第429話 劣オオプレシオ討伐戦 下
シュウさんと辛子さんの発動した昇華魔法のテンペストの強烈な勢いの渦と荒れ狂う雷を一身に受け続ける首長竜のHPが目に見えて一気に減っていく。これはやっぱり魔法の方が効いたっぽいね。まぁ昇華魔法の威力が桁違いってのもあるんだろうけどさ。
そしてよく見てみればテンペストを避けきれずにマムシさんと翡翠さんとアーサーが渦に巻き込まれている。……まぁそこは仕方ないということで我慢してもらおう。……俺のコケもダメージは受けてないけど、盛大に巻き込まれて雷光に混じって光っているんだよなー。
それにしても凄まじい威力だけど、大渦の外にまで雷光が走っているのが少し気になる。水中で使ったら、電気は影響範囲が広くなるっていうのはこういう事か。……チラホラと少量の経験値が入ってきてるから結構な量の一般生物を殺してるね……。
「ケイ、これは削りきれるんじゃねぇか?」
「……いや、これは微妙なラインかも……」
「……確かにそうなりそうだね。これはケイさんと紫雲さんにトドメは譲る事になりそうだよ」
徐々にテンペストの効果が切れてきたけど、この感じではほんの少しHPが残りそうな気がする……。おそらく魔法特化型同士で発動していれば倒しきれた気はするけど、シュウさんは直前にウィンドプロテクションを使ってたし、辛子さんはバランス型と言ってたから、倒し切るには少し威力が足らなかった感じかな。
それでもこれだけ削れば充分だろう。本当なら土の昇華魔法のアップリフトを使いたいけど、まだ俺の土の操作は昇華に至ってないから仕方ない……。
「ま、予定通り行きますか、紫雲さん!」
「おう! 行くぜ、ケイさん! 『アースクリエイト』!」
<行動値1と魔力値3消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』を発動します> 行動値 35/55(上限値使用:6): 魔力値 193/196
魔法砲撃だと他人との昇華魔法の発動は不可能になるって話だから通常発動にしないとね。アルの背中から、紫雲さんは土の球を、俺は水の球を生成して重ね合わせていく。かなり勢いは収まって効果時間が切れそうとはいえ、まだテンペストは継続中である。
苦手な光や雷に襲われまくって、首長竜はグッタリとしていた。さぁ、これでくたばりやがれ、首長竜!
<『昇華魔法:デブリスフロウ』の発動の為に、全魔力値を消費します> 魔力値 0/196
デブリスフロウの発動と入れ替わるように効果が切れて消えていく荒れ狂う雷を内包した大渦は消滅していった。多量の土石流が瀕死の首長竜を押し潰していく。……今度は弥生さんとルストさんが巻き込まれてたマムシさんと翡翠さんとアーサーを助け出していたので巻き添えはなかったね。
そして猛毒の複合魔法と2発の昇華魔法によって、首長竜のHPは全て無くなりポリゴンとなって砕け散っていった。よし、大勝利!
<ケイがLv12に上がりました。各種ステータスが上昇します>
<Lvアップにより、増強進化ポイント2、融合進化ポイント2、生存進化ポイント2獲得しました>
<ケイが未成体・暴走種を討伐しました>
<未成体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>
<ケイが規定条件を満たしましたので、称号『大きな湖を荒らすモノ』を取得しました>
<増強進化ポイントを3獲得しました>
<ケイが規定条件を満たしましたので、称号『大きな湖の強者を打ち倒すモノ』を取得しました>
<増強進化ポイントを3獲得しました>
<ケイ2ndがLv12に上がりました。各種ステータスが上昇します>
<Lvアップにより、増強進化ポイント2、融合進化ポイント2、生存進化ポイント2獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・暴走種を討伐しました>
<未成体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>
<ケイ2ndが規定条件を満たしましたので、称号『大きな湖を荒らすモノ』を取得しました>
<増強進化ポイントを3獲得しました>
<ケイ2ndが規定条件を満たしましたので、称号『大きな湖の強者を打ち倒すモノ』を取得しました>
<増強進化ポイントを3獲得しました>
<ケイ2ndが規定の条件を満たしたため、スキル『水の操作』を取得しました>
<『水の操作』『魔力制御Ⅰ』により、『水魔法』を取得しました>
<『瘴気石』を1個獲得しました>
お、少し前にLvが上がったばっかなのにLvが上がったね。流石はフィールドボスだ、経験値が美味い。まぁ結構強かったもんなー。そして荒らすモノの称号と討伐した称号を取得か……。スキル取得に使えなかったのは地味に勿体無いなかったかな。
それにしてもロブスターで水の操作を取得か。天然産の水で水流の操作をしただけのような気もするんだけど、何が判定に入った……? あ、水の防壁で周囲の水を乱して首長竜の体勢乱したやつか!? ……まぁロブスター側のは使いそうにないから別にいいか。
それはそうとしてフィールドボスはタフみたいだから、余裕さえあれば称号でスキル取得を狙うのはありか? 戦いやすいフィールドボスを選んで、空白の称号を使って狙ったスキルを複数取るというのもありかもしれない。
とにかく首長竜よりLvが上で、プレイヤースキルも高い人が複数いたからなんとかなったね。主に該当するのは赤のサファリ同盟だったけど。
さてと……少し離れた所からどんどん近付いてくる10匹くらいのフナみたいな魚の群れはどうしたもんかな。……うん、電気で集めたなら電気で始末するか。幸いな事に発見報酬が出てないから、ほぼ残滓なんだろうね。まぁ瘴気強化種も混じってはいるだろうけどさ。
「ヨッシさん、電気魔法をメインで動きを封じてくれ! シュウさんは魔力値が回復し次第、大規模過ぎない程度に!」
「了解! 『エレクトロプリズン』!」
「いっくよー! 『アースクリエイト』『散弾投擲』!」
「……私も! 『連刺突』!」
「ここまで大量の敵を引きつけてしまった以上はそれが早いだろうね」
フィールドボスの首長竜を倒したばかりだというのに、すぐには休ませてくれないようである。……効果は高くても、下手に大規模な電気魔法を水中でぶっ放すとこうなる訳か。まぁ昇華魔法の余波だから、既にHPが相当削られているのが救いかな。
とりあえず俺も魔力値の回復を……って、手持ちは普通のレモンしかないんだった。はちみつレモンはまだ数がないから、持っているハーレさんとヨッシさんから貰えばいいんだけど、水中で食えるのか……? ……仕方ない、ここは酸っぱいけど普通のレモンを齧って回復させよう。……相変わらず酸っぱ!
「ケイさん、わたしは色々と報告してるからその辺の魚の処理はお願いねー!」
「あー、それも確かに必要だよな……。弥生さん、そっちは任せた!」
「はーいっと。はい、シュウさん」
「あぁ、弥生、ありがとう」
事前に通達はしてくれていたし、大渦も湖面までは多分影響はなかったはずだから被害はないと思うけど、この辺の連絡は大事だね。俺はというか俺らのPTは連絡先を把握していないので、ここは弥生さんに任せるしかないんだけども。
そしてシュウさんは弥生さんが取り出した何かを食べている。あれは……リンゴ? このタイミングで出てきた果物って事は、リンゴは魔力値の回復なのか。……うーん、レモンよりリンゴの方が食べたかったぞ……。さてとレモンを何個か取り出してがぶりと齧り付いて、魔力値を回復させていく。やっぱり酸っぱいなぁ……。
「水月さん、動きを止めるからお願いかな!」
「えぇ、分かりました!」
「いくよ! 『上限発動指示:登録1』『共生指示:登録3』!」
「竜の方の電気魔法ですか! 『爪刃乱舞』!」
お、どうやらサヤも魔法砲撃にした電気の拘束魔法を活用しているっぽいね。近場にいれば電気の拘束魔法も周囲の敵に多少は影響を及ぼすみたいである。まぁ一番効果が高いのは異常付与の特性を持っているヨッシさんのようで、どんどんと麻痺の状態異常にしていた。
そしてそれらをアーサーやルストさんなど、他のメンバーも分散して対処に当たっている。よしよし、少しずつ数が減ってーー
<ケイが未成体・暴走種を発見しました>
<未成体・暴走種の初回発見報酬として、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・暴走種を発見しました>
<未成体・暴走種の初回発見報酬として、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>
……減ってきたと思ったら黒の暴走種と残滓か瘴気強化種の混ざったブラックバスが6匹ほど、四方から集まってきていた。ここに来た時点で既にHPが減ってるとはいえ、これは数が多いね。
俺もある程度は魔力値も回復したし、そろそろ攻撃に移るかな。このくらいの敵相手に死ぬ事はないだろうけど、さっさと片付けないとそろそろみんなの纏水の時間がヤバい頃じゃないのか? 俺も電気魔法をぶっ放していくか。
「ケイさん、少し待ってくれるかい?」
「……シュウさん? 何か良い手段でもあるのか?」
「それを今から使うよ。あの程度の数なら一気に拘束出来るけど、攻撃力はないからそこはみんなに任す事にはなるけどね」
「……なるほど」
具体的な手段は分からないけど、おそらくは電気魔法……それも複合魔法なんだろうね。組み合わせについては実物を拝見するとして、ここはみんなの攻撃を一旦止めておくべきだな。
「みんな、一旦攻撃中止! シュウさんが拘束をしたら一斉に攻撃再開だ!」
そう指示を出せば、みんなはすぐに意図を理解して魚たちから距離を取っていく。あ、みんなして上手く魚たちが同じ方向に行くように誘導をしてるね。みんな、グッジョブ!
「それじゃいくよ。『並列制御』『エレクトロウォール』『エレクトロプリズン』!」
「うお!? これ、すっげ!?」
「エレクトロウェブっていう複合魔法だよ。攻勢防御の性能は著しく落ちるんだけど、その分だけ拘束性能があるからね」
シュウさんが発動したエレクトロウェブは蜘蛛の巣の電気の防壁であり、そこに近付くものに対して電気が広がって拘束していくような性能のようである。
水中の敵ということもあって、麻痺への耐性は低いようでどんどんと麻痺が入っていく。通常時に使えば不用意に敵を集め過ぎそうだけど、今の状態ならかなり有用だね。
これ、今はまだ無理だけどヨッシさんが使えばより凶悪な気がしてくる……。まぁそれは後々考えるとして、今は殲滅が最優先! 今は魔法砲撃も発動したままだから、これで行くか!
<行動値10と魔力値90消費して『半自動制御Lv1:登録枠1』を発動します> 行動値 46/56(上限値使用:6): 魔力値 20/198 使用時間 90秒
一気に距離を詰めていくみんなの邪魔になってもいけないので、何度か尻尾で跳ねて水中の上の方に移動。アースバレットの連射を食らうが良い!
「『強爪撃』! あ、ケイ、ナイスかな!」
「微妙なHPは俺が削り切るから、みんなはそれぞれの相手に集中してくれ!」
「了解! 『アイスニードル』!」
「はーい! 『アースクリエイト』『狙撃』!」
「……いくよ。『連刺突』!」
「俺もいくぞー! 『重突撃』!」
「私も行きますよ。『根槍乱れ突き』!」
よしよし、着実に数が減っているね。ちょっと前から試してみたかった事をやってみよう。次のアースバレットは魔法砲撃にせずに通常状態で3発同時に発射!
「これならどうだ!」
「わー!? ケイさんが凶悪だー!?」
凶悪言うな、ハーレさん!? とにかくみんなの動きに合わせて、魔法砲撃の3連射と、通常発動での3発同時での発射と、左右のハサミの始点の切り替えなどを駆使して援護射撃を行っていく。
ふふふ、前々から考えてはいたけど、登録スキルの順が進めば毎回指定が必要になるんだから全部を同じ指定にする必要もない! まぁ素早い指定をしたい時には同じ方が素早く出来るから、これは状況によって使い分けだね。
「おー、そういうパターンもありなのか。てか、この乱戦じゃ俺はする事ねぇな」
「……同じく」
「……マムシは小型化すりゃいいんじゃね?」
「いやー、あの連携を邪魔せずに入り込める気はしねぇわ。紫雲は出来るか?」
「……自信ないな」
そして巨体のアルはこの乱戦状態には混ざりにくく、マムシさんと紫雲さんは連携に不安があって無理に戦おうとはしていなかった。まぁ気持ちは分かるし、余裕もあるから問題はないかな。
おっと、もう最後の1体まで減ったね。残りは黒の暴走種のブラックバスみたいだな。さて、こいつのトドメは貰ったー!
<行動値4と魔力値12消費して『土魔法Lv4:アースボム』を発動します> 行動値 42/56(上限値使用:6): 魔力値 8/198
<熟練度が規定値に到達したため、スキル『土魔法Lv4』が『土魔法Lv5』になりました>
お、ここで土魔法もLv5になったか。まぁそれは嬉しいけど、喜ぶのは後回し。今回は魔法砲撃にして、右のハサミに始点を指定。これで速度を上げてブラックバスに狙いをつけて発射!
よし、見事に命中してHPが全て無くなりポリゴンとなって砕け散っていった。これで集まってきていた魚の処理も完了っと!
<ケイが未成体・暴走種を討伐しました>
<未成体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・暴走種を討伐しました>
<未成体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>
これでとりあえずフィールドボス戦が完全に終了したという事で良いんだろうね。あー、ちょっと疲れた。でも、結構満足だね。不満があるとすれば、ほぼ壊滅状態だったとはいえ途中から乱入みたいな状態から戦闘が始まった事くらいか……。まぁ、あれは流石に仕方ない。
「はーい、みんなお疲れ様ー! 確認はしたけど、被害はなしだね」
「お、それは良かった」
「うん、良かったねー。そろそろみんな纏水の再発動が必要だから、気をつけてねー!」
その弥生さんの言葉を聞いて今の時刻を見てみれば、もうすぐ11時になりそうである。フィールドボスの討伐も終えたし、今日はこの辺で終わりかな?
【ステータス】
名前:ケイ
種族:同調強魔ゴケ
所属:灰の群集
レベル 11 → 12
進化階位:未成体・同調強魔種
属性:水、土
特性:複合適応、同調、魔力強化
群体数 3659/5550 → 3659/5700
魔力値 0/196 → 0/198
行動値 35/61 → 35/62
攻撃 70 → 71
防御 99 → 102
俊敏 75 → 77
知識 144 → 149
器用 155 → 161
魔力 203 → 211
名前:ケイ2nd
種族:同調打撃ロブスター
所属:灰の群集
レベル 11 → 12
進化階位:未成体・同調打撃種
属性:なし
特性:打撃、堅牢、同調
HP 5479/6250 → 5479/6450
魔力値 91/91 → 91/92
行動値 54/54 → 54/55
攻撃 200 → 208
防御 188 → 195
俊敏 154 → 160
知識 65 → 66
器用 70 → 72
魔力 37 → 38
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