第837話 調べ事
群集クエストの進行具合に変化があって、それについては現在は確認の結果待ちである。……それにしても、近場過ぎて逆に見落としていた場所とはね。
まぁそれについては今は良いとして、タケノコや草属性と樹属性の同時所持について聞いてみようか。
コケ : んじゃ、次はちょっと質問。さっき連戦をしてて気になった事があってさ。
カンガルー : コケの人の質問は気になるところですね。
ヘビ : だなー。
リス : 今回のは少しはまとめに情報はありそうな気もするけど、リーダーの意見も聞きたいのです!
タケノコ : ほう? どんな内容だ?
コケ : タケノコと樹属性と草属性についてだな。
タケノコ : なるほど、だから俺にか。
イノシシ2 : そういやちょっと前に上風の丘での連戦で変わったティラノと戦ってるのを見たな。コケの人、あれについてか?
コケ : あ、見てた人がいたのか。うん、あれについてだな。
タケノコ尻尾のティラノは連戦を始めたばかりのタイミングでのフィールドボスではあったけど、それでも目撃者はいたんだね。まぁ見てた人がいるになら話も早いか。
タケノコ : なんだか珍妙な事があったようだが、詳細を聞かせてもらえるか?
コケ : ほいよっと。まず、フィールドボスの誕生にトカゲとタケノコで合成種にしたんだけど、尻尾がタケノコのティラノに進化してさ。
リス : それで、ティラノがタケノコ尻尾を伸ばして叩きつけてきたり、尻尾を伸ばして突き刺してきたのさー! ちなみに叩きつけてくる方は連撃の応用スキルでした!
ヘビ : 変わった感じではあるけど、特に妙でもないんじゃね?
草花 : それってタケノコをメインにしたって事?
コケ : いや、トカゲをメインにした。あ、タケノコ要素が強いって点も気になってるんだけど、トカゲからティラノに進化するのって条件があったりする?
タケノコ : トカゲからティラノに進化する事に関しては、推測段階ではあるがおそらくランダムだな。複数の別種の種族への進化パターン……例えば、タツノオトシゴからそのままタツノオトシゴや、竜、シーサーペント、シーホースと進化先が変わるようなのは報告されている。
コケ : ほうほう。
リス : そうなんだー!?
なるほど、種族として複数の別種族への進化先を持つ場合は進化先は固定ではないんだな。
全ての種族でそういう事が発生する訳じゃないだろうけど、そういうランダム要素は面白いね。そして……フィールドボスへの進化の際に油断が出来ない要素が出てきたとも……って、あっ!
コケ : あ、そういやフィールドボスの誕生法則の検証の時にトカゲとコイで双頭の竜になったんだっけ。
リス : そういえばそうだったのさー!?
ダチョウ : そういやそんなのもあったな。
草花 : だねー。他にも色々進化の変化パターンはあるみたい。コイがコイのままの進化もあるみたいだよ。
コケ : ふむ、なるほどね。
この進化先の変化については俺ら自身も体験してたのに、今の今まで失念してただけっぽい。よく考えたらトカゲから竜への進化も見てたって事でもあるもんな。
タケノコ : そっちの進化先の変化については既にある情報だから特に問題はないが……ティラノがメインになっている合成種でタケノコの要素が強いというのが気になるな。識別情報は分かるか?
コケ : えーと、名前は忘れたけど、属性は樹と草、特性は豪傑、強靭、爪撃、打撃、刺突、伸縮だったはず。
リス : 名前は『樹草刺爪ティラノ』で豪傑樹草種だったはずなのさー!
コケ : あ、覚えてたのか。
リス : えっへん!
思いっきり自慢げにしてるけど、忘れてた俺としては何も言えないなぁ……。まぁ情報としてはあった方が……名前はどっちでも良さそうだけど、無いよりはいいはず。
ヘビ : タケノコ要素って属性だけ?
カンガルー : 一応伸縮もでしょうが、このパターンだとタケノコの固有スキルが引き継がれています?
タケノコ : 合成進化でも固有スキルの引き継ぎは可能だが、それが応用スキルならそもそも引き継ぎ以前にスキル自体を持ってないはずだ。
草花2 : でもフィールドボスになったらその時に応用スキルは得るよな? そこで使えるようになったんじゃね?
タケノコ : それならタケノコ要素が強過ぎる。融合種ならそれもあり得るが、ティラノがメインの合成種であれば、タケノコの固有の応用スキルは取得出来ないだろう。
草花2 : あー、そういやそうか。
ダチョウ : てか、樹属性と草属性の両方を持ってたんだろ。そっちの効果が出てんじゃねぇか?
イノシシ2 : あ、そういう可能性もあるのか。
草花2 : その2属性の同時所持って何か意味あったっけ?
コケ : 俺としてはそこも聞きたい内容だな。
ザックさんが纏樹で試した事があるとは聞いたけど、具体的な内容は聞けてないままだもんな。
これについては多分まとめに情報はあるんだろうけど、他の部分も合わせて見解を聞きたいからね。
タケノコ : その方向性から考えてみるか。まず樹属性と草属性の同時所持には、少し効果が追加される。まぁシンプルに言えば、自己回復性能の向上だな。これはタケノコに限った話じゃないぞ。
リス : おー! そうなんだ! それじゃタケノコは回復性能が高いのですか!?
タケノコ : あぁ、切り落とされても再生が容易にはなっている。タケノコはある程度、伸ばした分は切られるのを前提とした性能になっているからな。
木2 : 普通の木や草花でやると、水分吸収の回復量も上がるぞ。まぁ草花なら盆栽みたいになるし、木なら蔦が巻きついたような状態になるがな。ついでに火や海水や腐食毒や溶解毒にはより弱くなる。
ふむ、再生能力の向上の部分がタケノコ固有の性能って訳か。やっぱりタケノコが初期のランダムで出てくる種族だったなら、確実に俺のコケと同じ色物種族枠な気がする。
それに普通の木や草花では水分吸収の回復量が多くなるのはいいけど、より弱点に弱くなるのは相当なデメリットだな。
それにしても情報共有板のみんなに聞いてみても、いまいちあのタケノコ尻尾を使ったティラノの応用スキルの正体がいまいち分からない。
融合種だったり、タケノコがメインの合成種だったらタケノコの固有スキルを進化時に使えるようになったという事で解決なんだろうけど……。
タケノコ : ん? いや、待てよ。打撃と伸縮の特性があるのなら……そうなると、タケノコの尻尾という部分が間違いの可能性があるか。
コケ : タケノコの尻尾の部分が間違い……?
なんだかベスタが何かの可能性に気付いたみたいだけど、タケノコ尻尾が間違ってるってどういう事だ?
実際にタケノコになった尻尾が伸びて、襲いかかっていたのは見た。それに溶解毒で溶けて千切れるという光景も見た。それが間違っている?
リス : はっ! もしかして、ティラノの尻尾の表面だけがタケノコの皮だった可能性はありませんか!?
コケ : はい!?
カンガルー : それは……どうなんでしょうか?
タケノコ : いや、可能性としてはそれが高い。コケの人、リスの人、そのティラノに植物系の弱点を狙ったりはしたか?
コケ : えっと、溶解毒をぶっ放したりはしたけど、ティラノのタケノコでない部分はそんなに効いてなかったぞ?
リス : でも、タケノコ尻尾を掴んで空中からぶら下げて溶解毒で溶かして尻尾を千切ったりはしたのです!
トカゲ2 : ぶら下げて、尻尾を千切った? え、それって『自切』じゃね?
カンガルー : あぁ、確かにその可能性はありますね。
コケ : ちょっと待って。もしかしてトカゲに『自切』ってスキルがあるの?
トカゲ2 : おう、緊急回避用に尻尾を切り離す固有スキルとしてあるぜ。
コケ : マジかー!
という事は、あのハーレさんの魔法弾で千切ったと思ったのはティラノが逃げる為に使った『自切』? でも、カリンさん達の連携で逃げ切れなかっただけ?
そして、あのタケノコ尻尾での伸ばしながらの連続打撃は、タケノコの固有スキルではない? よく考えたら尻尾の表面がタケノコの皮に覆われていたのは間違いないけど、その中身までタケノコだったかは確認していない。つまり、考えられる可能性としては……。
コケ : 皮だけの見た目だけのタケノコで本質を見誤って、特性に打撃と伸縮が必要な汎用的な応用スキルを使ってきただけ……?
ヘビ : でも、そんなスキルあったっけ?
イノシシ : まだ未確認の応用スキル?
どうもまだそれに該当する応用スキルの存在は確認されていないようである。でも尾を鞭みたいにして叩くスキルも存在するんだし、そこの応用スキルという可能性も否定は出来ないはず。
タケノコ : いや、確か最近それっぽいスキルの報告を見た覚えがある。
キノコ : あ、これじゃね? まだ整理出来てない報告の方に『伸振連衝打』ってのがあったぜ。取得条件は特性に打撃と伸縮がある事っぽい。
草花 : それだー!
コケ : おぉ、それっぽい!
タケノコ : 確かにその可能性は高そうだが、もう1つ可能性を思いついたぞ。
リス : どんなのですかー!?
タケノコ : 『連強衝打』と『尾伸ばし』の並列制御での運用だ。まぁこっちは『尾巻き』で先に尾を巻いているのが前提だから、今回は違うだろうがな。
カンガルー : 確かにそちらは少し条件に合致しませんね。でもまぁ、中々簡単に再現は出来ないでしょうし、推測としてはこのくらいで良いのではないでしょうか。いかがです、コケの人?
コケ : なんかモヤモヤしてたのがスッキリしたから問題なし! でもまぁ、タケノコは見た目だけの表面の皮だけだったのは意外だったかも。
タケノコ : あぁ、タケノコの皮は地味に斬撃と打撃のダメージ軽減効果があるからな。そういう意味では相殺するのは厄介なはずだ。
コケ : あー、なるほど。
思いっきり普通にサヤが相殺してた気もするけど、あれはサヤだから出来た芸当という事か。うん、それは完全に想定していなかったよ。
<群集クエスト《各地の記録と調査・灰の群集》の『???』が発見されました> 27/30
あっ、また群集クエストが進んだって事は、これってもしかして予想していた法則性が当たりだったか!
サボテン : よし、見つけた! 推測通りの場所にあったぞ!
ウサギ : え、本当に見つけたの!? どこにあったの!?
サボテン : ソヨカゼ草原とその西隣の砂漠と荒野エリアの切り替え地点だ。そこの草花の影に隠れていた。
ふむ、確か荒野エリアの東から南にかけての草原が調査クエストエリアだったはず。これは各初期エリアの整備クエストのエリアか、調査クエストエリアに1つずつ、分かりにくい位置に隠されていそうだね。
タケノコ : なるほど、やはりそういう傾向か。ちなみにどっちの進化記憶の結晶だ?
サボテン : 光る方だな。とりあえず発見した場所に戻しとくぞ。
ウサギ : これって、各群集で経験値ボーナスアイテムを手に入れやすいようにっていう配慮かな?
リス : すぐ近くだし、ボーナスタイムが発生するのも考えるとそれはありそうなのです!
コケ : 確かにその可能性は高そうだよなー。
1人1個しか手に入らないとはいえ、ここまで初期エリアに近い位置に複数個用意されているとなればそういう意図はありそうだよね。
全部の位置が確定して、大量発生のボーナスタイムになった時にみんなで回収しに行くのも良さそうだ。近場だから混雑はするだろうけど、取りに行かない手はないよね。
クジラ : あ、やっぱり見つかったんだ!
カツオ : ちっ、こうしちゃいられねぇ。俺らも見つけるぞ!
タチウオ : でも海エリアは少し他とは構成が違うのである。多分、『海の新緑』の何処かではあると思うけども、骨が折れるであるな!
クジラ : それでも意地で見つけるぞー!
あ、そうか。森林深部に隣接してるのは競走クエストエリアと、整備クエストエリアと、調査クエストエリアと、赤の群集の森林エリアである。
だけど海エリアは調査クエストエリアと、競走クエストエリアが2つと、赤の群集と青の群集と隣接してるんだっけ。そこで微妙な違いが出てくるのかもね。
タケノコ : まぁ群集クエストの進行の為の捜索はそれぞれで自由に進めてくれ。
キノコ2 : おうよ!
ウサギ : 目指せ、今日中にコンプリート!
ヘビ : おし、晩飯食った後にまだ見つかってなければ俺も探すか。
それぞれの人が、群集クエストの終盤の攻略に向けて気合が入っているね。まぁ俺らは既に何個か見つけているから、ここはまだ見つけられてない人も多いだろうから譲っておこうっと。
タケノコ : それで、コケの人の質問はこれで終わりか?
コケ : あー、いや、もう1つだけ報告する事が残ってる。
タケノコ : まだあるのか。
リス : え、他に何かあったっけー!? あ、バックドラフト現象の事ー!?
イノシシ2 : バックドラフト現象か。あれって確か天然産の火のみで発生するんだったよな。
タケノコ : あぁ、そうなるな。魔法産だと発生が簡単過ぎるから、そこで調整しているんだろう。
ほほう、エイとコケの融合種を倒した時に条件が揃ってるのにそういう現象が起きなかったのは魔法産の火だったからか。って、これは報告しようとした事じゃなくて、聞き忘れた質問ー!
タケノコ : で、報告じゃない内容だから、他にあるんだろう?
コケ : うん、大当たり今のは聞こうと思ってたけど、俺が忘れてたやつ。報告しようと思ってたのは別にある。
ヘビ : どんな内容か、気になるな。
サボテン : 質問じゃなくて、報告だもんな。今度は何を見つけたんだ?
コケ : あー、かなり不確定な情報だし、詳しくはチェック出来てないってのを前置きはしておくぞ。まぁ単刀直入に言えば、ミズキの森林の湖の中に何かいる。
タケノコ : ほう? 普段は雑魚しかいないあの湖に何かがいるのなら、可能性としては徘徊してきた成熟体か。……ふむ、確認してからになるが例の件を今日中に実行出来るかもしれないな。
え、ちょっと待って。例の件って何? なんか雰囲気的に成熟体を必要としていたっぽいけど……成熟体が必要で検証中の案件って、もしかしてあれか!?
もし俺が見た影が成熟体だとしたら、思った以上に良い情報を持ってきた事になるかも。ただの事故で湖に落ちただったけど、こりゃ役に立ちそうだな。
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