第838話 条件の確定の為に
なんか予想してなかった方向に話が進んでいるけど、何かの検証を予定しているっぽい? ふむ、その辺は聞いておきたいところだね。
リス : 例の件って、なんですか!?
コケ : 俺もそこは聞きたいとこだな。
ヘビ : あ、例の検証の件は知らないのか。
タケノコ : まぁそれぞれに自由に動いているからそういう事もあるだろう。
クジラ : えっと、確か『烏合の衆の足掻き』の取得条件を確定させるんだったよね?
木 : だな。ほぼ条件自体は判明してるから、空白の称号での再取得が可能かの最終確認だ。
コケ : あれの取得条件自体はほぼ判明してるんだ? ちなみに具体的な判明してる条件を聞いてもいい?
タケノコ : あぁ、問題ないぞ。まずメンバーに関する大前提の条件として参加するメンバー全員が称号『格上に抗うモノ』の所持している事が必須。最低人数は12人、最大人数は18人、必ず同じ連結PTにいる事だな。
リス : メンバーだけでも条件が結構厳しいのです!?
カンガルー : これに関しては誰でもクリアは出来ない、高難易度という扱いのようですよ。
コケ : ……聞いてる感じでは確実にそうだよな。
ぶっちゃけ、『格上に抗うモノ』の時点で割と難易度が高めなのに、それを前提にした最低12人以上が必須な称号とか、そりゃ高難易度になるよね。
あー、だからスキルではなく、経験値が報酬なのか。強力なスキルを高難易度な条件でしか手に入れられないという形にはしていないんだな。
タケノコ : 次の説明に移るが、これは戦闘を行う上での条件だな。5分経過時に半数6人以上が生き残り、10分を過ぎた時点で全滅しなければ条件クリアになっている。称号の獲得のタイミングは全滅時だな。
コケ : あー、時間が条件なんだ。てか、全滅しないで逃げた場合ってどうなるんだ? それに隠れてやり過ごすとか、メンバーの1人を安全圏に避難させとくとかは?
今思いつく限りの抜け道を言ってみたけど、正直その辺は通用する気はしないけどね。でもまぁ、この辺の確認は必須だな。
キツネ : その辺、盛大にミスった部分だったよなー。
ネズミ2 : そうそう、どれも失敗して、どこが問題なのか試し直してたりね。
草花3 : 一度ミスったら、全滅してから始めからやり直しなんだよな。
タケノコ : まぁそんな感じで、コケの人の言った内容は全て試したが無意味に終わった。……他の条件を満たした上での全滅が条件だったのが、一番の盲点だったな。
リス : 全滅が条件なのですか!?
コケ : そりゃまぁ、見落としそうなとこだな。
まさか、一定時間生き残った上で、最終的には全滅する事が条件だったとはね。10分間生き残っても、変に逃げに徹すると失敗とか罠過ぎる。
コケ : てか、そこまで分かってるんなら確定じゃないのか?
タケノコ : まだまともに検証出来てない要素があってな。そこはどうしても必要になるものがあるのと、成熟体の確保に問題がな?
ふむ、成熟体が必須なのは分かるんだけど、まだ検証出来ていない事に必要になるもの? あ、もしかして、そういう事か。
コケ : 必要なのは『空白の称号』で『烏合の衆の足掻き』を消して、再度取得が出来るかの確認?
イノシシ : ちょっと違うが、まぁ大体そうなるぜ! まだ空白の称号を持ってるヤツはそれなりにいるんだけど昨日のトーナメント戦で手が空いてなかったり、逆に手が空いてたヤツは使用済みだったりしてな。
草花2 : 『格上に抗うモノ』が必須な条件かどうか確定する際に確定パターンで取得した『烏合の衆の足掻き』を空白の称号で消したりした人もいたからねー。
イノシシ : そうそう、どこからが取得可能な範囲か調べるのに使っちゃった人が多かったよな。
タケノコ : そういう不十分な要素が色々とあって、大詰めという所で少し停滞していた。
コケ : あー、なるほど……。
トーナメント戦をやっている間にも検証をしていた人達はいるという話だったけど、どうしても普段より人数が少ないから空白の称号を活用して条件の切り分けに使っていた訳か。
トーナメント戦を仕切っていたベスタがその辺を把握しているのは、トーナメント戦が終わってから確認をしていたってとこかな?
リス : でも、それなら個人単位でなら空白の称号を使えば『烏合の衆の足掻き』の再取得は出来るって認識で良いですか!?
タケノコ : あぁ、その認識で問題ない。
コケ : それじゃ、具体的に何をやるんだ?
既に再取得は可能という事は分かってるみたいだし、具体的に最終確認は何を狙いとしているのかをはっきりさせておきたいね。
タケノコ : まだ未取得だったヤツと、取得済みのを消したヤツが混在したPTでの検証は試した。未取得のみの連結PTでも試している。だから、再取得のみの場合を試して確定しておきたい。
トカゲ2 : それと、あれだな! 条件の確定に集中してたから、経験値増加アイテムが有効かが確認出来てねぇ!
リス : あー!? それは確かに重要なのさー!
コケ : なるほどね。
『烏合の衆の足掻き』による経験値の獲得に対して、経験値の取得量が増えるアイテムが有効かどうかは非常に重要な案件だ。流石に条件を探っている最中では試せなかったってとこか。
タケノコ : 本来なら明日か明後日に条件を満たせる人員を募集して、どこか固定位置にいる成熟体の所に遠征に行く予定だった。だが、間近成熟体がいる可能性があるなら、今日中に実行に移せる可能性が出てきた。
コケ : ミズキの森林の湖にいるのが成熟体とは限らないぞ……?
モモンガ : それなら、確認しに行けば良いだけじゃね?
カンガルー : 確かにそれはそうですが、逃げるタイプではない事を祈りたいですね。
ふむ、確かに徘徊している成熟体は逃げていく事も多いもんな。逃げられてしまえば、せっかくの成熟体が台無しになる可能性も高い。
かと言って、識別とかのスキルを使ってしまえば反応してくるのは間違いない。……確実に成熟体と確認出来て、尚且つ逃げるパターンを絶対に発生させない方法か……。
コケ : リーダー、スキルを使わずに確実に成熟体だと判別する方法はあったりする?
タケノコ : 俺の知ってる限り、現時点では存在しないな。精々、雰囲気でそれっぽいかどうかを判断するだけだが……この場合、確実性は必要か?
あ、そっか。別に今日のタイミングで必ず結果を出さなければならない訳じゃない。元々、土日に計画していたなら失敗してもそれほど問題はないのか。
コケ : 確かに失敗しない安全策にこだわる理由もないか。えっと、それで実行役は……?
リス2 : ちょっとログを見てきたら面白そうな内容だし、わたしは条件的に合致するから参加希望ー! コケの人達もいけるんじゃない?
リス1 : みんなと相談する必要はあるけど、多分いけるのさー!
キリン : それなら、発見時のメンバーが良いんじゃね?
タチウオ : っ!? それは是非ともと言いたいところであるが、拙者は今日は不都合ゆえに無理であるよ……。
あ、刹那さんは無理なのか。うーん、多分リス2の人はレナさんだろうから、刹那さんの部分にレナさんが入ればいけるか?
あの時のメンバーは紅焔さん達と風雷コンビだよな。んー、都合が分からないからなんとも言えない。
タケノコ : その辺りについては俺から後で声をかけておこう。それに他のメンバーで何回か試すという手もある。
リス2 : 1回しか試せない訳じゃないからねー! 少し告知期間を設けて、それから実施で良いんじゃない?
リス : その案に賛成なのさー!
イノシシ : まぁコケの人達は例のタッグ戦の打ち合わせもあるだろうしな。
タケノコ : よし、ならばその打ち合わせが終わってから実行しよう。コケの人、リス2の人、それで問題ないか?
ふむ、俺がここで即断する訳にもいかないから、これについてはみんなと相談してからだな。でも、これは経験値を稼ぎたい今の状況としては決して悪い状態ではない。
ほぼ条件は確定しているようなものだし、空白の称号と経験値増加のアイテムを使うだけのメリットはあるはずだ。
「ハーレさん、どうする? みんなと相談するのは確定だけど、前向きに検討するか?」
「狙おうと思って狙えるチャンスではないので、逃す手はないと思います! 多分、みんなも駄目だとは言わないと思うのさー!」
「……それもそうか。んじゃ、一応相談はするとは言っておくけど――」
「わたしも手伝うからねー!」
「うおっ!? って、レナさんか」
「レナさんだー!?」
いきなり背後から声をかけられて振り返ってみれば、そこにはレナさんの姿があった。まぁレナさんがここに居ても不思議ではないけど、いきなり声をかけられるとビックリするよね。
「ほほう、ここの湖の中に成熟体がいる可能性かー! 何がいるんだろうね?」
「あー、俺は影しか見てないから分からん」
「ま、そう書いてたもんね。んー、気になるけど今は手は出さない方が良さそうだねー」
「だなー。あ、レナさん、とりあえず返事を書き込んでくるけど……」
「はいはいー。中断させちゃってごめんねー」
「あれくらいなら問題ないぞ」
「そう言ってもらえると助かるよー!」
とりあえずレナさんに断り入れてから、再び情報共有板へと戻っていこう。
コケ : とりあえず他のメンバーと相談してからになるけど、一応前向きに検討するよ。
タケノコ : まぁそれはそうなるか。俺らの方も告知や無関係のメンバーの避難とかの下準備は必要だから、開始出来るとしても9時過ぎ以降にはなるはずだ。そこを目安にしてくれ。
リス : あー! 巻き込まれ防止の対策も必要なんだー!
コケ : 確かにそりゃそうだ。
イノシシ2 : コケの人達が間に合わなかったら、最終確認の役目は貰うぜ!
ヘビ2 : そうですね。タッグ戦の件が楽しみなので今回は間に合えば譲りますが、間に合わない場合は……。
ラクダ : ま、今日の9時に今回の最終確認を実行出来るメンバーがいるかは不明だけどな!
あー、そっか。そもそも俺らが今分かっている段階で条件を満たせられるメンバーってだけで、他の人が検証しても良いんだしね。
って、時間を見たらいつの間にか6時半を結構過ぎている。大体の予定は済んだし、そろそろ切り上げてハイルング高原まで移動した方が良さそうだな。
あ、もしかしてレナさんはそれも見越して一緒に移動するつもりだったとか? うん、その可能性はありそうだ。
コケ : それじゃそろそろ離脱するよ。タッグ戦の打ち合わせが終わったら、そっちの報告にもくるから。
タケノコ : あぁ、了解だ。検証の最終確認の方の準備は俺らの方に任せておけ。
リス : 了解なのさー!
コケ : ほいよっと。
さて、これでとりあえず情報共有板からは離脱っと。色々と聞く事や報告する事があったけど、かなり有益な情報にはなったね。
「それじゃハーレさん、ハイルング高原まで移動するぞ!」
「了解なのさー! レナさんも一緒に行くー?」
「ふっふっふ、そのつもりで声をかけたからねー! ケイさん、乗せて行ってくれる?」
「それくらい、問題なし!」
「ありがとねー!」
そうして発動しっぱなしの飛行鎧に包まれたロブスターの上に、ハーレさんとレナさんのリス2体を乗せてハイルング高原へ向けて移動を開始である!
<『ミズキの森林』から『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』に移動しました>
そうして、あっという間に森林深部エリアまで戻ってきた。後はハイルング高原まで移動すれば大丈夫だな。まぁそれはいいんだけど、少し気になる事があるんだよな。
「ふと思ったんだけど、タッグ戦を持ち込んできたので良い部分を優先的にしてくれてたよな。まぁそれ自体はありがたいけど、これって反感を買ったりしないか?」
「あぅ!? 確かにそれはそうなのです!?」
「ケイさん、ハーレさん、その反感については大丈夫だよー。そもそも、初見の成熟体相手に10分保たせられる人って少ないからね。そこで文句を言うのは口だけで自分では出来ない人だから心配はいらないよー」
「あー、そんなもんか?」
「うん、そんなもんだよー」
言われてみれば、そもそもが高難易度な称号取得な上に、空白の称号の使用が必須な状況でもある。そこにケチをつけて来る人が、あの凶悪な成熟体を相手にして生き残れるか怪しいよな。
って、あれ? 自分の強さに無自覚的なレナさんがそういう事を言ってくるって、珍しくないか? 成熟体と戦うのに立候補しつつ、それが高難易度だと正しく認識しているって事だよな。
あ、ハーレさんも不思議そうにレナさんと俺の方を交互に見ている。やっぱり今のレナさんの発言は妙だよな?
「ケイさん、ハーレさん、今のは内緒ね?」
小声でそう言いながらレナさんはリスの指を立て、口元に持っていく。……なるほど、今までレナさんは自分の強さに無自覚なのか、わざと惚けているのか分からなかったけど、どうもわざとだったようである。
レナさんがそうしている理由までは分からないけど、何かありそうではあるね。まぁその辺については詮索するのも野暮ってもんか。
「あ、ちなみに理由は大した事はないからねー。沢山くる勧誘をやんわり断るにはこれが都合が良くてさー」
「って、そういう理由かい!」
「意外な理由だったのさー!?」
もっと複雑な理由があるのかと思ったら、ただの勧誘避けの為のようだった。そりゃ交友関係が広いレナさんなら勧誘も多いだろうけど、過剰な謙遜でそれらを断ってただけかー!
うん、まぁ確かにやんわりと断るには効果はありそうだけどね……。
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