第672話 推測からは抜け出せない
さて、とりあえず成熟体からと思わしきスキルに関する情報の報告は出来たから、次はジェイさんのやってた昇華魔法の発動手段について――
オオカミ : コケの人、1つ確認しておきたいんだが良いか?
コケ : おう、良いぞー!
多分このオオカミの人はベスタなんだろうけど、確認したい事ってのはなんだろう? さっきの話したものでは不十分な内容でもあったかな? まぁあくまで推測だし、他の視点からだと俺が見落としている何かがある可能性もあるか。
オオカミ : 単刀直入でいくぞ。なぜ物理型に対応するのが、魔力集中と自己強化の上位スキルだと推測した?
コケ : ん? それなら純粋な物理攻撃の強化手段だとどうなるかっていう所からの推測だったけど……。あくまでそういう方向性があるんじゃないかって推測だから、スキルの性質は分からんぞ?
草花 : まぁ白光になるってくらいしか情報はないもんね。
ヘビ : 精々、銀光が白光に変わってるってくらいしか……って、あれ?
ネズミ : どうした、ヘビの人?
ヘビ : いやさ、コケの人が性質が分からないっていうのは確かにあると思うんだけど、魔力集中も自己強化の基本的に物理の強化じゃん? 攻撃の強化に特化してるか、全体的に強化するかで違いはあるけどさ。だったら、その魔法と物理複合っぽいスキルの強化も出来るんじゃね?
カンガルー : 確かにそれはありそうですね?
木 : 無いとは言えないが、そうなるとどうなるんだ……? 物理向けの強化とは別枠になるのか?
ふむ、確かにその可能性も否定は出来ないね……。うーん、確かにその辺についてはバランス型向けの上位のスキルを起点に魔法と物理の複合したスキルと、未知の魔法の情報から考えたものだしね。
でも魔力集中とかの上位のスキルがあり、それが物理型でもバランス型でも有効なのだとすると、物理型に対応する強化版のスキルが別に存在する可能性もありそうだ。魔法についてはそもそも系統がまるで違うから別と考えても良いんだろうけど……。
オオカミ : 俺の推測としては、魔力集中と自己強化の上位スキルについてはおそらく存在しているだろう。ただし、それとは別に物理型、バランス型、魔法型のそれぞれに別系統の強化スキルも存在している可能性は高いと考えている。
コケ : それについては概ね同意見なんだけど、その辺の根拠を聞いてもいい?
草花 : そう判断する理由は気になるね。
ヘビ : だなー。
ネズミ : オオカミの人の推測だと4種類の新系統のスキルがあるって事になるけど、それって物理型とバランス型の両方で使えるとも限らないんじゃね?
あー、確かにネズミの人が言う事も無いとは言えないか。そもそも物理型でしか取れないという可能性はあるかも……って、その場合に取得条件はどうなるんだ? 純粋に物理攻撃しか持ってないとかそういう条件は流石に厳しいような……?
オオカミ : ネズミの人、その場合はどういう取得条件になる?
ネズミ : えーと、魔法を1つも持ってないってのは現実的じゃないから、一定Lv以上の魔法スキルを持っていない事……? あ、いや、これじゃ駄目だな。後から魔法を上げた場合に変な事になりそうだ……。
草花 : 物理型だからって、魔法が取れない訳でも強化出来ない訳でもないって事かー。あ、そっか。やろうと思えば物理型や魔法型でも魔法と物理の複合したスキルが取れる……?
オオカミ : あぁ、その可能性が高いと見ている。取得条件が不明な段階では断言するのも危険だが、ダメージ量の差が出ても条件さえ満たせば物理型だろうが、バランス型だろうが、魔法型だろうが、全てのスキルを取れるはずだ。
コケ : あー! 確かに育成が現実的かは別としても、条件的にはどれも取れる可能性はあるのか!
今の状況でも相当な時間の無駄にはなるだろうけど、俺のロブスターで水魔法をコケと同等まで育てる事も可能といえば可能ではある。その辺りの傾向から外れる事がなければ、ベスタの言うように取れるようになっていてもおかしくはない。
でも、もしこの内容を事実と仮定するなら、魔力集中や自己強化の上位版は魔法にも影響がある可能性も……うん、魔法砲撃や付与魔法とかの魔法を強化するものがあるんだから、その可能性も否定は出来ないのか。
サボテン : なんか面白い話をしてるな。でもこれってまだ考えるの早くね?
ヘビ : いや、確かにそりゃそうだけどよ!? それを言っちゃお終いだろう!
ドラゴン : ほうほう、魔法と物理の複合したスキルか。こりゃ火属性のスキルを狙うしかねぇよな!
オオカミ : まだ途中だから、話を続けるぞ。
ドラゴン : お、なんか割り込んだみたいですまん!
サボテン : 俺もなんかすまんかった!
オオカミ : それくらいは構わん。それで続きだが、白光の正体が魔力集中や自己強化の上位スキルではないかと考えている。どうにも攻撃の動き自体が、目撃情報を見る限りでは今ある応用スキルと大差がなさそうなのも多いからな。
カンガルー : 言われてみれば、ただチャージして突撃という様子のものも多いですね。……威力については桁違いのようですが、これは成熟体だからという訳ではないと?
オオカミ : 成熟体のステータスだから高威力というのもあるだろうが、それの威力を跳ね上げているのが白光するスキルという可能性だな。今、目撃情報があるものが全てだとは限らないだろう?
イノシシ : つまり、物理型の上位のスキルはまだ目撃されていないか、その情報が出てきていないだけって事か?
オオカミ : あぁ、そういう事だ。まぁあくまで推測に過ぎんし、サボテンの人が言うようにまだ早い段階の内容ではある。だが、成熟体から有り得る新スキルの情報が欲しいからな。今後も目撃する事があれば、その白光以外に何か別の特徴がないかをよく見てみてくれ。
ヘビ : うぃーっす! 確かに上位のスキルの目印が白光だけとは限らないもんな。
カンガルー : 敵もプレイヤーと同様に発声でスキルを使ってくれれば分かりやすいんですけどね。
ドラゴン : それは言っても仕方ねぇって。おし、何はともあれ成熟体を目指すしかねぇな!
サボテン : だな!
結局のところ、結論は進化を目指すという所に落ち着くのか。まぁ、実際に進化しない事にはどうしようもなさそうなのは間違いないしな。
この辺の成熟体からありそうな上位のスキルについては気に留めておいても、断定せずに色々な可能性を考慮しつつ情報の精査が必要だね。それを元に成熟体に進化した人が、色々と取得条件を探っていくしかないだろう。
さてと、話の区切りはついた気もするから次の話をしていこうじゃないか。今度こそジェイさんの昨日やってた昇華魔法の情報だな。
コケ : えーと、とりあえず話は一段落ついたって事でいい?
オオカミ : あぁ、それで良いだろうが……まだ何かあるのか?
コケ : あるよー。共生進化で『簡略指示』と『共生指示』で昇華魔法を使ったら、ちょっと強力な事になるっぽい。
ヘビ : あ、悪い。それ、1時間くらい前に他の人が報告してるわ。
草花 : そだねー。あれでしょ、1人でも2人での発動と同等の威力になるってやつ。
コケ : あれ!? 報告、遅かった!?
サボテン : あー、そういやさっきまとめで更新された最新情報にあったなー。
ドラゴン : へぇ、そんなのあるのか。ちょっと見てこよ。
くっ、昨日のうちに報告をしていれば最新情報だったのに、今日にした事で最新情報ではなくなるとは!? ……まぁそれについてはこだわってる訳でもないから別にいいけどさ!
カツオ : ちょっといきなりですまん! 海エリアでちょっとトラブル発生だ!
草花 : どしたの、カツオの人?
オオカミ : 何があった?
カツオ : フィールドボスが行方を眩ませたんだ! 逃亡の特性を持ったイカの黒の暴走種でLv20へのフィールドボスへの進化はやるんじゃなかった!
オオカミ : ……何? Lv20の黒の暴走種のフィールドボスを誕生させたのか?
クマ : ん? もう+19の瘴気石って作れるようになってたっけ?
草花 : まだ+15までが限界だったと思うけど……。
あれ、確か瘴気石の強化って+5までは瘴気収束Lv1で頭打ちになって、浄化の光Lv1で余剰分の瘴気の紋様を消してからじゃないと+6には強化出来なかったんだよな。ちゃんと確認はしてないけど瘴気収束Lv2で+10で、浄化の光Lv2でそれの解除と考えると、瘴気収束Lv3で+15まで?
そうだとしたら、瘴気収束Lv4になれば可能という事にはなるのか。でもこの反応を見る限りでは、それはまだ辿り着いている人がいないっぽい感じだね。
カツオ : あー、後から報告しようと思ってたけど、海エリアの不動種がスキル強化の種を使ってな。ついさっき可能になったとこなんだよ。
クジラ : 成功してから報告しようとしたら、見事に取り逃がしました!
マグロ : だから報告して、もう少し人数を集めてからやろうって言っただろ!
クジラ2 : あはは、Lv20のフィールドボスを4人でどうにかしようとしたのが失敗だったねー!
オオカミ : 何をやってるんだ、お前らは……。
うん、確実にLv20のフィールドボスを相手に4人はちょっと少ないよな。……というか、なんで逃亡の特性持ちをフィールドボスに……って、多分他にLv20の成長体の黒の暴走種がいなかったんだろうね。
カンガルー : それで私達はどうすれば良いのでしょうか?
クジラ : 手が空いている人がいたら、捜索の手伝いをお願いしたいんだ!
オオカミ : ……すまんが、この後は約束があってな。俺はちょっと無理だ。
クジラ2 : えー!? リーダーをあてにしてたのに、そんなー!?
草花 : 同じく無理ー! というか、これからは無理な人の方が多いんじゃない?
マグロ : あっ!? そういや、この後か!
クジラ : え、何かあったっけ?
どうもベスタを筆頭に用事があるような様子だけど、何かあったのか……? いや、これから何かがあるっていう方が正しそうな気もするね。
コケ : えっと、これから何かあるのか?
草花 : あれ、意外と知らない人もいるんだね? この後、リーダーとオオカミ組のボスでの模擬戦があるんだよ。えーと、今は名前出してもいい?
ヘビ : ほぼ個人は特定出来てる情報だし、良いんじゃね?
オオカミ : 俺は構わんぞ。
オオカミ2 : 何やら俺も話題になってるっぽいけど、俺も問題ないぜ!
草花 : わっ、まさかの本人登場!? でも、許可が出たならいいや。ベスタさんと蒼弦さんの対決が4時半からあるんだよね。蒼弦さんは5時以降は用事があって時間をズラせないんだっけ?
オオカミ2 : ちょっとリアルで用事があるからなー。それがなけりゃ、海エリアへ手助けに行きたいんだが……。
クジラ : え、その対決、俺も普通に見たいんだけど!?
カツオ : しまったな、よりによってこのタイミングでやらかしたのか……。
マグロ : あー、くっそ! 知ってた筈なのに、なんでど忘れしてた、俺! そりゃ人を呼びかけても集まりが悪いはずだ!
クジラ2 : ……あはは、こりゃやっちゃったねー。
ふむふむ、要するにベスタと蒼弦さんの対決が間もなく実施されるという事と、蒼弦さんのリアルの都合で対戦は延期出来ないという状況になっている訳か。後日にするって事は出来そうだけど、フィールドボスが逃げたからその後始末でという理由だと不満が出そうだよね。
フィールドボスが逃げたトラブル自体は緊急性が高いものでもないし、この組み合わせは見逃せない戦いではあるからそっちを優先したいよな。
俺も見に行きたいっていうか、海エリアの人達には悪いけど絶対見に行く。そもそもみんなのログイン待ちでもあるから、今は遠出はしたくないし。
コケ : ところで、その逃げたフィールドボスって緊急性は高いのか?
マグロ : あー、どうなんだ? 逃亡の特性があるから、倒すのは面倒そうではあるけど……。
カツオ : だから、逃亡の特性を持ってるのを使うのはやめようって言ったじゃねぇか!
クジラ : まさか進化して即座に逃げるとは思わないって!?
クジラ2 : 流石にここで喧嘩はやめようよね?
オオカミ : ……クジラ2の人の言う通りだな。対戦が終わったら、手伝いに行くから喧嘩はやめておけ。
草花 : そだねー。対決を見終わってからなら問題はないよー!
ヘビ : 俺もそれからなら良いぜ。
ふむ、逃げたフィールドボスについてはベスタと蒼弦さんの対決が終わってからなら問題はなさそうだね。……でも俺に関しては他のみんなの意見を聞く必要もあるし、海エリアでフィールドボスの誕生をさせられるエリアは行った事がないんだよな。
アルがいない時に新エリアに行くのは無しだから、今回は見送りになりそうだ。まぁ海エリアの人達もベスタと蒼弦さんの対決を見ようとしてる人が多いっぽいし、人数としても戦力としても俺らが行かなくても大丈夫だろ。……行ける時なら行っても良いんだけどね。
オオカミ : さて、悪いが一旦俺は離れるぞ。
オオカミ2 : おっし、待ってた対戦が開始だな!
草花 : 私も離脱ー!
クジラ : よし、今は俺らじゃどうにもならなさそうだから、中継を見に行こう!
クジラ2 : 賛成ー!
カツオ : おいおい、良いのか、それで……。
ヘビ : 別に良いんじゃね? どっちみち、この対戦が終わるまではまともな人員補充は出来んだろ?
マグロ : だよなぁ……。
ヘビ : さてと、俺も見に行こうっと。
そうして次々と情報共有板に書き込んでいる人数が減っていく。これ以上見ていても意味はなさそうなので、俺も離脱して対戦の中継をしている不動種の人のとこに見に行こうかな。
桜花さんがログインしてて、中継をしてくれていれば良いんだけど、どうだろね? とりあえず桜花さんがログインしているかを確認して、ログインしていれば桜花さんの所に行ってみようっと。
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