第1325話 見つけた群集支援種
元ボスだったオオヤドレンコンが、灰の群集の群集支援種となっていたけど、その行方が不明だった。でも、それをようやく見つけたぞ! 名前は『ナギサ』で、霧の上に出ている木に止まっているフクロウ!
折角見つけたし、他の人が来る前に大急ぎでナギサの元まで移動中。紅焔さんとソラさんが後で一緒に探しているとは思われないような形にして、見つけた事を他の探してる人達に悟られないようにしないとね。探してる様子を続けつつ、ナギサに近付いて……。
「おし、到着!」
「一番乗りなのさー!」
「ハーレ、そうとは限らないよ?」
「誰も報告には上げないだろうから、既に来た人はいる可能性はあるかな?」
「はっ、確かにそうなのです!? でも、それはラインナップを見れば分かるのさー!」
「だなー」
別に先に誰かが来てても、欲しいアイテムがまだ残っていれば問題はない。これだけ色んな人が探し回ってる状態なら、来ていた人がいたとしても大人数ではないだろ。
「ナギサさん、アイテムのトレードは可能ですか!?」
『……あぁ、可能だ。……欲しい物があれば、情報ポイントを置いていけ』
「はーい!」
ボソボソと小さな声で喋ってる感じだけど、まぁ群集支援種……いや、群集支援種に限らず精神生命体は元人間なんだし、こういう反応をするのがいても不思議じゃないか。なんだかんだで群集支援種と話す機会ってそう多くもないし、そういうのもありだよな。
まぁこのナギサがミズキの代わりにあそこで占拠していたらどうなったのか、ちょっと気になるとこではあるけども……。あの湖を、このフクロウで占拠かー。うーん、その場合だとマサキの時みたいになんか鳥居みたいな特別なものが出来てたとか?
その辺、ありそうな可能性ではあるけど……まぁ今はいいや。他の人が嗅ぎつけて来る前に、トレードしたいものがあればしてしまおうっと。
「ケイさん、ケイさん! 『スキル強化の種』があるのです! 情報ポイント3000で、10個も!」
「マジか!?」
「思った以上に個数があったかな!」
「あはは、これはラッキーかも? とりあえず最低でも1人、1個は交換出来るよね」
他のラインナップも色々あるみたいだけど、『スキル強化の種』は破格の性能をしてるんだから迷う余地無し! トレードに個数制限はないみたいだし、俺は情報ポイントを8616も持ってるから2つ交換してもまだ余裕! ……大慌てしなくても手に入れられるタイミングだから、落ち着いてトレードしていこう。
「……よし、トレード完了!」
わっはっは、3つは情報ポイントが足りなくて流石に無理だけど、2個も手に入れば十分! これで補填分で貰った1個と合わせて、合計3個。用途は……まぁ、ほぼ迷う余地無しだな! てか、1個までって制限なしはありがたい!
「ふっふっふ、私もトレード完了なのさー! 何に使うか悩むのです……」
「出来ればもう1個欲しいくらいだけど、流石にちょっと情報ポイントが足りないかな……」
「……あはは、私は1個でもギリギリだね。それでも手に入るのはありがたいけど……ケイさんは、2個交換したの?」
「まぁなー。問題は、水の操作と土の操作のどっちをLv10にするか……」
「もう用途が決まってたのさー!?」
「ケイなら、まぁその2択かな?」
「そういえば、まだ操作系スキルのLv10で得られるスキルの名前は不明なんだっけ?」
「多分そのはず? あー、一応上げる前にその辺の情報の確認はしとこ」
効果自体はスリムさんが使ってたので、もうほぼ見たようなものだけど……あぁ、インクアイリーのリコリスさんや彼岸花さんだっけ? あの青いトカゲの水の操作や、爬虫類の尻尾を持ったリスの氷の操作辺りもおそらく同系統なはず。
高確率で『生成量増加Ⅱ・◯◯』な気はしてるけど、こればっかりは実際に取った人から話を聞かないと分からないもんなー。完全に狙い通りにはならないけど、それでも狙って入手の可能性があったトーナメント戦での入手経路が潰れたから、今後は気軽に上げにくくもなったしね。まだその手の情報が確定になってないなら、確定させておきたいところ。
「ケイさんの場合だと、水か土って悩むとこだよな! てか、まだ5個はあるんだよな?」
「俺らで5個はトレードしたけど、まだ在庫は残ってるぞ」
別々に探していた紅焔さんとソラさんは、徐々に俺らのいる位置へと移動中。位置的には紅焔さんの方が近いから、もう少し近付いてきたら合流してる風には見えないように離れないとなー。
他の人達も探し回ってるし、その辺は早い者勝ち。他のラインナップをじっくり見ている余裕は、それほどなさそうかも。
「おし! ソラ、何個までならトレードはいける? 俺は1個が限界だ!」
「僕も1個が限界だよ。でも、共闘イベントの時のはまだ使ってないから、ここで合わせて何かLv10まで上げてみるのもありかもね」
「あれ、ソラはまだ温存してたのかよ! だー! もう1個、欲しいんだが!?」
「普段から情報ポイントを使い過ぎるからだよ。なんで競争イベントへの参加がなくて入手量の少ない僕と同じなのさ?」
「5800くらいだから、2個分には微妙に足りてないだけだからな!? それほど無駄遣いはしてねぇよ!?」
「あぁ、そういう事かい。……微妙な足らずは悔しいとこだね」
「あー、即座に200くらい欲しいぜ……。いや、とりあえず1個は交換して、それからミズキのとこへ行って、あるだけマップ情報を提供すればワンチャンあるか!?」
「確かにそれはあるかもね」
マップの踏破情報の提供でも情報ポイントは貰えるんだから、これまでの提供状況次第にはなるけど、200くらいは貰える可能性はある。でも、それをしてる間まで『スキル強化の種』が残っているかは運次第か。
「そういう事なら紅焔さん、急げよー! てか、俺らはもう離れておいた方がいい?」
「その方が他の連中に気付かれ……って、もう無理か!?」
「あぁ、なんだかみんなケイさん達の方へ向かって動き出したね。紅焔、2個目よりも先に1個目のトレードを優先するよ。無くなったら意味がないしね」
「それしかねぇな!?」
「……これ、紅焔さんの勢いで方向がバレてないかな?」
「紅焔さんと私達を交互に見てる人がいる気がするので、その可能性は高そうなのさー!」
フクロウのナギサの方を向きながらトレード画面を見てたから気付かなかったけど、思いっきり紅焔さんが一直線にこっちに向かってきてるもんなー。うん、その様子を窺ってるっぽいPTもチラホラ見える。
ソラさんの方も見てるし、完全に紅焔さんとソラさんが俺らと一緒に動いてて、群集支援種を見つけた事を勘付かれたな。そうならないように俺らが先行して、その後離れてから紅焔さん達が来る予定だったんだけど……まぁ気が早る気持ちも分かるけどなー。
「あ、ヤベっ!? 真っ直ぐ飛び過ぎた!?」
「……何をやってるんだい、紅焔。バレないように先に行ってもらったのに、それじゃ意味がないじゃないか」
「だー! そんな事を考えてる場合かー! 最低でも、1個は絶対に確保してやる! 『高速飛翔』!」
「ま、それもそうだね。『高速飛翔』!」
「おー、頑張れ、紅焔さん、ソラさん!」
「おうよ! 誰にも『スキル強化の種』は渡さん!」
「紅焔、わざわざ喧伝しながら飛んでどうするんだい? あぁ、聞こえたみたいで一気に動き始めたよ……」
紅焔さんの声が聞こえたかどうかは分からないけど、加速した事に気付いて他の人達も動き出したのは間違いない。さーて、俺らは既に最大の目的の物は確保したからいいけど、残り5個の『スキル強化の種』は誰が手に入れるかな? 出来れば紅焔さんとソラさんには1個ずつは確保して欲しいけど……状況的にどうなるかは、なんとも言えないなー。
「ケイさん! 紅焔さん達が確実に確保出来るように妨害でもしておくのはどうですか!?」
「無茶言うな、ハーレさん!?」
いやまぁナギサはフクロウで、そう大きくないから岩の操作で包み込もうと思えば出来るけど……流石に味方相手にそういう事をするのはどうなんだ? でも、このトレードに限って言えば全員が敵みたいなもんだしなー。
その中で完全に協力して探していた2人の分の確保の為なら、そういうやり方も――
「ハーレさん、そういうのは無しでいいよ。今の時点で気付かれたのは紅焔の落ち度だし、そういう特別扱いは不要だね」
「そういうこった! ケイさん、やらなくていいからな!」
「そういう事なら了解っと。ハーレさん、それでいいよな?」
「了解なのさー!」
まったく、無茶な事を言い出すもんだね、ハーレさん。まぁ言われてから、実際にそれを考慮し始めた俺も俺か。うん、流石にそこは自重しないとだな! やって出来ない訳じゃないけど……。
「あ、もう俺らは離れなくてもいいか?」
「離れる意味も無くなったからな! てか、ケイさん、他にどんなラインナップがあるんだ?」
「そこは僕も気になるとこだね」
「それじゃ辿り着くまで、その辺を見ていくか」
この調子ならなんとか18時までには紅焔さんとソラさんは辿り着いてトレードし終わりそうだし、他に何があるかをしっかりと確認しておこう! チラッと見た限り、かなりいい品揃えだった気もするしさ。
「えっと、他に目玉になりそうなのは『空白の称号』は当然として、『部位合成の種』や『特性付与の水』や『属性付与の水』があるね」
「『転移の実』も多くはないけど、いくつかあるかな?」
「食材系の詰め合わせも結構あるのさー!」
「なんというか、第1回の共闘イベントの報酬の一覧を見てるような感じだなー」
「地味にレアアイテムの宝庫だな!?」
「3rd育成用にしてるのかもしれないね?」
「確かにそうかもなー。あ、それ以外にもまだあるっぽい?」
1画面には表示し切れなくて、スクロールが必須になってたみたいだな。ここまで見たアイテム、レアではあるけど……今の俺が欲しいものではないのが残念。まぁ1番の目玉は手に入れたんだし、スクロールした先が微妙でも別に――
「おぉ、『瘴気珠』があるのさー!」
「10個の詰め合わせになってるみたいかな」
「確か、『瘴気珠』って『瘴気石』の上位版じゃなかったかい?」
「そのはずだぜ、ソラ! ここでトレードが出来るって事はフィールドボス戦や、エリアボスの再戦用に使えってか?」
「まぁトレードが可能なのはありがたいよなー」
成熟体での安定したフィールドボス戦が可能になれば、そこで安定入手や強化も可能になっていくんだろうけど、現時点ではそう気軽に使えるものでもないしね。トレードの個数上限がないから、安定して手に入るまではここで手に入れろって事なのかも。
それか、自然発生のフィールドボスをしっかりと倒して確保していくかだなー。ジャングルの北側の河口域で倒した時は無茶をしたけど、あの時より色々と強化になった今ならもう少し楽に倒せる……楽ではないか。確かあの時ってLv17のワニだったよな? 今がLv10だからまだLv差が結構あるし、やるならもっと人数がほしいとこだね。
「他には……おっ、検証しようと思ってる『刻浄石』と『刻瘴石』がある!」
「本当なのさー!」
流石にこれがトレードにあるとは思ってなかったけど……あ、どっちも情報ポイントが500必要って意外と気軽に手に入るものじゃないっぽい? まだイマイチどういう効果を持つアイテムなのかが分かってないから、このレートが良いのか悪いのか、その判別がさっぱりだ。
あ、そう考えてる間に紅焔さんがすぐ近くまで来たね。ソラさんはもう少しかかりそうだけど、それでも他の人達よりも先に到着しそうではあるか。
てか、少し目を離した間に、凄い大人数がここに迫ってきてるな!? なんか我先にって感じで競争になってるっぽい。
「それ、ケイさん達が検証してくるってやつだよな? おし、到着! ソラ、早く来い!」
「先にトレードしててくれていいよ、紅焔」
「そうはいくかっての! バレたの俺のせいなんだから、ソラが来るのは待つぜ!」
「……まったく、そういう急かし方はやめてほしいんだけどね。もしトレード出来なくても、恨まないでくれるかい?」
「当たり前だっての!」
なんか良い話風に言ってる気もするけど、紅焔さんが慌てて一直線に進んでこなければ問題はなかったって言うのは野暮――
「よっ! ほっ! とう!」
「「「「レナさん!?」」」」
「およ? ケイさん達がいた……って、あー!? やっぱり木の上にいたー!」
「げっ!? ソラ、急げ! レナさんが下から登ってきたぞ!」
「レナさんがかい?」
「およ? 紅焔さん、慌ててどうしたの? あ、やった! 『スキル強化の種』が5つもある! ちょっと急ぐから、早い者勝ちって事で!」
あ、『スキル強化の種』の残りが3個に減ったから、レナさんが2個トレードしたっぽい? まぁレナさんなら情報ポイントは沢山持ってても不思議じゃないし、残り3個あるなら紅焔さんとソラさんの分は大丈夫だろ。
「それじゃちょっと用事があるから、みんなまたねー! 2つも手に入ったのはラッキー!」
そう言いながら、レナさんは木から飛び降りていったけど……唐突に現れて、唐突に消えていったな!? なんか急いでた様子だけど、まぁいいのか? 別に変な事をしていった訳でもないし……あ、ソラさんも到着したね。
「ソラ、さっさとトレードを済ませるぞ! もう残り個数がヤバい!」
「……その方が良さそうだね。すぐにトレードしようか」
「2人とも、急いでかな!」
「わー!? 凄い人数が迫ってきてるのです!?」
「……あはは、みんな探し回ってたんだね」
「そうなんだろうけど、俺らが見つけたって事を前提に動いてませんかねー!?」
どう見ても、発見情報を元にして集まってるじゃなくて、俺らがいるからここに向かってるって様子じゃん! これ、紅焔さんの動きもあるんだろうけど、そもそも俺らの動きを参考にしてません!? どこかの木の近くで止まった時点でアウトだった気がしてきた……。
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