第1306話 巨大レンコン、討伐戦 その7
巨大レンコンから生えていた巨大なハスの葉は10枚あったけど、その内の2枚は切り落とした。特性『旗頭』の影響でどこまでプレイヤーとの差異があるかは分からないけど、それでも極端に性質は変わらないはずだから、再生させる事で本体のHPを減らす!
再生……してくれるよな? してくれなければ、もう本体狙いでいくしかないけど……そうなったらそうなった時に考える!
「全員に通達! 今やった手順……連撃系の応用スキルでの攻撃でハスの葉に回避行動をさせて、チャージ系の斬撃の応用スキルで茎を断ち切っていってくれ! 再生する際にHPを大きく消費する可能性があるから、それでHPを削っていく!」
「あー、オフライン版の動かない木での分体みたいな性質があるのか!」
「さっきまでのは、その状況の確認なんだな」
「でも、あんまりHPは減ってないよ?」
「実際にHPが減るかどうかは、全部切り落として再生させてみてからじゃね? だから、これからだな」
「あ、それもそっか」
「なるほど、さっきみたいにやっていけばいいんだな」
「斬撃持ちは多いから、そんなに編成を変えなくてもいけるんじゃね?」
「刻印班は近接の奴がメインだから、そこが兼任すれば大体いけるだろ」
「回避の誘導役は、手が空いてる人で!」
「「「おう!」」」
「これは拙者の出番であるな!」
「刹那はそりゃ適任だよね!」
「そうそう! タチウオでぶった斬っちゃえ!」
「斬撃持ちは多いからその辺は問題なさそうだが……ケイさん、元々の予定はどうすんだ!?」
おっと、色々な反応がありつつも、ケンローさんからの質問がきたな。まぁそこはもっともな反応だし、説明するつもりだったから聞いてもらって助かる!
「今、質問があったけど元々の作戦も並行してやっていく! 海エリアで斬撃役に回らない人は、さっきまでと同じように海水で覆ってくれ! 集まってもらってた電気魔法持ちの人は、その海水の中に電気を流す感じで! 同時にやる方がHPの削れ方も早いし、剥奪の回数がリセットになってもすぐに潰せるからな!」
「並行してやるんだってさ、ケンロー!」
「聞こえてるっての! 全部、予定通りでいいんだな!」
「それで問題なし! あ、ただ、切り落とせてないハスの葉だけは剥き出しにしといてくれ!」
「おう、了解だ!」
全部というのは、トドメを取りに動いてきた時はレンコンに触れている海水を離す事も含めてだろうね。まぁ状況次第ではトドメを取られてもいいと判断はしたけど、そこまで覆す必要はないからそのまま続行で!
理想としては再生出来るだけのHPが残っていない状況になるように、ハスの葉を全て無くしていく事。でも、そこにはこだわり過ぎないようにして動く!
「オリガミさん、風雷コンビ、サヤ、風音さん、戻ってきてくれ!」
「了解しました」
「「了解だ!」」
「分かったかな!」
「……うん!」
とりあえず俺らの戦力はここで引き上げて、ミズキへの強襲へと備えて回復させておかないとね。結果的にオリガミさんと風雷コンビに、ハスの葉の切り倒し方のデモンストレーションをしてもらった形になっちゃったけど、まぁそれはいいや。
この1戦は、今回の総力戦での佳境も佳境。ここから巨大レンコンを仕留めて、ミズキに浄化の要所を占拠させて勝ちはもらう!
「フーリエさん、ミズキの正常化は後どのくらいだ?」
「あと少しで終わります! こっちの方が先になりそうですけど、ボスは大丈夫ですか!?」
「それはこれからどうにかする! 全員、作戦開始! ミズキの正常化の完了が近いから、巨大レンコンの行動パターンの変化に気を付けながら一気に削っていくぞ! あ、海エリア勢に追加で伝達! ハスの花が咲いたら朦朧にする花粉を出してくる可能性があるそうだから、そうなる前に海水で閉じ込めてくれ!」
「うん、分かった! えーと、何人かその役割で待機をお願い!」
「よーし、それじゃ私はそっちに回るね! 一緒にやる人、着いてこーい!」
「花粉対処をする奴はセリアに着いていけ!」
「おし、俺もそっちに行くか!」
「私も行くよー!」
「俺も!」
「拙者は下に斬りに行ってくるであるよ!」
「おう、行ってこい!」
「それじゃみんな、始めるよ! 『シーウォータークリエイト』『海水の操作』!」
「「「「「「「「「「『シーウォータークリエイト』『海水の操作』!」」」」」」」」」」
「電気魔法班、海水の展開が終わり次第、攻撃を開始するぞ!」
「「「「「「「「おう!」」」」」」」」
「刻印班は、それぞれのハスの葉に散らばって、タイミングをズラして電気魔法の補佐用に黒の刻印の『低下』で魔法抵抗を下げていくぞ! それと並行して、斬撃をチャージして葉を斬り落とす!」
「「「「「「「おう!」」」」」」」
よし、それぞれの役割で動き出した! 俺は全体の様子を見守りつつ、状況の変化に応じて作戦の微調整とミズキの防衛に回ろう! 手が空いている人達もいるけど……流石に全員が全員に役割を割り振るのは難しいもんだな。
まぁ他の群集が狙ってきているのは伝わってるだろうし、動きがあった時に防衛戦力として動いてもらおう。灰のサファリ同盟も手が空いてる状況にはなってるみたいだから、そこを中心にしていけば……って、その指示はベスタ側の役割だな。俺が変に手を出す部分じゃないから、そこは大人しくしておこうっと。
「ケイさん、俺やソウさんやジンベエさん達は……ミズキを襲ってきた場合の迎撃役でいいんだよな?」
「それで問題ないぞ、富岳さん。ソウさん達、海エリアの人は海流の操作で敵を引き剥がす事を考えてくれ。フーリエさん達も、ミズキの正常化が終わったら無理しない程度に防衛戦力に回ってくれ!」
「聞いたな、野郎ども! 死んでもミズキを守り抜く気でいくが、死ぬ時は相手を可能な限り引き離すつもりでいけ!」
「「「「「「「おう!」」」」」」」
「はい、分かりました! みんな、あと少し、頑張ろう!」
「おうよ、フーリエ!」
「いざとなったら、盾になって守るっすよ!」
「ここまで頑張ってきたんだし、意地でも勝たなきゃね!」
「当たり前だっての!」
ソウさん達を筆頭にした俺らの周辺の海エリア勢の人達も、フーリエさん達やフェルスさん達も気合が入っている。よし、下の攻撃準備が進んでいる間のこっちも最後の詰めのつもりでやっていこう。
今の巨大レンコンの残りHPは6割弱だけど、ここからの巨大レンコンの削れ方次第では、一気に討伐完了まで進む可能性はある。劇的な行動パターンの変化も考慮に入れつつ、可能なら一気に攻め落とす!
「アルとジンベエさんはミズキの最終防衛線だから、絶対に仕留められるなよ! 2人は防御最優先で! 俺、サヤ、ハーレさん、ヨッシさん、風音さん、富岳さんで、絶対に死守していくからな!」
「俺とジンベエさんは防御優先になるのは……まぁ妥当な判断だろうな」
「ま、この状況からミズキを下の戦場に落とす訳にはいかねぇか」
「……守り切って……勝つ……!」
「土魔法と風魔法は下手に使わない方がいいかもね? ジェイさんとシュウさんに吸われかねないし……」
「でも、逆に水魔法と火魔法と風魔法は封じられるかな?」
「サヤ、アブソーブ系の吸収への過信は禁物なのさー! 瘴気魔法を使われたら、逆に危なくなるのです!」
「あ、そういえばそうなるかな!?」
「そうなるなー。まぁいざって時は纏浄か纏瘴を使うつもりで!」
「了解なのさー!」
アブソーブ系スキルの効果は強力だけど、それだけに頼り切っていたら危険なのも間違いない。上手く使えば大きな隙を作れるけど、吸収量にも限度があるしね。
「あ、オリガミさんにこれは伝えとく。青の群集にアブソーブ・エレクトロを使う人が複数いるから、風雷コンビに指示を出す時は要注意で!」
「……あぁ、そういえば昨日の青の群集との総力戦で対応されたという話は聞きましたね。それは了解しました」
「やるならやるがいい! なぁ、疾風の!」
「吸い切れなくしてやるだけだ! なぁ、迅雷の!」
「まぁ実際にそれが有効な手段でしょうね。吸収量には限度がありますし……吸収中は隙だらけにもなりますから、そこを逆に狙ってしまいましょうか」
「その辺の細かいとこは任せる!」
「えぇ、承知しました」
オリガミさんと風雷コンビは終盤になれば俺の指揮下からは外れるんだし、これより先の指示は俺からはなし! 元々風雷コンビには細かい指示がしにくいってのもあるけどね。
「うへぇ、近くで見るとデカいハスの葉だな!」
「黒の刻印係、到着!」
「わわっ! やっぱり葉っぱが飛んでくるね!? 『アースウォール』!」
「位置に着いたであるよ! 皆の者、よろしく頼むのである!」
「お、タチウオって事は斬撃役か。頼むぜ、刹那さん!」
「任せるであるよ! それに拙者、ハスの花の対処も兼任である故に!」
「あ、そういう割り振りか! てか、このレンコンの分身体、うぜぇ! 『爪刃乱舞』!」
1番近くで少し声が聞こえてきていたハスの葉の部分を確認してみたけど、そこは刹那さんがそういう役割で来たんだな。ザッと見た感じではそれぞれの葉っぱの周辺に1PTから2PTくらいが分散して揃っているね。
それ以外の戦力も、異形のサツキの近くは避けてあちこちに散らばっている感じだね。空から海水が展開されているのはこれまで通りだけど、その海水の外から取り囲むように配置か。
「ケイさん! 電気魔法班、配置完了だよ! 合図があれば、いつでも攻撃は可能!」
「お、完了か。ラックさん、取りまとめサンキュー!」
「いえいえ、どういたしまして!」
「ベスタ、そろそろ本格的に始めるけど……問題なし?」
「あぁ、いつ始めても構わんぞ」
「ほいよっと!」
もういつでも本格的な攻撃が開始出来る状態にはなっている。まぁ既に巨大レンコンが海水には包まれていて……もう少しで6割を切る寸前。
すぐにでも開始と言いたいとこだけど、HPの減少による行動パターンの変化は流石にスルーは出来ないか。だったら、開始はその後がいいな。
「全員に通達! 巨大レンコンのHPが6割を切って、行動パターンの変化を見て、問題がなさそうなら総攻撃を開始する! 黒の刻印の回数がリセットされる可能性も考えられるから、もしそうなったら使い潰させてから攻勢に移行するつもりで!」
「みんな、海水を途切らせないように頑張るよ!」
「「「「「「おう!」」」」」」
「ふっふっふ、黒の刻印を使い潰させるのは海エリアの役目になってるね!」
「なんかノリノリだな、セリア」
「重要な役割をやるのは、そりゃテンション上がるよ! ケンローだってそうじゃない?」
「ま、それは否定はしねぇよ」
より気合が入り出したっぽい海エリア勢だけど、まぁかなり重要な役割を任せているのは間違いないからね。出たとこ勝負にはなるけど、もし他の群集がこっちの策を上回って巨大レンコンを仕留めたとしても……そこで呆然としないようにしないとな!
「切断役、チャージ開始だ! 『白の刻印:剛力』『断刀』!」
「委細承知! 【白き光よ、我が身に宿り、力を巡らせ、全てを断ち切る刃と化せ】!」
「相変わらず、無茶な事が聞こえてんな、おい! 『白の刻印:剛力』『重硬爪撃』!」
他の人がツッコミを入れてるけど、相変わらずの刹那さんのオリジナル詠唱での発動をしてるな、おい! でもまぁ、それで普通に発動してるんだし、特にそこは問題なし!
他の人達の喧騒で掻き消えて聞こえてはいないけど、他にも5ヶ所で同じように白と銀の2つが混ざり合った光が強まっていく様子が見える。2ヶ所はデモンストレーションとして俺らが切断したから、とりあえず今は8ヶ所だな。
「ケイ、そろそろ6割を切るぞ」
「だなー。サヤ、ハーレさん、行動パターンに気付きにくいような些細な変化が見えたら教えてくれよ」
「了解なのさー!」
「任せてかな!」
ここからはじっくりと削りながら分析しつつの戦闘ではなくなる。パッと見ですぐ分かるような大きな変化への対処はもちろん、細かな変化を見落とす訳にもいかない。
それに……一気に進めるつもりでいるんだから、みんなに相談しながら手順を組み立てるのはもう無理なつもりでいた方がいい。ここから決着まで、即断即決が必要になるけど……冷静さを欠くなよ、俺!
◇ ◇ ◇
少し待てば……よし、巨大レンコンのHPは6割を切った! 状況の変化は……カエルが出現して、いくつかの海水の操作が消えただけか? それ以外に大きな変化は……特になし? いや、1割削ったら黒の刻印の回数がリセットになる変化は大きいか。ここから1割ごとにリセットと考えた方がいいかも。
とにかく、チャージはもう少しで終わりそうな様子だし、これだけ確認して問題がなさそうなら攻撃開始で!
「サヤ、ハーレさん、黒の刻印のリセット以外に何か変化は!?」
「特にこれといって無さそうです!」
「6割部分では特になさそうかな!」
「ほいよっと! 全員、戦闘開始! まずはそのハスの葉を全て切り落とせ!」
可能な限り大声で、全員に戦闘開始の指示を出す! 届き切ってない部分には、まぁそれぞれのPTの情報確認役が伝達してくれるだろうから、頼んだぞ! ぶっちゃけ、1人で指揮し切るのは無理だしな!
「回避誘導組、攻撃開始! 順番に黒の刻印を刻むのを忘れんなよ!」
「分かってるっての! まずは俺から! 『飛翔疾走』『並列制御』『黒の刻印:低下』『爪刃双閃舞』!」
「おし、本体の巨大レンコンに刻印が刻まれたのは確認! 低下の刻印は物理攻撃を受けても消滅しないから、今のうちに葉の回避誘導を始めるぞ!」
「おう! 『白の刻印・増加』『連速投擲』!」
「さぁ、避けるだけ避けまくれ! 『白の刻印:剛力』『連閃』!」
「いっくぞー! 『連爪刃・閃舞』!」
よし、いい感じでそれぞれのハスの葉の回避が始まった。……というか、回避させるのが目的だけど、みんな完全に当てにいってる!? 黒の刻印の低下を刻むと同時に回避誘導もしてるし……まぁ風雷コンビが当てにいってたんだから、あれを見たらこうもなるか。
「行くのであるよ! 【全てを断ち切れ! 白銀一閃】!」
「いくぜ!」
「いっけー!」
次々とチャージを終えた人がハスの葉の茎を切断していき、数が減っていく。さて、全部断ち切った後にどうなるか、それ次第だけどどうなるか!?
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