第1321話 情報共有板へ


 湖に飛び込んでたハーレさんが戻ってきた。一応、濡れた部分の水分は水の操作で除去したけど、それに意味があるかというと正直微妙?


 まぁそれはいいとして、ともかく情報共有板を見に行こう! ササッと報告を済ませて、新しい群集支援種を探しに行きたいしね。全員で見に行く事になったし、小麦粉やオリーブオイルについてはヨッシさんが自分で聞くかな? まぁとりあえず今の話題を確認していこうか。


 木     : 今みたいな、特に何もないまったりペースもいいものだ。

 キツネ   : だなー。次の予定がまだ特に発表されてないけど、ここ数日は連戦で流石に疲れたし……。

 カンガルー : 少なくとも、2〜3日は空いてほしいとこだな。

 オオカミ  : どうしても競争クエストの最中は、検証や育成が滞り気味にはなるしな。俺としても、成熟体の育成が本格的に進み出したこの状態でLv上げを進めておきたいところだ。

 オオカミ2 : 検証案件、色々溜まってるしなー。護衛案件も山ほど来てるか。

 リス    : およ? 護衛案件って……あ、新エリアの探索の護衛募集のやつが山ほどだ!? んー、わたしはちょっと新エリアの繋がり方を確かめてたいとこだねー。

 オオカミ2 : オオカミ組の方で新エリアの繋がりの調査PTを組む予定だが、オオカミの人やリスの人も加わるか?

 リス    : あ、そういうのを計画してるんだ? それ、何時からー? 20時以降だったら、参加は出来るよー!

 オオカミ2 : 時間はこれから決めるところだから、そこは調整出来るぞ。

 リス    : それじゃわたしはそれに参加で! 1人連れていくけど、それは大丈夫?

 草花    : ちょ、それって俺!? 同意する前に決定!?

 リス    : あれ? なんか不服?

 草花    : そうじゃないけど……先に聞いてくれね!?

 キツネ   : あー、いつものあの光景か。嫌がってる風に見えて、全然本気では嫌がってないやつ。

 草花2   : リスの人によく引っ張られてる大根の人……今はマンドレイクの人か! まぁ色々と頑張れ!

 草花    : その応援は何!?

 オオカミ  : オオカミ2の人、俺は遠慮しておく。少し無茶をして動くから、1人の方が気兼ねなくていいからな。

 カンガルー : オオカミの人が言う無茶か……。本当に無茶過ぎそうだな。

 キツネ   : 確かになー。


 うーん、ざっと見た感じ蒼弦さんの提案で、レナさんとダイクさんがオオカミ組と一緒になって夜に新エリア同士の繋がりを調査しに行くっぽい? その内容、普通に気になる!


「そっか、新エリア同士もどこかで繋がってる可能性はあるんだよね?」

「それを調べるのは興味深そうかな! でも、ベスタさんが無茶をするってのはどういう事なのかな?」

「……あり得そうなのは、他の群集の占有エリアを突っ切るとか?」

「本当に無茶なのさー!?」

「……言ってみたものの、流石にこれは無茶が過ぎるよなー」

「ベスタさんがそれをやるのは、色々とマズい気もするかな?」

「灰の群集のリーダーにはなるんだしね、ベスタさん」

「ですよねー」


 自他ともに認める灰の群集のリーダーという立場のベスタがそういう無茶は流石に出来ないか。むしろ、それをやるなら他の群集の代表勢を巻き込んで共同調査という名目で堂々と入れるように話をつける方が正解……あ、そういう方向性も普通にありか。


「どうせなら、夜にシュウさん達やジェイさん達と共同で検証する事になるし、その時に他の群集も巻き込んで同じような調査をしちまうか?」

「はっ!? ここにも無茶を考える人がいたのです!?」

「おいこら! 割と大真面目に、順当な手段として提案してるんだが!?」

「わー!? 怒られたー!?」


 全然怒られてると思ってる声じゃないから、からかって遊んでるだけだな!? 別にそれが駄目だとは言わないけど……まぁ楽しそうで何よりだよ。


「んー、普通に手段としてはありだと思うけど、どこをどう調査するの?」

「……そもそも、どこに集まるかから決めないと厄介かな?」

「あー、そういやそこも決めないといけないのか。うーん、共闘の協議の時を考えると、こっちの新エリアの安全圏よりは、『黎明の地』の方のどこかで待ち合わせた方がいいか?」

「とりあえずそれは後でいいと思います! というか、夜からなんだ!?」

「あー、フラムに学校でシュウさん達の都合のいい時間帯を聞いてな。夜には確実にいるそうだから、その時に話そうかと」

「おぉ、そうなんだ! 了解なのです!」


 そういや、その辺の話をみんなに伝えるのをすっかり忘れてたよ。って、他にも言っとくべき事はあったし、これも報告しとくべきか! とりあえずみんなには伝えとこう!


「もう1つ、言い忘れがあった」

「え、何かな?」

「フラムが……多分、水月さんやアーサーもか? 共同検証に来たいんだと。まぁ検証目的じゃなくて、称号の『共闘殲滅を行うモノ』を取りたいそうだけど――」

「それは私も取りたいかも? まだ取れてないしさ」

「……へ? あ、ヨッシさんも取れてないのか!?」

「むしろ、機会が限られるから取れてる人の方が少ないんじゃない? アルさん、持ってたっけ?」

「あー、アルはどうだろ? 持ってるのか?」


 昇華魔法が必須な上に、他の群集の人と協力しないと取得が不可能な手段だもんなー。それを計画して動かなければ、そもそも取得条件を満たす事自体が難しい?

 うーん、自分が持ってるからって、他の人の取得状況を全然気にしてなかった! アルには確認が必要だけど、ヨッシさんが取れていないなら、フラムと共同で取るのもありか。


「その辺の話は後なのさー! まずは報告なのです!」

「それもそうだな。今の件は、アルも含めて全員揃ってから考えるか」

「それでいいのさー!」


 今聞いてみてよかった内容ではあるけども、どうするかを決めるのは今じゃなくてもいい。むしろ、当事者と話せる時間帯の方が圧倒的にいいよな。……フラムも、今はまだログインしてないだろうし。


 という事で、改めて情報共有板へ戻って見ていこう。様子を見て、話題が途切れたタイミングで報告してしまえばいいだろ。


 リス3   : 五里霧林で、レンコンが掘れました! 小麦粉とオリーブオイルは量産出来てますか!?

 リス2   : え、レンコン!? それ、どこで掘れたの!?

 カエル   : あちこちの湖でレンコンは復活してるけど、敵ばっかりって話じゃなかった?

 カンガルー : 正確には、一般生物のレンコンと敵のレンコンが入り混じってて、邪魔しまくってきてまともに採集をさせてくれないという状況のはずだが……。


 って、おーい!? もう既にハーレさんが書き込んでるんかい! あ、だから話をこっちに戻そうとしてたのか。……こっちを見てきてるし、俺に報告しろってタイミングな訳なんだな。まったく、普通に言えばいいのに……。

 てか、地味に他の湖でのレンコンの状況が分かったね。どうも俺らがいる湖のレンコン……というかハスの葉や花の状態の方が異常っぽい。こりゃ、報告しに来て正解か?


 リス3   : その件に関して、コケの人から報告です!

 コケ    : ちょ、そこでぶん投げてくる!?

 アルマジロ : 出た、コケの人!?

 木2    : この流れ、いつものコケの人達からの報告か!

 カンガルー : 内容に期待だな。

 オオカミ  : コケの人、今度は何を見つけた?

 コケ    : まだ確定な訳じゃないんだけど、昨日の巨大レンコンとの再戦が出来る湖を見つけた。獲物察知を使ったら、残滓のレンコンの反応が1つしかなくて、普通に一般生物のハスの葉……レンコンは大量にある。

 クジラ   : おぉ!? 再戦が出来る場所、見つかったんだ!

 カンガルー : 相変わらずコケの人は引きが強いな。その件、捜索してたところだぞ?

 コケ    : あ、そうなのか?

 オオカミ  : コケの人、ハスの葉や花は沢山ある状態か?

 コケ    : それは普通に大量にあるぞー。それがどうかした?

 キツネ   : あー、そう来たか……。見た目、大して変わらないのかよ!

 ヘビ    : くっ! 実際に見比べてみないと分からんが、パッと見で分かるもんだと思ってた!

 リス    : 逆にそこが盲点だったのかもねー? んー、わたしもまだ全部の湖は回れてないし……。


 あれ? 俺らがいる場所が特殊な気はしてたけど、他の湖と比較しても見た目には大差ないっぽい感じ? これ、ハーレさんが飛び込んでなければ、地味に分からなかったんじゃ? その辺、確認しとこう!


 コケ    : もしかして、他の湖も普通にハスの葉や花で溢れてる?

 オオカミ  : まぁそうなるな。獲物察知持ちばかりじゃないから、気付きにくかった部分だろうが……確定じゃないのは、何故だ? 再戦する為の瘴気珠を持っていないのか?

 リス3   : 瘴気珠はあるにはあるけど、戦う気分じゃなかったのさー! という事なので、座標を貼っておくので、誰か確認をお願いします! 【現在地】

 コケ    : その通りだったけど、言い方ー!?


 他の人に確認してもらおうと思ってたんだから結論としてはそうなるけどさ!? そこはもっとオブラートに包んでもよくない!? それこそ、他の予定があるから試してる時間がなかったでいいよ! 別に決して間違ってはないし!


 オオカミ2 : ま、昨日の疲れもあるだろうし、その気持ちは分かるぜ。俺らも今日はまったり気味だからなー。

 カンガルー : 俺も同意だな。今は戦闘をする気になれないって事で、のんびりしてる奴は多いぞ。

 ヘビ    : 灰のサファリ同盟は、本部の移動で結構忙しない感じだけどなー。

 草花    : 宝探し感覚で、レンコンの再戦用の個体を探してる人は多いぞ! って、この座標は安全圏の方じゃん!?

 リス    : およ? あ、本当だね! あちゃー、ミズキの方から出発したのが失敗だったかな……。

 フクロウ  : ぎゃー!? そこ、特に他と変わらないと思ってスルーした場所!?

 リス2   : あはは、これは結構見落としてた人がいそうだねー? あ、小麦粉とオリーブオイルは多分、量産体制は夜には整うと思うよー!

 リス3   : あ、まだなんだ!? ……なんで夜ですか?

 リス2   : ふふーん、今日のトーナメント戦の報酬ラインナップから『スキル強化の実』が削除の件で、補填で1個ずつ配られたじゃない? あれを岩の操作に使って、生産能力の強化を行う計画!

 木3    : まだ誰がやるかは本決まりじゃないが、まぁ普段から生産に力を入れている『灰のサファリ同盟・生産部門』のメンバーはほぼ上げてくるだろうな。

 ネズミ   : 俺は既に上げたぜ!

 コケ    : あの報酬の削除、そういう風に影響が出てるんかい!

 リス    : ラインナップから消えた理由には盛大に文句を言いたいんだけど、全員に配られちゃったから何とも言い難い結果になっちゃってるんだよねー。

 草花2   : わっはっは! トーナメント戦では勝てる気は一切しなかったからなー!

 リス2   : 貰えたのはありがたいけど、何とも喜び切れないんだよねー。まぁ折角貰ったんだから、有効活用はするよ!

 木2    : ああいうのは使ってこそだ!

 カンガルー : 元々、あれで取れていた方が遥かに少数派だからな。初めから八百長があれば削除すると警告されていたから、仕方ない部分ではある。

 オオカミ2 : こうなるなら、もっと実施して取れるだけ取っておきたかったがなー。

 オオカミ  : 削除になってしまった以上、そこにとやかく文句を言っても仕方あるまい。まぁここの運営の事だから、次の何かの報酬が出る機会に増やしてくる事もあるだろうよ。

 コケ    : それもそうだなー。

 リス3   : 削除は残念だけど、前を見てやっていくのです!


 八百長をやった連中は許さないけど、その結果に文句を言っても覆りはしないだろうしね。元々、そういう可能性があると言われていたんだから尚更に……。

 それよりも、それを上手く活用して次へと繋げていくのが大事だよな! あ、もしかしたら、今回のでLv10まで上げる個数が足りる人も結構出てくるかも? そこから新情報が出てくればいいよなー。


 オオカミ  : それで、レンコンの再戦だが……戦いに行くつもりがある奴はいるか? 瘴気珠なら俺が提供するから、希望者は安全圏に集まってくれ。

 草花2   : おっ、オオカミの人が行くのか! それなら俺は行くぜ!

 カンガルー : 悪いが、今回は俺はパスだ。リス3の人でもないが、あんまりガッツリと戦闘する気分でもないし、少しやる事があるもんでな。

 フクロウ  : 俺もパス!

 木     : 俺もだ。まだやる事がある!

 リス    : わたしも今回はパスかなー。というか、パスする人は新しい群集支援種を探してる人だよねー? レアアイテム狙いの人、結構いるでしょ?

 草花    : え、それ、言っても良いのか!?

 ヘビ2   : あ、言っちゃった!?

 カンガルー : まぁ公然の事実だし、構わんだろう。知られたところで、早い者勝ちには変わらんしな。

 リス3   : おー!? みんなも探してたー!?

 キツネ   : ちょ!? リス3の人もそっち狙いか!?

 フクロウ  : って事は、コケの人のPT自体も狙ってる!? ヤバい、あそこは引きが強いぞ!

 ネズミ   : むしろコケの人達を探して、尾行する方が見つかる可能性は高くなるんじゃ?

 ヘビ    : でも、あそこは観察力が凄まじい人が何人かいるし……。

 オオカミ  : これは地味に人を揃えるのが大変そうだな。まぁ怪しい場所さえ分かっていれば焦らなくてもいいか。

 コケ    : なんというか、オオカミの人、すまん!

 オオカミ  : いや、この程度は構わん。今のうちに、宝探し感覚で群集支援種を探してみるのもいいだろうよ。

 リス3   : ふっふっふ、誰がレアアイテムをトレードするかは早い者勝ちなのです!


 もう完全に早い者勝ちの宝探しみたいになってるけど、まぁそういうのもたまにはいいよな! 今は元巨大レンコンだった群集支援種は種族すら不明な状態だけど、そのうち種族くらいは判明するはずだしね。つまり、何もかも完全に不明な状態で探せるのは今くらい!


「情報共有板の確認はここまでなのさー! 本格的に謎の群集支援種の捜索を開始なのです!」

「あはは、もの凄いやる気だね、ハーレ」

「まさかみんなも狙ってるとは思わなかったかな? でも、狙ってても不思議じゃないよね」

「そりゃまぁなー」


 戦闘はせずにのんびりしたいけど、何かしらはやっておきたいという需要を思いっきり満たしてる状況だもんなー。俺らだってそういう動機で動いてる状態だし、気持ちはよく分かる。

 トレードに必要な情報ポイントが、昨日の1戦が終わった時点で新たに手に入っているのも大きいんだろうしさ。参戦さえしていれば、情報ポイント700は手に入ってるんだしね。それまでに手に入ってる情報ポイントも多いから、トレードするには良いタイミング!


「おし、意地でも見つけてやるか! 新しい群集支援種、捜索開始!」

「「「おー!」」」


 見つかるかどうかは、正直分からない。だけど、見つけるつもりで動かないとな!

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