第537話 スキル強化の薪割り
よし、ソラさんが薪にする為に積まれていた丸太を持ってきてくれたし、早速薪割りをやっていこう。今はロブスターを大型化して1メートルくらいにはなっているので、それなりに効率はいいはず。まぁそれでも丸太の太さには足りないので、水属性を付与して追撃効果の水刃を使っていこう。
とりあえず、丸太自体が結構長いので30センチ幅くらいまで輪切りにしていこうじゃないか。まずは1本目! 一番威力の低いはさむから鍛えていこうっと。
<行動値を3消費して『はさむLv3・水』を発動します> 行動値 29/32(上限値使用:40)
まずは丸太をハサミで挟んでみたが、やっぱり丸太の太さ的にハサミだけでは一気に挟み切るのは無理だったか。でもハサミの内側から噴出された水で両断は出来た。威力的には一番弱いこれでも充分だな。
「お、ケイさん、それは良い感じだね?」
「おうよ。一番弱いスキルだけど、とりあえずこれがLv5なるまではサクサクやっていこうか」
「そうだね。それじゃ僕はある程度の丸太を運んできたら、輪切りに切断したのをまとめていくよ」
「お、それは助かる」
「任せておくれ。あぁ、そうだ。それで余裕があったら、僕も薪割りをしてもいいかい?」
「それは別に構わないけど、え、ソラさんって斬撃系の攻撃持ってるのか?」
「僕はバランス型だから、物理も魔法もどっちも行けるよ。翼を刃状にするスキルもあるからね」
「あー、なるほどね」
そっか、ソラさんは風の昇華を持ってたから魔法型かと思ってたけども、バランス型だったんだな。っていうか、ソラさん達の『飛翔連隊』に入った辛子さんも風の昇華持ちのバランス型じゃなかったっけ? まぁ、辛子さんは後から入った追加メンバーだしそういう事もあるか。
それにしても、ヨッシさんのハチの針やウニの棘の斬針とか、イブキの使っていた鱗の……えーと、斬化鱗だっけ? 翼を刃状に出来るスキルもあるって事だし、意外と斬撃系のスキルは使いやすく出来るんだな。
「とりあえず、報酬の量にも関わってくるからサクサクやっていこうじゃないか」
「ま、それもそうだな」
会話をするのは良いけど、まずはスキルをどんどん使っていくのが重要である。雑談をしながらでも、手を止めるのだけはなしだね。それじゃ薪割り、頑張っていきますか!
<行動値を3消費して『はさむLv3・水』を発動します> 行動値 26/32(上限値使用:40)
よし、今度もちゃんと切断は出来ているから、これなら特に問題はなさそうだね。……そういや地味に追撃の水で斬った丸太が濡れているけど、まぁ魔法産のものだしすぐに消えるだろ。……多分。
それからちょいちょい行動値の回復を挟みながらソラさんと雑談をしつつ、俺は次々と丸太を切断していく。そしてソラさんは何度も往復しながら、丸太を運んできてくれていた。結構な量を持ってきてくれたけど、これって処理しきれるかな?
「とりあえずこれくらいあれば足りるかい?」
「ちょっと多い気もするけど、まぁ2人でやるなら問題ないか」
「うんうん、そうだよね。それじゃ僕はケイさんが斬ったのを拾いながら、薪にしていこうかな」
「ほいよっと」
まぁここは手分けをしてやっていくのが良いだろう。さて、そろそろ魔力集中の時間切れも近いけど、サクサクやっていこう!
<行動値を3消費して『はさむLv3・水』を発動します> 行動値 16/32(上限値使用:40)
<熟練度が規定値に到達したため、スキル『はさむLv3』が『はさむLv4』になりました>
よし、とりあえずはさむがLv1は上がったぞ。やってる事は地味ではあるけども、この熟練度稼ぎって重要だもんな。凝縮破壊Ⅰについては単発系の同系統スキルをいくつかLv5まで上げる必要がある以上、避けては通れないからね。まぁ支配進化を選んでオールラウンダーを目指すと決めた以上は、これは頑張っていかないとただの器用貧乏になっちゃうしさ。
<『魔力集中Lv2』の発動を解除したため、行動値上限が元に戻ります> 行動値 13/32 → 13/34(上限値使用:38)
<『操作属性付与Lv1』の発動を解除したため、行動値上限が元に戻ります> 行動値 13/34 → 13/35(上限値使用:37)
あ、そうしている内に魔力集中の効果が切れた。まぁ時間切れに関しては仕方ないので、自己強化に切り替えてやっていくか。魔力集中ほど威力は上がらないけど、そこは使うスキルを変える事で対応していこう。
<行動値上限を1使用と魔力値2消費して『自己強化Lv1』を発動します> 行動値 13/35 → 13/34(上限値使用:38): 魔力値 202/204 :効果時間 10分
これで自己強化へと切り替え完了。自己強化に操作属性付与をしても、スキルに追撃効果はないのでこっちでは発動はなしだな。
「あぁ、僕も自己強化が切れたね。ちょうどいいから魔力集中に切り替えようか。『魔力集中』『ウィンドクリエイト』『操作属性付与』『翼斬り・風』!」
「おー、お見事! あ、でもちょっと角度が悪いか」
ソラさんは俺が斬った丸太の一部を拾って立たせるように置いて、地面に降りてからそれに向かって翼を振り下ろすようにしていた。ただ、位置の関係で少し切断面が斜めになってしまっている。
やっぱりタカであるソラさんが真上から垂直に斬撃を行うのは難しいのかな? 岩の操作を使って斜めに固定すれば可能ではあるんだろうけど、それは流石に効率が悪いか。
「あー、やっぱりこうなるんだね。うーん、どうしようか……?」
「それならいっそ掴んで飛んでから、丸太を落としてその落下中に切断したら?」
「あぁ、その手があったね。でもそれだと斬った薪が落ちていって邪魔にならないかい?」
「あ、それもそうか。ふむ、難しいもんだな」
俺がスキルの強化中でなければ落ちてくる薪を受け止める役目をしてもいいんだけど、今はそういう訳にもいかないもんな。うーん、何か良い方法はないものか。
「ケイさん、何か困ってる?」
「あー、うん、ちょっとなー。って、ヨッシさん!? あ、サヤもか!?」
「ケイ、驚き過ぎかな」
「いやだって、少し離れたとこで特訓してたんじゃ?」
「私はとりあえず目標達成したよ」
「ヨッシさん、マジか! って事は、氷雪の操作はLv3になったんだな」
「まぁ、そうなるね。それで氷雪の操作Lv3の慣らしも兼ねて、薪の回収は私がやるよ」
「私もちょっと休憩を兼ねて手伝うかな!」
「……サヤ、操作の集中力が切れたか?」
「……あはは?」
あ、やっぱりか。まぁ不得意で慣れない事をやってるんだから、神経も集中力もいつもの何倍も使うだろうし、適度に休憩をするのも大事か。
「よし、それじゃサヤとヨッシさんにソラさんのフォローは任せた!」
「了解。私は氷雪の操作で吹雪にして落下方向を誘導するから、サヤは薪を上空に投げてもらっていい? それをソラさんが斬っていく感じでさ」
「うん、分かったかな」
「えっと、それは良いんだけど、報酬はどうするんだい?」
「あ、それもそうか」
確かにここでサヤとヨッシさんが薪割りの手伝いに入ってくるのなら報酬が変わってはくるもんな。でも、手伝ってくれる分だけ薪の量も増えるはず。それなら……。
「薪の数は増えそうだし、俺の報酬分を回すって事でもいいか?」
「ケイさん、それは待った。それなら僕の報酬分も混ぜて分配にしよう」
「え、ソラさん良いのかな?」
「構わないよ。僕だけ多く貰うのもフェアじゃないからね」
「……まぁソラさんが良いなら、それでいいか」
「なんだか割り込むようになってごめんね」
「それは気にしなくていいさ。それより予定を決めたなら、魔力集中の時間が勿体無いから早く始めようじゃないかい」
「それもそだな」
「分かったかな。これくらいの丸太の輪切りなら普通の投擲で投げられるかな?」
「多分、いけるんじゃない? さてと私も準備をしようっと。『アイスクリエイト』『氷雪の操作』!」
サヤは俺が輪切りにした30センチほどの丸太を抱えて投げる用意をしているし、ヨッシさんは吹雪を生成していた。うん、確実にさっきよりも精度が圧倒的に上がっているね。やっぱり操作系スキルはLv3からだと大きく変わってくるよな。
「さてと、俺は継続して丸太の切断だな」
役割分担も決まったことだし、俺も自分の役割をやっていこうじゃないか。魔力集中が切れて自己強化に切り替えたから、今度は一番威力の高い鋏鋭断を使っていこう。まぁ、まだLv2ってのが不安要素ではあるんだけど、使わなきゃ威力も上がらないんだから使っていくしかない!
<行動値を2消費して『鋏鋭断Lv2』を発動します> 行動値 15/34(上限値使用:38)
話してる間に少し行動値回復していたね。……切れ味自体は申し分なかったけども1回で両断にはならなかったか。これはちょっと手間はかかるけども、2回に分けて切断だな。まぁ8割くらいは切断出来てるし、スキルなしでも残りの切断は出来そうだしやってみるか。……お、いけたね。
流石に1ヶ所の切断に2回もスキルを使うのは無駄が多いので、自己強化中はスキルと通常攻撃で対処していこうっと。
「それじゃ、サヤよろしく」
「分かったかな。『投擲』!」
「お、サヤさんいい狙いだね。『双翼斬舞・風』!」
「さて、回収していかないと」
そんな感じでサヤが俺が輪切りにした丸太を投げ、それをソラさんが左右の翼で舞うように飛びながら細かく分割して、落下していく薪をヨッシさんが氷雪の操作で操る吹雪で地面の1ヶ所に誘導して落下させていく。おー、見事に適度なサイズの薪になったね。
それにしてもこれって地味にサヤの投擲のLvも上がるし、場合によっては大型砲撃も取れるんじゃないか? うん、その可能性は充分あるね。ま、とにかく薪の大量生産をやっていこう!
<行動値を2消費して『鋏鋭断Lv2』を発動します> 行動値 13/34(上限値使用:38)
<熟練度が規定値に到達したため、スキル『鋏鋭断Lv2』が『鋏鋭断Lv3』になりました>
あ、鋏鋭断のLvが上がったね。なんだ、これは上がる寸前になってたんだな。まだ凝縮破壊Ⅰまでは結構時間はかかるだろうけど、割と順調だ。さーて、この調子でどんどんやっていこうじゃないか!
「……薪割りに戻ってきたら、なんかとんでもない事になってんな?」
「俺らも結構、無茶な事をしてたとは思ったけど4人でこれかー」
「ま、俺らも再開すっか。おーい、肉食獣! 俺らも再開して良いよな?」
「おう、無尽蔵に人が増えるとあれだが、2人くらいなら別に構わんぞ! ただこれ以上の増員は多くなり過ぎそうだから勘弁な!」
「ほいよ。よし、んじゃ少し場所を変えてやるか」
「だなー。ま、再開出来るだけありがたいってとこか」
そして俺らが4人でやっている所に、元々薪割りをやっていたゴリラの人とヒョウの人が戻ってきたようである。
この2人が戻ってきたって事は湖の中に落ちた破片の回収は終わったのかな? それか割と競争率は高かった感じなので諦めて戻ってきたってところだろうか。まぁ、その辺は今の俺らに影響する事でもないから別にいいや。
それに薪については少し離れていた隙を狙って役割を横取りしたみたいな事にならなくて良かった。聞いてる感じだと人数制限はありそうだよね。まぁ丸太になってるのも有限だから、際限なしにとはいかないのだろう。
「ケイ、ちょっと手が止まってるかな」
「あ、悪い。ちょっと考え事をしてた」
「まぁ、確かに気になりはするよね。先に薪割りしてた人の事も、落ちた破片がどうなったかも」
「僕もそれは同感だね」
「だよなー」
どうやらみんなも少なからず、聞こえてきていた声が気になっていたようである。まぁ、わざわざ確認しに行くほどの事でもないけどさ。
「シリウス、やったよ! 破片、1個見つけたよ!」
「お、良かったじゃん、フーリエ。それ、多分ここに落ちたやつの最後の1個だよな」
「多分そうだよね! 4個は見つけたって人がいたもんね!」
「それにしても2ndを作って早々にこれはラッキーだよな」
「そうだよね、シリウス! 早く共生進化させたいなー!」
確認しに行くつもりはなかったけども、もの凄く嬉しそうな声が聞こえてきた。そして思いっきり覚えのある声だった。そっか、フーリエさんが湖の中の5個目の破片を見つけたんだね。他の4つも他の人が発見済みなのか。
声だけではあるけど、フーリエさん達も頑張っているようだね。そっか、フーリエさんは2ndを作って、共生進化を狙っているんだな。うん、後から始めた人達も頑張れ!
「おっしゃ、徹底的に薪割りでスキルを鍛えるぞ!」
「あはは、ケイの気合が入ったかな」
「さっきの会話を聞いたら、気持ちは分かるよね」
「おや、さっきの声の人達って知り合いなのかい?」
「まぁな! ちょっと縁があって、始めたばっかの時にレクチャーしたんだよ」
「あぁ、なるほどね」
新規で出会ったフーリエさん達だけど、ああやって頑張ってる声を聞いたらやる気は出るよね。今は凝縮破壊Ⅰを優先だけど、その次は遠隔同調を活用してコケの固有スキルを上げてみようかな。
ちょっと前々から構想自体はあったけど、実行が不可能だったものも実現可能な可能性も出てきたしね。まぁ焦らずに順番に鍛えていくか。今はとにかく薪割りでロブスターのスキルの熟練度稼ぎだ!
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