第361話 支配進化から……?


 瘴オオヒノノコの討伐も終わり、再び瘴オオヒノノコの出現を確認したので、予定の順番は変わったけれどミズキの森林へと移動していく事になった。……死ぬとは思ってなかったけど、毒持ちの人達が隙を作る為に死にまくってた事を考えるとこれくらいは問題ない気もする。

 でも、説明なしじゃみんなの痛い視線からは逃れられそうにないね。仕方ない、説明していこう。

 

「あー、分かった。具体的に何がどうなったか説明するよ」

「あぁ、頼む。それが分からないとまとめようがないからな」


 あー確かにベスタの言う通りだな。多分見た目的には何をしたかまでは分かっても、デメリットの……特に動けなくなった方は見ただけじゃよく分からないだろうしね。

 そういやリスポーンしたら動けなくなる状態は解除されている。多分時間経過でも回復はしそうだけど、今日はどうやっても俺は試せないか。


「浄化の光とアクアクリエイトを合わせてみたら浄化魔法の『ピュリフィケイション・アクア』とか言うのになって、負荷がかかり過ぎってことで纏浄は解除になった。ちなみにHPも群体数も1だけ残して消し飛んだ上に、キャラ操作不可にもなったね」


 とりあえず簡潔に説明しておこう。え、なんでみんな呆れた風な反応なのさ!? え、もうちょっと驚いてくれても良いんだよ。


「……なるほどな。要するにヒノノコの黒い火の正体は、さっきケイがやったやつの瘴気版って事か。昇華魔法になるやつなら威力が強大で、プレイヤーが現時点で使うにはデメリットが重過ぎると……」

「多分だけどな。後はみんなが再現検証をしてくれるだろ」

「だろうな。おい、お前ら! 昇華なしの場合も確認しといてくれ!」

「了解だ、リーダー!」

「はーい!」

「早速やってみるか。比較検証するから水魔法持ちの昇華なしのやつー!」

「おっしゃ、任せとけ!」

「やってみるよ! 『並列制御』『浄化の光』『アクアボール』!」

「お、光ってる水球になったな!」

「んーでも威力はさっきのほどはない?」

「よし、次行くぞ!」


 早速集まっていった人達で再現検証が行われていた。赤の群集も混ざってやろうとはしてるけど、灰の群集の手慣れた動きに戸惑っている様子。灰の群集のこの再現への行動は早いものだね。


「まったく、ケイはミスしたところでそれだけじゃ済ます気はないのか?」

「そりゃね。ミスしてそこで終わらせてたら進歩がないじゃん」


 ミスしたその先にどうするかが重要なんだよ。失敗は成功の元って言うし、実際今回は結構いい情報が手に入ったんじゃないか? まぁ最後のあれはミスと数えるべきか、それとも貴重な失敗データの獲得に成功したと見るべきか、どっちだろう。


「はい! 色々あったけど、この後に魔法砲撃を取る人が激増する気がします!」

「私もハーレに同感かな」

「私も同じく」

「まぁ、そうなるだろうな」

「だろうな。後でその辺もまとめ機能で編集しておくか」

「ベスタ、編集よろしくな!」

「……ケイが本格的に動くと編集量が一気に増えるな。まぁその分、情報の質はあるが……」


 まぁ使う人が増えるのは良いんじゃないかな。そして、ベスタはいつも編集ご苦労さまです! 今回はベスタが直接見てたし、俺が自分で報告を上げる必要はなさそうだね。


「ほー、これが噂の『ビックリ情報箱』なんだねー?」

「こうして見ていますと、実情はPTであってもあだ名がケイさんに偏っている理由がわかる気がしますね」

「……俺らからすると赤のサファリ同盟も似たようなもんだけどな。なぁ、ライ」

「……確かに」

「コケのアニキ、やっぱすげー! 俺も頑張らないと!」

「アーサーも一緒に頑張りましょうね」

「……とんでもねぇな、ケイ」


 何かみんな好き勝手に色々と言ってる……。俺は赤の群集にとっての赤のサファリ同盟と同じ扱いなの!? うーん、どことなく釈然としない気分。

 アーサーはかなり成長しているみたいだし、水月さんと一緒に頑張ってくれ。フラムについては知らん。


 さてとボス戦も終えて、再戦可能という情報も確認出来た。それに色々と魔法砲撃の応用方法も分かってきたから、ここから色んな組み合わせを試してみたいもんだな。

 でも、意外と魔法砲撃についての応用方法は見落とされていたんだね。まぁパッと見では狙いがバレ過ぎるっていうデメリットが目立つスキルではあったもんな。他にも沢山の取得出来るスキルがあるし、こういうスキルも中にはあるんだろう。


 とりあえず色々考えるのは後にしてミズキの森林まで移動して、進化ポイントの譲渡をやってしまわないとね。先にやる予定だったのが、順番が変わってしまったもんな。さー、ミズキの森林向けて出発だ!




 初期エリアの移動だしそれほど移動に手間はかからなかった。すぐにエリア切り替えまで進んでいったが、既に全員が不動桜の討伐は終えていたので素通りである。

 アルはクジラを小型化して、ルストさんから新たに会得した移動方法を活用している。アルもかなり慣れてきているようだね。


<『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』から『ミズキの森林』に移動しました>


 そして予定より結構遅れたけども、臨時拠点のミズキの森林に到着だ! さて、ミズキのとこまで移動して進化ポイントの譲渡をしていこうじゃないか!



 それから少しの間、また移動してミズキの場所へと到着した。その途中でみんなの纏浄や纏瘴は効果切れになっていた。効果が残っているのは使ったのが終盤だったハーレさんくらいかな。周囲を見回してみれば意外と人は少ない様子である。いや、それほど意外でもないか。


「ミズキのとこに到着だー!」

「意外と人は少ないみたいかな?」

「みんな、ヒノノコのとこに行ってるんじゃない?」

「ボスの再戦が出来るのが分かったら、やる人多いだろうしねー!」

「ま、俺達が一番忙しかったけど、纏浄の発動中の人もまだまだいたもんな」


 ここに来るまでの間にすれ違った人もそれなりにいたし、さっき俺がやった事の再現をやっている人もいるだろう。その辺は他のみんなに任せておこうっと。さてそれは良いとして、やるべき事をやっていこう。


「進化ポイントの譲渡をやっていこうー!」

「だな。あ、でもその前に進化が出てるから確認してもいい?」

「おー!? ケイさんに進化情報が出たー!?」

「支配進化の情報は少ないからな。ケイ、分かる範囲で詳細を頼む」

「ほいよ」


 とりあえず確認する時間も貰えたし、今の進化ポイントの確認も含めてどういう状態か見ておこうか。さて、進化が出たのはコケとロブスターのどっちだ? っていうか支配進化中でもしっかりと進化は発生するんだね。とりあえずコケから確認していくか。


【進化】


 増強進化ポイント 1602P(共闘イベント開始後の加算:1447P)

 融合進化ポイント 1554P(共闘イベント開始後の加算:1438P)

 生存進化ポイント 1620P(共闘イベント開始後の加算:1447P)



《変異進化》

 現在、進化可能の経路は存在しません。


《転生進化》

 現在、進化可能の経路は存在しません。


《複合進化》

 【共生進化】

 支配進化中なので、実行不可能です。


 【融合進化】

 現在、進化可能の経路は存在しません。


 【支配進化】

 現在『傀儡ロブスター』を支配中です。


 【強制進化】

 『同調ゴケ』

 同調相手:傀儡ロブスター(2nd)

 進化階位:未成体

 進化条件:支配進化、支配相手が支配主に抗い同調する為の変異進化を行う事

 支配した相手が成長し支配に抗って同調する為の進化を行った際に、それに適応する為に進化したコケの姿。


 同調した相手と予め登録したスキルを相互に発動可能となり、進化後はあらゆる動作においてステータスの高い方を参照する。

 支配進化から同調状態になった2つのキャラ枠をそのまま2枠を使用する。

 


 『同調強魔ゴケ』

 同調相手:傀儡ロブスター(2nd)

 進化階位:未成体

 進化条件:支配進化中、支配相手が支配主に抗い同調する為の変異進化を行う事、魔法スキルLv3以上を4つ以上取得、いずれかの魔法スキルがLv5以上

 支配した相手が成長し支配に抗って同調する為の進化を行った際に、それに適応して魔法適正が極めて高いコケの姿。


 同調した相手と予め登録したスキルを相互に発動可能となり、進化後はあらゆる動作においてステータスの高い方を参照する。

 支配進化から同調状態になった2つのキャラ枠をそのまま2枠を使用する。


 【合成進化】

  現在、進化可能の経路は存在しません。


 えーと、大量の進化ポイントは別に今更だから驚くこともないんだけど、コケの方に強制進化が出てる!? コケ側が強制進化って事は、メインの進化は傀儡ロブスターか! ……もしかしてこれって不確定情報で上がっていた同調共有とやらに関係しているのか……?

 コケだけ見てても埒が明かない。とりあえずロブスターの方も確認しないとこれはどうにもならないぞ。とにかくロブスターの方を確認だ!



【進化】


 増強進化ポイント 2464P(共闘イベント開始後の加算:2450P)

 融合進化ポイント 2488P(共闘イベント開始後の加算:2441P)

 生存進化ポイント 2501P(共闘イベント開始後の加算:2447P)



《変異進化》

 『同調ロブスター』

 同調相手:支配ゴケ(1st)

 進化階位:未成体

 進化条件:支配進化中、強制進化時のLvによって変動する条件Lvに達する事(Lv10)、融合進化ポイント50

 未熟な段階で強制的に進化させられた力が馴染み、支配に抗うだけの力を得る事が可能になったロブスターの新たな姿。

 中身は一緒なので問題はないが、傀儡時のログイン制限は撤廃される。


 同調した相手と予め登録したスキルを相互に発動可能となり、進化後はあらゆる動作においてステータスの高い方を参照する。

 支配進化から同調状態になった2つのキャラ枠をそのまま2枠を使用する。

 


 『同調魔砲ロブスター』

 同調相手:支配ゴケ(1st)

 進化階位:未成体

 進化条件:支配進化中、強制進化時のLvによって変動する条件Lvに達する事(Lv10)、魔法砲撃を所持、魔法スキルを3つ以上取得、増強進化ポイント25、融合進化ポイント50、生存進化ポイント25

 未熟な段階で強制的に進化させられた力が馴染み、支配に抗うだけの力を得る事が可能になり、そして魔法適性を得たロブスターの新たな姿。

 中身は一緒なので問題はないが、傀儡時のログイン制限は撤廃される。


 同調した相手と予め登録したスキルを相互に発動可能となり、進化後はあらゆる動作においてステータスの高い方を参照する。

 支配進化から同調状態になった2つのキャラ枠をそのまま2枠を使用する。



『同調打撃ロブスター』

 同調相手:支配ゴケ(1st)

 進化階位:未成体

 進化条件:支配進化中、強制進化時のLvによって変動する条件Lvに達する事(Lv10)、打撃系スキル4つ以上、増強進化ポイント50、融合進化ポイント50

 未熟な段階で強制的に進化させられた力が馴染み、支配に抗うだけの力を得る事が可能になり、そして打撃を得意としたロブスターの新たな姿。

 中身は一緒なので問題はないが、傀儡時のログイン制限は撤廃される。


 同調した相手と予め登録したスキルを相互に発動可能となり、進化後はあらゆる動作においてステータスの高い方を参照する。

 支配進化から同調状態になった2つのキャラ枠をそのまま2枠を使用する。



《転生進化》

 現在、進化可能の経路は存在しません。


《複合進化》

 【共生進化】

 支配進化中なので、実行不可能です。


 【融合進化】

 現在、進化可能の経路は存在しません。


 【支配進化】

 現在、『支配ゴケ』の傀儡です。


 【強制進化】

 現在、進化可能の経路は存在しません。

 

 【合成進化】

 現在、進化可能の経路は存在しません。


 うお、思った以上に進化先の候補が増えてるし!? これはやっぱり同調共有とやらの関わる進化っぽい! あー、でも進化後の詳細情報が欲しい。

 特に『同調した相手と予め登録したスキルを相互に発動可能』っていうところ。現時点でこれは既にできているけど、登録性になるとどうなるんだ? この感じだと共生進化の共生指示や半自動制御とは別物っぽい気もするんだが……。


 うーん、これだけじゃ情報不足だな。よし、ここは頼りになる相手が沢山いるからアドバイスを貰おう。論外な進化先もあるけども、仕様によってはこの進化は悪くないかもしれない。……まぁスキルの登録枠が少なかったら支配進化の代表的なメリットが非常に薄くなるから、そこら辺は慎重にいかないと……。


「とりあえず出た進化先の説明をしていくぞ」

「……何やら難がありそうな感じだな?」

「まぁ、その辺の詳細情報があれば欲しいとこ。これ、下手に選ぶと支配進化のメリットが薄れそうなもんで……」

「なるほど、そういう事か。一応俺の方に不確定だからまだまとめに載せていない情報もある。そこに参考になる情報があるかもしれんから、とりあえず話してみろ」

「了解」


 ベスタが持ってるまだ未確定情報ってのは気になるね。よし、とりあえず話すだけ話してみよう。細かい事はそれからだ。


 そして、簡単にではあるけど説明をし終えた。さて、有用な情報があればいいけども……。


「……ケイ、それはおそらく高確率で『支配共有』から『同調共有』への変更の進化だ。前から気になっていた誰からの提供か分からなかった情報だが、身近に実例が出たか」

「あー、やっぱりあの不確定情報か。……見たのそこそこ前なんだけど、追加情報とかあったりしない?」

「追加情報は上がっていないが、同じような進化が出たという情報は少しだがある。だが俺の知ってるやつはケイと同じ理由で躊躇っている奴ばかりだな」

「あー、まぁそりゃそうだよな」


 確かにこの進化にいきなり飛びつくのは抵抗があるのは間違いない。下手すれば支配進化の利点を失う事になるし……。あ、でも強制進化が入ってるから、複合解除薬で何とかなったりしないかな?

 でも、そこまでするメリットも見当たらないんだよなー。うーん、博打で進化してみる……? この素性不明な情報提供者と会ってみたい気もするね。


「ねぇ、ルスト。わたし、少し心当たりがあるんだけど?」

「奇遇ですね、弥生さん。私もですよ」

「赤の群集全体が灰の群集……特にケイさんとベスタさんには例の件で色々とお世話になってるし、ここらで借りを少し返しとく?」

「私は別に構いませんが……ルアーさん、宜しいですか?」

「……まぁ借りがあるのは間違いないからな。ケイの欲しい情報を赤のサファリ同盟が持ってるなら止めないし、俺らとしてもそれはありがたい話だな」


 おぉ、赤のサファリ同盟にはこれに関わる情報があるんだな! あれ、赤のサファリ同盟で支配進化と言えば心当たりが無くもないような……? 


「そっか、ならそうしようかな。ルスト、ガストを呼んでくれる?」

「えぇ、分かりました。それではフレンドコールで呼びますね」


 そしてルストさんがガストさんを呼び出す為にフレンドコールをし始めた。いきなりではあるけど、これは俺にとってはありがたい話だね。そういやガストさんはキノコが本体のタカとの支配進化だったっけ。


「やっぱりガストさんか」

「うん、ガストだね。色々迷った結果、昨日の夜に試してたからね」

「……マジか」

「どうもここの進化は明確なメリットが見えずに躊躇いがちのようだな」

「だと思う。正直俺も悩むしさ」


 今の段階だと明確なメリットが見えないんだよな、この進化。そしてチャレンジャーだな、ガストさん。でも、知り合いから教えてもらえるというのはありがたい事かもしれない。この進化を選ぶかどうかは、ガストさんから話を聞いてから決めるとしよう。


「ガストさんは了承して下さいましたよ。これからすぐこちらへ来るそうなので、しばらくお待ちくださいね」

「ほいよ」


 ガストさんはすぐに来てくれることになったのか。さてそれじゃ待ってる間に進化ポイントの譲渡をしていこうかな。それぞれ200ポイントくらい残して、後は注ぎ込んでしまえ! あ、でもロブスターの進化分だけは余分に残しておきたいから300ポイントくらい残しておいたほうがいいかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る