第689話 現在の進化先 後編
サヤが竜の方にログインし直すのを待っていると、そう時間もかからずにサヤが戻ってきた。名前がサヤ2ndの表記になっているので、竜の方でちゃんとログイン出来たようである。
そしてすぐにアルのクジラの上へと戻ってきて、アルも移動を再開していく。競争クエストのエリアの森まではまだそれなりに時間はかかりそうだね。
「ただいまかな!」
「よし、それじゃ早速竜を埋めるか」
「え!? あ、そっか。『嵌まるモノ』の称号での取得かな」
「ま、そういう事。……あれって、天然産制限とかあったっけ?」
「特にそういう条件はなかったと思うけど……魔法産でいけるか、試しにやってみる?」
「賛成なのさー! 今日取った、ヨッシの氷塊の操作の出番なのです!」
「……お手柔らかにお願いかな?」
「まぁ身動きが取れなくなるだけで、ダメージも状態異常もないから大丈夫だよ」
「……ま、もし天然産って制限があったら、身動きが取れない5分間が無駄にはなるがな」
「あー、確かにそうなるよな」
「……アル、ケイ……不穏な事は言わないで欲しいかな?」
「ま、大丈夫だろ! な、ケイ!」
「そうそう、多分大丈夫! 多分!」
場合によっては冗談抜きでサヤが無駄に5分間氷漬けになるという自体もあり得るけど、まぁそれはそれで実験として……ごほん! ちょっとサヤに睨まれた気がするので、ここは他の人達の検証情報に頼ろう。って事で、ちょっとまとめを――
「魔法産でも大丈夫だそうなのさー! ただ、操作可能な時間に気をつける事と、完全に静止させる操作は難しめだからあまりお勧めではないそうです!」
「ハーレ、情報ありがと。あ、でもサヤ、それはちょっと後でも良い? 取り立ての氷塊の操作を使いながら、進化先の話をする余裕はない気がするんだよね」
「あ、確かに……。それなら進化の話が終わってからお願いかな」
「うん、その時は任せて」
あっさりとヨッシさんの氷塊の操作で実行する事は決まったけど、流石に取ったばっかで制御の荒いLv1の状態では話ながらは厳しいか。
効率だけを考えて手早く済ますなら俺が岩の操作でやってしまうのが良いんだろうけど、そこまで急ぐ必要もない。これに関しては俺が手を出すのは、ヨッシさんがギブアップした場合のみにしておこうっと。
「そういえばサヤの竜は進化先はどうー!?」
「一応竜も対象だとは聞いたけど、どんなの……あ、大型化の進化が出てるかな!? え、成熟体への進化はなくてこれだけ……?」
「……え、マジで? サヤ、竜の大型化のLvは?」
「今はLv2かな」
「それって、出てなかった今までの方がおかしかったんじゃ……あ、その辺から不具合が発覚したのかもな」
「アルさんの言う通りかもね。成熟体への進化条件って、私達は知りようがないし……」
「大型化か小型化の進化をしたかった人が、条件を満たしたのに進化先が出なかったとかだと思います!」
ふむふむ、まぁ不具合の発覚理由としては十分ありえそうな話だな。実際にサヤの竜の大型化の進化は今初めて見たようだしね。……てか、不具合が出てたのは成熟体の進化条件だけかと思いこんでたけど、そうじゃなかったようである。ま、不具合の修正は終わってるって話だし、問題ないか。
「とりあえず竜の方は成熟体の進化先は出てないから、一段落でいいかな?」
「それで良いと思います! それじゃ次はケイさんか、ヨッシの番なのさー!」
ま、サヤの竜のおかげで不具合の発覚理由もなんとなく分かったね。さてとそれじゃ俺とヨッシさんの進化情報がまだ確認が出来ていないから、そっちの確認をしていこうじゃないか。
「さてとヨッシさん、どっちからいく?」
「あ、私からでもいい?」
「おう、問題ないぞー」
「それじゃ私からね」
「ヨッシはどんな進化先が出てるのかな?」
「わくわく!」
「あはは、私はウニとの合成進化を予定だから、今の段階のをどこまであてにして良いのか分かんないんだけどね」
「まー、それでも気にはなるよな」
「それについてはケイに同意だ」
今出ている進化先にならない可能性があるのはみんな同じではあるけど、条件を満たしている進化先となるとやっぱり気にはなるもんね。それにヨッシさんは状態異常特化で割と特殊な構成になってるから、特に気になるよな。どんな進化先になってるんだろうか?
「えっと、私は今は2種類出てるよ。『氷毒激魔バチ』が生成量増加Ⅰ・氷と複合毒生成の2つを取得、氷魔法Lv6と毒魔法Lv6を取得が条件の多分魔法型の進化先」
「え、ヨッシは魔法型の進化が出たのかな?」
「ヨッシさんは結構魔法を使う事も多いもんな」
「でも、それだとウニとの相性が悪くなるよねー!?」
「うん、多分ね。だからこれは除外のつもり」
ふむふむ、確かにヨッシさんがウニとの合成進化をするのであれば今よりも物理攻撃が増えそうではあるもんな。それを考えるなら魔法型の進化先よりはバランス型の進化の方が良いよな。
「あー、魔法型の条件ってそんなとこなのか。それなら俺は海水の昇華と海水魔法を優先して、魔法型への進化先を出すのを優先して……」
うん、アルが何かブツブツ言ってるけど、漏れ聞こえてくる内容的にスキルの強化の順番を考えてるだけだな。ま、支配進化なら本体にする予定の木を優先するべきだろうね。
「ヨッシ、もう1種類はどんなのかな?」
「えっと、『強異常王バチ』だね。条件は状態異常を発生させる属性の昇華が2つと、特性に異常付与と統率を持っている事だって。ただこの進化先は属性がどうなるかが分からないんだよね」
「状態異常に更に特化する代わりに属性が無くなる可能性があるって感じか……」
「でも、統率は残っていそうなのさー!」
「条件に入っている以上は、統率はありそうかな?」
「……バランス型にするなら悪くはねぇんじゃねぇか?」
「うん、まぁ選ぶならアルさんの言うようにこっちだね。属性については、進化の輝石や属性付与の水でまた得るって手段もあるしさ。……雷属性は場合によっては諦める必要があるかもだけど」
「あー、その可能性もあるのか。ちょっと悩ましいとこだな、それ」
もし進化で属性が無くなるとなれば少し痛い気はするけど、再び属性を得る手段自体は……えーと、成熟体になってから進化の輝石との合成で行けるよね!? 必要個数は増えるかもしれないけど、情報ポイントは貯まってるだろうから不可能ではないはず!
それにしてもせっかくの雷属性まで無くなるのはもったいないね。うーん、雷というか電気の昇華も手に入れれば条件が増えたりはしないかな? いや、まだ属性無くなると決まった訳でもないし……。
「何となく元々ハチには毒があるから毒属性は残りそうな気はしてるし、氷の昇華も条件の1つだから氷属性も残る可能性もあるとは思うんだけどね。そこは博打になるのと、ウニとの合成進化でこの進化先がどうなるかが問題でさ……」
「……もうそれは実際にやってみるしかないんじゃないかな?」
「悩ましいけど、それしかないと思います!」
「俺も同意見だな。進化階位が上がる進化で弱くなる事はないとは思うが……」
「ま、属性が消えるとしてもスキルが消滅する訳じゃないし、状態異常に特化してるのはありといえばありだよなー。ヨッシさん自身も言ってたけど、再び属性を得る手段もあるし、そうなった場合はみんなでヨッシさんのしたい方向へ何とか修正しよう」
「ケイさんの言う通りなのさー! みんなでやれば何とかなるのです!」
「……そうだね。とりあえずこの進化先を候補にしつつ、電気の昇華も目指してみるね」
おっと、俺が考えていた電気の昇華を持っていれば雷属性も残る可能性があるというのはヨッシさんも想定済みだったか。3属性の昇華ならLv30までにはやってやれない事もないはずだしね。
「さて、それじゃ最後はケイか」
「どんな風になってるのかな?」
「わくわく!」
「魔法型の進化先とかはもう出てそうだよね?」
「あー、確かに俺の場合はそうなりそうだな」
ヨッシさんの言うように、俺のコケの場合は魔法型の進化先は十分あり得るんだよな。いったんには対象はコケと言われてるからロブスターにはないのは確定してるしね。
ま、これは見ればすぐ分かる話だし、サクッと進化情報を見ていきますか。どんな風になってるかなー?
《変異進化》
『自在操作ゴケ』
進化階位:成熟体
進化条件:未成体Lv30、応用スキルの『操作系スキルLv3』以上を4つ以上取得、増強進化ポイント150、融合進化ポイント150
直接自身で行う物理攻撃、魔法攻撃が共に威力が下がるが、他のものを操る事に特化したコケ。操作するものによって力を変えるコケの姿である。
なお、この進化の場合は支配進化中であれば解除となる。
《転生進化》
『水激魔ゴケ』
進化階位:成熟体
進化条件:未成体Lv30、『生成量増加Ⅰ・水』を取得、『水魔法Lv7』を取得、増強進化ポイント80、融合進化ポイント100、生存進化ポイント120
水に非常に強い親和性を持ち、なおかつ魔法適正が相当に高いコケ。水を多分に含む為、通常よりも乾燥には強くなる。
なお、この進化の場合は支配進化中であれば解除となる。
『泥激魔ゴケ』
進化階位:成熟体
進化条件:未成体Lv30、『生成量増加Ⅰ・水』と『生成量増加Ⅰ・土』の2つを取得、『水魔法Lv6』と『土魔法Lv6』を取得、増強進化ポイント100、融合進化ポイント100、生存進化ポイント100
水と土に非常に強い親和性を持ち、なおかつ魔法適正が相当に高いコケ。高い水の親和性の影響もあり、乾燥した土魔法の扱いにも長けている。
なお、この進化の場合は支配進化中であれば解除となる。
《複合進化》
【共生進化】
現在、進化可能の経路は存在しません。
【融合進化】
現在、進化可能の経路は存在しません。
【支配進化】
現在、進化可能の経路は存在しません。
【合成進化】
現在、進化可能の経路は存在しません。
おっと、変異進化の『自在操作ゴケ』は前からあったけども、見覚えのない進化先が2種類か。えーと『水激魔ゴケ』と『泥激魔ゴケ』で、条件はこうなってるんだな。ふむ、これはさっきのヨッシさんの魔法型の進化先と合わせて考えると、かなりアルの役に立つ情報な気がする。
それにしてもまだ支配進化で同調のままの進化先は出ないんだなー。もしかするとロブスター側に進化先が必要とか……? うーん、ありえそうな話ではあるね。
「ケイさん、どうー!?」
「魔法型のが2種類出てる。『水激魔ゴケ』と『泥激魔ゴケ』ってやつ」
「お、やっぱり魔法型の進化先か。ケイ、条件はどうなってる?」
「『水激魔ゴケ』は『生成量増加Ⅰ・水』と『水魔法Lv7』を取得で、『泥激魔ゴケ』は『生成量増加Ⅰ・水』と『生成量増加Ⅰ・土』の2つを取得と『水魔法Lv6』と『土魔法Lv6』を取得だな」
「……単一属性だと、魔法はLv7が必要になるのか」
「みたいだなー」
まぁ土と水の複数属性に『泥激魔ゴケ』の方は魔法はLv7は必要ないにしても、その分だけもう1つの属性の強化が必要だしね。でもこれって地味に悩むよな。この感じだと水と土の複数属性を持ったままにするか、水属性のみにするかの2択って事だし……。土魔法をLv7にしたらもう1段階上の進化先とか出ないかな?
っていうか、支配進化を同調のままで進化する時にベースになるコケの進化先はこのどっちかから選べるよね!? 選べないと地味に困るし、多分選べるはず!
「複数属性だったらLv6の魔法まで済むなら、アルさんの木は複数属性で魔法を鍛えた方が楽じゃない?」
「……確かにそれはそうだな。根の昇華が支配進化でどういう扱いになるのかが少し不安だが……」
「あ、そっか。根の昇華は生成量増加じゃなくて負荷軽減だっけ」
「でも、ヨッシの毒の昇華も違ったけど出てたよねー!?」
「……そういやそうか。意外と大丈夫かもしれんな」
「ま、アル、駄目なら駄目だった時だ!」
「そりゃ確かにな。よし、まずは樹木魔法と水魔法をLv6にして、魔法型の柑橘に進化先を出すか。その後に支配進化用の応用操作スキルLv3を3つ確保だ」
「頑張れよー、アル!」
とりあえずアルの方向性がかなり明確に決まってきた感じだな。それに他のみんなも1stに関しては、不確定要素はあるものの方向性自体は見えてきている。
俺としては水と土の複数属性を続けていきたいから、同調のままの進化した際にコケの特徴を選べるのなら『泥激魔ゴケ』かな。ぶっちゃけ今のコケの種族名は『同調強魔ゴケ』だけど普通に水と土の複数属性になってるし、名前に属性が入ってなくても問題はないはず。……ん?
「あっ!」
「どうした、ケイ?」
「いやー、今気付いた事があってさ? ヨッシさん、多分だけど属性は残る可能性は結構あると思うぞ?」
「え、どういう事?」
「俺の今の種族名って『同調強魔ゴケ』だけど、属性は水と土なんだよな」
「……あ、種族名に属性が入ってなくても属性があるんだね」
「そういう事。ま、支配進化の場合だから絶対とは言えないけどさ」
「……あはは、まぁそれは仕方ないよ。でも、種族名に属性が入らないパターンがあるのは収穫かも」
「ケイさん、もっと早く気付くべきなのさー!」
「俺だってさっき自分の今の種族名を思い出して気付いたとこだからなぁ……。そこは大目にみてくれ」
「ま、その辺は良いじゃねぇか。良い情報ではあったんだしな」
うんうん、アルも良い事を言ってくれるじゃないか。でもまぁ前例があるとはいえ別系統の進化だから、実際に進化してみるまでは分からないけどね。
ま、その辺の試行錯誤も含めて、成熟体への進化の準備を進めていこう。とりあえず後回しにしたサヤの竜の小型化の取得からやっていきますか!
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