第688話 現在の進化先 前編
さて、アルに乗って移動をしながら、みんなの不具合で表示されていなかった進化情報確認をしていく事になった。……うん、まだ中身のチェックは出来てないけど進化項目の部分は光っているね。ま、いったんから不具合の該当者だとは言われてたから当然といえば当然だけど。
「おし、んじゃ先に転移をしていくか」
「そだな。転移したその先からアルに乗っていくって事で、出発!」
「「「「おー!」」」」
そうと決まれば早速転移の種を使って、昨日の夜の続きをやっていこう! あ、そういや転移を登録した場所に光る方の進化記憶の結晶がある林があるんだったっけ。……それについては実際に転移してみてからだな。って事で、転移の種を使用!
<『ミヤ・マサの森林』から『広範平原・中央部』に移動しました>
とりあえず光のツボミの演出を伴って、全員が転移完了っと。おっ、どうやら昨日の平原エリアの命名クエストが終わって、新たな名前に変わったみたいだね。へぇ、広範平原か。まぁここの平原は広い上に、色々な地形も内包しているから納得といえば納得なんだけど……。
「……この広範平原・中央部の中央部って何?」
「あー、ここの平原ってとびっきり広いらしいからな。俺らが行った場所でもスターリー湿原とか、青の群集の問題の連中をぶっ飛ばしたラルジュ平原もここに繋がってるぜ?」
「確かミズキの森林の南側も繋がってたよねー!?」
「あ、そういえばそうだったね」
「その辺は中央部じゃなくて、広範平原・西部とかになるのかな?」
「あー、そんだけ広いならそうなりそうだな」
昨日通った氷樹の森は別エリアだけど、この広範平原がいくつかに分かれているのは名称的に確定事項だよね。……どこがエリア切り替えになるのかが微妙なラインではありそうだけど、まぁ極端に変な事はないよな、多分。
それに今日はここから東に進んで、赤の群集の森林深部エリアと青の群集の森林エリアの競争クエストのエリアを避けて迂回する必要もある。……そこまで行けば、広範平原・東部とかまで行きそうな予感もするね。ま、それはそれで良いだろうけどね。
「とりあえずそこら辺のエリアの切り替えについては後から考えるとして、移動しようぜ」
「アル、ちょっと待ったかな。昨日ジェイさんがこの近くの林に……あっ」
「……進化記憶の結晶は諦めた方が良さそうだよ?」
「そうみたい……かな?」
「これは無理なのです!」
うん、思いっきりこれから取りますよって感じで待ち構えている青の群集のPTがいるし、他にも赤の群集のPTが近寄っている様子も見える。これは争奪戦になりそうな雰囲気だから、今は無理に突っ込む必要もないか。
「目的地がないなら乱入してもいいけど、流石に今日はパスだな。って事で、アル!」
「おう! 『略:空中浮遊』!」
「あはは、先にアルはあの様子を見てたのかな?」
「まぁそうなるな。あの状況は流石に無理だろ」
「……今回は私の観察不足だったかな」
あー、どうもサヤは進化記憶の結晶の場所の状況は一目瞭然の状態だったのに、確認せずにストップをかけたのを少し気にしてるっぽいな。その程度の事なら気にしなくても良いんだけど、まぁ自信満々に言った事が確認不足で意味がなかったら気落ちする気持ちも分からなくもない……か。
「サヤ、そういう事もたまにはあるよ」
「ヨッシの言う通りなのさー! 気にしなくて良いのです!」
「サヤ、ドンマイ!」
「……ケイには何となく言われたくはないかな」
「励ましてんのに、その言い方って酷くない!?」
「あはは、今のは冗談かな。みんな、ありがとね」
「ま、その話題はその辺にして、みんな乗ってくれ。移動していくぞ」
「ほいよっと」
「わかったかな」
「はーい!」
「お邪魔します」
そうしてそれぞれにアルのクジラの上に移動していく。スキルを使わなくてもアルが低空飛行にはしてくれているから、尾ビレの方から普通に登っていけるもんなー。
この辺はもういつもの事だから手慣れたものだし、ハーレさんはいつも通り巣に入り、サヤはアルの木に背を預け、ヨッシさんは枝に止まっている。俺もアルの木の根本付近で、根をハサミで挟んだ状態だな。さて、これで移動は問題なし。
「移動速度はどうする?」
「あー、まだ結構時間はあるし、今はとりあえず高速遊泳のみくらいで良いんじゃないか?」
「はい! ケイさんの意見に賛成です!」
「私も賛成かな。色々と話ながらだもんね」
「そだね。私もそれに賛成」
「よし、んじゃそうするか。『略:高速遊泳』!」
とりあえずこれで広範平原の東に向けて出発開始である。えーと、このまま川沿いに進んでいくとそれなりに先の方に森が見えているけど、あそこが競争クエストのエリア……? しまったな、ここの競争クエストのエリアが何エリアなのかを確認していなかったっけ。
「アル、青の群集と赤の群集の競争クエストのエリアって何か分かるか?」
「それなら確認しといたぜ。森林エリアって話だから、そこの川の流れ込んでいる森林だな」
「お、アル、ナイス!」
「それなら森の直前まで行って、そこから森の外周に沿って東に進みのが良いんじゃない?」
「ま、その方が分かりやすいか。よし、そのヨッシさんの案で行くぞ」
「……アル、間違えて競争クエストのエリアに入るなよ?」
「やらねぇよ、そんなミス!」
「あっはっは、それじゃ移動は任せたぞ、アル!」
「……冗談抜きでそんなミスはしてたまるか」
うん、半分は悪ふざけで言ったけども、もう半分は冗談抜きで避けたいから言ったしね。他の群集の占有エリアに入ったら、位置はマップで察知されるし、帰還の実は使えないし、死んだらランダムリスポーンのみだし、メリットが皆無だもんな。……下手に入ればスパイとして袋叩きにされても文句は言えないしね。
そんな風に話をしながら、今いる辺りから南寄りへと少し向きが変わる東へと流れている川の上空をアルのクジラが泳いでいく。
今のアルのクジラは自己強化や水流などの補佐は使っていないので、無茶苦茶速くはないけどそこそこの速度で進めている。ま、大急ぎでない時はこのくらいが丁度いい速度だな。
「さて、それじゃお待ちかねの進化情報を確認していくか! まず、誰からいく?」
「はい! 私から良いですか!?」
サヤとヨッシさんは無言で了承するように頷いているし、アルは進化先は出てはいるけど選ぶ候補ではないと断言してるからね。ま、時間があればアルの聞くだけは聞いておくつもりだけど、それは後回し。
「それじゃまずはハーレさんからで」
「はーい! えっとね、リスで2種類出てて、クラゲは特になさそうです! というか、クラゲでログインしないとクラゲのは見れません!」
「あ、共生進化じゃそこまでは見れなかったっけ。とりあえずリスの方はどう?」
「えっと、どっちも転生進化で『豪腕剛投リス』と『多彩投擲リス』の2種類です! 『豪腕剛投リス』は凝縮破壊Ⅰとチャージ系の応用スキルLv3以上が1つ以上が条件で、『多彩投擲リス』は凝縮破壊Ⅰと連鎖増強Ⅰとチャージ系応用スキルを2つ以上と連撃系応用スキルを2つ以上が条件になってるのさー!」
ほほう、ハーレさんのリスは2種類の進化先が出ているんだな。今のを聞いた感じでは応用スキルのLvや所有している数が条件に入ってくるみたいだね。
「『豪腕剛投リス』は一撃の威力重視って感じかな?」
「多分そうだと思うのさー! そしてこれなら連撃重視の進化先もありそうな気がするのです!
「あ、多分それはあると思うかな。私の進化先に連撃重視の進化先が出てるし」
「おー!? サヤにも出てるんだー!?」
「あ、そうか。サヤは爪刃双閃舞がLv3だし、法則があるのなら当てはまりそうではあるよな」
「うん、そういう事かな」
ふむふむ、物理攻撃系の進化先はチャージ系で一撃の威力を追求するのと、連撃系を重視する進化先に分岐するんだな。あ、でも『多彩投擲リス』は違いそうだけど、これはどういう系統の進化先だ? 条件的に考えるのなら、どちらにも偏ってないっぽいよな。
「それなら『多彩投擲リス』はチャージと連撃の両方に対応してる感じ?」
「多分そうだと思うかな。私もほぼ同じ条件で『多彩硬爪グマ』が出てるしね」
「ほほう、なるほどね。ハーレさんとしてはどっちかに特化させるのと、バランス良くいくのはどっちが良いんだ?」
「状況に合わせて色々使い分けたいからバランスにしたいのさー! でもまだもう1段階上がありそうな気もしているのです!」
「あ、確かにそれはありそうだね? それなら一応はバランスのいい進化先を候補にしつつ、スキルの強化?」
「うーん、クラゲを魔法型にしたいので、そっちと並行していくのさー!」
「そっか、ハーレはリスだけって訳にもいかないんだね」
「その辺はまだ進化まで時間があるから、頑張っていくしかないかな!」
「頑張るのです!」
まぁまだ進化まではLv10はある訳だし、そこまで焦る必要もないか。傾向が見えてきているというだけでも狙いを決めていくには充分なものだしね。
「で、サヤの進化情報が地味に出てたけど、次はサヤで良いか?」
「うん、それは問題ないかな。って言っても、ほぼ言ったようなものだけど今出ている進化先は『多彩硬爪グマ』と『連魔鋭爪グマ』の2つかな。『多彩硬爪グマ』の条件はハーレの『多彩投擲リス』と条件は同じで、『連魔鋭爪グマ』は連鎖増強Ⅰと連撃系応用スキルLv3以上が1つ必要だね」
「物理攻撃がメインならそういう形になるみたいなんだね」
「そうみたいだな」
物理型の進化の特徴は軽く掴めてきたけど、聞いている限りではアルのクジラはまだ微妙そうではある……って、アルは今は木でログインしてるからクジラの進化先は見てないんじゃ!?
「アル、ちょっと質問いいか?」
「ん? なんだ?」
「アルはクジラの進化先の確認はした……?」
「いや、まだしてねぇぞ。だが、思ったほどクジラの方は攻撃が育ってないからな……。木に関しても、目指してる魔法型と支配進化の両方がまだだから、育成必須なのは分かりきってるからなー」
「え、じゃあ、木の進化先って何が出てるんだ?」
「移動種の強化系だな。『根脚拠点癒柑橘』ってやつで根の操作Lv6と枝の操作Lv1が条件だ」
「……うん、微妙そう」
「だろ? これは選ぶ気はないし、進化先を増やす為にはまずは支配進化を出さねぇとな」
「……だな」
アルに関しては思った以上に微妙な内容だったね。……うん、移動に集中すると言ったアルの気持ちはよく分かったよ。
とりあえずアルはスキルの強化をしなけりゃどうにもならないか。まずは木で操作系スキルを強化して、魔法型にも進化出来るようにして、支配進化した際にクジラを物理型へと進化させないといけないのか。
えーと、前に進化の条件を推測した時には既に支配進化や同調になってない場合の支配進化の条件は応用の操作系スキルLv3を3つ以上を取得だったっけ。……これはどこかのタイミングでアルの進化の為のスキル強化の機会を確保していかないと駄目かもしれないね。
それにハーレさんのクラゲも風の昇華は目指しているんだし、そこも重要だよな。あ、それならサヤの竜の方もか。こりゃみんなのメイン側の進化先が出揃ったら、2ndの方のスキル強化をやっていく必要もありそうだ。……うん、スキルを強化する必要があるのはアルだけって訳でもないね。
ま、それぞれに2ndの方を鍛えていく必要はあるにしても、まずは全員の1stの進化先を確認しておくのが先だな。この感じだと1stが本命の進化先にになるかどうか分からない段階でもあるし、2ndの方はまだ進化先には期待出来そうにないしね。
「それじゃ後はケイさんとヨッシだねー!」
「とりあえず1stの分はそうなるなー。みんなの2ndの方はどうなってんだろ?」
「俺は小型化の進化があるくらいだが、今は2ndの進化先にまで現段階で焦っても仕方ねぇだろ」
「うん、そう思うかな。まだLv10はあるんだし、まずは1stからしっかり鍛えるべきだよね」
「急がば回れなのさー!」
「あはは、まぁそうだよね。あ、ちなみに私も2ndのウニは小型化の進化は出てるよ」
「ほうほう、アルのクジラととヨッシさんのウニは小型化進化も可能と……。あ、そういやサヤの竜ってこれ以上大きく進化したらまずいんじゃ?」
動物系の種族は大型同士では共生進化は出来ないって制限があるし、確かサヤはいったんから竜が今以上大きくなるとアウトと言われてたはず。普通に進化したら竜は大きくなりそうだし、その辺の対策が必要だよな。
「え、あ、確かにそう言われてたかな!? アル、ヨッシ、小型化の進化ってどういう条件かな!?」
「えっと、今あるのは未成体での進化階位が変わらない変異進化の条件だから、成熟体になってからだと条件が変わる可能性もあるけどその情報でいい?」
あ、小型化の進化って進化階位の変わらない変異進化なのか。まー、大きさを変える為だけの進化だしそうなるよな。……あれ、俺のロブスターも大型化は持ってるから大型化の進化が出てても良さそうなもんだけど、条件って具体的にどうなってんだ?
「参考までにお願いかな!」
「あくまで参考に留めておいてね? えっと、小型化がLv2になった時点で小型化の進化先は出たよ」
「ちなみに幼生体と成長体の場合ならLv1で出るらしいぞ」
「おー! そうなんだー!?」
「あー、そういう条件なのか。って事は、サヤの竜は万が一に備えて小型化をLv2以上にしておいた方がいい?」
「場合によっては成熟体ではLv3って可能性もあるからな。今のうちからこういう移動中を使って鍛えて備えておくのも悪くはないだろう」
ふむふむ、確かに成熟体になったら要求Lvが上がる可能性もあるもんな。そしてLv2が必要なら、俺のロブスターで大型化の進化先が出てなくても当然といえば当然である。まだ大型化はLv1だしね!
「……そもそも私は小型化自体を持ってないんだけど、ちょっと今のうちに取ってきて、鍛えておいてもいいかな?」
「あー、それならサクッとやった方がいいな。一旦止まるぞ」
「ほいよっと」
「了解なのさー!」
「その方が良いかもね」
「それじゃ少し切り替えてくるかな!」
そうしてサヤがログインするのを竜に切り替える為に地面に飛び降りてログアウトをしていき、アルはその周辺をグルグルと回るように泳いでいく。ま、有効活用の出来る時間があって、それで鍛えられるならやっておいた方がいいだろうしね。
このまま普通に竜を進化させたら大きくなってしまって、小型化の進化を行うまで共生進化が不可になっても困るからなー。……今の内に気付いておいて良かったのかもしれないね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます