第1338話 共同での検証の打ち合わせ
灰の群集での変化は色々と分かったけど、今は共同での検証についての打ち合わせをしていかないとなー。フラムからチラッと聞いた程度の『共闘殲滅を行うモノ』の取得に関しても、ちょっと真面目に考えておきたいとこではあるしね。
「あ、シュウさんか? ケイは、今、手分けをしてジェイさんの方を担当で……あぁ、向こうは俺よりもケイの方が――」
さて、手分けをして連絡するのをアルの方は始めてるから、俺もやっていこうっと。これでジェイさんがログインしてなければ意味がないんだけど……よし、フレンドリストを見てみれば、しっかりといるな!
正確な時間までは言ってないけど、改めてこの件で連絡する事自体は分かってるはずだから、多分すんなり出てくれるはず! という事で、ジェイさんへフレンドコールを開始!
「ケイさん、やっと連絡ですか?」
「やっとって……そんなに待たせたっけ?」
「いえ、そういう訳ではないですけど……いつ連絡してくるものかと思っていましてね? 少し前から、待ってはいたんですよ」
「俺がログインしてたのには気付いてた?」
「えぇ、まぁそうなりますね。正直、手持ち無沙汰になってしまって、時間を決めていなかったのを失敗したと思ったのですが……」
待ち構えていたというか……予定が決まらずに、変に何も出来ないような状況になってたっぽい? でも、昨日の俺のあの状態だと、下手に時間を決めていた方が変な事になってた気がするし、今はそれで問題なし!
「まぁ済んだ事はいいとして……シュウさんへの連絡は済みましたか?」
「あ、それは今、アルが連絡してくれてるとこ」
「……アルマースさんがですか? それならもっと早くに連絡する事も出来た気もしますけど……何かありますね、これは?」
「まぁ正解といえば正解だなー。検証の件、連結PTを組んで話そうかと思うんだけど――」
「あぁ、なるほど。これからどこでやるか、そこから決める段階なのですね?」
「そういう事! 3つの群集でやる事になったら、どうしても集まる場所の都合があるからさ」
「……まぁそれはそうですね。私が割り込んだ形になるので、移動距離が長くなるのは私達の方がどうにかしますよ」
ふむ、まぁ元々は俺らとシュウさん達での約束だったところに、ジェイさんが参加させろって言ってきた状態だしなー。どこかがどうしても距離が遠くなるのは仕方ない部分ではあるんだけど……ここで俺の独断では決めたくはないね。
そもそも検証をどこでやるかもまだ決まっていないしさ。ほぼ確実に新エリアのどこかにはなると思うけど……それが決まってからじゃないと、何とも言えない!
「その辺はシュウさん達も含めて話して決めたいんだけど……連結PTはいける?」
「予定自体は空けているので、それは問題ありませんよ」
「おし、ならそれで! 俺がPTを連結しに行くから――」
「いえ、それは私達の方が出向きましょう」
「え、いいのか?」
「えぇ、構いません。そういう流れでしたら、『黎明の地』で隣接している場所がいいですね。灰の群集でしたら、森林エリアか、草原エリアか……どちらかの群集拠点種まで行きますけども、どちらがよろしいですか?」
まぁ手っ取り早いのは、このどっちかの群集拠点種で待ち合わせだよなー。別に行き来自体は元から出来るんだし、こういう待ち合わせは特に問題なし!
ぶっちゃけ、群雄の密林からならどこでも転移が出来るようになってるからどっちでもいいんだけど……ここは森林エリアにしとくか。
「おし、そういう事なら森林エリアで!」
「それでは、エニシの前という事で構いませんね? 連結PTを組むだけですし、私1人で問題ありませんか? それとも斬雨は一緒にいた方がよろしいですか?」
「そこは任せる!」
ぶっちゃけ、連結PTを組むだけだから、PTリーダーの1人さえいれば問題ないしねー。アルはシュウさん達の方へ行ってもらうし、ハーレさんはしばらくスクショの撮影中だろうから、俺の方も1人になるしな。
「なるほど。それでは私1人で、すぐに向かいます」
「ほいよっと。俺も早めにエニシの前に行って待っとくよ」
「別に多少は遅れても構いませんよ? 灰の群集の変化を直接見る機会ですしね。大勢の不動種の方々が、初期エリアから動いたというのは聞いていますよ?」
うげっ!? 俺もついさっき知ったばかりの事なのに、もう既にジェイさんは把握してた!? ……まぁ初期エリアは他の群集の人も出入りしてるんだし、そりゃ分かるよなー。
「……まぁ色々と詳しい話は後でですね。それではこれで一旦失礼します」
「ほいよっと」
という事で、フレンドコールが切れたし、ジェイさんへの連絡はこれで終了。まぁ本題は始まってもいないから、今からスタートだけど……。
「……って、あれ? アルは?」
「アルさんなら、フレンドコールをしながら飛んでいったぜ?」
「むしろ、ケイはなんでそのままだ? あ、すまん。今のはこっちの話だ」
「あ、その手があった!? 桜花さん、俺も行ってくるわ!」
「おう!」
アルはまだフレンドコール中みたいだけど、姿はもう既に見当たらない状態! くっ、変に出遅れた!? ……って、そこまで焦る必要もないか。ジェイさんがエニシまで辿り着くのには時間がかかる……って、初期エリアだとそうでもないわ!
やっぱり急いで行かないと! ジェイさん1人だけで、待ち合わせという大義名分を持った状態でエニシの前にいるとか……思いっきり観察しまくりそうだし! ……まぁ特に害になるような事はしないだろうけどさ。
「ハーレさん、スクショの撮影は連結PTを組むまでだからなー! まぁ打ち合わせしてる間も撮ってもいいけど、その段階になったらこっちにも意識は割いてくれよ」
「はーい!」
「それじゃ行ってくる!」
「ケイ、行ってらっしゃいかな!」
「行ってらっしゃい、ケイさん!」
「ほいよっと!」
サヤとヨッシさんに見送られながら、飛行鎧でマサキの元まで飛んでいく! あ、今、風音さんとすれ違ったような気もするけど……話してる時間はないか。まぁ風音さんなら、ここでなら行き先は桜花さんのとこだろうし、後で話す機会もあるだろ!
◇ ◇ ◇
<『群雄の密林』から『始まりの森林・灰の群集エリア1』に移動しました>
飛ばしに飛ばして、なんとか森林エリアへ転移完了! あー、結構混雑してるみたいで、上空の方へと出てきたか。うーん、これだけ人が多いと探しにくいな。
ジェイさんから見つけやすいように少しエニシから離れて……ここの南側に青の群集の森林深部があるんだから、エニシの南側の外れの上空でいようっと。……まだジェイさんは辿り着いてはいないよな? 隠れられてたら、この状況じゃ――
<弥生様のPTと連結しました>
ちょ!? アルの方、もう連結PTを組み終えたのか!? え、早くない!?
「おっし! ケイ、いるな!」
「いきなりフラムかよ! あー、そういうメンバーか」
リーダーは弥生さんだけど、PTメンバーにはフラム、水月さん、アーサーが入ってるね。そして当然ながらシュウさんもいる。……何気にルストさんがいるのはちょっと意外?
「あ、何気に6人のフルメンバーかな?」
「コケのアニキ、こんばんは!」
「今日はよろしくお願いしますね、皆さん」
「あ、水月さんとアーサー君も来たんだね」
「うん!」
「おぉ! なんか一気に人数が増えたのです!」
まぁフラムが『共闘殲滅を行うモノ』を取りたくて一緒に来たいとは言ってたんだから、既にシュウさんや弥生さんに話が通っていても不思議でも何でもないか。
「ケイさん、連結PTで打ち合わせとは考えたものだね?」
「あー、シュウさん、それは俺が考えた手段じゃないぞ」
「おや、そうなのかい? まぁそれはいいとして……ジェイさん達はまだみたいだね」
「今、俺が待ってるとこだけど……なんかアル、早くね?」
アルが出向いたにしても、弥生さんが出向いてきたにしても、早過ぎる気がするんだけど!? いくらフレンドコールをしながら進んでいたとしても、流石におかしくね?
「それなら丁度、別件で私が灰の群集の森林深部に出向いてたとこだったんだよね」
「あ、弥生さんが元々こっちに来てたのか」
「……急に飛び乗られて、ビックリしたけどな」
「あはは、アルマースさん、そこはごめん!」
そんな様子の声って聞こえなかったけど……あ、もしかして俺が転移している真っ最中の時だったとか? 転移中だと、PT会話って地味に途絶えたりするもんなー。そういう機会は殆どないから気にしてもいなかったけど、アルの驚いた声を聞いてみたかった!
「はい! 弥生さんは何をしに来てたんですか!?」
「えっと、灰の群集の方で不動種の大規模な移動をやってるじゃない? その大移動を見れないかなーって見に来てたんだけど――」
「……既に大半は終わっていて、散発的な移動だけとは不覚でしたけども! ハーレさん、移動した後の場所を見に行くのは不可能でしょうか!?」
「え? どうだろ? 多分、安全圏から入っては来れると思うけど、入った後の事は保証出来ません!」
「……くっ! 話を聞くのが遅過ぎましたか! かくなる上は、強引にでも――」
「ルスト、それはやめておきなさい」
「シュウさん、止めないで下さい! 各種の木々の並木を、ジャングルの中で作っている光景は――」
「はーい、ルスト、ストップ!」
「ぐふっ!」
なるほど、ルストさんと弥生さんが森林深部にいた理由はちょっと分かった。ルストさんが変に暴走しないように、お目付け役で弥生さんが一緒にいる感じか。
てか、思いっきり赤の群集にも今の群雄の密林の状況がバレバレになってるなー。まぁルストさんが知ったタイミングではもう遅かったみたいだけど……そりゃ気付かれないはずもないか。
「それで、ケイ! 共闘殲滅の件はどうなった!?」
「声がデカい、フラム! その件はこれからだ。ジェイさんが連結PTを組みにくるから、そっちが済んでから――」
「……『その件』とはなんでしょうか?」
「おわっ!? ジェイさん、いつの間に!?」
いきなり声をかけられてびっくりしたわ! あー、大きめな石に埋まったカニが目の前で浮いてるな。これ、真っ正面なんだから、PT会話に気を取られて気付かなかった俺が悪いか?
「今、辿り着いたところですが……何か別件もあるようですね?」
「あー、それはそうなるけど……まぁ、先に連結PTにしてからでいい? 別に悪い話ではないはずだしさ」
「……まぁそれでいいでしょう。では、申請をお願いしますね」
「ほいよっと。アル、ジェイさんが来たからPTリーダーをくれ」
「おうよ。ほれ」
「サンキュー!」
手早く俺へとPTリーダーが変更になったから、ジェイさんに連結PTの申請をして……。
<ジェイ様のPTと連結しました>
よし、これで打ち合わせの為の連結PTの結成は完了! あ、ジェイさんの方は斬雨さんと2人での状態か。むしろ、シュウさん達の方が多かっただけな気もする? まぁ理由あってこその事だけど。
「おっ、連結PTになった……って、随分と赤の群集が多いじゃねぇか? あー、全員赤のサファリ同盟か」
「……確かにそうですね。ルストさんまでいるとは、珍しいのではありませんか?」
「あ、ルストに関しては別件でPTを組んでただけだから気にしなくていいよー!」
「弥生さん、どういう用件なのかお聞きしても?」
「んー、まぁルストが暴走し過ぎないようにだねー」
「……なるほど、ルストさんの暴走といえばスクショ絡みですか。あぁ、灰の群集の占有エリアへ突撃しようとしていますか?」
「それをさせない為に、私が抑えてるの!」
「……弥生さん、そろそろ踏みつけている脚を退けてもらっても――」
「離したら、灰の群集のジャングルまで駆けていきそうだから却下! あ、でも流石にこのままは目立つし……うーん、まぁ引っ張って戻ろっかな」
声だけしか分からないけど、なんかアルの方はカオスな事になってる気がする!? 本当にスクショの撮影となると、ルストさんと弥生さんは暴走する立場が入れ替わるな!?
「さて、ルストは弥生に任せておくとして……ケイさん、フラム君の希望は伝えてないのかい?」
「打ち合わせの中で伝えようかなーって思ってたから、まだ伝えてないなー」
「……なるほど、これから話すつもりの案件があったのですね。それで、どういう内容になるんですか?」
「まぁ内容としては簡単なんだけど、『共闘殲滅を行うモノ』の称号を取りたいって話だな」
「あぁ、あれですか。確かにあれは競争クエストの真っ最中には取りにくかったですし……今は余程でない限り、魔法を使う方は昇華持ちになっていますから取りやすい段階にはなっていますね」
前の共闘イベントの時はまだまだ昇華持ちは少なかったけど、今はそうでもないもんなー。まぁ単純に言われるまで取れる機会を作るのをすっかり忘れてただけではあるけど……。
「ですが、その件は今回の検証とは別枠で用意した方がいいのではないですか? 取得の機会自体は、次の共闘イベントが始まるまでに作っていくのでよろしいのでは?」
「俺もその辺はジェイさんに同意で! 条件的に敵の頭数が必要だから、検証のついでにやるのはちょっと手間かも?」
「ちょ、ケイ!? それ、酷くねぇ!?」
「いや、機会自体は作るって。俺らのメンバーでも取りたいとこではあるから、案自体は却下する気はないんだよ。ただ、検証と同時にってのは賛成出来ないだけ」
「あ、そういう事か! なんだよ、それなら先に言えって!」
「……いや、言ってるけどな?」
他の群集の人と一緒に10体以上を同時撃破が必要なのに、1体ずつ様子を見ていく検証と一緒には出来ないっての! ……中々、その同時撃破数を揃えるのって難しいんだぞ?
「まぁ僕もその意見には同意だね。フラム君、その件はまた他の機会でって事でいいかい?」
「了解っす! シュウさん!」
「さて、これで1つ目の件は片付いたね。それじゃ、前回の続きをやっていこうか」
「だなー。……ジェイさん、その前に前回で具体的に何をしたか、説明はいる?」
「えぇ、私は今回が初参加ですしね。競争クエストの真っ只中で、何を検証していたのか教えてもらいましょうか」
内容の検討は付いてるだろうけど、この辺は一緒にやる以上は説明が必要ですよねー。まぁちょっと前回やってから時間が経ってるし、少しおさらいも兼ねて説明していきますか!
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