第907話 色々と試しながら
午後からのLv上げという事で、アルとサヤとヨッシさんに厄介な杉の木の相手を任せて、俺とハーレさんで他の敵の足止めである。とはいえ、可能な限り弱らせる気だけどな!
「ハーレさん、基本的に鍛えたい風魔法と風の操作を中心に使ってで良いからな」
「了解です! でも厳しそうな時は投擲も使うからねー!」
「おう、その判断は任せる! それじゃやるぞ!」
「はーい!」
さーて、今までは走り回ってたけども、それももう終わり。ロブスターの近接攻撃をメインでちょっと大暴れさせてもらおうか。
という事で、赤いスイカがぶつけてきているスイカを躱して、敵のど真ん中に移動。本格的に戦闘開始だ!
<行動値を10消費して『双打連破Lv1』を発動します> 行動値 67/79(上限値使用:3)
ふっふっふ、2発毎に吹き飛ばし効果があって使いにくいというこのスキル。今こそ、その追加効果を最大限に活用する!
マグマの中から引っ張り出した相手を集中的に狙ってくるのはここまでのパターンで分かってるからね。一度攻撃すれば標的は変わるけど、アル達が相手をしている杉の木以外は俺を狙ってくるはず!
「ハーレさん、俺の死角になる方向の敵を頼む! まずは2撃!」
「了解……というか、普通に私が狙われてるのさー!? 『並列制御』『略:風の操作』『略:ウィンドボール』!」
「あ、そういやそうか!?」
よく考えたら龍を地面に叩き落とす為にハーレさんが攻撃したのが最後だから、そもそも俺は標的になってない!? あー、初手から変なとこで判断ミスった!
「あぅ!? これで凌ぐのさー! 『略:ウィンドウォール』!」
とりあえず真正面にいたライオンを両方のハサミで同時に殴って吹き飛ばしておこう。……元々俺の死角にいる敵をハーレさんに攻撃してもらって、標的が変わったその背後から攻撃を仕掛ける気だったんだけどなー。
今はハーレさんが龍が吐く火の球を防いでいるから、まずはそっちを何とかしよう。とりあえず右側面にいたスイカは邪魔だから吹っ飛んどけ!
「とりあえずこれで4発目! ハーレさん、その龍はこっちに吹き飛ばせ!」
「了解です! 『魔法弾』『略:ウィンドボム』『狙撃』!」
「よし、きた!」
ライオンとスイカは吹っ飛ばしたので少し距離が出来てるから少しの間は放置でいい。キツネはなんか攻撃してきそうな雰囲気……あ、火口からの弾が撃ち出されてきた。こりゃ魔法砲撃か。
これは回避する……いや、ここはその攻撃も利用させてもらう! 龍が吹っ飛ばされてきてるのとキツネの位置関係的に……少し俺の右方向へ殴り飛ばせるように、龍に向かい合った状態から左にズレて、ここだ!
「これで6発!」
双打連破の2発同時打撃の方向を合わせる為にロブスターで軽くジャンプしつつ、全身に捻りを加えて、思いっきり両方のハサミを飛んできた龍に叩き込む!
おっし、狙いは成功! キツネの火魔法……爆発したから龍をファイアボムだな。とりあえずそれにぶつけられた。
ふむ、キツネのファイアボムではそれほど龍のHPは減ってないけど、全く減らない訳ではないか。
「おわっと! 着地に失敗するとこだった!」
「おー! ケイさん、今の空中での打撃は凄いのさー!」
「そりゃどうも!」
双打連破は8連撃だけど、2撃ずつの攻撃だからこれで銀光は最大強化になっている。今使っているのが魔力集中じゃないから威力は少し見劣りするけど、まぁ目的はそこじゃなくて吹き飛ばす方だから問題はない。
さて、最後の2撃は……よし、この方法でいこう。そこからあれを……いや、先に行動値を減らす方が良いから追撃をしてからにしようか。
「ハーレさん、キツネをこっちに吹っ飛ばしてくれ!」
「了解なのさー! 『並列制御』『略:ウィンドボム』『略:風の操作』!」
「よし、最大強化の8撃目!」
ハーレさんの指向性を操作したウィンドボムで吹き飛ばされてきた真正面から、最大強化の双打連破を真正面から叩きつければ結構なダメージにはなった。
キツネの残りHPは6割、ライオンは9割、スイカは8割、龍が7割ってところか。……さーて、吹き飛ばして距離は取ったものの、スイカはスイカを投げ飛ばしてくるし、龍は空中から急降下してきているし、ライオンは距離を詰めてきて、キツネは……あ、さっきので朦朧が入ってるよ。
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2nd 未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
おっと、ここで討伐報酬が出たって事は杉の木はもう倒し終えたんだな。まぁ木の弱点の海水と溶解毒を思いっきり使えば、そりゃ早いか。
でもまぁ、それなら俺も手を早めますかね! アル達がこっちに合流すれば一気に俺らが有利になるから、それまでの間に暴れるだけ暴れてHPを減らしとこ。
<行動値上限を41使用して『大型化Lv1』を発動します> 行動値 67/79 → 38/38(上限値使用:44)
ここで大型化を発動! 大型化してもライオンよりは小さいけど、それで十分! これで大暴れしてから、残りはみんなに任せるのみって事で盛大にやるぞ!
<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>
<行動値を10消費して『連強衝打Lv1』は並列発動の待機になります> 行動値 28/38(上限値使用:44)
<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>
<行動値を20消費して『殴打重衝撃Lv1』は並列発動の待機になります> 行動値 8/38(上限値使用:44)
<指定を完了しました。並列発動を開始します>
<『殴打重衝撃Lv1』のチャージを開始します>
ふっふっふっ、銀光を放ち始めた両方のハサミで連強衝打で飛んできているスイカを叩き落とし、朦朧が入っているキツネも殴りつけ連撃のカウントを稼ぎつつ、ライオンも殴り飛ばしてやる!
それと同時にロブスターの尻尾で殴打重衝撃のチャージも開始。打撃用にスキル、意外とロブスターの尻尾とか頭でも使えるのがありがたいよね。
「ケイ、杉の木は終わらせてきたかな! ……思った以上に大暴れしてるかな?」
「……あはは、4対2でも片付きそうだね? あ、でも行動値が厳しい?」
「あー、多分そうだろうな。まぁケイなら通常攻撃とコケの養分吸収でどうにかしそうではあるが……」
「削れるだけ削って後は任せるから、そこはよろしく! あ、ハーレさん、龍の相手を頼む!」
「了解です! 『略:ウィンドプリズン』!」
よし、今は龍の足止めさえしてくれればそれで問題なし。おらぁ! ライオンもキツネもスイカも殴り飛ばしてやるよ!
「ケイ、スイカは回復される可能性があるから俺らの方で潰しとくぞ。別に俺らに何もすんなって訳じゃないだろ?」
「そんな事は言う気はないぞー! スイカは任せた!」
「おう! サヤ、ヨッシさん、やるぞ。『シーウォータークリエイト』『海水の操作』!」
「分かったかな! 『共生指示:登録1』!」
「了解! 『溶解毒生成』『同族統率』! いけ、ハチ1〜3号!」
PTで戦ってるんだし、あくまで削るためにやってるんだから任せるべきところはみんなに任せるまで!
さて、それじゃ俺はライオンとキツネ……朦朧が入ってまともに身動きが取れてないキツネを仕留め切るか。もう連強衝打は最大強化になってるし、キツネのHPも残り僅かだしね。
「とりあえずこれでキツネは仕留め終わり!」
キツネは残滓だったはずだから、ポリゴンとなって砕け散っても特に何もなし。まぁ経験値は美味いけどね!
よし、残り3体! 連撃は使い切ったし、チャージがまだ終わってないって微妙な状況か。……少し走って距離をとって状況を把握していこう。
赤いスイカは……うん、海水に包まれて弱っていく上に、次々とサヤが……今回はエレクトロボムを大量に撃ち込んでどんどんHPが削れているね。なるほど、色々と連射で登録してるのか。
それとちょいちょい根や蔓を伸ばしてきてるけど、そこはヨッシさんの統率個体のハチが嫌がらせのようにチクチクと毒針を刺している。ダメージは成長体相当なハチでは殆どないみたいだけど、毒自体は嫌がってて妨害にはなってるんだな。
「アルさん、サヤが撃ち終えたらポイズンインパクトで倒し切るね! それまで私はハーレのフォローに行くよ」
「おう、了解だ! その時は海水を引き上げればいいんだな」
「うん、お願い!」
「それまでに出来るだけ削るかな!」
お、どうやらヨッシさんはハーレさんのフォローに動くようである。てか、ハーレさんが空を飛ぶ龍を1人で抑え込み続けるのも厳しいか。
俺が動きを封じてしまえばいいんだけど……おっと、ライオンめ、突っ込んできやがったか。そこまで呑気に状況を見させてはくれないようだし、そっちは任せようっと。
さて、チャージが終わればライオンは倒せそうではあるんだけど……あー、魔力集中を使ってきたか。
さーて、今はチャージ中だからスキルが使えないし、通常攻撃だけで凌がないとね。あー、思った以上に連撃の方を早くに消費し尽くしちゃったのが想定外だったな。
「ハーレ、2人で同時攻撃で龍を落とすよ! 『並列制御』『エレクトロクリエイト』『エレクトロクリエイト』『並列制御』『電気の操作』『電気の操作』!」
「了解なのさー! 『魔法弾』『略:ウィンドボム』! ……そこなのです! 『狙撃』!」
「ハーレ、ナイス!」
「まだなのさー! ケイさん、フォローするのさー! 『並列制御』『略:ウィンドボム』『略:風の操作』!」
おぉ!? 声しか聞こえてなかったからどういう状況かは分からなかったけど、爪を振りかぶってきたライオンの背中に上から叩きつけられたように龍が吹っ飛ばされてきた!?
これ、聞こえてた内容的にハーレさんがやってたっぽい! ははっ、こりゃ良いや!
「ハーレさん、サンキュー!」
「どういたしましてなのさー!」
とりあえずハーレさんのお陰でライオンにも龍にも盛大な隙が出来ている。それじゃ折角の自己強化だし、スキルなしでの攻撃でいきますか。
一気に走って倒れているライオンに思いっきり正面から突撃して、ライオンの背から飛び立とうとした龍のバランスを崩させる! よし、良い感じに地面に落ちた!
「おらっ、おらっ、おらっー!」
そこから左のハサミでライオンの頭を殴り、右にハサミで龍の頭を殴っていく! スキル程のダメージは出ないけども、自己強化で通常攻撃の威力が上がってるしそれなりにダメージは出ているね。
ふっふっふ、頭を殴れば朦朧になる可能性が高いし、今は龍の方が実際に朦朧になっている。おっし、それじゃライオンを集中的にやっていくか!
「……あはは、容赦ないね、ケイさん」
「ヨッシ、撃ち終わったかな!」
「あ、了解! いくよ、アルさん! 溶解毒の『ポイズンインパクト』!」
「おうよ!」
<『特性の実:マグマ適応』を1個獲得しました>
おっ、これで赤いスイカの撃破は完了っと! この特性の実は俺らが狩りを止める時に誰かと交代する時用だな。
こういうとこは持ちつ持たれつで、協力してやっていこう! そういうのが回り回って自分達の為にもなるからね。
<『殴打重衝撃Lv1』のチャージが完了しました>
そしてようやくチャージが終わった。さて、ライオンと龍の残りHPは2割を切るくらいと同じくらいだけども……ここは数を減らしておく為に龍相手に使うか。
龍は朦朧が入ってるから後回しでも良いんだけど、物理型のライオンより、バランス型の龍の方がダメージは多いしね。って事で、先に龍がくたばれ!
眩い銀光を放つロブスターの尻尾を、回るようにしながら龍へと叩きつける! よし、これで龍のHPが全て無くなりポリゴンとなって砕け散っていった。
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2nd 未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
龍の撃破はこれで終了! 残るは今の間に起き上がって、マグマの中へと逃げ込もうとしているライオンのみ! っていうか、逃すかよ!
「アル!」
「おう! ヨッシさん、海水魔法と電気魔法の拘束魔法で複合魔法をやるぞ! 『シーウォータープリズン』!」
「了解! 『エレクトロプリズン』!」
「おー!? ライオンが電気のバチバチって音がしながら、地面に海水が流れたのさー!」
「そういう組み合わせでも発動するのかな!」
「ほほう、こりゃ良いね」
海水で包み込む訳ではなく、地面に海水を流し込んで、そこに電気を流して範囲拘束として麻痺をばら撒く感じか。……まぁそこまで広範囲ってほどでもないし、拘束魔法の複合魔法だから威力自体は高くない。
これは状態異常の成功確率が高くないとあまり意味は無さそうだけど、逆にいえばそれなりの範囲に有効だって事だな。魔法での麻痺だからライオンには上手く麻痺が入ってるしね。
「それじゃ1番行動値が余ってそうな私がやるかな! 『爪刃双閃舞』!」
「サヤ、任せた!」
「あー、俺もやりたかったが、今は無理か」
「あはは、複合魔法を使ってるもんね」
「そういえばそれはどんな名前の複合魔法なのー!?」
「えっと、『エレクトロタイドプール』だね」
「おー! そういう名前なんだー!」
へぇ、そういう名前の複合魔法か。……てか、タイドプールってなんだ? うん、そこは終わってからアルに聞こうっと。
そうして麻痺しているライオンをサヤが爪で斬り刻んでいき、ライオンのHPは全て無くなりポリゴンとなって砕け散っていった。
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2nd 未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
「おっし、撃破完了! それじゃしばらく休憩ー!」
「ケイ、行動値を使い過ぎてねぇか?」
「あー、今回は大型化して暴れ回る事にしたから問題なし! ただ、応用スキルの並列制御の同時利用はなしだなー。後、こういうパターンなら魔力集中を使いたい……」
「……まぁそれならそれで構わんか」
反省点としては、ちょっとチャージに時間がかかり過ぎた点だね。敵のHPを削るのは良いけど、チャージで動きを制限するよりは、常に通常スキルで良いから何かのスキルで対応出来る方向で動くべきだなー。
うん、次の1戦からはその方向性で動いていこうっと。他のみんなに関しては鍛えたいスキルをメインにして戦えてたみたいだし、危ない部分はそうなかったもんな。まぁ俺が見れてない部分もあったけどね。
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