第1328話 水の操作Lv10


 俺自身も考えたけど、みんなからも出てきた水魔法と水の操作が共にLv10になる事で、何かまだ早いスキルが手に入る可能性。……本当にそんなものがあるのか、少し試してみますか! なんだかんだで結構な数のスキル強化の種が必要になるから、この条件を満たすのは現状ではそう簡単ではないしね。


「おし、それじゃ水の操作をLv10にしてみるぞ!」

「おうよ!」

「ふっふっふ、どうなるかが楽しみなのです!」

「……あまり期待し過ぎない方がいい気もするけどね」

「まぁダメ元でやるだけだし、何もなくても問題なしで!」


 少なくともシュウさんは可能であっても実行には移していなかった手段にはなる。……赤のサファリ同盟なら、どうなるかを把握した上で無意味と判断して選んでない可能性もあるんだよなー。

 まぁ知っているという根拠もないし、抑止力としてアブソーブ系のスキルの属性を増やした可能性もあるけど……。絶対な効果ではないけど、かなり同属性の魔法封じにはなるもんな、あれ。


 それはともかく……過剰な期待は禁物だけど、水の操作Lv10そのものだけでも相当な価値はある! という事で、いざやってみよう! インベントリに3個、スキル強化の種は存在してるのを確認して……よし、実行開始!


<『スキル強化の種』を使用します。対象となる任意のスキルを選択してください>


 この表示を見るのは、水魔法をLv10にした時以来か。次に見れるのはいつになるか分からないけど、サクッとやっていこう!


<『スキル強化の種』の効果により、スキル『水の操作Lv7』が『水の操作Lv8』になりました>


 特別、ここでは変化無し。まぁ操作系スキルに関しては、Lv6で大幅な強化があるからこんなもんか。……そういや、この辺のLvまで上がっても、完全体への進化条件って満たしてないんだな? 水魔法はLv10まで上がってるんだし、魔法型の進化先って出ててもおかしくないとは思うんだけど……。


「それは俺も思ったとこだな! あれじゃねぇ? 完全体には応用魔法スキルも必須とか、そういう条件!」


 どうもまた声に出てたっぽいけど、まぁここは純粋に疑問に思った部分だし問題はないや。てか、バランス型である紅焔さんの龍だけど、上限まで達したスキルがあるのに進化先が出てないのが気になるのは同じか。その辺、競争クエストが終わったら気になり始めたかも?


「確かに応用魔法スキルが必須はあり得るかー。まだまだ完全体への進化自体は時間がかかるだろうし、同じ属性のLv3くらいは要求されるかも?」

「紅焔、そっちを試してみるのもありじゃないかい?」

「……確かにそりゃアリだな! あー、でも火の操作Lv10も欲しいし……ケイさんの検証の結果次第にしとくわ!」

「そうなるよなー!」

「判断材料はこれから手に入るのさー! ケイさん、人柱、ご苦労様です!」

「その言い方、やめてくれね!?」

「はーい!」


 状況としては人柱で間違ってない気もするけど……うん、本当に否定し切れねぇ! まぁだからこそ、みんなは俺自身に選ぶように委ねてるんだろうなー。

 くっ、俺なら自発的に試していくと思われてそう!? まぁ実際、その通りなんだから反論の余地はないけども。人柱という言われ方が嫌なだけで、別に試す事そのものには躊躇はない!


<『スキル強化の種』を使用します。対象となる任意のスキルを選択してください>


 という事で、2個目を使っていく! 最終的に操作数が6個まで増えるんだから、ここで一旦強化が入るはず?


<『スキル強化の種』の効果により、スキル『水の操作Lv8』が『水の操作Lv9』になりました>

<『水の操作』の同時操作数が4から5になりました>


「おし、Lv9で同時操作数が5個に増えた! これでアクアボールの射出数も増えたはず!」

「アクアクラスターもじゃね? あれ、確か同時操作数×4だったろ」

「あー、そういやそうだっけ。あ、付与魔法も増えるか!」

「おぉ! 色々と強化されまくってるのさー!」

「その辺の恩恵は、地味に大きいね?」

「だなー。よし、それじゃ次は本命のLv10にいくぞ!」

「おー!」

「おうよ!」


 この速度でスキルLvが上がっていくのって、やっぱり公式で用意されている手段ではあるけど、ズルって感じはするよなー。まぁ入手自体が難しいから、2つのスキルをLv10まで上げられる状態って相当運がいいんだろうけどさ。

 未だに自力でLv8以上に達したスキルがないんだから、アイテムとして破格過ぎる! 1人1個までの制限があっても不思議じゃないくらいだけど、よく2個以上トレードが可能になってたもんだね。まぁその恩恵を受けている以上、文句も言う気はないけどなー!


 という事で……やっていきますか。あー、そこまで期待してないとはいえ、流石に緊張はしてきた。何かとんでもないのが出てくるか、全く何もないのか……どっちだろうね? ……よし、やるぞ!


<『スキル強化の種』を使用します。対象となる任意のスキルを選択してください>


 今持ってる最後の1個。補填で配られたのを即日で使い切る事になるとは思ってなかったけど、これでどうなるか!?

 

<『スキル強化の種』の効果により、スキル『水の操作Lv9』が『水の操作Lv10』になりました>

<『水の操作』の消費行動値が3から2に減少しました>

<『水の操作』の同時操作数が5から6になりました>

<ケイが規定条件を満たしましたので、称号『水の操作を極めしモノ』を取得しました>

<スキル『生成量増加Ⅱ・水』を取得しました>

<『生成量増加Ⅱ・水』『アブソーブ・アクア』により、『水属性強化Ⅲ』を取得しました>


 おっ、色々と手に入ったけど……え? これって、手に入りはしたけども……そうきたか。えぇ、マジで? いや、悪くはないんだろうけど、なんか拍子抜けじゃない? あ、でももしかしたら効果量が違うのかも!


『水属性強化Ⅲ』

 水属性を持つスキルの効果を増強させる。

『水属性強化Ⅰ』と『水属性強化Ⅱ』の効果に加算される。


 うん、強化は強化だけど……劇的に変わるほどの表記じゃないわ!  具体的な強化度合いが書いてないから、分かりにくいな……。


「ケイさん、ケイさん! なんか変なハサミの動きになってるけど、何かありましたか!?」

「あれか? 何もなくて、ガッカリなパターンか?」

「あー、あるにはあったけど、劇的に喜んでいいのか微妙なパターンだった。『生成量増加Ⅱ・水』と『アブソーブ・アクア』の2つの所持で、『水属性強化Ⅲ』だとさ」

「おっ! 強化自体はあんのか! あー、でも上位版が出てきただけで、パッとするような劇的な内容じゃないんだな」

「ケイさんの反応にも納得なのです!」

「でも、それはそれでかなりの強化じゃないかい? 効果の底上げ、水属性のもの全てにかかるんだろう?」

「まぁそうなんだけどさー」


 決して残念な結果になった訳じゃないけども、それでも成長体の頃の岩の操作のように、まだ扱い切れないスキルを先行して入手ってのには少なからず期待してたんだけどね……。くっ、そこまで甘くはなかったか!


「あぅ……情報共有板のみんなも、少しガッカリ気味なのです……」

「って、もう報告したんかい!」

「それは当然なのさー! 並行してやってました!」

「……なるほど」


 全部終わってからまとめて報告しようと思ってたけど、その前にハーレさんがやってたかー。まぁそれが悪い訳じゃないし、報告の手間が省けたと思えば問題ないな。俺からまとめて報告しても、ハーレさんが並行して報告しても、別に内容が変わる訳でもないしね。


「あっ! その状態で、昇華魔法を試してみてほしいそうです! 重ねられるかどうかの確認なのさー!」

「ほいよっと。あ、そういや魔法砲撃で重ねるのは、続報は出てた?」

「魔法砲撃なら重ねられるけど、威力じゃなくて、効果時間が延びてるそうなのさー!」

「そうきたか!? え、土の昇華だとアップリフトだから……伸びる時間が長くなる?」

「そうみたいなのさー! そのせいで、逆に使いにくくなってるそうなのです!」

「……だろうなー」


 魔法砲撃にしたアップリフトって、土の柱を伸ばしていくような形になるけど、効果時間が短いから吹っ飛ばすのに使いやすい。でも、その時間が延びたら……使い勝手は悪くなるのは必然か。いや、使い方次第?

 うーん、属性が違えば効果時間が伸びても意味が出てくるか? 水属性同士のウォーターフォールなら放水みたいになるから、時間が延びるのはデメリットにはなりにくいだろうし……まぁそこは後で試してみようっと。


「まぁ、とりあえずは重ねられるかどうかを試してみるか」

「結果が出たら、すぐに報告はしておきます!」

「こりゃ、俺は炎魔法の強化で進化先を出すのをやってみるか! 応用魔法スキルのLvの上がり方って、イマイチ情報は出てないしな!」

「応用魔法スキルはLv2に上がっても別の魔法を得るのではなかったよね? どんどん性能を向上させていくんだっけ?」

「え、そういう仕様なのか!?」

「正確にはちょっと違うな! 炎魔法ならLv2で発動時間の短縮効果が発現して、スキルLvに応じて発現した強化効果を上乗せして発動する感じだ!」

「……なるほど、そういう感じか」


 はー、その仕様は全然知らなかった。確かに砂岩魔法も清水魔法も、どっちも地味に発動まで時間がかかって使いにくい印象があるもんなー。Lvが上がれば色々と強化効果が出てきて、それに行動値を注ぎ込めば一気に効果を上げる事が出来るような感じか。

 なるほど、それならば『水属性強化Ⅲ』での効果の底上げは地味に影響が大きいのかも? うーん、その辺は実際に自分で触ってみた方がいいんだろうけど……普通に砂岩魔法や清水魔法のスキルLvを上げないとなー。あの辺、溜めがあるから全然使ってないや。


「まぁ、そこは今はいいや。とりあえず、並列制御で昇華魔法の発動をやってみるわ」

「はーい!」


 ちょっと残念に感じてしまった『水属性強化Ⅲ』だけど、もしかするとこの隠し効果で、『生成量増加Ⅱ・水』の効果ありでも重ねられるようになってるかもしれない! なにせ、水属性を強化してくれてるんだしな!


<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>

<行動値10と魔力値20消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』は並列発動の待機になります> 行動値 106/116(上限値使用:9): 魔力値 290/310


 えーと、今までになかった『生成量の大幅増加』という項目が出てたから、それを選んでみたら……うん、消費が行動値も魔力値も10倍になった。これが『生成量増加Ⅱ・水』の効果か。

 まだスキルの発動段階になってないから、指定の位置は分からないけど……かなりコストが増えてるなー。でも、元々のコストが軽いから、10倍になっても控えめではあるね。


<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>

<行動値20と魔力値20消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』は並列発動の待機になります> 行動値 86/116(上限値使用:9): 魔力値 270/310

<指定を完了しました。並列発動を開始します>


 さて、これで発動段階に移行して……おっ、生成位置は別に重ねようと思えば重ねられるね。ただ、初期生成量の下限がとんでもなく多いな!?

 片方だけでもアルのクジラを覆い切れるくらいあるんだけど……これは、これ以下に生成量が減らせられないっぽいね。しかも、ここから更に追加生成も可能なんかーい! とんでもないな、この状態!


「あー、昇華魔法は発動出来そうだからやってみるぞ。ただ、ちょっとどうなるか分からないから、みんなは離れておいてくれ」

「はーい! 紅焔さん、乗ってもいいですか!?」

「おう、問題ねぇぜ! ソラ、上に退避するぞ!」

「……とんでもない規模になりそうだし、その方がいいかもね」


 よし、とりあえずハーレさんと紅焔さんとソラさんが霧を抜けるギリギリくらいまでの位置に移動してくれたから、巻き込む心配はないだろ。それに、魔力値の消費量で威力が変動するのが昇華魔法なんだから、単独での発動が2人での発動以上になる事はないだろ。……多分。


「それじゃ、いくぞ!」

「ワクワク!」

「おう!」

「さて、どうなるんだろうね?」


 でもまぁ発動コストそのものは上がってるし、この状態で発動するのには『水属性強化Ⅲ』が必須みたいだし、2人での発動と同等くらいの威力には期待だな!

 えーと、見やすいように湖の上でいいや。って事で、2つの大量の水を重ねて生成開始! 


<『昇華魔法:ウォーターフォール』の発動の為に、全魔力値を消費します> 魔力値 0/310


 よし、湖の上で普通に発動した! 今まで単独で発動した時よりも規模は大きくなってるし、威力もかなりあるなー。うん、残滓の撃破が出来てるみたいで、経験値もどんどん入ってくる。

 でも、1人で発動した割には強いってだけで、2人での発動以上の効果がある訳でもなさそう?


「発動したにはしたけど……思ったほど、劇的な効果はなさそうだね?」

「1人での発動だとは思えない規模と威力にはなってるがな! ケイさんから見た評価はどんなもん?」

「1人でこの威力が出せるのはいいけど、そこまで必要かと言われると微妙? 同じ効果を持った2人での発動は凶悪にはなりそうだけど……ハードルが高いだろ、これ」

「わっはっは! 確かにそれは違いねぇ!」

「報告、完了なのさー! 今回の検証は、いまいちパッとしないのです……」

「これでも十分な成果だぞー。ぶっちゃけ、競争クエストで既に見てたから感覚が麻痺してる気がするけど、水の生成量自体が相当増えてるしな」

「はっ!? 言われてみればそうなのさー!?」


 まだ全力で最大量までの生成はしてないけどなー。てか、昇華魔法を超えるインパクトのある新スキルなんて早々出てたまるか! 出てくるとしても、成熟体ではなくて完全体や超越体での話だろ。

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