第962話 コンテストの投票 中
色々なスクショを見たけど、その上で個人部門はどれに投票するかは決めた。俺としてはこの理由で迷う余地はない。
「……よし、晴香、贔屓目なしに月虹のスクショに投票させてもらうぞ」
「え、兄貴、ホント?」
「なんだかんだであの時の光景って、地味に心に残ってるからなー。それをしっかりとスクショで残してくれてるんだし、俺としては文句なしに気に入った!」
「あぅ!? 直球で褒められるとなんかむず痒いのさー!?」
同じ光景のスクショは俺も撮ってるけど、その質は段違いだしな。ある意味ではここは贔屓目かもしれないけど、身内だからという理由ではない。俺自身がこのスクショを良いと思ったのは間違いないからね。
という事で、俺の個人票は晴香が撮った月虹のスクショに投票だ! どれも甲乙付け難いけども、俺の決定はこれでいい!
あ、でも総合票は……全部の票を入れてからじゃないと確定にはならないのか。それなら団体部門で上回るのがなければ、総合票をこのスクショに入れ直して調整すればいいな。これより気に入ったのがあれば、総合票はそっちにするけど。
ふむ、地味に白票でどれにも票を入れないって事も出来るっぽいね。まぁ3票全部入れたら『転移の実』が10個もらえるのに、白票にする意味は分からないけど……。
「うん、私も決めたかな!」
「私も決めたよ!」
「サヤとヨッシはどれにするのー!?」
「「それは内緒!」」
「あぅ!? 教えてもらえなかったのです……」
「あはは、ここは言わない方が良い気がしたかな?」
「さっきのケイさんの理由を聞いた後だと、色々言いにくいしね」
あ、この感じはサヤもヨッシさんも、ハーレさんの月虹のスクショに入れる気だな? まぁ晴香もそれは勘付いてそうな気がするし、雰囲気的に2人も無理に隠そうともしてないね。
「そういうハーレはどうするの?」
「私は自分のお気に入りに投票するのです! 自分が応募したものにも投票出来るみたいだし、自分が自信を持って撮影したんだから、私は自分のを選ぶのみなのさー! 月虹の方が特に自信あるから、それに投票なのです!」
「うん、それも良いんじゃないかな!」
「自分のスクショには、自信を持たないとね」
「確かになー」
そうして個人部門の方の投票はとりあえずひと段落だね。なんか全員一致で晴香のスクショに投票になった気がするけど、まぁ別にルール違反じゃないし問題ないか。
「それにしても、この個人部門のスクショって知ってる人が撮ってる可能性って結構あるよなー」
「確かにそれはありそうかな!」
「ふっふっふ、私はラックが撮ったのをいくつか見つけているのです!」
「え、そうなんだ?」
「ラックは今回はライバルだから、みんなには内緒なのさー!」
「なるほどなー」
ま、ハーレさんの気持ちも分かる。ラックさんは既に公式から宣伝にスクショを使われているくらいだし、相当強力なライバルだもんね。
どのスクショがラックさんのものなのかは気になるけど、それは結果発表までのお楽しみか。他にも赤のサファリ同盟の人達やレナさんとかが撮ったのも大量にありそうだよね。ま、確定は出来ないから、そこまで気にしないでいいか。
「さてと、それじゃ団体部門も見ていくぞ!」
「「「おー!」」」
団体部門は俺らも参加しているのが結構あるから、そこら辺がどうなるかが気になるよね。とりあえず見てみれば分かる事だし、まずは団体部門のスクショを見ていきますか!
という事で表示を団体部門に切り替えて……ん? 団体部門は運営が絞ったのが200枚で、個人部門より通過枚数は多いのか。あー、応募総数が3万を超えてるから、通過数も増えたっぽいな。
うーん、相当絞られてるけど、それでも200枚って多いよなー。こっちは結構票が分散しそう。
「こっちの方が枚数が多いのさー!?」
「団体部門は、サファリ系プレイヤー以外の人も出してるからじゃない? ほら、私達だってハーレ以外はそうだしさ」
「地味に団体部門の方が競争率は高そうかな」
「まぁそりゃそうだろうな」
「あぅ……そう言われるとそうなのです」
あちこちで群集を跨いでの共同撮影会とかしてたくらいだし、個人で動くよりも大々的に枚数は増えるよな。でも応募総数が3万以上あっても、同じシーンを撮ったスクショも多そうではあるよね。
ま、とりあえず総数や通過数を気にし過ぎて見る時間が無くなってもあれだから、サクサク見ていこう。枚数が多いから、のんびりじっくりとは見ていけないし。
「キノコとタケノコの対立のがあるかな!」
「お、マジだ!」
「構図的にラックが撮ったやつなのさー! あれ!? こっちは私がふざけて撮ったやつー!?」
「……あはは、ライムさんが余計な事を言って、両方から狙われてたやつだね」
「あー、そういやそんなのもあったなー。てか、そういうのも通ってるのか」
まさかの撮影最中でのトラブルを晴香が撮ってたやつが通過だった。確かお菓子論争がきっかけだったのに、第3の派閥を放り込んで四面楚歌に陥った時だよな。
「わー!? これってハイルング高原で見かけたやつなのさー!」
「どれどれ? あー、電気属性の成熟体のドラゴン……龍が雷雲の中から出てきてるやつか。確か撮ってたのは青の群集の人だったよな、これ」
「え、そんな事ってあったかな?」
「これは確か18時過ぎで、サヤとヨッシがいなかった時だったと思うのです!」
「……通りで覚えがない訳かな」
「まぁそういう事もあるよね」
「そういえば兄貴! これを撮ってたプレイヤーって、ペガサスの人とニワトリの人じゃなかったー!?」
「あー、どうだっけ?」
流石にそこまで詳しくは覚えてない……って、ちょっと待て!? よく考えたらニワトリ!? 鶏卵の入手方法がいまいち分かってないのに、プレイヤーでニワトリ!?
「え、ハーレ!? ニワトリのプレイヤーがいたの!?」
「あぅ……今思い出したとこだけど、自信はないのです……」
「……もしかして、青の群集は鶏卵の入手方法を知ってたりするのかな?」
「もしプレイヤーにニワトリがいるなら、アルさんの蜜柑やレモンみたいに生産が出来る可能性はあるよね」
「その可能性はあるよな」
うん、ここにきて地味に重要な可能性が判明した。……ニワトリにはどうやって進化するんだろ? もしくは元々どこかにニワトリが敵として存在していて、選べるようになっている?
「……俺かハーレさんなら遭遇した事になるから、3rdが解放されたらニワトリが作れる可能性がある?」
「ケイさん、それはナイスアイデアなのさー! でもしばらくはお預けなのです……」
「まぁテスト明けになってからじゃないとね」
「3rdの解放も推測だから、確定でもないかな」
「ま、そうなるよなー」
試すにしてもまだその辺は条件が整っていないから、すぐにはどうにもならない。てか、脱線してても仕方ないし、続きを見ていこう!
「おっ、瘴気で淀んだ海を浄化していくみたいな演出があるな。へぇ、タチウオでぶった斬ってるのか」
「これ、斬雨さんかな?」
「刹那さんという可能性もあるのです!」
「うーん、どこの群集か明示されてないから、種族だけだと判別し切れないね」
「確かにな。他にもタチウオの人もいるだろうし……」
まぁそれを分からなくする為にどこの誰が撮ったかは伏せてるんだろうしね。それでも自分達が関わっていたやつは分かるけど。いや、関わってるのが分からない方が問題だけどさ。
「はっ!? これは多分シンさんなのです!」
「あー、サボテンの棘に色々刺してのバーベキューの光景か。確かにシンさんっぽい」
「あ、カンガルーのジャンプの高さの比較みたいなスクショもあるかな!」
「こっちは水の上をダチョウの群れが走ってるね」
「……もう何でもありだな」
まぁ見てて楽しいけどね。それにしても、演出と言ってもみんな色々と考えるもんだなー。まだ団体部門は3分の1も見てないのに、迫力があるのも、楽しそうにしてるのも、色々なスクショがあるよ。
でもまだ俺らが関わってるのはキノコとタケノコ関係の2枚のみか。とりあえず次々見ていくしかないね。
「あー! ケイさんと紅焔さんの瘴気魔法と昇華魔法の撃ち合いのがあるのです!」
「お、マジだ!」
「これも私とヨッシがいない時のだよね。聞いた覚えがあるかな」
「うん、私もそれは聞いた覚えがあるね」
これは紅焔さんやソラさん達と一緒にいて、確かレナさんとダイクさんも一緒だったはず。曇り空を吹っ飛ばす大々的な演出にしたやつだよな。
って、ちょっとサヤが寂しそうにしてる!? あれか! 自分がいない時のが通ってたのが寂しいとかそういう感じか!?
「あ、これってアルさんが参加してたやつじゃない?」
「夕焼けの森の上空を、海の魚やクジラとかの大人数で飛んでたやつかー。そういやそんなのもやってたな」
「わぁ! これは幻想的かな!」
「これは凄いのさ……!」
うん、大人数が集まっているという事もあって迫力が相当あるし、夕焼けに向けて飛んで泳いでいく様子が幻想的なものになっている。……これ、すげぇな。
このスクショの主導ってレナさんだっけ? いや、ラックさんだった気もする? うーん、やっぱりレナさん? 直接見てはなかったと思うから分からん! とりあえず次ー!
「あー、池に浸かる小動物の群れって、これは確実にあそこだな」
「あはは、灰のサファリ同盟の本部かな!」
「これが赤の群集や青の群集だったら、びっくりだね」
「でも、もしかしたら真似て作ってる可能性もあるのです!」
「いやー、流石にここまで見覚えのある地形にはならんだろ」
「それはそう思うかな」
「あぅ……それは確かにそうなのです。でも、同じような場所の存在は可能性としてあり得るのさー!」
「まぁそれは確かに……」
灰のサファリ同盟の本拠地になってるあそこは、明確に生産拠点の1つになってるもんな。赤の群集で生産向けの共同体も発足したとも聞いたし、そこを参考に作られている可能性は否定は出来ないか。
「おぉ!? ネス湖のアロワナに向かって、複数人で光の操作を使っている様子があるのです!」
「……これの直後、絶対に殺されてるだろうな」
「ほぼ確実にそうなのさー!」
「あ、雪山の雪崩から大勢で逃げてるのもあるね」
「一部の人が呑み込まれてもいるかな」
「草原で一斉に走ってるのもあるけど、これはレースか? ヒョウとかライオンとかその辺が揃ってるっぽいけど」
「多分そうじゃない? あ、風雷コンビっぽいのが写ってるね?」
「でも他にも雷属性っぽいライオンやヒョウもいるのです!」
「見た目が似てるのが集まってるかな?」
「……なんで、色んな種族が首だけ出して荒野に埋まってるんだ?」
「……コンセプトが謎だね」
「これを撮ったの、どこかな!?」
「謎過ぎるのさー!?」
いや、色々と見てきたけど、本当に色んなスクショがあるもんだな。……まだ全部は見れてないけど俺らが撮った分でも通ってないのは大量にあるな。割合を考えたら、既に関係してるのが結構通ってる方だろうけど。
アルと桜花さんの対決の演出とか、発火草の群生地での演出とか、その前の待機の時のスクショとか、その辺は全然見てないから、あの辺はダメだったか。まぁ全部が事前審査を通る訳じゃないから、そういうのもあるのは仕方ない。
「あっ! 海エリアでのイカの討伐の時の、みんなの誘導のスクショがあるのです!」
「お、マジだ。これ、海中からっぽいけど誰が撮ったんだ?」
「分かりません!」
「んー、まぁ誰が撮ったかは良いんじゃないかな?」
「そうだよね。あの時、海中で誰がどう動いてたかは分かんないしさ」
「まぁ、それもそうか」
俺らは海の上でアンモナイト相手に必死に足止めしてたしなー。それにしても、海の中に続いていく大量の光で包まれた通路のスクショも凄いもんだ。
「こっちは涙の溢れた地の滝を競うように登っているのです!」
「いやいやいや、魚が滝を登り過ぎだろ!」
「コイの滝登りだね。……落ちまくってるみたいだけど」
「……滝登りに成功したら竜に進化したりするのかな?」
「あー、どうなんだろな? そういう逸話はあるけど、ゲーム的に実装されてるかどうかはなんとも……」
「確かにそこは少し気になるね」
うーん、コイをフィールドボスへの進化に使った際に竜へと進化した例があるからなー。コイから竜への進化ルートがあるのは間違いない。
変なとこに条件があったりもするから、滝を登り切ったら変異進化が発生するとかがあっても不思議ではない。でも、その辺は興味深いけど未知数か。
「あ、私が写ってるのがあったかな!」
「これ、発火草の群生地でルストさんが撮ったやつだね!」
「あぅ……私の撮った構図のはなさそうなのです。でも、これがあったのは嬉しいのさー!」
「だなー!」
これはかなり気合を入れて撮ったスクショだし、誰が撮ったかは明白だから赤の群集の団体部門で確定だしね。地味にここまでの中で俺らが関わっていて、赤の群集の団体部門で確定したスクショはこれだけか。
「ん? あ、こっちはルストさんが発火草の群生地で撮ってたやつだよな!?」
「おぉ!? サヤとアルさんは写ってないけど、同じ時に発火草をメインに撮ったやつなのさー!」
「……これは改めて見ても相当良いかな」
「うん、その気持ちは分かるよ」
「だよなー」
このスクショを初めて見た時にも思ったけど、上手くは説明出来ないけど、凄い躍動感や発火草の良さが活きているんだよね。参加した団体部門の中ではこれが一番好きかもしれない。
「『青の野菜畑』のみんなが待ってる時の演出もあったかな!」
「こっちにルストさんを追いかけ回す弥生さんのスクショもあるね」
「私達のはないのー!?」
「……見た感じ、無さそうだなー」
あの演出でそれぞれの群集の団体部門に参加するのは期待してたけど、流石にここの突破にはならなかったかー。まぁそもそも応募に数が多いし、何でもかんでも通る訳じゃないんだから仕方ない。
さてと、これで団体部門は150枚くらいは見た。こうやって見てる間に17時40分くらいになってるし、残りもチェックして団体票と総合票を投票しないとね。
ーーーー
更新のお休みについて
第28章が3月27日の更新で終わりになりますので、一旦そこで更新をお休みにさせていただきます。
詳細は近況ノートに書いてありますので、ご確認下さい。
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