……その辺は実際に試さない事には分からないしなー。まぁとりあえず今は、ルストさんが過剰に暴走しないように念を押しておかないと……。


「ケイさん、許可は出ましたね?」

「……顔を上げた瞬間に、即座に確認してくるんかい! いやまぁ、そうだけど!」

「それはまぁ、ロブスターの視線の変化で分かる事ですしね」

「ケイさん、どうなりましたか!? 私はジャングルの中へ入れるのでしょうか!?」

「こら! 大人しくしときなさい、ルスト!」

「騒がしくてすまないね、ケイさん」

「とっとと言っちまえ、ケイ!」

「だー! 許可は出たけど、少しゆっくり喋らせてくれませんかね!?」


 戻った早々に、みんなして反応が凄まじいわ! ジェイさんが目の前にいたら、ロブスターの視線の動きとか読まれるのかよ! ルストさんもテンションが高いわ! あと、最後のフラムが地味にウザい!


 

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