第977話 第1回のコンテストの結果 中
さて、個人部門は赤の群集と青の群集を見終わって、次は灰の群集の結果発表を
見ていく事になった。ここにはハーレさんが出しているのがあるから、その結果は気になるところ。
「あぅ……流石に緊張してきたのです……」
「確かハーレは2枚、通ってたかな?」
「ん? ミズキの森林の上に出たと夜の虹のスクショだけじゃないのか?」
「あ、そういえばアルは知らないのか」
「ハイルング高原で成熟体の蝶を撮ったのがあるんだよね」
「そうなのさー!」
「へぇ、そういえばそういうスクショもあったが、あれはハーレさんが撮ったやつだったのか」
あの蝶のスクショに関しては……そもそも俺自身も撮ってるとこは見てないはず。どういう状況で撮ってたのか正直覚えてないし、ハーレさん自身から撮ったやつだと言われないとわからないもんな。
「さてと、それじゃ灰の群集の個人部門、見ていきますか!」
「何かケイさんが活き活きし始めたのです!?」
「なんかハーレさんが緊張し始めたのを見たら気が楽になった」
「酷い理由だったのさー!?」
「……ハーレ、さっき自分で言ってた事だよ?」
「あぅ……そうでした」
「あー、まぁそういう話をするのはいいが……あんまりのんびりし過ぎと18時までに今日の緊急予告で確認しに行く時間がなくなるぞ?」
「あ、それは困るかな!?」
「えっと、今はまだ17時15分だから、30分には出発出来るようにしたいね」
「だなー。それじゃ確認の続きだ!」
「「「「おー!」」」」
後の予定があるし、サヤとヨッシさんの夕食でのログアウトの事を考えるならそう呑気にはしてられない。アルが潮汐の影響がある磯場に心当たりがあるとは言ってたけど、まだ具体的な場所は聞いてないもんな。
という事で、灰の群集の個人部門を見ていこう。ここは知ってる人が多い可能性は高いし、ハーレさんのもあるから結果が気になるところ。
・灰の群集
優秀賞:【強敵への反撃!】
撮影者:レナ
優秀賞:【雪山の花畑】
撮影者:カグラ
優秀賞:【月夜の虹】
撮影者:ハーレ
入賞:【湖の底に潜むモノ】
撮影者:十六夜
入賞:【雨上がりの架け橋】
撮影者:琥珀
入賞:【この斬撃、見切れるか!?】
撮影者:刹那
入賞:【海の中を大暴走!】
撮影者:シアン
おぉ、見事に知ってる人ばっかだった! でも、十六夜さんや刹那さんやシアンさんが入っていたのはちょっとびっくり。
でもまぁ、それは後にして……ここはまずこの一言だよな。
「ハーレさん、おめでとさん」
「わっ!? 優秀賞が取れてたのです! やったー!」
「ハーレ、おめでとうかな!」
「ハーレ、おめでと!」
「良いスクショだったしな。ハーレさん、良かったな」
「うん! みんな、ありがとー! やったー! 個人部門で優秀賞だー!」
ハーレさんはよほど嬉しかったみたいで、思いっきり飛び跳ねまくってテンションが上がりまくってるね。まぁ優秀賞に選ばれたらそりゃ嬉しいよな。
「それにしても、レナさんが巨大なカメの頭を思いっきり蹴り飛ばしてるスクショとは……」
「このカメ、多分成熟体だよね?」
「飛んでるし、大きいし、徘徊してる成熟体のカメかな?」
「でも、なんで個人部門なのにレナさん自身の姿が写ってるのー!?」
このスクショ、投票の時に見た覚えがない……? いや、違う。団体部門でそれっぽいのを見たような気がするぞ?
「……あー、注釈が書いてるな。初めは登録部門を間違えたとして、個人部門じゃなく団体部門へと振り分けられてたのか。……そういえばそんな修正告知もあったな」
「え、そんな事ってある? え、そんな告知見てないんだけど!?」
「事前選考の段階で、手動で振り分け直したヒューマンミスだな。割と早い段階で告知はあったが……見てないか? 投票で該当する人には運営からメッセージも送られてる筈だが」
「……投票してから、後は見てないな」
テスト勉強の為にも投票してからは公式サイトすら開いてないからなー。修正されたのが俺らが投票した後で、これには投票してなかったからメッセージは送られてきてなかった訳か。
まぁパッと見では団体部門のスクショに見えるもんな。いや、本当にこれ1人でどうやって撮ってるんだ?
「それにしても、なんでレナさんが撮ってレナさんが写ってるのー!? 遠隔同調を使わないと無理だよね!?」
「……確かに謎かな?」
「……思い当たる事は1つあるな。3人称視点に切り替えての仮想コントローラーでの操作だろう」
「あー、オフライン版であったやつ……って、あれってオンライン版にもあったのか!?」
オフライン版でフルダイブでのキャラの操作がどうしても苦手って人向けに、キャラの背後から見て旧来型のコントローラーを仮想的に用意して操作するってモードはあった。でも、オンライン版でそれがあるのは知らなかったぞ……?
「俺自身が試した訳じゃないが、キャラの操作に躓きまくったら解放されるとは聞いたぞ。まぁよほどの事がなければ、フルダイブの利点が薄れるから使うやつは少ないだろうが……」
「あ、そういう条件なのか? まぁそうだよなー」
キャラ自体になりきって動けるのがフルダイブでの醍醐味なのに、旧来型のプレイスタイルに戻してどうするっていう……。
あー、でもこのレナさんのスクショはリスの背後からの視点にして、自分自身も写すって手段を取ったのか。そして操作感が全然違う状態で成熟体のカメに蹴りを入れてスクショも撮っていると。……やる事が相変わらず凄いな、レナさん。
「刹那さんの分体での挟み撃ちの斬撃も凄いかな」
「だなー。刹那さんならではって感じだし」
サメを相手に手前からと奥からの2方向から挟撃してるのは、分体を作れるからこその光景だよなー。これは個人部門での演出勝ちって感じがする。
「カグラさんのは氷結草の群生地だよね?」
「どうやって撮ったのかがよく分からんが、キラキラと光が乱反射してるし光の操作か?」
「そうっぽい気がするのさー!」
でもこれも団体部門になってないって事は1人で撮ったんだろうね。確かカグラさんは1stがタカだったはずだし、飛びながら光の操作で演出をした感じかな?
「十六夜さんのは、ネス湖のアロワナか」
「あえて暗い状態で撮ってて、不気味な感じに仕上がってるのさー!」
「ちょっと怖い感じかな?」
「……今にも襲いかかってきそうな雰囲気だしね」
「実際に襲われただろうがな」
「だろうなー」
でも、だからこその迫力がある。ソロで活動してる十六夜さんだからこそ、怯む事なく襲ってくるアロワナをしっかり捉えてスクショを撮れてる感じだよね。
それにしても十六夜さんって、スクショの撮影も上手いんだなー。なんだかんだであの人も無茶苦茶な人ではあるよね。情報提供でも頼りにはなるし、味方で良かった人だと思う。
「琥珀さんのは、草原でのシンプルな虹だね。見通しが良いから、かなりインパクトがあるよ」
「これは見事な虹なのさー!」
「ハーレの夜の虹も良いけど、こういうのも良いかな!」
「シアンさんのは……一般生物の魚とか海藻とかを海流の操作に巻き込んでるんだな」
「割と良くある光景だと思うが、逆にそのスクショをしっかり撮ってる人が少なかったのかもしれんな」
こうして色んなスクショを見てみると、どれも凄いと思うし、その上でしっかりとした個性も出ている。いやー、どれもお見事!
その中にハーレさんのスクショが優秀賞として選ばれているのは、一緒に遊んでる身としては嬉しいとこだな。
「さて、とりあえず個人部門の確認はこんなとこか」
「ふっふっふ、私はスキル強化の種を1つゲットなのです!」
「今のところ、アルが2個で、ハーレが1個かな!」
「最終的に何個になるんだろ?」
「団体部門の結果次第だが……見てみないと分からんな」
「それじゃ、このまま勢いに乗って団体部門も見ていくのです!」
「……だなー」
いかん、ハーレさんの緊張がどっか吹っ飛んで喜びが全開になってるのを見たら、また妙に緊張し始めた。
ふー、落ち着け、俺。報酬を貰うという点では、結構な高い可能性があると思うスクショには参加していると思うから期待は出来るはず。
問題は俺の撮ったスクショがどうなるかだけど……多分順番的に団体部門も灰の群集は一番最後のはず。もう少しは余裕を持って見ていけば良いはずだ。
「……よし! それじゃ団体部門を見ていくぞー!」
「「「「おー!」」」」
いくら緊張したって、ここから結果が覆る事はない。なら、楽しみながらチェックをしていくまで! ……そう言い聞かせながら見ていくのみ!
『団体部門』
各群集毎に優秀賞を3枚、入賞は4枚。
優秀賞賞品:スキル強化の種、1個
入賞賞品:各種アイテムの詰め合わせから好きな物を2個
あ、団体部門の方は優秀賞3枚、入賞4枚なんだ。こう考えてみると、個人部門も団体部門もそれぞれの群集で7枚ずつ受賞だから、事前審査を通過した100枚の中から21枚選ばれた事になるんだな。
でも、団体部門は事前審査を通過した200枚の中から21枚だから、選出枚数は同じでもこっちの方が競争率は高いんだね。……うん、なんか自分のがダメだったとしても、少し気は楽になりそう。
さて、それは赤の群集の団体部門の結果を見ていこうっと。この部門、ルストさんと一緒に撮ったのがあるから、期待出来るぞ!
・赤の群集
優秀賞:【浄化の光に照らされて】
撮影者:ルスト
優秀賞:【水の上を駆け抜けて】
撮影者:蒼華
優秀賞:【激戦を見よ!】
撮影者:ガスト
入賞:【瘴気の木と浄化の竜】
撮影者:ルスト
入賞:【食事タイム!】
撮影者:奏
入賞:【埋まってますが何か?】
撮影者:カナヅチ
入賞:【俺達の戦いはこれからだ!】
撮影者:弥生
赤の群集は、やっぱり知ってる人が多い。でも、知らない人も混じってはいる。でも、それよりも重要なのはこっち!
「ルストさんの発火草のあれ、優秀賞じゃん! しかも、サヤとアルが主役のも入賞だ!」
「関係してるのが2つはやったかな!」
「俺とサヤがメインのやつか。ははっ、参加してるのが通ると嬉しいもんだな!」
「うん、これは嬉しいね! えっと、優秀賞の発火草のスクショでスキル強化の種が1個、アルさんとサヤがメインのでアイテムの詰め合わせが1個だね」
「そういえば、アイテムの詰め合わせって肉とか魚とか果物とかの詰め合わせですか!?」
「……選択出来るみたいだけど、具体的な内容は書いてなかったね? そこは選ぶ時に要確認かも」
「あー、シレッと新アイテムが混ざってる可能性もあるしなー」
「その可能性は充分あるな」
まぁあったとしても後々入手方法は追加されるとは思うけどね。場合によっては鶏卵とかが手に入るようになってる可能性もあるよな。
あー、瘴気石のセットとかもあり得そう? 進化の輝石セットとかは……流石にないか? いや、ないとも言い切れない? うん、今考えてても分からないから、考えるのはなし!
「蒼華さんって赤のサファリ同盟の本拠地で氷属性の桜の不動種の人だったよな? 湖の上をダチョウの集団が走ってるのを撮ってるのはなんで?」
「蒼華さんは1stが龍じゃなかったっけ? ほら、封熱の霊峰で全群集で入り乱れてのバトルロイヤルになった時にさ」
「あー! そういやそうだっけ! それなら納得だな」
うん、不動種の木で湖を斜め上から撮ってる構図だからどうやってって思ったけど、蒼華さんは確かに龍でも会ったことはある。空を飛べる龍なら、この構図は問題ないよな。
「ガストさんのは……ルストさんが思いっきり弥生さんに追いかけて回されてるな」
「これ、どっかの川沿いだな? 合同撮影会での待機の時とは別の時か」
「だろうなー。それにしても、一応全部見たとは思ったけど、結構見落としてるっぽいな……」
「流石にそれは仕方ないんじゃないかな?」
「まぁ合計300枚を、テスト勉強の合間の1時間で見たんだしね」
「じっくり見たかったというのが本音なのです!」
「あー、そりゃあの枚数を1時間じゃ見落としはあるだろうな。俺は3時間くらいかけてじっくり見たしな」
「……マジかー。まぁテスト期間だったし仕方ないか……」
俺とサヤとヨッシさんとハーレさんで息抜きを兼ねて、1時間という時間制限の中で見たからなー。……流石にテスト勉強の合間に3時間も、スクショの投票に時間はかけてられなかったしね。
多分1人で見てたら3時間どころか何度も見返して、どれに投票するかを迷って勉強が盛大に脱線してた可能性もある。それを考えるなら多少の見落としはあっても、きっちり1時間で終わらせたのは良かったはず……という事にしておこう。
「この奏さんは知らない人なのさー! リスの集団で木の実を食べてたのは赤の群集のスクショだったんだねー!」
「これは微笑ましい光景かな!」
「うん、なんか癒されるよね」
「だなー。……で、カナヅチさんとやらが撮ったのが、例のアレか」
「ケイ、例のアレってどういう意味だ? いや、確かに不思議な光景ではあるが……」
「いやさ、サヤとヨッシさんとハーレさんと選んでる時に『コンセプトが謎』って話題になったやつなんだよ」
「あー、なるほどな。確かにその意見には賛成だ」
あの荒野で色んな種族が頭だけを出して埋まっている光景のスクショを撮ったのは赤の群集の人だったんだな。ヨッシさんがどこの群集か気になって投票したのが結果に出てきたね。
「ヨッシがどこの群集の人が撮ったか、気にしてたもんねー!」
「……あはは、赤の群集だったとはねー。私としては灰の群集な気がしてたんだけど、外れちゃった」
「そういう事もあるかな!」
「まぁそうだね。それにしても赤の群集って、こういうネタのスクショを撮れるようにまでなってるって事だよね」
「……まぁ考え方によってはそうなるな。ふむ、ルアーさん率いる『リバイバル』や弥生さんの参戦が解禁された事以外にも警戒すべき事はありそうか」
「あー、そっか。完全にネタに走っても大丈夫なくらいには、雰囲気は良くなってるって事になるもんな」
うん、そういう視点では考えてなかったけど、確かにそういう考え方も出来る。……むしろここでネタのスクショが赤の群集のものだと分かったのは収穫か。
「それに、弥生さんの入賞してるスクショは宣戦布告かな?」
「シュウさん、ガストさん、ライさん、ラピスさん、アーサー、水月さん、ルアーさん……他にも対人戦に出てきそうな人の集合のスクショだもんな。何か意図はありそう」
「でも、そこは望むところなのさー!」
「逆に言えば、強そうでもここに写ってない人は参戦しない可能性が出てきたか」
「……それが罠って可能性もあるけどね」
「その可能性もあり得るか……。ま、考え過ぎは良くないやつだな」
「だなー」
明確に参戦者だけにするならスクショを撮るのは弥生さんじゃなくてルストさんでも良さそうな気はするし、変に惑わせるのが目的なら考え過ぎる方が狙い通りになってしまう。この辺は考え過ぎず、臨機応変に動けるように意識しとかないとね。
さてと、これでとりあえず赤の群集の団体部門が見終わった。それじゃ次は青の群集の団体部門を見ていこう! そしてその後は……俺のやつの結果も見ないとなー。
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