第1327話 どっちにするか


 サヤとヨッシさんは、晩飯の為に離脱中。その後、十六夜さんからインクアイリーに関係した話を聞くとは思わなかったけど、知らないところで色々と繋がりがあちこちにあるっぽいのは判明。聞いた限りでは、変に警戒するだけ無意味だというのがよく分かった。


「おし! ケイさん、水の操作か土の操作をLv10にするんだよな? そっちをやっていこうぜ!」

「それもそだなー。てか、その辺の情報はまだまとめに出てない? 今日の補填で配られた『スキル強化の種』で届くようになった人がいそうな気もする?」

「あー、全然使ってなけりゃ、その可能性はあるな!」

「高確率で手に入れられた機会としては……共闘イベントの報酬と、セキュリティロックがかかった時の補填と、今日のラインナップから削除の補填になるだろうね。Lv7までは自力で育ててる人は結構いるから、誰が届くようになってても不思議じゃないよ」

「なんだかんだで、結構な数が手に入ってるのさー!」

「だよなー。って事で、先にもう情報が出てないかの確認から!」

「はーい!」


 流石に共闘イベントの後から始めた人は足りてない可能性はあるけど、温存してまだ使ってない人ってのも結構いるはず。アルだってかなり溜め込んでる状態だしなー。

 それに、操作系スキルLv10の実物を見た人はそれなりにいるだろうし、どういう効果があるかが分かっていれば取る為の心理的なハードルはかなり下がってるだろ。


 とにかく、まとめを確認してみて……おっ、新着に『操作系スキルのLv10での強化について』って項目があった! やっぱり情報は出てるっぽいねー。


「おぉ! 更新したての新情報があったのです!」

「えーと……あ、やっぱり『生成量増加Ⅱ・◯◯』シリーズか! 大幅に生成量は増えるけど、生成魔法の行動値と魔力値の消費が10倍に……って、発動コストがかなり増えてるな!?」

「ケイさん、流石にそこは仕方ないんじゃねぇか? あの量、これまでのと比べて別格だぜ?」

「まぁ確かになー。操作時間も延びるみたいだし……あ、でもこれって、まだ判明してるのは基本属性だけなんだな?」

「例外属性の操作系スキルは、法則が違ってくるからじゃないかい?」

「ですよねー」


 ヨッシさんの毒の操作やアルの海水の操作は、まぁ水の操作に近い感じだけど、根の操作になると流石に別物だもんな。それらの上位の応用スキルとなれば、もう完全に法則が違ってるし――


「おっ! Lv10まで育てば、操作系スキルそのものの消費行動値は2まで減るのか!」

「え、マジで? あ、マジだ! しかも、同時操作数は6まで増えるのか!?」

「おぉ! ……その数、扱い切れる気がしないのさー」

「それは……まぁ僕も同意だね」


 ふむふむ、この辺は操作系スキルでの固有の要素だけど、Lv10まで育てた恩恵はかなり大きいな。同属性の魔法の発動に使う魔力値の量もここで決まってくるしさ。

 生成量を増やして発動しても、10倍になっても行動値10で、魔力値も20の消費か。操作系スキル自体の行動値の消費は増えないし、かなりコストパフォーマンスが良くなるね。


 そう考えると、俺は水魔法Lv10まで育ててるんだから、水の操作Lv10にしてしまうのがいいのか? でも、操作系スキルの汎用性としては、土の操作が遥かに高いんだよなー。うーん、ここを実行に移せば次は多分、かなり先にはなりそうだから悩むところ……。


「はい! これ、昇華魔法には影響はありますか!?」

「……特に何も書いてないし、ないんじゃないかい?」

「いやいや、ソラ! そこはまだ未検証って可能性もあるぜ!」

「あぁ、まぁ確かにその可能性はあるね。ケイさん、どう思う?」

「可能性はあるとは思うけど……」


 変化がないとも書いてないし、要検証とも書かれてないし……うーん、分からん! そもそも生成時点で10倍の消費をするかどうかの指定が必要なんじゃね? まだ編集したばっかのまとめページだし、ここには情報が出てないだけかも?

 うーん、ちょっと水魔法Lv10と水の操作Lv10を両方持ってたらどうなるかも気になってきた。魔法と操作系スキルは密接に繋がってる部分はあるし、相乗効果で更なる何かを得られる可能性はあるよなー。とはいえ、情報が足りていない状況だし……。


「よし、それなら情報共有板で直接聞くのが早いだろ!」

「それは確かにそうなのさー!」

「それもそうだな! おし、確認しに行くか!」

「……ケイさん、『スキル強化の種』をナギサから2個手に入れたのがバレそうだけど、そこはいいのかい?」

「あっ、そういやそうか」


 水魔法Lv10を手に入れる段階で俺がスキル強化の種を使い切ってたのは、おそらく周知の事実。それにさっきまで、ナギサの元にいたのも分かってるだろうから……まぁ状況的に考えたら、その結論に行き着く可能性は高いよなー。だけど……。


「まぁあれは早い者勝ちだし、文句を言われる筋合いはない! 文句を言うなら、俺達より早く見つけろって事で!」

「……それはごもっともだね」


 探し当てるだけのヒントは、しっかりと考えれば不完全ながら存在はしていた。だからこそレナさんも十六夜さんも辿り着いてきてたんだし、今後も手に入らないという訳じゃないんだからなー。まぁ争奪戦にはなるだろうけど、それはさっきまでだって同じ事!


「って事で、情報収集をしに行くぞ!」

「おー!」

「おっしゃ、そうするぜ!」

「そうだね。そうしようか」


 今すぐに取るかどうかは、まぁ後で考えるとして……とにかく、得られる範囲の情報は得てこよう。少なくとももう既にLv10の操作系スキルにした人が報告は上げていて、更新されたばっかのまとめページでもあるから、今まさに検証中って可能性もある!


 草花    : あー、駄目だな。並列制御で『生成量増加Ⅱ・土』の効果が出てるのを重ねてみようとしても、そもそも量が多すぎて重ねられる位置に生成が出来ないぞ。

 ヘビ    : 量が多過ぎな問題? 上下に重ねて、落下で重ねてみるってのは?

 草花    : 多分、それも駄目だな。根本的に落下速度は同じだし、仮に出来たとしても狙った位置での昇華魔法が発動出来ない。

 オオカミ  : ……なるほど、そもそも重ねる事が出来ないときたか。

 イノシシ  : 単独での発動は無理っぽい?

 木     : 魔法砲撃にしての生成ならどうだ? あれなら、多分重ねられるだろ。

 草花    : あー、その手があったか! 行動値が回復したらやってみるわ!


 ほほう? どうやら、本当に検証の真っ最中だったっぽいね。しかも、生成量が多過ぎて単独では重ねられないときたか。……重ならないようにしか生成出来ないようになってる? うーん、ちょっと気になるから聞いてみよ。


 コケ    : 生成量増加Ⅱの効果がある生成魔法だと重ねられないっぽいけど、それってどういう感じで? あ、いつものコケの人だぞ。

 リス    : その自己紹介、どうかと思うのです!?

 草花2   : おっ、いつものコケの人が登場か!

 イノシシ  : さっきまでの宝探しはご苦労さん!

 オオカミ  : こっちに顔を出したって事は、それなりに成果はあったか?

 コケ    : もちろん! 俺も操作系スキルをLv10に上げられそうだから、その情報収集に?

 草花2   : コケの人もか!?

 クラゲ   : ……もしかしてだが、さっきまでの群集支援種探しで『スキル強化の種』のトレードに成功か!?

 ドラゴン  : 在庫切れになってたけど、やっぱり交換された後かよ!

 ドラゴン2 : わっはっは! それは文句を言うところじゃねぇぞ!

 ドラゴン  : くっ、あの時にいたドラゴンも一緒に行動中か!

 フクロウ  : 辿り着いても目玉商品は無くなってたから、悔しいー!

 オオカミ  : まぁあれは早い者勝ちだから、手に入れた人への文句は無しだ。聞いた話じゃ、他の連中は自力で見つけた訳でもないみたいだしな。

 草花3   : 少し前までいたリスの人が、何か思い当たったみたいで駆け出していってたけど!

 コケ    : そのリスの人には、多分会ったな。

 ヘビ2   : 会ったって事は、辿り着いてたのかよ!

 

 今話題に出てきたリスの人って、ほぼ確実にレナさんの事だろうね。ここで何かしらの反応を見せてから、実際に確保へ向かってきてたんだろうなー。その後の慌ててどこかに行った様子は、よく分からないけどさ。


 フクロウ  : ……ちなみに、他に取りに来た人っていた?

 ドラゴン2 : おう、いたぜ! 俺らを見て大勢が迫ってきてた時には、既に在庫は無くなってたからな!

 タカ    : こらこら、変に煽るような事は言わないように。

 ドラゴン  : くっそ、自分達で探し当てなきゃ無意味だったのか……。

 イノシシ  : ま、宝探しってそういうもんだけどな。

 オオカミ  : 他人が見つけたのを後追いしても、無くなった後というのは覚悟しておくべきだろう。

 フクロウ  : そうですよねー。よし、こうなったらラインナップの更新まで張り付くぞー!

 タカ    : まぁどうしても欲しいのであれば、それがいいかもね。


 そうそう。別に俺らがトレードしたので最後になる訳じゃないし、多分同じようなラインナップで更新はされていくはずだもんな。まぁそれがいつかは知らないけど……。

 それに目玉の『スキル強化の種』は全て無くなったけども、それ以外に有用なアイテムはまだ結構在庫は残ってたしな。その人次第だけど、欲しいってアイテムはある人も多いはず。


 リス    : それはそうとして、今は昇華魔法の話なのさー!

 オオカミ  : あぁ、それもそうだったな。

 コケ    : 草花の人、『生成量増加Ⅱ・土』の効果がかかった生成魔法って、実際にどんな感じの指定になるんだ? ある程度はまとめの方で情報は見たけど、それでもよく分からない部分があるんだけど。

 草花    : あー、どう説明したもんかな? 単独での生成だと気にならなかったんだけど、並列制御で使ってみたらよく分かった部分なんだけどな。『生成量増加Ⅱ・土』を反映させるかどうかは生成時に選べるんだが、反映させたら最低限の生成量が決まってるんだよ。

 キツネ   : その検証は実際に見てるけど、最小限の生成でも石が岩くらいの大きさになるっぽいぜ? 生成が完了する時点で、重ならないような位置にしか生成も出来ないっぽい。

 草花    : まぁそういう感じだ。土でも、砂でも、そのサイズの塊になる。重ねようにも、距離を離さないと生成自体が出来ん。

 コケ    : あー、そういう感じか……。それ、他の人と重ねるのは?

 オオカミ  : まだ他に操作系スキルLv10の所持報告が出てきてないから、確認のしようがなくてな。やる気があるなら、今からやってもらっても構わんぞ?

 コケ    : それもありかもなー。でも、水にするか土にするかで悩み中……。

 イノシシ  : コケの人は、水と土の2属性だっけか。

 ドラゴン2 : 複数の属性があると、悩むのは分かるぜ!

 草花2   : いつものコケの人なら既に水魔法Lv10になってるんだし、水の操作Lv10と組み合わせて何か出ないかやってみてほしいかも?

 ヘビ    : あー、同じ属性を2つとも極めたら、何か出そうな?

 オオカミ  : 確かに何かありそうな予感はするが……扱い切れない可能性があるのを忘れるなよ。『スキル強化の種』でのスキルのLv上げは、ある意味ではズルだからな。

 コケ    : ですよねー。もし何かあるとしても、まだ手に入れるのは早い段階なのは、まぁ分かる。


 俺もちょっと考えてた可能性ではあるけど、それを考える人は他にもいるよね。でも、オオカミの人……多分だけどベスタが言うように、今の段階では手に余るものの可能性は十分ある。逆に、何も無いって可能性も否定は出来ない。


 公式で用意されているものだから本当の意味でのズルではないにしても、そこまで大量に手に入れられる状況はそう多くは想定してないはず。希少だからこそ、八百長で入手しようとして報酬のラインナップから削除という形にもなったんだろう。

 そう考えたら、本当に今日のトレードで2個も手に入ったのはラッキーとしか言いようがないよなー。いやはや、情報ポイントもあんまり使わずに置いておいてよかったもんだ!


 ドラゴン2 : まぁ運営公認の手段だけどな! ……なんか、コケの人が成長体の頃に応用スキルを手にしていた頃を思い出すな?

 リス    : はっ!? 今までの応用スキルを超える、更に強力な応用スキルがあるのかも!?

 木2    : 否定は出来ない気もするが、どんなのが考えられる? 応用連携スキルや応用複合スキルや応用魔法スキルの強化用の何かか?

 キツネ   : 水魔法Lv10で味方に『水の刻印』が刻めるんだし、刻印系スキルの属性版とか?

 草花    : あー、もしかするとそこまで強化して初めて『生成量増加Ⅱ・◯◯』の効果がかかった状態での、単独の昇華魔法が発動出来るようになる?

 キリン   : なるほど。現状では制限がかかってるみたいだし、そこが撤廃される可能性はありそうだな。

 タチウオ  : 可能性だけで考えるなら、いくらでも出てくるか。

 コケ    : ぶっちゃけ、やってみないと何とも言えないぞ? 期待してても、実は何も無かったって事もあり得るし……。

 イノシシ  : まぁそりゃそうだよな。

 オオカミ  : 実行するかどうかは、コケの人の判断に任せる。何もない可能性も、まだ扱い切れない可能性もあるからな。無理強いはせんぞ。

 ヘビ    : ま、それはそうか。

 サンゴ   : 興味はあるが、無理強いは無しだよな。

 カメ    : コケの人の判断を尊重するからな!

 コケ    : その辺は了解っと。


 さて、決定権は俺に委ねてくれているけど……大真面目にどうしようかな? 俺自身、何があるかは気になってる部分ではあるんだけど……どうしたもんだろうね?

 ここは思いっきり博打に乗ってみるのもありか? もしまだろくに扱えないスキルだったとしても、何も手に入らなかったとしても、特に損がある訳でもないしなー。水の操作か土の操作かで迷ってるんだし、それをどっちにするか選ぶ基準にするのはありかもね。

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