第768話 スクショの提供とエントリー
ヨッシさんとの的当て勝負をしている間にサヤもハーレさんもログインしてきたから、夕方メンバーは揃った。この時間帯はアルがいないけど、まぁそれはいつもの事だしね。
「さてと、全員揃ったしこれからどうするか決めていくか。ヨッシさん、的当ては今はもういいよな?」
「うん、何となくコツを掴んだ気はするしね」
「……あはは、ヨッシも操作系スキルの扱いは上手いよね」
「サヤも特訓あるのみなのさー!」
「……やっぱりそれしかないかな」
まぁサヤはかなり良くなってきたとはいえ、俺らの中では断トツで操作系スキルの扱いは苦手だもんな。その代わりに近接でのプレイヤースキルは圧倒的にサヤが上だけど……って、そういやハーレさんの操作系スキルの扱いはどのくらいのもんだ?
別にハーレさんは操作系スキルが下手という訳ではないのは分かってるけど、具体的にどのくらいの事が出来るのか、いまいち知らない気もするぞ?
「ケイさん、どうしたのー?」
「いや、そういやハーレさんは操作系スキルってどのくらい扱えるもんかなと思ってさ」
「私の操作系スキルの扱いはサヤ以上、ヨッシ以下なのです!」
「あー、そんなとこか」
サヤ寄りなのか、ヨッシさん寄りなのかというのは……聞かなくても分かるか。まぁハーレさんは遠距離からの物理攻撃という独特な特徴と役割があるし、そこまで操作系スキルを使う事もないか。クラゲを使って飛ぶ際に扱えてるんだしなー。
「それで結局、これからどうするの?」
「とりあえず森林深部に戻らない?」
「あー、それもそうだな。サヤとハーレさんもそれでいいか?」
「問題ないのです!」
「同じく私もかな」
よし、みんなの同意も得られたし、ヨッシさんの提案通り森林深部に戻るか。別に今いるナギの海原でいても良いんだけど、なんというかちょっと落ち着かなさはあるもんな。やっぱり普段からの活動拠点になっている森林深部の方が落ち着く気がする。
「それじゃ、森林深部に戻るか」
「はーい! あ、エンにスクショの提供とスクショのコンテストのエントリーをしてきたいです!」
「トーナメント戦に参加で情報ポイントを使う場合もあるみたいだし、その辺の交換もしておいた方がいいかな?」
「それもそだね。後回しにしてたけど、そろそろ一回やっておいた方がよさそう」
「だなー。群集クエストが終わるまでは大丈夫だろうけど、余裕を持っておいた方がいいか」
交換してもいまいち欲しいものが無くて使い道がなかった情報ポイントだけど、トーナメント戦で用途が出てきているしね。スクショの提供で情報ポイントは貰えるんだから、貰っておいて損はない。
それと団体部門でのスクショは撮影専門の人が撮ってたりしたから既にエントリーはされてるだろうけど、個人部門でのスクショは自分でしないといけないしね。
まぁ俺はそこまで良いのも取れてはいないけどさ。……大体はハーレさんがいたんだし、俺よりもハーレさんが撮った方が質は上だろうな。
「ところで、ここからどうやって戻るのかな? 帰還の実?」
「群集支援種のナギはそこまで遠くはないから、まず海原に転移して、そこから森林深部へ転移で良いだろ」
「あ、それもそうかな。……ところでここの群集支援種って何処なのかな?」
「ナギはあっちの大きなイソギンチャクなのさー!」
「そういえばみんなでは全然見てなかったね、ここの群集支援種」
「……あはは、そうなるかな?」
あー、こりゃサヤはナギの事はほぼ知らなかったって感じだな。まぁ俺もログイン場面で追憶の実で演出を見ただけで、昨日の夜のお祭り騒ぎでもまともに見てなかったしね。少し前に刹那さんが転移の為に向かっていったから把握してるだけと言う。
「まぁ帰還の実はもったいないから、今回は転移を活用して戻るって事で決定! それじゃ移動……いや、水のカーペットを出すか」
「ケイ、待ったかな。今回は私がみんなを乗せていくよ」
「ん? まぁサヤがやるなら任せた」
「任されたかな! 『略:大型化』!」
「ケイさんは竜の頭の上なのさー! そして私がケイさんのロブスターに乗るのです!」
「ハーレさんは乗りたいだけか!? あ、ヨッシさんは?」
「私はサヤのクマの肩に乗っておくね」
「ほいよっと」
「それじゃ出発かな!」
「「「おー!」」」
そうしてサヤの竜にみんなが乗っていき、PTを組んでから移動を開始していく。今は特に何も移動速度を上げるようなスキルは使ってないからそれほど移動速度は早くはない。まぁ遅くもないくけど。
それにしてもサヤの竜って海中への適応は失っているけど普通に海中も泳げるんだな。元々はタツノオトシゴだったし、普段の空中の移動も飛ぶというよりは泳いでいる感じではある。雷属性の竜って事でちょっと特殊例にはなるのかもね。
◇ ◇ ◇
<『始まりの海原・灰の群集エリア5』から『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』に移動しました>
さて、ナギの海原から始まりの海原を経由して、森林深部まで戻ってきた! 海エリアの群集拠点種であるヨシミの所はトーナメント絡みで混雑していたけど、エンの近くも結構混雑しているね。
「ちょっとトーナメント戦をやって……って、小規模なのをどんだけやってんだよ!?」
「俺達の共同体の規模じゃ、4人でのトーナメント戦が無難か……」
「……4人でのトーナメントって、意味なくね?」
「まぁとりあえずテスト実装されたから、実験でやってるだけだしなー」
「灰のサファリ同盟で夜からのタッグ戦メンバー選出トーナメントに向けて32人でのトーナメントを試しに実施してみるから、協力出来る人は頼むー! あ、報酬はないけど、その代わりに参加用の情報ポイントも不要にしてるからなー!」
「おっ、マジか」
「……負けても何も減らないなら、参加してもいいかも」
「質問! 進化階位の区分はどうなりますか?」
「あー、悪い! 今回は未成体のみの限定になる!」
「やっぱりかー。まぁそこは仕方ないよね」
「成長体と未成体で戦っても勝負にならねぇしな」
「おっしゃ、それじゃ俺らの方で成長体限定のトーナメント戦をやるか!」
「……4人でのトーナメント戦をか?」
「だー!? どっか規模のデカイとこ、灰のサファリ同盟以外にいねぇか!?」
「オオカミ組か、モンスターズ・サバイバルを呼んでこい!」
「お、そこならいけるか!」
「それかこの機会に連盟を組んでみる?」
「あー、そういう手段もありか」
とりあえず軽く様子を伺っていたら……うん、小規模っぽい共同体がトーナメント戦をお試しで開催しているみたいだな。
そして灰のサファリ同盟が32人でのトーナメントもするようだ。……プレイヤー自体はもっと大量にいるだろうけど、32人でのトーナメント戦をともなると流石に結構時間がかかりそうだよね。
「32人って結構大規模だな」
「1回戦で16試合だもんね。2回戦で8試合、3回戦で4試合、準決勝で2試合、その後に決勝だね」
「……1試合辺りにどのくらいかかるかが重要かな?」
「勝負が長引けば大変なのです!」
「まぁ、確かに……。あー、その辺の必要時間を確認する為のお試しか?」
「……それはありそうだね」
ふむ、必要な時間の目安が分からないと夜にぶっつけ本番でやるのはちょっと面倒ではあるもんな。仮に全試合がそれぞれに10分で決着になるとしたら、1回戦だけで160分って事になる。まぁそこまで単純な計算にはならないだろうけど、1回戦だけで3時間近いと時間がかかり過ぎだよな。
ブロック分けの機能はないとは言ってたけど、場合によっては複数の共同体で分散してトーナメントを実施して、同時にトーナメント戦を進めて行くのもありなのかもね。
「まぁその辺は後回しでいいや。今はサッサとスクショの方を済ませちまおう」
「そうなのさー!」
「確かにそれはそうかな」
「トーナメントについては、そっちが終わってからだね」
とりあえず今の優先順位はスクショのコンテストと、スクショの提供についてだな。先にトーナメントの方に首を突っ込めば晩飯まで離れられなくなりそうだし、スクショの提供を後回しにするのは無しだ。
という事でみんながサヤの竜に乗ったまま混雑している地上は避けて空中へと移動していき、それぞれエンへ向かって操作を始めていく。えーと、エンの近くでステータス画面を開いて……スクリーンショットの提供とコンテストの受付を選択っと。
まずは群集クエストの一環であるスクショの提供の方からしていこう。とりあえず一気にまとめて選択も出来るようなので、前に提供した後に自分で撮ったスクショをあるだけ放り込んでいくか。……えーと、確かランク1〜5で分類されて、ランクに応じた情報ポイントが貰えるんだったね。ランクが高い方が良い判定だったはず。
えーと、どうなったかな? お、瘴気属性になったアルと桜花さんが対立している構図で撮った時のメイキング画像的なスクショが意外と好評価でランク5じゃん。
おっと、他にもランク5のがあった。これはあれか、上風の丘でフェルスさん達に依頼された時のフィールドボスのスクショのやつだな。……あの飛ぶ盆栽みたいな小さな松は異形度合いが強かったから、その辺が評価が高いのかもね。
あと、上風の丘から夜にかかる虹……えーと、月虹だっけ? あれがランク5になってるし、これはみんなでそれぞれに個人部門に出そうって話をしてたやつだね。
他には……ランク4が4枚だな。紅焔さんとソラさんと一緒に雲の吹き飛ばしたやつとか、ハーレさんが撮ってる最中に気まぐれて撮っていたやつだな。
残りはランク3とランク2ばっかりか。ランク1もあるけど、これは単純な構図被りでおまけ扱いのばっかだね。……同じ構図でランク1でも情報ポイントが貰えるのは5枚までか。多くの人が撮ってる場所は少なくなるという話だし、絶景だった涙の溢れた地とかはそれでマイナス補正がかかってランク3とかになってるっぽい。まぁこれはそういう仕様なので仕方ないか。
元々それほど枚数は多くないからまぁ悪くはない結果な気もするけど、とりあえず合計の情報ポイントはどうなったかな?
とりあえずランク5が1枚辺り500なので3枚で1500、ランク4が1枚200だから4枚で800、ランク3が1枚50で5枚だから250、ランク2が1枚10で15枚だから150、ランク1は1枚1なのと有効なのが30枚なので30か。今回貰えた情報ポイントは2730で、今まで持っていた情報ポイントは1723だから、総計で4453だな。うん、結構いい結果なんじゃないか?
「みんな、どんな感じのポイント数になった? 俺は4500にちょい届かないくらい」
「えっと、私は今までの合計で3500ちょっとかな」
「あー、サヤは竜の進化の際に進化の輝石と交換した分だけ減ってるのか」
「うん、まぁそうなる感じかな。ハーレは稼いでそうな気がするから後から聞くとして、ヨッシはどうかな?」
「私は4000くらいだね。まぁ悪くはないと思うけど、ハーレはどうだった?」
「私は1万を超えたのです!」
「おー、流石はハーレさん」
「あはは、ハーレは予想通りかなり多いかな」
「まぁあれだけ色々撮ってたらね」
「えっへん!」
まぁそこまで劇的に情報ポイントを盛大に使う事も……いや、ハーレさんの場合はそうでもないのか。ヤナギさんとかで情報ポイントと交換出来る特殊な花粉の弾とかを手に入れるとすれば、投擲をする度に弾を消耗するハーレさんが情報ポイントを多く持っているのは良い事ではある。
「……トーナメント戦の報酬で、特殊な投擲用の弾とか交換出来たりしないもんかね?」
「はっ!? それは確かに魅力的な話なのです!」
「それなら後で私達でトーナメントを開催してみて、選べる報酬を見てみるのはどうかな?」
「サヤ、その辺ってヘルプには書いてない?」
「あ、そういえばそうかな! えっと……あ、報酬の種類は未記載になってるかな……」
「……そっか、そこまではヘルプには載ってないんだね」
「ま、その辺は後で試してみるとして……コンテストの個人部門にもエントリーしとくか」
「どんどんエントリーをしていくのさー!」
「私はあんまりエントリー出来る数はなさそうかな?」
「私もだね。まぁ0ではないから、ダメ元で出してみるけどね」
ま、個人部門に関しては正直、ハーレさん以外は冷やかし的な参加でしかないからね。それでもまぁ、夜空にかかる虹である月虹のスクショについてはエントリーはしておく! 後はランク5だった残り2枚も……って、団体部門の参加者として既に登録済みになってるからエントリーは出来なかったか。
そういや演出を手伝ったやつはどれも既に団体部門でエントリー済みになってるね。それらの中から受賞になって報酬が貰えたら嬉しいんだけど、こればっかりは実際に結果が出てみるまでは分からないか。
後はランク4以下のスクショもダメ元で出すだけ出しておこうっと。多分無駄だとは思うけどね……。
「とりあえずエントリーは完了なのさー!」
「ちなみにハーレさんはランク5を何枚ほどエントリーした?」
「8枚なのです! 構図が似ててランク4に判定が下がったのも選んだから、ランク5じゃなくてランク4で出したのもあるのさー!」
「あー、そういう事もあるのか」
「それは処理した順番の問題かな?」
「多分そうなのさー!」
「そこはハーレ自身の選ぶ感性次第だろうね!」
「そうなるねー! 1つでも入賞したら嬉しいなー!」
「だなー!」
俺らの中では個人部門での入賞の可能性が一番高いのはハーレさんだしね。……あ、そういや他の群集の部門にも協力者として参加出来るって要素もあったよな。
ふむ、青の群集か赤の群集の人と協力して団体部門のスクショを撮って、その辺を狙うのもありか? その場合だと話を持っていくのは赤のサファリ同盟とか……あそこは協力してくれるのか正直未知数な気がする。
そうなると青の群集の青のサファリ同盟か? 確か知り合いで青のサファリ同盟の所属になった人もいた気はするけど、誰だっけな? まぁその辺はアルとも相談したいし、今はいいか。
さてと、これでとりあえず俺もみんなもスクショの提供で情報ポイントは確保出来たし、スクショコンテストのエントリーも済ませた。
正直な感想としては思ってた以上に情報ポイントが増えたけど、トーナメントでどのくらい消費するかはまだ分からないからね。とりあえずその辺の確認からやっていこうじゃないか。
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