第906話 昼からのLv上げ
運良く狩りを終わりにするところだったツキノワさん達と遭遇し、狩場を譲ってもらえた。マグマ適応の特性の実も譲ってもらったので、すぐにみんなで使用して既に適応は切り替え済み。
これで17時からのスクショの合同撮影会まで、約2時間はLv上げが出来るね。ちょうど適応の実の効果時間が目安にもなるから、そこはありがたい。
「さてと、それじゃ今回はそれぞれ上げたいスキルを鍛えながらって事で!」
「おうよ! とりあえず俺は根下ろしをしとくか。『根下ろし』!」
そう言いながらアルは地面に根を下ろしていき、クジラは根に繋がった状態で待機している。アルはクジラも鍛えたいとこだろうけど、木の根を下ろした状態では移動範囲に制限がかかるし、今回メインで鍛えるのは海水の操作だな。
「ヨッシと私はアルさんの生成した海水との連携かな?」
「うん、そうなるね。ケイさん、アルさんが生成した海水の中に敵を叩き込むのをお願いしてもいい?」
「ま、その方が良さそうだな。ハーレさん、その辺を風の操作で手伝ってもらってもいいか?」
「ダメージよりも吹き飛ばすのをメインにやれば良い感じですか!?」
「おう、そんな感じだ。あれだな、風の操作でウィンドボムの指向性を変える感じで!」
「了解なのさー! それじゃ1つ提案なのです! クラゲの風魔法をリスから簡略指示で使うから、必要に応じてアイテムで魔力値の回復をしても良いですか!?」
あ、そうか。リスから簡略指示でクラゲの魔法を発動した場合はリスの魔力値を消費するから、物理型で魔力値が少ないリスの方では消耗が厳しくなる。
それは電気魔法を鍛えるサヤも同じだろうし、その辺は予め決めておいた方がいいか。まぁ午前中に昇華魔法を使いまくって、レモンで魔力値を回復をしてたんだから問題もないけどね。
「おっし、それじゃ全員今回は魔力値の回復にアイテムの使用は解禁で! ただし、使う場合は一言声をかけてから!」
「ま、声をかけるのは今に限った事でもないがな」
「了解なのさー!」
「時間を稼ぐ必要がある時は、私も近接で動くかな!」
「魔力値の管理もだけど、今回は昇華魔法で一気に殲滅じゃないから行動値の管理も要注意だね」
「そりゃそうだ。アル、場合によっては昇華魔法も使うつもりでいてくれ!」
「おう、了解だ!」
基本的に海水の操作を上げたいアルは、海水の生成魔法と海水の操作がメインになるから魔力値の消耗はそう多くはないはず。
俺もロブスターの近接でそれなりにHPを削るつもりではいるし、みんなで倒してはいくけど、危ないと判断した時には昇華魔法は躊躇なく使っていこう。……Lvが高めで色々と面倒なエリアだけど、雑魚戦で死ぬ事はないと思うけどね。
「……それにしても、ここまで来る時に魔力集中の効果が切れたのが痛いなー」
「ケイ、再使用まではあとどのくらいかな? 場合によっては1戦目は私が近接をやるよ?」
「あー、後5分ってとこ。ま、とりあえず1戦目は自己強化でやってみるから大丈夫だぞ!」
「そっか、それなら任せたかな!」
「ほいよっと」
ま、自己強化が使える分だけ良しとしよう。てか、俺もあんま上げてないとはいえ風魔法も使えるから、風属性を付与して移動速度を上げていくか。……コケの土属性とは相性は悪いけど、ロブスター側で使うんだし大丈夫だろ。
飛行鎧は……不意の回避でフェニックスがやってくる高さを飛んでしまっても面倒だから、今回は封印で。今回は近接メインでやっていこうっと。……ちょっとやってみたい事も思いついたしね。
今回の広間は陸地の部分が広いから、アルの木の根に繋がっているクジラではマグマの周辺までには距離が届かなさそうだ。となれば、今回の囮役は近接をやる俺の出番か。
「さて、俺がマグマに中の敵を引っ張り出してくるから、まずはみんな手分けして識別を頼む。最優先で魔法吸収持ちを潰す!」
「おう、了解だ。サヤ、ヨッシさん、魔法吸収持ちを見つけたら操作した魔法で一気に削るぞ!」
「分かったかな! アルと連携して、電気魔法を叩き込むかな!」
「私はそこでは電気魔法じゃなくて毒魔法を使うね。その方が多分早いしさ」
「ヨッシの毒魔法、目指せ、Lv7なのさー!」
「うん、そういう狙いもあるからね。ハーレは風魔法でフォローをよろしく」
「了解なのです!」
「よし、それじゃ戦闘開始!」
「「「「おー!」」」」
さて、大雑把ではあるけども作戦は決まった! それじゃ昼からのLv上げを本格的に開始していくぞ!
<行動値上限を2使用と魔力値4消費して『自己強化Lv2』を発動します> 行動値 82/82 → 80/80(上限値使用:2): 魔力値 220/224 :効果時間 12分
うーん、魔力集中はLv3だけど、自己強化はまだLv2なんだよなー。まぁ効果時間が伸びるだけで効果量は変わらないみたいだし、そこは特に気にしなくても良さそうな気はするけど。
さて、次だ、次! ぶっちゃけロブスターでこういう動き方をした事がない気がするけど、どうなんだろな? ま、試してみれば分かるか。
<行動値1と魔力値4消費して『風魔法Lv1:ウィンドクリエイト』を発動します> 行動値 79/80(上限値使用:2): 魔力値 216/224
<行動値上限を1使用と魔力値2消費して『操作属性付与Lv1』を発動します> 行動値 79/80 → 79/79(上限値使用:3): 魔力値 214/224
久々に操作属性付与をした気がするけど、これでロブスターとコケが風を纏った状態になって、移動速度が強化された。おし、この状態でマグマの近くを走り回って敵を引っ張り出してくるか!
「おぉ!? ケイさんが自己強化に操作属性付与をしてるのは久々に見たのです!」
そういえば前には自己強化から操作属性付与を使ったのっていつだったっけ? ……うん、全然覚えてないけど、まぁいいや。
とりあえず広間の周囲にあるマグマへと近付いていく。……よし、赤いキツネが飛び出してきた。これでまずは一体目。
さーて、このまま広間の外周をグルッと走りつつ、敵を5体まで引っ張り出しますか! 思った以上に自己強化と風属性の付与による速度強化の効果があって、キツネを引き離す事は出来なくても、追いつかれてはいない!
「このキツネは私がやるかな! 『識別』!」
「わっ! 今度は杉の木が出てきたのさー! これは私がやるねー! 『識別』!」
さーて、識別はみんなに任せて俺は走り回っていこう。よし、次は……うぉ!? 翼のある西洋系のドラゴン……龍が出てきた!
くっ、普段の紅焔さんくらいの小型な龍だけど、ここで飛ぶ敵が出てくるのは地味に厄介だな。おわっ! 次は……これなんだ? 真っ赤な草花っぽいけど……あ、蔓を伸ばして丸いものをぶつけて来てるからこれって多分スイカか!
「ヨッシさん、俺の方で龍の捕獲と識別はやる! 『並列制御』『識別』『根の操作』!」
「了解! それにしても皮が真っ赤なスイカって不思議だね。『識別』!」
「アル、ナイス!」
よし、飛んでいる龍は厄介だけど、アルが根で捕獲してくれたからそこはどうにかなる。後は他の敵に追いつかれないように、走れ、走れ、走れー! 残り1体、さっさと引っ張り出して、討伐に移行しないとな!
「ケイさん、杉の木がやっぱり魔力吸収持ちなのです! でも、刺突と拘束の特性があるから物理型みたいなのさー! ちなみに瘴気強化種です!」
「こっちのキツネは魔力強化の特性があるから魔法型かな! こっちは残滓かな!」
「ほいよっと!」
とりあえず最優先で潰すのは魔法吸収持ちの杉の木か? てか、魔法吸収を持ってても物理型って事もあるんだな。
まぁ養分吸収とか根縛とか、そういう物理系の攻撃スキルもあるんだし、そこは不思議じゃないか。杉の木は花粉での攻撃が厄介だけど、そこに拘束の特性が加わると余計に厄介か。……結局最優先で倒すべきだな。
おっと、そんな事を考えてたらマグマの中から最後の1体が飛び出てきた。マグマの中から赤いライオンが出てくると同時に爪で攻撃をしかけてきてるよ。
「最後は赤いライオンか! てか、いきなり攻撃かい!」
この攻撃は回避すべきだけど、普通に走ったのではタイミング的に回避し切れなさそうだな。……よし、一気に向きを反転させてこれだ!
<行動値を2消費して『体当たりLv2』を発動します> 行動値 77/79(上限値使用:3)
尻尾で跳ねる体当たりを使って、ライオンを飛び越えるように回避っと! おっとっと、流石にロブスターで地上を飛び跳ねる操作はそんなに慣れてないから着地を失敗しかけたけどセーフ!
うん、普段は水のカーペットや飛行鎧での移動だけど、こうしてロブスターで走るのも意外といけるな。さーて、それじゃ全部の識別が終わったら……って、あー、意図してなかったけど、位置関係的にそうなるか。
「「あっ!」」
「同士討ちなのさー!? とりあえずライオンは私がやるのです! 『識別』!」
「ほう? そういう事もあるんだな」
俺が向きを変えて体当たりでライオンを飛び越したから、そのライオンの攻撃が思いっきり俺を追いかけてきていた杉の木に当たっていた。
うん、まぁそれでも俺を狙ってるのは変わらないからダッシュで逃亡は再開! 自己強化が未発動のライオンと比較して、ライオンより速く走れるロブスターってのも不思議なもんだね。ま、その辺は考えてもゲームだからで済んじゃうか。
それにしても、敵の数が多いならさっきみたいな同士討ちもあるんだな。黒の暴走種……いや、発見報酬が出てないから残滓か瘴気強化種だけっぽいけど、それは別にいいか。
午前中は昇華魔法をメインに据えて、ここでの敵のパターンの分析を優先していた。でも今回は戦法自体をスキル強化に合わせて変更してるし、ここで他の事を試すのもありか。
「ケイ、龍は魔法寄りではあるがバランス型で、瘴気強化種だ! 魔法も近接も両方警戒しとけ!」
「赤いスイカは残滓の魔法型みたい! 」
「ライオンは瘴気強化種で、思いっきり爪での物理型なのさー!」
「ほいよっと!」
これで大雑把にだけど敵の識別情報は出揃った。……近接物理のライオン、拘束してくる可能性が高い物理型の杉の木、バランス型で魔法も物理もいける龍、そこに魔法型のキツネとスイカか。
さて、ここからどう敵を崩して……いや、ちょっと気になった事があるんだけど、これってどうなるんだ? 少し試してみるか?
「なんというか、今回の敵は地味にバランスが良いかな!」
「確かにそうなのさー!?」
うん、それは俺も確かに思った。普通のプレイヤー相手だと連携されたら結構面倒そうだけど、まぁ雑魚敵がそこまで連携してくる事もないから大丈夫だとは思うけど。
「とりあえず予定通りに真っ先に杉の木を潰すぞ! アル、龍は一旦解放で! ハーレさんはアルが離した龍を地面に叩き落せ!」
「おうよ! ハーレさん、俺の方でタイミングを合わせるぞ」
「了解なのさー! いっくよー!『並列制御』『略:ウィンドボム』『略:風の操作』!」
「おら、これでどうだ!」
よし、ハーレさんの指向性を地面に向けて操作したウィンドボムが龍に直撃すると同時に、アルが根を緩めて地面へと叩きつけた。
しかもその時に、真下にいたスイカを巻き込む形になった。なるほど、アルも俺と同じような事を考えてたか。
「アル、ナイスかな!」
「あ、そのやり方は良いね」
「アルさん、ナイスなのです!」
「アル、ナイス! それじゃ杉の木の相手はアルとサヤとヨッシさんに任せた! ハーレさん、俺は敵の中に飛び込んで翻弄するから、フォローを任せる!」
「了解です!」
「ケイ、こっちは俺の方で指示を出すけどいいな?」
「近接で戦いながらだと把握し切れないから、そこは任せた!」
「了解だ!」
ふー、これから俺はハーレさんと2人で4対2の戦闘をするんだしね。そこら辺は俺だけじゃ把握しきれないからアルに任せてしまおう。
まぁアル達の方は木の弱点の海水と毒もあるし、3対1にはなるから心配無用だけどね。むしろ討伐されるまでの間に俺とハーレさんがどれだけ削れるかが問題だ。
「ヨッシさん、まずは溶解毒で統率個体の生成。そこからサヤは電気魔法、その後にヨッシさんは毒の種類を変えつつ毒魔法で攻めろ! 『シーウォータークリエイト』『海水の操作』!」
「了解! 『溶解毒生成』『同族統率』! いけ、ハチ1〜3号!」
「私はまずはこれで行くかな! 『共生指示:登録2』!」
「サヤ、意外とエレクトロボールの連射は気に入ったの? 溶解毒と腐食毒の複合毒での『ポイズンインパクト』!」
「気に入ってるというよりは、色々と可能性は感じてるかな? 並列制御でチャージの応用スキルと組み合わせるのもありかなって考えてるよ」
「あ、そっか。チャージの時間稼ぎに使えそうだよね」
お、なんかちょっと見てみたい指示が出てる気がするけど……まぁ今はそんな悠長な事を考えてる場合じゃないな。いつまでも走り回ってる訳にもいかないし、アル達の邪魔をさせる訳にもいかない。
さて、それじゃ俺とハーレさんの2人で4体の敵の相手をしますかね! この状況、数的には不利なんだけど、こういう状況だからこそ試してみたい戦い方もある。
それにハーレさんはアルの木の巣にいるままだから、無茶をするのは復活が容易な俺だけで済む。
さぁ、行動値的に全部を倒すのは厳しいだろうけど、それなりにHPは削ってやろうじゃないか! とりあえず引きつける為に走り回るのはここまでで終わり!
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