第18章 スクリーンショットの演出

第530話 メンバーが揃わない午前中


 掲示板も大雑把にだけどチェックは終わったし、そろそろログインして続きをやっていこう。ま、今日の午前中はまったりとスキルの強化だな。



 という事で、いつものようにいったんのいるログイン場面へとやってきた。えーと、今日の胴体部分の内容は『スクリーンショットコンテストに関する追加のお知らせがあります』となっていた。あ、さっき見た掲示板での内容か。


「いったん、掲示板で見てはいるけど追加のお知らせをよろしく」

「あ、見てたんだね〜。それじゃ内容は被るかもしれないけど、追加のお知らせね〜」

「おうよ」

「内容としては団体部門の群集の所属の扱いについてだね〜。これはエントリーを行うスクショを撮った代表者の所属の群集が基準なので、撮影協力者の群集の所属は関係ありません〜。だから、群集に拘らず協力したら賞品が貰える可能性は上がるかもね〜?」

「ま、そうなんだろうな。って言ってもそう簡単な話じゃないんだろ?」

「そりゃね〜。具体的な数は教えられないけど、もう既に団体部門も結構な数のエントリーもあるからね〜」

「へぇ、そうなんだ」


 既に団体部門でもエントリーの数は結構多いのか。まぁ灰のサファリ同盟を参考に考えてみても5ヶ所の初期エリアにそれぞれ支部があって、雪山にも支部があるんだもんな。あ、森林深部は支部じゃなくて本部だったっけ。

 それだけ分かれてても成立する灰のサファリ同盟はもちろん積極的に撮ってたし、灰のサファリ同盟に所属してないサファリ系プレイヤーもいるだろうし、それ以外のプレイヤーでもダメ元でも参加は出来るもんな。団体部門と言っても最低2人はいれば良いんだしね。……そういや、こういう場合ってどうなるんだろ?


「……いったん、そのスクショコンテストって群集に無所属の場合はどうなんの?」

「えっと、無所属の場合だね〜。その場合は直接のエントリーは無理だけど、撮影協力者としての参加は可能だよ〜」

「あ、そうなってるんだ」

「そうなってるね〜。基本的には群集への所属が推奨になってるから、無所属の場合は色々とちょっと厳しめの設定になっております〜」

「……まぁ、そうなるよな」


 ゲームの仕様としては群集に所属するのが基本的なもので、無所属というのは例外的な存在って事なんだろう。まぁ別に群集を抜けても再加入も可能なんだから、不都合があるなら群集に所属しろって事なんだろうね。

 それでも無所属での固有のクエストや進化要素が存在しているようだし、無所属だから一切何も楽しめないという事もないんだよな。まぁこの辺は人それぞれに自由に選べば良いんだろう。


「他に何か質問はあるかな〜?」

「あー、特にないな」

「はいはい〜。それじゃスクリーンショットの承諾をお願いします〜」

「ほいよ」


 いつものようにいったんからスクショの一覧を受け取って、内容を確認していく。んー、昨日の夕方に大暴走した時のが追加でちらほらとあるけど、特に良いの感じは無しか。

 あ、夜にログインした直後に昇華魔法に巻き込まれた時のスクショが何枚かある!? っていうか、撮影者ってジェイさんと弥生さんとシュウさんとハーレさんかい! まぁ、ある意味では納得のメンバーだけども……。

 とりあえず、弥生さんとシュウさんのは構図が良いので貰っとこうか。ジェイさんのは正直微妙……。ハーレさんのは慌てて撮った感じで少しブレてるな。まぁあの状況で撮ってたんかいって話だけどさ。


「いったんこの2枚をくれ。処理はいつもの通り、灰の群集だけ許可でよろしく」

「はいはい〜。それじゃそう処理しておくね〜」


 とりあえずこれでスクショの処理は完了っと。流石に夜のウィルさん達との遭遇のスクショは無かったっぽい。

 まぁウィルさんが2ndの木だったから名前をしっかり確認していなければ分からなかったはずだけどね。まだウィルさんは赤の群集の騒動の元凶で立場を無くしたというのが表の筋書きだから、その辺を払拭しきるまでは接触には気を付けないと。


「さてと、それじゃやっていきますか!」

「あ、これログインボーナスね〜」

「……そういやそれがあったんだった」


 ちょっと素で忘れかけてたログインボーナスをいったんから受け取って、今度こそ準備完了である。さて、今度こそログインだ!


「コケの方でログイン、よろしく!」

「はいはい〜。今日も楽しんで行ってね〜」

「おうよ!」


 そうしていったんから見送られながら、ゲームの中へと移動していく。そういや同調になってロブスターでもログイン出来るようにはなったけど、スキルの登録以外では全然ログインしてないな。……まぁ、特にロブスターでログインするメリットもないから別に良いか。



 ◇ ◇ ◇



 そして、ゲームの中へとやってきた。昨日ログアウトしたのが森林深部のエンの比較的近くなので、夜の日でも光源が多くて明るいものである。まぁ混雑防止で少しだけエンからは離れているけどね。

 

「群集クエストの宝探しPT募集中! 近場をメインにやるから、成長体の人限定で!」

「あ、成長体限定なら参加しやすいかも!」

「だね! そのPT、2人いけますか?」

「もちろん良いぜ! よし、これで6人だな」

「おっしゃ、出発するぜ!」

「長時間の臨時探索PTってどっかねぇか? 出来れば今日の夜くらいまでずっとのやつ」

「それなら俺らのとこ来るか? 今日は固定メンバーが欠けててな」

「お、マジで? そりゃありがたい」

「スクショを撮りに行きたい人、集まれー!」

「ヒノノコ戦、次のPTどうぞ!」

「おっしゃ、ようやくリベンジだ!」

「ふっふっふ、2ndで最初のヒノノコと同等の強さの再戦をやるぞー!」

「1stでは倒せなかった時の恨み、今こそ晴らす!」

「……とか言って、普通に再戦で負けたPTも結構いるけどなー」

「「「そこ、うるさい!」」」


 ふむふむ、どうやら土曜日で休日という事もあって普段以上に活発な様子である。野良PTの募集が盛んに行われているね。俺らは固定のメンバーでやってるけども、こういう野良でPTを組む人も多いんだよな。

 それにしても成長体限定のPTの募集とかもあるんだね。まぁ育成状況がみんな同じ訳でもないし、2ndをこれから育てる人もいるだろうから、あって当然と言えば当然か。Lvだけならパワーレベリングでも良いんだろうけど、スキルの熟練度や進化ポイントの都合もあるもんな。


 そしてヒノノコへのリベンジを2ndでやってる人達もいるのか。確か今のヒノノコは瘴気強化種に固定されてて、俺らが倒したオリジナルと同等になってるんだったっけ。あの時に殺られた人ってそれなりにいたから、そのリベンジ戦を2ndでやるんだな。うん、その気持ちは分からなくもない。


 さてと、エンの周囲の確認はこれくらいでいいか。とりあえず忘れないうちにログインボーナスを使って、夜目も発動しとこ。


<ケイが『進化ポイントの実:灰の群集』を使用します>

<アイテム使用により、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント7獲得しました>

<ケイ2ndが『進化ポイントの実:灰の群集』を使用します>

<アイテム使用により、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント7獲得しました>


<行動値上限を1使用して『夜目』を発動します>  行動値 72/72 → 71/71(上限値使用:1)


 よし、これでログインボーナスの確保と、夜の日の視界確保は完了だね。それじゃサヤとヨッシさんと合流しようか。フレンドリストを開いて2人のログイン状態を確認してっと……あ、2人ともログインはしてるな。

 2人の居場所はミズキの森林みたいだし、とりあえずサヤかヨッシさんにフレンドコールをしてそっちに向かおう。あ、別にフレンドコールじゃなくてもいいのか。こういう時こそ共同体用のチャットを使えばいいんだ。えーと、共同体の項目を開いて、チャットを選択っと。


 ケイ   : サヤ、ヨッシさん、おはよう!

 サヤ   : あ、ケイ、おはよう。今ログインしたとこかな?

 ヨッシ  : おはよ、ケイさん。


 お、割とすぐに反応が返ってきた。フレンドコールだと取り込み中だと受け付けない設定とかもあるし、場合によっては邪魔にもなるから、このチャットは便利かもね。


 ケイ   : 2人はミズキの森林で特訓中?

 サヤ   : うん、そうだよ。さっき、爪刃双閃舞がLv2に上がったとこかな。

 ケイ   : お、マジか! って事は、もうLv3にしたのか?

 サヤ   : ううん、それはまだかな。

 ヨッシ  : ちょうど、スキル強化の種でLv3にしようとしてたとこだよ。

 ケイ   : あ、そういうタイミングだったのか。


 ふむふむ、良いタイミングだったのか、良くないタイミングだったのかよく分からないけども、とりあえずサヤのスキルの強化の真っ最中であったようである。予定通りにサヤの爪刃双閃舞が盛大にパワーアップするんだな。


 サヤ   : とりあえず先にケイは合流する? 強化するのは待ってるよ?

 ケイ   : んー、すぐに行くけど、強化はしててもいいぞ。

 サヤ   : え、良いのかな?

 ヨッシ  : ケイさん、スキル強化の種は演出があるよ?

 ケイ   : え、マジで!?


 まだ自分ではスキル強化の種は使ってなかったから知らなかった!? あれって使用する時に演出があるのか。あ、だからサヤが待ってるって言ったんだな。


 サヤ   : あはは、ケイは知らなかったのかな?

 ヨッシ  : そういえば私が使った時って、ケイさんとハーレが食事でいない時だったっけ。

 ケイ   : あー、うん。見た覚えがないからそうなるな。


 なるほど、スキル強化の種はヨッシさんが氷の操作をLv6にする為に使ったはずだけど、それは俺がログアウト中だったもんな。他で使った人の様子を見ていないし、知らなくてもある意味当然か。

 なんだかんだで俺自身は何に使うか決めかねて、温存中だもんな。うーん、真面目に何に使おうか? 色々強化したいもんだから、かなり悩むんだよなー。って、今は考えてても時間の無駄だし、さっさと合流しようっと。


 サヤ   : 改めて聞くけど、待ってた方がいいかな?

 ケイ   : 演出があるならそれでお願いします!

 サヤ   : よろしい。それじゃ待ってるかな。

 ヨッシ  : 今はミズキの森林の湖の畔にいるからね。

 ケイ   : ほいよ。すぐ行くわ。


 あんまり待たせても駄目だし、急いで合流しないとね。さて、どんな演出になっているのかが楽しみだ。まずはミズキのとこまで転移で行って、そこから湖まで水のカーペットで飛んで行こう。って事で、エンからミズキへと転移だな。


 でもエンの周りは混雑中か……。そういやいつも飛んで混雑を回避してるけど、どの程度の距離ならステータス画面からの操作でいけるんだ? わざわざ距離を測るのは待たせてる今は無しだけど、エンから少し離れている現在地からなら……あ、普通に開けた。思ってた以上に範囲は広かったみたいだ。


 この範囲で開けるとなると、今まで空中で混雑回避をしていた意味はあまりないような……? いやいや、デカいクジラのアルもいたんだし他の人の迷惑にならないようにという意味では無意味ではなかったはず! うん、そういう事にしておこう。

 さて、とりあえず転移をして……その前に水のカーペットを先に出しておくか。まぁただ単なる気分の問題ではあるけども。


<行動値上限を2使用して『移動操作制御Ⅰ』を発動します>  行動値 71/71 → 69/69(上限値使用:3)


 水のカーペットの生成が完了したので飛び乗ってっと。ふーむ、昨日岩の生成でかなり安定した足場を作ったからか、水のカーペットの弾性に若干の心許なさを感じるね。

 まぁ使える手段が増えた事によるちょっとした違和感ってところだろうから、使っていくうちに慣れるだろう。しょーもない事を考えてないでさっさと転移だー!


<『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』から『ミズキの森林』に移動しました>


 よし、転移完了っと。あー、ちらほらとミズキの周りで特訓している人もいるみたいなので、先に水のカーペットで飛んでおいて良かったかも? まぁそこまで言うほど邪魔にもならないだろうけど。とにかくサヤとヨッシさんと合流する為に湖へと移動開始である。



 そして少し急いで移動していけば、ミズキの森林にある湖が見えてきた。おー、やっぱり湖の畔には結構人が集まっていて賑わってるね。この前のお茶を作る時に用意された窯も残ったまま……というか、今も思いっきり使われている。

 それに相変わらず焚き火もあるし、石版を鉄板代わりにしたバーベキューもやっているようだ。サヤとヨッシさんの姿もバーベキューをやってる人達の中に見えるので、焼いた系の回復アイテムの生産中かな?


 それにしても氷属性はあまり多くないと聞いたけど、ヨッシさんは遠目からでも特徴的で分かりやすく飛び回っている。サヤにしても竜が割と目立つので、他のクマの人よりも見分けやすいね。……まぁ水のカーペットに乗って飛んでる俺が言うのは何か違う気もするけども……。


 とにかくこれで合流だから、3人でスキルの強化をやっていこう! その前にスキル強化の種の演出を見るのが先だけどね。


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