第283話 休憩しながら情報収集


 とりあえず情報共有板に顔を出す前に、まとめ機能に情報を上げておこう。えーと、水流の操作を使ってチャージ系の応用スキルの連続攻撃の方法と、水と土の昇華魔法、他の群集の人との発動条件、その際のダメージ判定が群集毎に半分ずつになる事、大体こんなもんかな。

 書き込みも終了したので、情報共有板へレッツゴー!


 オオカミ  : ……まったく、またとんでもねぇ情報を次々と……。

 サル    : どしたの、オオカミの人?

 草花    : ほう? またコケの人は興味深い事をやってるな。へぇ、水流の操作ってそういう使い方もありか。……少し試してみるかな。


 木     : おい、ちょっと情報に不足があるぞ、コケの人!

 コケ    : え、なんか書きそびれた!?

 木     : 流した後の攻撃した人の回収の事を書いてない。


 えーと、あ、ホントだ。自分が書いたのを読み直してみると完全にその情報が抜けていた。しまったな、完全に書き忘れてた。……よし、加筆しておいてっと。

 そして、この指摘をしてきたこの木の人はアルだな。まぁ分かりやすい事で。


 コケ    : 書き忘れがあったので加筆しといた!

 草花    : あー、なるほどね。確かにこれが抜けてりゃ大惨事……でもないか。ダメージはないから、ボスの目の前で詰まって失敗するだけだな。


 オオカミ  : そうなるな。だが、これは良い手段でもある。昇華は無くても水流の操作持ち自体はいるから、水場さえあれば転用可能だな。


 リス    : 役割分担すればやりやすいよー!

 リス2   : わたしも流されてみたけど、あれはあり! ただし、回収役は必須だね。あと小動物の方が向いてるかな? ボスも小さかったし。


 オオカミ  : 確かコケの人は青の群集の森林深部の方だったな。あそこのボスは確かウサギか。大きいボスなら、それと並行しての攻撃もありだな。


 サル    : あー、小さいボスか。あれって同時に攻撃できる人数が少なくなるしな。

 海藻    : そうそう! 大きいボスの方が大人数では戦いやすいよね。


 あ、やっぱりそうだよな。小さい方が攻撃は当て辛いのは当然の話だし、その辺は多少は仕方ないかな。


 木     : そういや大きいボスってHPはどうなんだ? クジラで全力で突撃したら1発でHP3割削れたってのもあったんだが。


 クジラ   : 何をやったらそんなに削れるの!? 俺でも2割が良いとこだよ!?

 ネズミ   : いや、2割でも充分多いから。……これだからクジラの攻撃力ってのは。

 海藻    : まったくだね。ボスの初戦があっけなさ過ぎて、呆けちゃったもん。

 コケ    : え、そっちでもなのか?


 他のクジラでも2割は削れたというのは、やっぱり破格な攻撃力だな。うん、やっぱりアルの突撃向けの進化は正解だったのだろう。


 海藻    : うん、そうだよー。とは言っても、初戦だけだけどね。

 木     : ……どういう事だ?

 クジラ   : 一度逃げた後にはLvが上がるって情報は見た?

 リス    : それは確認したよー!


 ハーレさんがウサギとのボス戦に入る直前に確認してくれたからね。支配度が上がってから逃げた後、再登場した時にLvが上がっているって事だったよな。あ、それじゃ……?


 コケ    : LvアップでのHP上昇量が、ボスの大きさによって違う?

 オオカミ  : サンプル数が少ないし、そもそも再現が無理だから推測止まりにはなるが、大きい方がHPが多くなると傾向があるようだな。


 サル    : ま、それは仕方ないだろ。傾向が分かればそれで充分。

 オオカミ  : まぁな。……それはそうと『共闘殲滅を行うモノ』ってのは条件が不明ってのは? 書いてる状況的にいくつか条件は思いつくには思いつくが……。


 あ、やっぱりそこは気になってくるか。とは言っても、それは条件がよく分からないんだよな。少し条件を変えて再度試そうにも取得済みの俺じゃ無理だしね。再現しようにもまだ昇華を使える人が少ないのと他の群集の協力が不可欠っぽいのが問題。


 コケ    : 正直なところ、さっぱりだ。他の群集の人と昇華魔法を使うのか、複合魔法でもいいのか、そもそも魔法以外でもいいのか、他の称号とセットじゃないといけないのか、倒す数が決まっているのか、その辺の条件が全然絞り込めない。


 木     : 確かにあの状況でこの内容だとそうなるか。……ただ取得スキルが『魔力値増加Ⅱ』なら魔法系スキルじゃないか? あ、このスキルの効果も書いてないぞ。


 草花    : あ、確かにないな。コケの人、増加量の確認を頼む。確か『魔力値増加Ⅰ』の称号は『マッチポンプ』だよな。あれは魔法関係ないけど、『魔力値増加Ⅱ』はもしかして魔法型の進化でないと取れないやつ?


 サル    : そもそも『魔力値増加Ⅰ』自体が未成体からのポイント取得だから、その上となると結構先のスキルなんじゃ? 


 コケ    : そういやまだ自分でも確認してなかった……。見てくるよ。


 ついうっかりしてたね。あとで確認しようと思ってたのに、報告内容を忘れないうちに書いておこうと思ったら内容の一部の確認を忘れてたらどうしようもない。サッと確認してしまおう。


『魔力値増加Ⅱ』

 魔力値の上限が25増加する。


 シンプルに魔力値の上限が25増えるだけだね。『魔力値増加Ⅰ』は10増加だったので、これはこれで結構いい感じである。昇華魔法の事を考えるなら、上限が増えるのはシンプルに威力増強にもなるのか。こりゃいいね。


 コケ    : 確認終了! 魔力値上限+25だね。

 草花    : お、そこそこ良い増加量じゃん。……地味に欲しい。

 オオカミ  : 魔法型には良いだろうな。……待てよ? コケの人、スキル統合で『魔力値増加Ⅲ』が狙えるんじゃないか?


 コケ    : あ、ポイント取得の方はしてないからいけるかも。


 似たようなスキルの『行動値増加Ⅰ』の時は称号で取っていた場合はポイント取得の方も可能で、2つ取得すれば『行動値増加Ⅰ』は統合して『行動値増加Ⅱ』にする事が出来た。

 同じ系統っぽい『魔力値増加Ⅰ』なら未成体の今ならポイントで取得が可能になっていた。それを統合して『魔力値増加Ⅱ』にして、更にそれが統合になると『魔力値増加Ⅲ』があるのなら狙える可能性は充分ある。……もう少し早く思い出していれば、普通に未成体になった段階で統合して『魔力値増加Ⅱ』も取れてたかも……。


 草花    : おいおい、これが出来たらすげぇ事になるんじゃねぇか!? ……っていうか、俺もポイント取得の方は忘れてた。俺もやっとこ。


 リス    : 地味に取り忘れるやつだー!?

 木     : ま、そういう事もあるだろ。……俺もやっとこ。

 サル    : 俺もだなー。結構忘れてた人もいるのか。

 コケ    : よし、ちょっと試してくる。


 みんな未成体になってからやろうと思いつつ、忘れてたって事なんだろうね。とにかく、これは試してみない理由がない。即座に試してみようじゃないか。進化ポイントを使って『魔力値増加Ⅰ』を取得して統合か。よし、スキル取得一覧を開いて……あった。融合進化ポイント20だけど、この程度はポイントの余ってるコケからしたら全然負担ではない。取得完了っと。


<既に『魔力値増加Ⅰ』を取得していますので統合し、スキル『魔力値増加Ⅱ』に変化しました>

<スキル統合により、スキル『魔力値増加Ⅰ』は失われます>

<既に『魔力値増加Ⅱ』を取得していますので統合し、スキル『魔力値増加Ⅲ』に変化しました>

<スキル統合により、スキル『魔力値増加Ⅱ』は失われます>


 よし、大成功! 『魔力値増加Ⅱ』は消滅したけど『魔力値増加Ⅰ』は取得し直せばいい。肝心の『魔力値増加Ⅲ』でどれだけ増えるかが重要だ。


『魔力値増加Ⅲ』

 魔力値の上限が60増加する。


 凄い量が増えた!? えーと、ちょっと整理しよう。元々が魔力値が114あって、そこに『魔力値増加Ⅱ』で+25で139になってた。……あ、深く考えなくても『魔力値増加Ⅱ』は統合で無くなってるから『魔力値増加Ⅰ』を取得し直せば『魔力値増加Ⅲ』の増加分だけで良いのか。

 よし、融合進化ポイントをまた20消費して『魔力値増加Ⅰ』を取得しなおそう。今こそ余っているポイントの使い時! ポイント取得で手に入るものは何かの理由で消えても再取得可能だからいいね。これでポイントだけで2個同時に取得出来れば良いけど、流石にポイント取得した後は一覧から消えるのは仕方ない。


 とりあえず『魔力値増加Ⅰ』の再取得が出来て、これで魔力値は174か。一気に増えたなー。


 草花    : コケの人、どうなったー?

 コケ    : 大成功! 統合されて『魔力値増加Ⅲ』になった!

 オオカミ  : 上手くいったか。で、『魔力値増加Ⅲ』の増加量の方はどうだ?

 コケ    : えーと、『魔力値増加Ⅲ』は+60だな。

 サル    : え、増加量すご!?

 草花    : よし、コケの人は青の群集の森林深部の先のとこだったな。高原を荒らすモノならまだ持ってないし再現実験してみるか。ちなみに青の群集のどんな人が昇華持ち?


 コケ    : 向こうもコケの人。クジラの人とオオカミの人とかは会った事あるよな。

 オオカミ  : なるほど、青の群集のコケか。

 クジラ   : え!? あの要警戒のコンビの片割れ!? 

 海藻    : あーあのコンビか〜。厄介だったけど、共闘だと楽しそうな相手ではあるよね〜。

 ヘビ    : コケってのは色々やらかすのが前提の種族なのか……?

 オオカミ  : 必ずしもそうって訳じゃないが、癖があるのは間違いない。それにクジラやドラゴンや他の種族でもやらかすからな。コケの人が中身的にやらかす事が多いだけだぞ。


 ヘビ    : あ、そうなの? そっか、種族じゃなくて中身の問題か。


 確かにコケには間違いなく癖はある。今はロブスターとの支配進化のおかげで移動に関する問題はないけど、森の外に行こうとすれば手段確立するまでは結構大変だしね。……っていうか、結構失礼な事言ってない? ベスタだって、多分荒らすモノの称号持ってるだろ。

 

 草花    : よし、俺もコケの人のとこに行ってみるか。コケの人、問題ないか聞いてみてもらえるか?


 コケ    : あ、草花の人これから来るのか。ちょっと待って、聞いてみる。


 ジェイさん次第になるけど、大根のダイクさんがこっちに来るのか。ジェイさんさえ良ければ、再現実験はしておきたいところだね。多分これは駄目だとは思うけど、複合魔法での再現実験は後でやってみよう。とりあえず、ジェイさんに確認だな。


「ジェイさん、ちょっと良い?」

「はい、何でしょうか?」

「ちょっとさっきの昇華魔法の再現をやりたいって人がいるんだけど、再現実験は協力頼める?」

「あれの再現が出来る人がいるのですか。……いえ、そういえばもう1人、水の昇華を持っている人がいる可能性がありましたね。やはり実在しましたか。……もう1人、おそらく火の昇華を持ってる人もいますよね?」


 あ、そういや総力戦で青の群集に見せているんだから存在はバレてるか。……これは恍けるだけ無意味だな。むしろ巻き込んで情報検証に引きずり込もうか。


「あれだけ盛大に使っておいていないってのは通らないか。まぁどっちもいるよ」

「……でしょうね。再現実験の協力は良いですよ。雑魚の掃討にも役立ちそうですし、私も他の群集との昇華魔法の使用についても色々知りたいですからね」

「ちなみに青の群集で他に昇華持ちは?」

「……教えると思います?」

「うん、思わない」


 そこまで簡単には教えてくれるとは思っていない。ま、この返答の時点で昇華を持っている事を把握している人は他にもいるって言ってるようなもんではあるんだけどね。……まぁ条件的には時間が経てば必ず増えてくるから、あんまり気にしても仕方ないところではあるんだよな。


「簡単に即答しますね。まぁ条件的には育てば増えてきますから、当然ではありますか。……それにしてもそちらには現時点で昇華持ちは何人いるのです?」

「……教えると思う?」

「……そうなりますよね」


 まぁ実際のところ正確な人数ってのも分からないんだけどね。知ってる範囲で俺を含めて3人だけど、絶対他にもいるだろう。それにまだ届いてなくても、あと少しという人もいる筈だ。支配進化の情報があるからには条件的に近い人は必ずいる。

 まぁ所持者数の統計が出る訳じゃないから、把握しきれるはずも無いんだけどね。流石に特定スキルの保有者の一覧とか作れないし。


「とりあえず水の昇華持ちの人が来るのは良いってことで構わない?」

「えぇ、構いませんよ」


 よし、了承は取ったから報告してから来てもらおう。


 コケ    : 問題ないってさ。

 草花    : 了解。それじゃ今からそっちに行くわ!

 オオカミ  : おう、行ってこい。こっちの戦力増強になるしな。

 海藻    : でも、青の群集にこっちの昇華魔法の威力底上げのメリットってある?

 サル    : 共闘イベント中ならかなりメリットあるとは思うけど、気軽過ぎる気もするな。

 木     : もしかすると、マッチポンプの事を知らないんじゃないか?

 オオカミ  : その可能性はあるな。草花の人、その辺を探ってくる可能性も気を付けろよ。

 草花    : 了解! ま、その辺はこっちも探ってみるわ。

 リス2   : 地味に情報戦をやってるねー。

 海藻    : まぁほどほどで良いとは思うけどね〜。格差があり過ぎれば、いったんから情報開示ありそうだしさ。


 オオカミ  : その辺は状況次第だな。まぁ自発的にばら撒きまくるのでなければ、少し気にする程度で構わないだろう。


 リス    : そだね! ギスギスし過ぎても嫌だもんね!

 リス2   : 行動の制限かけると一気に居心地も悪くなるからね。ほどほどがいいのさー。


 なんだかんだで共闘しつつも互いの情報を探り合ってるね。ま、手の内を晒しまくるよりは多少の緊迫感が出てそっちの方が楽しめるだろうしね。やり過ぎにだけは注意してほどほどに楽しもう。

 

 

 

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