第954話 倒していく順番
緑色の銀光を放つサヤの爪での攻撃は着実にダメージを与えているけど、ちょいちょい桜の根からの攻撃がサヤに当たってるね。……この状況なら、俺が直接防ぐよりはこれが良いか。
「ケイ、桜の根が地味に邪魔なんだけどどうにかならないかな?」
「それなら守勢付与の自動防御で対応するよ。それ以外だと邪魔になりそうだしな」
「あ、確かにそれは……そうかな!」
おぉ、桜の木の根での叩きつけ攻撃を飛び退いて回避してから、確実に爪をクマに当てにいってるね。
守勢付与による自動防御は、こういう状況なら役立つはず。変に俺が防壁魔法で攻撃を防げば、サヤの動きを阻害する可能性が高いしね。この辺はスキルの使い分けだ。
<行動値7と魔力値21消費して『土魔法Lv7:アースエンチャント』を発動します> 行動値 61/82(上限値使用:1): 魔力値 169/226
これでサヤの周囲に小石が3つ漂い始めたから、3回は自動防御で防いでくれるはず。そういやこの守勢付与での自動防御、水と土で極端な性能差ってあるのか? どっちも敵の攻撃を弾くように防御してたし、この2属性ではそんなに違いはない?
まぁ、火や電気は確実に性質が違うだろうけど、水と土の自動防御の性質が似てるのは別に良いか。敵の属性に合わせて使い分ければ良いだけだ。
「これで、攻撃に専念できるかな!」
防御を守勢付与の自動防御に任せられるようになったサヤの動きが速くなって、次々とクマを斬り刻みながら、緑色を帯びた銀光がより強まっていく。桜からの攻撃は避けていたけど、サヤ自身が対処しなくて良くなって戦いやすくなったか。
ははっ、それに思った以上に付与魔法の効果が効いて、もうクマのHPはほぼない。物理攻撃とはいえ、Lv3でかつ最大強化まで行った弱点属性の攻撃だ。雑魚敵にあっさりと耐えられてたまるか!
守勢付与の自動防御はしっかりと桜からの攻撃を弾いているし、これは良い感じだ。ただ、使い切った際に即座に再発動を出来るようにしておかないと。
……軽く見た様子でだけど、クマと桜が同時攻撃する事はあっても、スキルは使ってないっぽい。ただ、両方共を意識してないといけないから、単独の個体よりも厄介だな。
そうしている間に守勢付与をあっという間に使い切り、その間にサヤの爪が放つ緑色を帯びた銀光は最大まで強まっている。これなら付与のし直しはせずに仕留めきれるか? いや、万が一に備えて守勢付与はかけ直しておこう。
<行動値7と魔力値21消費して『土魔法Lv7:アースエンチャント』を発動します> 行動値 54/82(上限値使用:1): 魔力値 148/226
よし、これで守勢付与の漂う3つの小石を再び用意出来た。うーん、こう考えると、これが3つから4つに増える操作Lv7にする為にスキル強化の種を使いたくなってくる。
でも、それは水の操作にするか、土の操作にするかで絶対に迷うんだよなー! 他にも上げておきたいスキルもあるし、使い方に非常に悩む……。まぁ今考える事じゃないから、戦闘に集中しよう。
「これで最後の一撃かな!」
「サヤ、ナイス!」
おっし、とりあえずクマの方はHPが無くなってポリゴンとなって消えていった。付与魔法の掛け直しは必要なかったね。
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
クマは消えて、その場には桜の木が残った。これでこの桜の木は砂の中には逃げられないぞ。って、桜の根が地面に地面に植わった!?
なるほど、流石は普通の植物じゃないな。こんな岩場でも植わって根は張れるし、その状態でも戦えるってか! だけど、桜の木の相手はアルが足止めしてるサルを倒して――
「サヤ、真下から攻撃なのさー!」
「っ!? ケイ!」
「ほいよっと!」
よし、サヤがジャンプして回避して、守勢付与の小石が動き出した。真下からの攻撃って事は多分だけど、昨日アルに見せてもらった樹木魔法Lv6のルートスキューアだろう。サヤがジャンプしたのは、これを俺が防御しきれるかを試す気だな。
あ、ふと思ったけど、こういう刺すような攻撃には水の守勢付与の水球だと防ぎにくそう? って、考えてる場合か-!
<行動値5と魔力値15消費して『土魔法Lv5:アースウォール』を発動します> 行動値 56/82(上限値使用:1): 魔力値 154/226
突き刺してくる根がサヤに届く前に、間に合え-! おっし、サヤのジャンプした足元に展開した防壁魔法は破壊されたけど、割と勢いは削げた。その直後に守勢付与の小石が根を弾いてサヤは無傷!
ルートスキューアはLv6の魔法だから完全には防ぎきれないけど、それでも大半は相殺出来るのは分かった。それとハーレさんが反応出来てたし、危機察知持ちがいるPTにはあんまり有効じゃない奇襲だな。
さて、ここからどうするか? この桜は放置して、アルの足止めしてるサルを仕留めにいくか? いや、そもそも今あっちはどんな状況かにもよるな。まずは様子を少し見ようか。
「ヨッシさん、エレクトロインパクトの用意を頼む! もう大根が保たないから、サルを仕留める方に切り替えるぞ! 『シーウォータークリエイト』『並列制御』『海水の操作』『根の操作』!」
「了解! 『エレクトロインパクト』『エレクトロインパクト』!」
「ハーレさん! 思いっきりやれ!」
「了解なのさー! 『連速投擲・風』!」
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
あ、大根が今ので死んだっぽい。そしてサルはアルの木の根に巻きつかれた上で海水の中に閉じ込められて、そこにハーレさんの緑色を帯びた銀光を放つ投擲が次々と投げ込まれていく。
お、アルが投擲の邪魔にならないように海水に穴を空けているな。銀光の強弱の度合いを見た感じではハーレさんはLv2で発動して、その穴から投擲を当ててるし、サルへもダメージは結構な量になってる。海水でも苦しんでるし、これならあっという間に倒せるはず。
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
って、あれ!? サルはまだ死んでなかったはずだし、桜はサヤが引きつけているし……そうなると残るはルストさんだよな。
あ、やっぱりルストさんに捕獲を任せてた松の木が消えて無くなってる。……ん? なんか、急激に眩しくなってきたんだけど、これってもしかして!?
「戦闘中でしたが申し訳ありません! 私はスクショを撮るという一番の目的を優先する為に松の木は撃破させてもらいました!」
「元々そういう話だし、問題ない! サヤ、桜の木は俺と2人で何とかするぞ!」
「うん、分かったかな!」
「アルさん、手早くこのサルを仕留めるのさー! 『略:ウィンドボム』!」
「それしかねぇな! ケイ、さっきそっちでやってた敵への土の付与魔法を頼めるか!?」
「それならこれを準備しておくのです! 『アースクリエイト』『爆散投擲・風』!」
あ、アルはさっきに俺とサヤの戦闘はしっかりと把握してたのか。それにもうハーレさんはチャージを開始しているね。これもLv2で発動ってとこか。
もう大詰めだけど、俺だけが離れると桜の木の相手をサヤ1人に任せる事になる。……よし、ここはメンバーチェンジだな。
「アル、それは了解だ! ヨッシさん、俺と交代でサヤと一緒に桜の木の相手を頼む!」
「うん、その方が相性的に良さそうだね。こっちは任せるから、あっちは任せて!」
「ほいよっと!」
「ケイ、当てやすくはしとくが、あんまり拘束は緩めたくないから微調整は自分で頼むぞ!」
「ほいよ!」
という事で、役割変更! さーて、付与魔法がかけやすいように、アルがハーレさんの投擲用に空けている穴を少し広げてくれてるね。
ふー、魔法越しには魔法がかけられないから、この調整はありがたい。それじゃ今回、妙に大活躍の土の付与魔法を使っていくか! あ、でも俺の位置的には狙いにくいな。
<行動値上限を2使用して『移動操作制御Ⅰ』を発動します> 行動値 56/82 → 56/80(上限値使用:3)
とりあえず飛行鎧まではいらないという判断で、水のカーペットを生成! いらないというよりは、下方向への視界を確保したいからって理由の方が正確だな。
今は多分大丈夫だろうけど、ルートスキューアを使ってくるのなら真下からの攻撃は要注意! それじゃ穴からサルが見える位置まで移動!
<行動値7と魔力値21消費して『土魔法Lv7:アースエンチャント』を発動します> 行動値 49/80(上限値使用:3): 魔力値 133/226
これでサルに茶色い紋様が浮かび上がったから、俺らのスキルを新たに3発当てるまでは効果が継続する。ふっふっふ、物理型で土属性の攻撃をほぼ使ってこない今回の敵には効果ありまくりだな!
「あっ、なんだか桜の木の様子が少し変わったかな!? しおれかけてた部分が元気になった?」
「……これ、光合成を使われたかも? サヤは竜で火魔法でお願い!」
「分かったかな! 『略:魔法砲撃』『略:ファイアボム』!」
「一気に行くよ! 二重の溶解毒の『ポイズンインパクト』! っ!?」
「あっ、ヨッシには攻撃させないかな! 『爪刃乱舞・風』!」
「……あはは、サヤ、ありがと」
「どういたしまして! 私は花びらの迎撃に専念するかな! 『爪刃乱舞・風』!」
「うん、お願い!」
おぉ、桜の花びらがヨッシ襲いかかってるけど、サヤが思いっきりそれを切り落としている。サヤの場合は魔法で対処するより、爪で叩き落とす方が楽なのかもね。って、そんなにサヤ達の様子を見ててどうする!
「おぉ!? これは……空中にいる半透明なクラゲの身体を通して、天井部分に光が乱反射しています!ね どういう意図がある行動かは分かりませんが、これはスクショを撮るしかないでしょう! わざわざ来た甲斐がありました!」
なんかルストさん興奮してる声が聞こえてくるけど……って、なんか天井部分が凄いことになってる!? え、成熟体のサボテンの強い光に照らされたクラゲの身体の模様が、そのまま天井に映し出されている?
だー! これは思いっきり見たいけど、今は戦闘を終わらせるのが先! この光景がどのくらい続くのか分からないけど、さっさと終わらせれば良いだけだ。
「ハーレさん、チャージはあとどのくらいだ?」
「まだもう少しかかるのさー!」
「なら、それまでに少しでもHPを削っとくか」
アルの海水の中で、根に捕まってるサルも決して大人しくしてる訳じゃないもんな。あんまりこの状態を長く続けて、アルの魔法産の海水を取り込んで纏属進化をされる可能性もあるしなー。
あ、そうなったら雷属性に弱くなるから、サヤとヨッシさんの電気魔法で倒せば良いだけか。でも今は2人とも桜の木を相手をしてくれているから、それは最終手段で!
さーて、最近そんなに使ってなかったけど、これでいくか。土魔法は効果が薄いだろうから、水魔法のこっちだな。
<行動値上限を1使用して『魔法砲撃Lv1』を発動します> 行動値 49/80 → 49/79(上限値使用:4)
<行動値10と魔力値90消費して『半自動制御Lv1:登録枠2』を発動します> 行動値 39/79(上限値使用:4): 魔力値 43/206 再使用時間 90秒
魔法の起点は右のハサミにして、照準はサル! 土属性だから、今回はアクアボールの45連射でいく! これで倒し切れればよし、そうでなくても次のハーレさんの攻撃で仕留めきれる! って事で発射!
「ケイ、それはちょっと待て!? 折角の付与魔法を無駄にする気か!?」
「あっ!? この場合ってカウントどうなんの!?」
「あー!? 付与魔法の効果を使い切ったのさー!?」
くっ、水魔法1発ずつが付与魔法の消費判定か! あー、完全にその視点は抜け落ちてたよ。でも、もう付与魔法がいらないくらいに削れてない? よし、俺のは撃ち終わり!
「ヨッシ、今かな!」
「これでトドメだよ! 溶解毒の『ポイズンインパクト』!」
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
「ヨッシ、ナイスかな!」
「サヤも足止め、ありがとね」
おっと、どうやらサヤとヨッシさんが桜の木を倒したみたいだね。さーて、残ってるのは俺らが相手をしているサルのみか。一番最後にこいつが残るとはね。
それにしても海水に閉じ込められてるからか、ずいぶんと大人しいな、このサル。まぁ雑魚敵だし、こんなもんか。
「チャージ、完了なのさ-!」
「ハーレさん、ぶっ放せ!」
「はーい!」
そうしてハーレさんが投げ放った眩い緑色の銀光を放つ魔法産の小石は、サルに当たると同時に爆散し、HPが全て無くなりポリゴンとなって砕け散っていった。
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
よし、ここでの初戦はこれで終了! 経験値はグラナータ灼熱洞と比べて、ちゃんとアイテムでの増加分も考慮した上でもそれほど遜色はない。
ただ、今回の一戦はちょっと慌ただしかったなー。ま、ここはグラナータ灼熱洞と同じで一戦毎に回復が必要だし、反省は後でいいや。とりあえず、光が強くなったサボテンの様子をしっかり見ていこうっと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます