第23章 海エリアへ遊びに行こう
第712話 ログインしたら
無事に今日の授業も終わり、放課後になった。という事で、自転車を取りに行っている慎也を今のうちに放置してスーパーに新しい弁当箱を買いに行ってしまおう。そういや母さんからは……今日は特になしか。
慎也の事はどうでもいいとして、天気予報の通りに昼からは無事に晴れてくれたね。……ちょっと暑いくらいだけど。こうなると一応持ってきていた傘邪魔ではあるんだけど、このまま学校に置いておくのもあれだからちゃんと持って帰るか。
「待たせた……って、あれ? 圭吾、どっち行ってんだ?」
ちっ、もう気付かれたか! というか、そもそも待ってないんだけどな。……あー、自転車相手に逃げたところで逃げ切れる訳もないし、これは諦めるか。
「おーい、圭吾? なんか買い物でもあんの?」
「……あるにはあるけど、1人で行くつもりだったんだんが?」
「おし、なら俺も着いて行くぜ!」
「いらんから、さっさと帰れ」
「そんな事言うなって……って、ぎゃー!?」
「……なんだよ?」
なんか猛烈にうるさいけど一体何が……って、あぁ、なるほど。自転車の後ろの荷台に括り付けていた紐が解けて、チェーンに絡みついるな。あーあ、何やってんだか。
「……ダメ元で聞くけど、圭吾ってこれは直せるか?」
「元に戻る保証が無くて良いならやるけど? ちなみに多分高確率で失敗する」
「それは勘弁!?」
「だったら、素直に自転車屋に持ってけ。ほれ、あっちの方に一軒あるから」
「え、あっちの方に一軒あんの?」
「この辺に住んでるんだし、中学に通ってた時にはそこの自転車で自転車を買ったからな。最近は俺にはさっぱり用がないけど」
「そういやそうだよな! よし、ちょっと手持ちの金が怪しいけど行くだけ行ってくる!」
「おう、行ってこい」
慎也はチェーンに紐が絡まって惨状になっている自転車を押して……あ、強引に押したので完全にチェーンが外れたな。まー、あれくらいならあの自転車のおっちゃんならすぐに直してくれるだろ。
ふー、ともかくこれで慎也が俺の買い物に着いてくる事は無くなったな。それにスーパーと自転車屋の方向は全く別だし、修理が終わる前に買い物を済ませて帰ってしまおうっと。
さてとお釣りがあったらアイスでも買ってって……あ、父さんから渡された現金3000円ってちゃんと持ってきてたよな? ……うん、ちゃんと鞄の中に入れておいたから大丈夫だな。
ふー、普段は現金を使う事が殆どないから、こういう時は気を付けないと……。まぁそれなりの規模の店であれば現金から電子マネーへの交換は出来るから問題ないんだけどね。
そうして手早くスーパーまで行き、新しい弁当箱を買ってきた。店頭にはそれほど大量に種類はなかったけど、予算内で十分買えるものがあったね。ちょっと保温機能抜群という売り文句の弁当箱もあるにはあったけど、予算オーバーだったのでそれは却下。
今使ってるのと同じ感じの二段になってる弁当箱だけど、色と形状がこれまでのとはちょっと違うので父さんのと間違う事はないはず。後は約1000円くらいは残ったので、ちょっとお高めのアイスを……元々父さんの金だし、家族全員分を買っていくか。……よし、これで買い物終了!
◇ ◇ ◇
買い物を済ませて、とりあえず帰宅! さーて、買ってきたお高いアイスを食べてから、ゲームの続きをやっていきますか。
あ、その前に俺以外の分をアイスは冷凍庫に入れておいて……晴香だけはメッセージを送っておいて、父さんと母さん分は冷蔵庫にメモ書きを貼っておけばいいか。という事で晴香メッセージを送っておいて……って返信、早!? えーと内容は『いやっほー! 兄貴、ありがとー!』って無茶苦茶喜んでるな。
さて、アイスも食べ終えたのでゲームをやっていこうって事で、いつものようにいったんのいるログイン場面へとやってきた。今回の胴体部分は『遅延の発生していたスクリーンショットの承諾は正常にもどっております。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした』となっている。
あー、今朝までには元に戻っているとは言ってたけど、お知らせの内容としてはそうなるのか。まぁ不具合の修正から、一連の対応ご苦労さまです!
「いったん、スクショの承諾をよろしく」
「はいはい〜。昨日はまともに出来なくてごめんね〜」
「ま、そういう事もあるから仕方ないだろ」
「そう言ってくれると助かります〜。はい、これね〜」
そう言いながらいったんからスクショの一覧を受け取って眺めていく。ふむふむ、今回はちょっと枚数が多めだね? えーと、全部の群集から雪山で氷解の操作を取る時の様子のスクショが結構あるな。まぁ結構な人数のギャラリーがいたから、これは当然ではあるか。
後は……あー、『涙の溢れた地』で移動中のスクショが多いっぽい。当たり前だけど、これはほぼ全部が青の群集に人から……って、あー!?
え、ちょっと待って、凄いのがあった。水流の上をアルが泳いで移動している様子はそのままなんだけど、俺らを囲むように円形の虹が出来てるのを撮ってるスクショがあるんだけど!? 俺らが気付いてなかっただけでこんな光景があったのか。
でも、何で俺らの周りに虹が……? それっぽい要素ってあった……あ、もしかしてあれか。誰が使ってたかは分からないけど、水の昇華……多分、俺が一番初めにやらかしたのと同じ感じで津波を発生させてたあのタイミング! くっそー、あの時かー!
他にも確認はしてみたけど、今の以上にインパクトがあるのは特にないな。ま、とりあえず今のは貰っておこうっと。ふむ、このスクショの撮影者は知らない人だね。
「いったん、このスクショをくれ。後はいつも通りの処理でよろしく」
「はいはい〜。それじゃそのように処理をしておくね〜」
ぶっちゃけこのスクショを外部出力とかするのであれば承諾しておいた方が良いんだろうけど、ゲーム内で見る分については承諾って必要はないからなー。
あれ、そう考えてみるとスクショの承諾を出さない意味って今更言うのもあれだけど、あまり意味はない……? いや、外部サイトとかもやろうと思えば出来るから、やっぱり下手に外部出力は出来ないようにしておいたほうがいいか。
ゲーム内ならVR機器のフルダイブ時間の制限があるけど、外部サイトだとそんな制限はないしな。うん、やっぱり承諾についてはこれまで通りでいこう。
「それじゃ今日のログインボーナスはこれね〜」
「ほいよっと。それじゃコケでログインをよろしく」
「はいはい〜。今日も楽しんで行ってね〜」
「おうよ!」
そうして今日のログインボーナスを貰って、いったんに見送られながらゲームの中へと移動していく。さて、今日はこの時間帯はサヤもヨッシさんもいないから、とりあえずハーレさんがログインしてくるまで海エリアでLv上げに良さそうな場所の情報収集をやっていきますか。
◇ ◇ ◇
そしてやってきました、ゲームの中! 昨日ログアウトしたのがエンの所なので、夜の日ではあるけども割と明るいのはいつもの事だな。えーと、今日の天気は晴れみたいだね。
さて忘れないうちにログインボーナスを貰っておこうっと。これを忘れたら勿体無いもんなー。
<ケイが『進化ポイントの実:灰の群集』を使用します>
<アイテム使用により、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント7獲得しました>
<ケイ2ndが『進化ポイントの実:灰の群集』を使用します>
<アイテム使用により、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント7獲得しました>
これでログインボーナス受け取りは完了っと。さて、エンの近くにいる内は必要はないけど、夜の日には必須な夜目を使っていこうっと。
<行動値上限を1使用して『夜目』を発動します> 行動値 78/78 → 77/77(上限値使用:1)
よし、これで活動準備は完了だね。それじゃちょっとまとめか、情報共有板で海エリアの情報を……あ、そういや単独行動中だし今のうちに撮ったスクショをコンテストに出したり、情報ポイントとの交換とかもしておこうかな? ぶっちゃけ、細かく何を撮ったか覚えてなかったりもするけど。
……それにしてもまだそこまで混雑する時間帯ではないんだけど、意外と人が多くてさっきから賑やかだね。もしかするとここで何かやってるっぽい?
んー、まぁまだ時間に余裕はあるし、急ぐ訳でもないからちょっとその辺の様子を見てみますかね。さてさて、何をやってるのだろう?
「さぁ、初心者向けの一発芸の取得大会を始めていくぜー! 準備はいいか、野郎どもー!」
「「「「「おー!」」」」
「おっ、そろそろ始まるのか」
「あー、今回はエンのとこでやるのか」
「これ、何回目だっけ?」
「えっと、5回目?」
「いや、9回目だぞ。たまに深夜や朝にもやってるし、場所も開催の度に違うからな」
「へー、そうなんだ」
「えっと、これって何をやってるんですか?」
「お、初心者さんか。一発芸っていう変わったスキルがあるんだが、これが初期の頃なら割とピンチの際に有用でな。それを取得する機会を作ってんだよ」
「へぇ、そんなのがあるんですね。……それなら僕もちょっとやってみようかな?」
「よしきた! おーい、ここの初心者のキツネの人が飛び入り参加だとよ!」
「お、飛び入りは歓迎だぜ! 詳細な説明もいるだろうから、とりあえずこっち来いな!」
「あ、はい!」
「他にも飛び入り参加は歓迎するぜー! どんどん参加してくれよー!」
えー、何か全く見た事のない状況が広がってるんですけど!? ……そういや一発芸の取得をやるこういう機会を設けるみたいな話をしてそのまま放置になってた気もするけど、実際には他の人達でこうやってされていたみたいだね。……ただ俺らが遭遇する機会がなかっただけなんだろうなー。
一発芸は大ウケにしても滑りにしても、使用するのに変な条件がついているけど行動値が少ない初期の頃には有用ではあるもんな。ただ熟練度が溜まらないというデメリットがあるから使い過ぎには要注意だけど、その辺の説明はちゃんとしているだろうね。
司会をしてるサルの人は灰のサファリ同盟の森林支部の人みたいだし、その辺は雑にやっているという事もないだろう。
「お、元祖一発芸のケイさんがいるじゃねぇか」
「ん? あ、紅焔さんか」
後ろから聞こえてたそんな声に振り返ってみれば、そこには紅焔さんがいた。てか、元祖一発芸って……まぁ否定は出来ないんだけどさ。
「紅焔、どうしたんだい? あ、ケイさんじゃないか」
「お、ソラさんもか。こんにちはー!」
そこに少し離れた所にいたソラさんが飛んできたね。って、あれ? ソラさんって風の昇華は持ってたとは思うけど、なんか赤いタカになってるね? もしかして、ソラさんって火属性を得たのか?
「ソラさん、その見た目ってどうしたんだ?」
「あ、これかい? この前、掲示板を見てフェニックスを見たら、なんだかそっちに育ててみたくなってね。とりあえず進化の輝石で火属性を得て、火の昇華を目指してるところなんだよ」
「お陰さまで俺と思いっきり火属性被りになったけどな!」
「いやいや、だから僕が2ndで水属性の翼竜を作る計画を立てたじゃないかい」
「まぁ、そうなんだけどなー」
あー、どうやら火属性にこだわりを持っている紅焔さんとしては、ソラさんが火属性を得たというのがイマイチ納得が出来ていないっぽい。
属性被りになって微妙な心境という紅焔さんの気持ちが全く分からないって訳でもないけど、でもそれはソラさんの自由ではあるからな。……よし、ここは紅焔さんの火属性好きを焚き付けてみるか。
「紅焔さん、こういう考え方はどうだ? 火を纏った色んな種族で飛んでいき、焼き尽くしていくってのを共同体のコンセプトにするってのはさ?」
「……もう少し詳細を聞こうか、ケイさん」
「ほら、ライルさんが移動種の松の木を作ってたじゃん? あそこから火のドラゴンや火の鳥が一斉飛び立って焼き尽くしていくとかありじゃね?」
「ほほう? 確かにそれはありっちゃありだな。……その場合だと、カステラと辛子には火の纏属進化でやれば……」
よし、結構食いついてきた。えーと、確かカステラさんが土の昇華、辛子さんが風の昇華を持ってたはずだからその辺も含めれば火属性を主体とした昇華魔法を使う事も可能なはず。共同体のコンセプトとしては悪くはないんじゃないだろうか。
「あはは、ケイさん、ナイスだね。見事に紅焔が違った方向性を考え始めたよ」
「そりゃどうも。あ、そういや火の昇華と土の昇華で溶岩が出来るっての見たんだけど、ソラさん、なんていう昇華魔法か知らない?」
「あぁ、その組み合わせかい? それは『ラヴァフロウ』で、溶岩流って意味だね」
「へぇ、『ラヴァフロウ』か」
ふむふむ、まぁまとめを見ればすぐに分かる内容ではあるんだけど、火と土での昇華魔法の名前が分かったね。それにしても溶岩流ともなれば、威力は凄まじそうだな。
「よし、ソラ! 夜に全員揃ったら、方針会議だ!」
「はいはい、それは分かったよ。ただ、紅焔だけの我が儘が通るとは思わない事だね?」
「それはもちろんそのつもりだ!」
「それなら問題はないね」
ふー、どうやらこれで紅焔さんの火属性好きからの方向誘導は成功したっぽいね。……それにしても俺が誘導しといてなんだけど、属性によっては相性が悪いという状況はありそうだけど火属性が有効な相手には凶悪な火力になりそうな予感だな。
あ、そうやって話している内に一発芸の方も盛り上がっているようだね。……まぁ時々白けたような無音があったりするのは滑りを取得したからなんだろうなー。
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