第359話 瘴オオヒノノコ討伐戦 その4


 ザックさんがヒノノコにまた食べられて再び蜜柑を食べさせるのに成功した後に、ヒノノコが苦しんで痙攣して行動が鈍くなっていく。さて絶好の攻撃チャンスでみんな準備中だし、俺もやるべきことをやっていこう。

 でも行動値が足りないので代わりに使おうと思っているこれは水流の操作に比べるとおそらく自由度は低いはず。でもその分、行動値や魔力値の消費量は多くはない。……ただし、水の昇華の効果がどこまで反映されるかが全くの未知数だ。ここはやっぱり信頼出来る相手に頼らせてもらおう。


「サヤ、俺の目の前に来てくれ!」

「うん。何がどう来ても対応するから、全力でね」

「……了解! 後ろからふっ飛ばすから、そのまま突っ込んでくれ!」

「分かったかな!」


 何かを心配する素振りもなく任せてくれるとはありがたいね。まぁ土壇場で新技を使うのはいつもの事ではあるけどさ! さぁ、うまく行ってくれよ!


<行動値1と魔力値3消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』を発動します> 行動値 13/51(上限値使用:7): 魔力値 89/182


 ただの水の生成を砲撃化する。そしてそのままでは何も生成されずに、攻撃の起点指定へと切り替わっていく。よし、起点は右のハサミに決定して、狙いは目の前にいるサヤの背中。タイミングはサヤのチャージが終わる瞬間だ! ……よし、今だ!


「よし、サヤ行ってこい!」

「わっ!? でも、この勢いなら!」


 ロブスターのハサミの先から、生成され続ける水が勢い良くサヤの背中に当たって吹き飛ばしていく。水の勢いは俺の方があるみたいだけど、見た目は水砲ザリガニのものとほぼ一緒だ。

 なるほど、あの水砲ザリガニの攻撃は水流の操作じゃなくて、こっちだったって事か。水流というよりは消防車とか放水に近い感じだし、放水と呼ぶのが良さそうだね。


「これでどうかな!」


 俺の放水の勢いに乗ってサヤがヒノノコへと攻撃を叩き込んで、竜を上手く使って勢いを殺していた。というより、竜を使って少しだけ浮いて放水の勢いを最大限利用してたっぽい。……ふむ、水流の操作と違って細かく制御が出来ないからこれは誰でも勢いを上手く使えるとはいかなさそうだ。

 まだまだ生成量には余裕があるし水の生成もされ続けているので、このメンバーで使うのなら問題ないだろう。……でも、この距離なら正直なところ自分で走った方が早そうな気もする……。距離を流して勢いがつけられる水流の操作の代用にはならないか。


「おー! ケイさんが水砲ザリガニになったー!?」

「ちっ、水流の操作には劣るのか。ケイ、それなら水のカーペットに乗って上からヒノノコが俺らの攻撃で吹き飛ばないように押さえた方がいい」

「あー、その方が無難か」


 サヤは上手く攻撃の威力へと変換してくれていたけど、攻撃の勢い増加にはあまり向かないみたいだもんな。よく考えたら四足歩行のオオカミとかイノシシだと全身を水流に取り込まないと力の向き的に勢いにもなりにくいし、ここはベスタの言う様に押さえ込むのに使うのが無難か……。

 やっぱり応用スキルの方がこの辺は強力なんだな。とりあえず水のカーペットに跳び乗って、ヒノノコの真上から放水で押さえつけとこう。地面が放水で少し削れてるし、ヒノノコにもダメージは与えているので威力自体は悪くないんだけどな……。


「ケイ、失敗する事もあるって! 気にすんな!」

「フラム、うっせーよ!」


 こいつ、少し気にしている事を遠慮なく言いやがった。……ここでフラムを全力で吹っ飛ばしてやろうか。八つ当たりでしかないから、流石に今はやめとくか。でも何か納得もいかないので応用方法を考えてやる!


「ケイ、効果が切れ次第回復に専念しとけ」

「……りょーかい」

「ケイ、今の状況と噛み合わなかっただけで悪いものじゃなかったと思うよ」

「いや、分かってはいるんだけどさ」


 サヤがフォローしてくれているけど、これは気分的な問題なんだよな。自信満々に言っといてこの結果は流石にね……。とりあえず気分を切り替えて、ヒノノコを押さえつけとこう。これはこれで重要だしね。


 そこから水の生成の限界量まで放水し、発動が終わった後は地面に降りて行動値と魔力値の回復に専念していく。昇華での生成量増加は物凄く影響してるね。さて防御を俺が全面的に引き受けてたから、流石に消費が激しかったから回復しておかないと。


 今は何かザックさんに感化されたのか、何人かが焼き魚やら蜜柑やら焼いた肉やらを抱えて特攻してきているおかげでヒノノコの隙を作る事に成功しまくっている。いや、ゲームだから別にいいんだけど、これって怖い光景ではあるよな……。




 そしてもう少しでヒノノコのHPが2割を切るというところまでやってきた。さて行動値や魔力値は全快したし、そろそろ備えておくか。


「もうすぐ2割だ。3割の時には変化は無かったが、行動パターンの変化に警戒しておけ。『双爪撃』!」

「そだね。そろそろ危ないかなー? 『強爪撃』!」

「でしょうね。『根槍乱れ突き』!」

「水月さん、挟撃いくよ! 『爪刃乱舞』!」

「えぇ、分かりました! 『爪刃乱舞』!」


 みんなは魔力集中や浄化制御や瘴気制御は時間切れになっており、2割を切る直前ということもあって次の段階の警戒をしつつ通常スキルをメインに攻撃を加えていた。2割で何もなければそのまま再発動して一気に攻勢へと移っていく予定である。

 いや、うん、ザックさんを筆頭として毒持ちの人が回復アイテムごと食べられる事でヒノノコの行動阻害を行うのが効率良すぎたね。……多分、何度も何度も行うような事じゃないんだろうな。


「これで2割ー! 『狙撃』!」

「っ!? やっぱり2割か!」

「よし、今度こそ任せとけ!」


 2割を切った段階でエンの根が編み込む様に土台のようなものを組み上げていき、ヒノノコがその上に飛び乗っていく。そして何かを吸い込む様な動作を始めていた。……どう考えても普通の攻撃パターンじゃない特殊攻撃だよな!? 


「あー!? どこかから瘴気が漏れ出てる!?」

「塞げ、塞げ!」

「いや、ここじゃないぞ!?」

「あ、エンの根から瘴気がー!?」

「くっそ! エンの根は入り口付近の分は地下にあるからどうしようも出来ん!?」


 ラックさん達、灰のサファリ同盟の慌てている声が聞こえてくる。どうやらヒノノコが吸い込んでいるのはエンの根を経由して常闇の洞窟の内部から持ってこられた瘴気のようである。これはあれか、またあの黒い火の昇華魔法を放ってくる!? これは多分相殺しなければヤバイやつ!


「これ、ヤバそうだねー? ルスト、土台を潰すよ! 『魔力集中』『ファイアクリエイト』『操作属性付与』!」

「待ってください、弥生さん!? 『根脚強化』!」

「俺らも行くぞ! 『高速遊泳』『魔力集中』!」

「わかった! 『猪突猛進』!」

「灰の群集の皆さん、ヒノノコは任せますね。フラム、援護をお願いします。『魔力集中』!」

「援護は任せろ! 腐食毒の『ポイズンボール』!」


 その状況の変化に合わせて、エンの根による土台を潰しに赤の群集のみんなが突撃していった。灰の群集ではエンの根はどうしようもないのでここは任せるしかないか。

 ヒノノコの攻撃に妙に時間がかかってるのと、演出を考えるとこれは発動前に潰せるのかもしれない。逆に言うと発動前に潰さなければヤバい……?


「ねぇ、ケイさん?」

「なんだ、ヨッシさん?」

「今思ったんだけど、ヒノノコの火を吐くのってもしかして魔法砲撃……?」

「……え?」

「ヨッシ、それはおそらく正解だ。ヒノノコや氷狼のブレス系の攻撃はそうじゃないかと推測している。敵のスキル構成は正確に分からんから、推測止まりだがな」

「……へぇ?」

「……どうした、ケイ?」

「ベスタ、ちょい質問。魔法砲撃での複合魔法化って可能?」

「魔法砲撃を使ってる奴自体があまりいねぇよ。だが複合魔法は可能だったはずだ」


 そうか、魔法砲撃の複合魔法化は出来るんだな。ブレス系は魔法砲撃を使っている可能性が高くて、そして今目の前でヒノノコが使おうとしている黒い火も今までの威力を考えれば昇華魔法の可能性が高い。ボスだけの特別なスキルという可能性もあるけど、同じ手段を再現出来る可能性は充分ある。


「なら、昇華魔法は?」

「ちっ、そういう事か。……紅焔を筆頭に口から吐くブレスとして使ってる場合ばかりで、それに関する検証情報は上がってないな。他に昇華持ちかつ魔法砲撃持ちはケイぐらいしか心当たりはねぇぞ」

「……試してみていい?」

「……仕方ねぇな。だが、万一の用意はしておくぞ」

「ほいよ!」

「灰のサファリ同盟! 手が空いてる土の昇華持ちはちょっとこっちを手伝ってくれ!」

「はいはーい! 聞こえてたから防御担当だねー! 誰か魔力値回復してる人、行くよー!」

「おう、俺が行くぜ。ラック!」


 今度は失敗してられないけど、さっきは失敗したし万が一に備えるのは仕方ないね。もし相殺出来なくても、灰のサファリ同盟が防御を担当してくれるみたいだしな。


<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>

<行動値1と魔力値3消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』は並列発動の待機になります> 行動値 50/51(上限値使用:7): 魔力値 179/182

<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>

<行動値2と魔力値3消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』は並列発動の待機になります> 行動値 48/51(上限値使用:7): 魔力値 176/182

<指定を完了しました。並列発動を開始します>


 並列制御でそれぞれの魔法を砲撃化して、右のハサミと左のハサミを始点に指定完了。これ、地味に指定部位が2ヶ所以上存在しないと指定できないんだな。……コケの方で魔法砲撃を使用するとどうなるんだろ? ……気にはなるけど、それは後回しだね。

 左右ともに照準は今にも攻撃を始めそうなヒノノコ。赤の群集のみんなが頑張っているけど、エンの根が地味に攻撃が激しいっぽい。そっちにも昇華魔法の人員が欲しかったとこか。


 とにかく今はヒノノコをどうにかするのが先だ。それじゃ放水開始! 今度こそうまく行ってくれよ!


<『昇華魔法:ウォーターフォール』の発動の為に、全魔力値を消費します> 魔力値 0/182


 よし、左右の放水が重なったところで昇華魔法の発動アナウンスは出た! って、何じゃこりゃ!?


「え、滝じゃないのかな!?」

「おいおい、勢い自体は滝っぽいけど真下じゃなくてヒノノコに向かって行ってんぞ!?」

「わー! 方向を無視した滝だー!?」

「これは凄いですね!? 弥生さん!」

「おー、こりゃ凄いね? ルストは反対側からお願い。わたしはこっちから撮るから」

「分かりました!」


 昇華魔法になっても魔法砲撃の始点が固定される効果はかかったままのようで、普段なら発動した後の操作はほぼ受け付けない昇華魔法がハサミの延長線上に展開されていた。もしかしたらと思ったけど、マジでこんな使い方が出来るのかよ!

 そして黒い火を吐き出し始めたばかりのヒノノコの黒い火を打ち消しながら、吹き飛ばしていった。うっわ、威力も今までより上がってない!? あ、でも効果はもう切れた。なるほど、威力がある分だけ効果が短いんだな。


 吹き飛んでいったヒノノコは崖にぶつかって、結構なダメージを受けているようである。そしてどうやらさっきの攻撃を阻止するとまともに動けなくなるらしい。

 そうか、2人で発動の昇華魔法でも使えばあれは比較的簡単に阻止出来るのかもしれないね。このヒノノコ自体は適切な対応さえ取れれば、単体としてはそれほど脅威じゃないのかもな。むしろ厄介なのはエンとの連携なのかもね。


「ケイ、よくやった! 今のうちに一気に削るぞ!」

「ベスタ、待った!」

「……なに?」

「水流の操作のリベンジするから、みんなチャージでよろしく。ハーレさん、レモンくれ」

「はーい!」


 ハーレさんからレモンを貰って齧り付く。……酸っぱいけど、そこは我慢だ。これで魔力値は10回復した。水を生成する為には魔力値が10もあれば余るくらいである。


<行動値を4消費して『増殖Lv4』を発動します>  行動値 44/51(上限値使用:7)


 纏浄を使いたいので、増殖でコケの群体数を増やしておいて準備をしておこう。これをしておかないと纏浄のデメリットで群体数が少なくなっちゃうからね。


「そういう事なら、一気にここでケリをつけるぞ。『浄化制御』『並列制御』『重爪斬・浄』『重硬爪撃・浄』!」

「総攻撃だー! 『纏属進化・纏浄』『浄化制御』『アースクリエイト』『爆散投擲・浄』!」

「わたしも混ぜてー! 『浄化制御』『重脚撃・浄』!」

「おー、良いね、総攻撃! 『大型化』『瘴気制御』『並列制御』『重爪斬・瘴』『重硬爪撃・瘴』!」

「えぇ、これでお終いにしましょうか! 『瘴気制御』『根硬螺旋槍・瘴』!」

「俺も頑張るんだ! 『瘴気制御』『激突衝頭撃・瘴』!」

「こりゃいい! 『瘴気制御』『斬化ヒレ』『断刀・瘴』!」

「大盤振る舞いだな。『纏属進化・纏浄』『高速遊泳』『激突衝頭撃・浄』!」

「みんな、やる気かな! 『浄化制御』『重硬爪撃・浄』!」

「大詰めですしね。『瘴気制御』『重爪斬・瘴』!」


 みんなが次々とチャージを開始していき、複数の銀光が徐々に強まっていき周囲を照らし出していく。この人数で夜に使えばすごい光景になってくるね。そしてこの物理系のメンバーの多さよ。魔法系が地味に少なくね? そりゃ防御が俺の役目になるよねー。


「いやいや、俺する事なくね?」

「いやー、ライさん。仕方ないって、これは」

「あはは、確かに物理系じゃないとこれは厳しいよね」


 そしてフラム、ライさん、ヨッシさんは待機である。まぁ、流石にこの辺は仕方ないかな。さて、俺は俺で全力で行こうじゃないか。このタイミングこそ、纏浄の使い時!


<『浄化の輝晶』を使用して、纏属進化を行います>

<『支配ゴケ』から『支配ゴケ・纏浄』へと纏属進化しました>

<『傀儡ロブスター』から『傀儡ロブスター・纏浄』へと纏属進化しました>

<『浄化制御』『浄化の光』が一時スキルとして付与されます>


 よし、纏浄は完了。さーて、俺らの全力での攻撃を覚悟しろ!


<行動値上限を1使用と魔力値2消費して『浄化制御Lv1』を発動します>  行動値 44/51 → 44/50(上限値使用:8): 魔力値 8/182 :効果時間 10分

<行動値1と魔力値3消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』を発動します> 行動値 43/50(上限値使用:8): 魔力値 3/182

<纏浄のデメリットが発動します>


 今回は水流の操作で使うので魔法砲撃での砲撃化はなし。次の段階だ。もうありとあらゆる出し惜しみは無しだ。みんな全力なんだから、ここで全力を出して仕留めきる!


<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>

<行動値を19消費して『水流の操作Lv4』は並列発動の待機になります>  行動値 24/50(上限値使用:8)

<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>

<行動値を20消費して『殴打重衝撃Lv1・浄』を発動します>  行動値 4/50(上限値使用:8)

<指定を完了しました。並列発動を開始します>


 よし、これでスキルの発動は完了。生成した水を水流の操作でこの周辺で円を描くような水流を作り出していく。


<『殴打重衝撃Lv1・浄』のチャージを開始します>

<纏浄のデメリットが発動します>


 纏浄のデメリットでどんどんHPと群体数は減っていくけど、死にさえしなければそれでいい。最重要になってくる水流の操作と同時にチャージも開始していく。さぁ、これが俺らの全力だ!


「アル以外は水流に乗ってくれ! アルは俺と一緒に最後だ!」

「そりゃそうなるな!」

「物理の奴は全員、行くぞ!」

「「「「「「「おー!」」」」」」」


 そして次々と水流に飛び込んでいき、それぞれに流れに乗っていく。サヤは竜に乗ってサーファー気分なのは前にもあったし、水月さんやアーサーは流れに身を任せていたり、レナさんは思いっきり泳いで勢いを更に増していたりと個性が見えているね。


「一撃目はもらったよー!」


 そうして勢いをつけている間に、チャージを終えたハーレさんの爆散投擲が崖に激突して身動きの取れないヒノノコに炸裂する。凝縮破壊Ⅰを手に入れた事や浄化属性の事もあってこれまでと威力が段違いであった。

 そして、水流の中でみんなのチャージが終わっていく。さぁ、みんなで水流を使った連続攻撃の始まりだ!


「フラム、俺らはエンの根を妨害するぞ!」

「おうよ、ライさん!」

「手伝うぜー!」

「赤の群集にも意地があるのを見せてやる!」

「攻撃の邪魔をさせるなー!」


 このヒノノコ戦も終盤という事を悟った赤の群集の大勢が陥没エリアに降りてきて、ヒノノコを守ろうとするエンの根を妨害していく。赤の群集のみんな、足止めは頼んだぞ!


<『殴打重衝撃Lv1・浄』のチャージが完了しました>


「もうここまでくれば翼竜も要らない筈だ! 灰の群集は翼竜を始末していくぞ!」

「おう!」

「リーダー達の邪魔はさせん!」

「翼竜をぶっ倒せー!」


 灰の群集は灰の群集で翼竜を始末する為に行動を開始している。ははっ、こりゃここにいるメンバーでの総力戦だな。これは確実に仕留めないとな。

 チャージを終えたみんなを身動きが取れないヒノノコに向けて、水流の流れを操作していく。ま、このメンバーなら攻撃後の退避については問題ないだろ。


「行くぞ、みんな!」


 みんな集中しているからか、水流の中にいるからなのかは分からないけど、ちゃんと伝わったというのはなんとなく分かった。そして次々とチャージ攻撃をヒノノコに叩き込んでいく。崖のすぐ側なので一撃が当たる毎にヒノノコは崖へとぶつかり、それでダメージを受けていく。

 そして残るは俺とアルのみだ。ヒノノコの残りHPは後わずか。これなら削りきれるはず!


「アル!」 

「おうよ!」


 俺は水のカーペットに乗ってからアルの背に乗っていく。アルが仕留めきれればそれでいいが、俺は最後の詰めだ。水流の操作をアルを流す為だけに調整し、そしてヒノノコを崖とアルで圧し潰すように衝突させていく。

 ちっ、ほんの僅かだけどHPが残ったか。だが、そこからの反撃はもう無理だろう。いや、何かする気か!? あ、ファイアボール……いやファイアボムか!? くっ、これは嫌なタイミングな上に、纏浄のデメリットでHPが割とやばい!?


「『並列制御』『ポイズンボム』『毒の操作』!」

「っ!? ヨッシさん、ナイス!」

「どういたしまして」

「くたばれ、瘴オオヒノノコ!」


 ヨッシさんがファイアボムを相殺してくれたおかげで、無駄打ちにならずに殴打重衝撃をヒノノコに叩き込んでいく。そしてヒノノコのHPは全てなくなり、エンの根を巻き込むように爆発炎上して焼き尽くされていく。

 どうやらエンの根もこれで活動停止のようである。この辺はボス戦特有の特殊な演出っぽいね。


<ワールドクエスト《この地で共に》のボスが1体撃破されました> 灰の群集 1/5


<ケイがLv10に上がりました。各種ステータスが上昇します>

<Lvアップにより、増強進化ポイント2、融合進化ポイント2、生存進化ポイント2獲得しました>

<ケイが規定条件を満たしましたので、称号『瘴オオヒノノコを討ち倒すモノ』を取得しました>

<増強進化ポイント30、融合進化ポイント30、生存進化ポイント30獲得しました>


<ケイ2ndがLv10に上がりました。各種ステータスが上昇します>

<Lvアップにより、増強進化ポイント2、融合進化ポイント2、生存進化ポイント2獲得しました>

<ケイ2ndが規定条件を満たしましたので、称号『瘴オオヒノノコを討ち倒すモノ』を取得しました>

<増強進化ポイント30、融合進化ポイント30、生存進化ポイント30獲得しました>


<『瘴気石』を1個獲得しました>


 よし、これにて瘴オオヒノノコの討伐は完了! あー、疲れた。何か気になるアイテムが入手出来てるけど、それは後回しでいいや。とりあえず瘴オオヒノノコには勝ったぞー!



【ステータス】


 名前:ケイ

 種族:支配ゴケ

 所属:灰の群集


 レベル 9 → 10

 進化階位:未成体・支配種

 属性:水、土

 特性:複合適応、支配


 群体数 150/5200 → 150/5350

 魔力値 3/182 → 3/184

 行動値 4/58 → 4/59


 攻撃 66 → 68

 防御 92 → 95

 俊敏 70 → 72

 知識 132 → 137

 器用 140 → 146

 魔力 184 → 191




 名前:ケイ2nd(ログイン不可)

 種族:傀儡ロブスター

 所属:灰の群集

 

 レベル 9 → 10

 進化階位:未成体・傀儡種

 属性:なし

 特性:打撃、堅牢、傀儡


 HP 528/5350 → 528/5550

 魔力値 85/85 → 85/86

 行動値 46/46 → 46/47


 攻撃 155 → 162

 防御 148 → 155

 俊敏 118 → 124

 知識 56 → 58

 器用 56 → 58

 魔力 29 → 30

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