第252話 共闘イベントの進行具合
とりあえず1戦を終えて、少し距離を取る。昇華魔法も使ったので魔力値を回復させないと駄目だしね。まぁ距離を取ると言ってもさっき飛び降りた水のカーペットに乗り直して上空へと飛んでいくって感じだけど。幸いな事に飛ぶ敵はそれほど多い訳ではないらしい。
見通しの良い高原という事もあるんだろうけども、どの方向見てもどこにでも敵がいるってくらい普通に敵の数が多い。……昆虫や小動物系が多そうだな。その次に草花が多い様子である。この様子だとクエスト的には数を倒せってところか?
「ハーレさん、新情報は何か出てないか?」
「ちょっと待ってね! あ、クエスト詳細が更新されてたよー!」
「お、マジか」
「まずは内容の確認かな?」
「そうだね。どうすれば良いのか、方向性が分かればいいけど」
クエストの詳細情報の更新条件は手段は何でもいいから倒す事? まぁこれはクエストの詳細を見てみるのが早いか。とりあえずクエストの詳細を開いてっと。
【共闘イベント『瘴気との邂逅』】
ワールドクエスト《地の底にいるモノ》の進行状況
【赤の群集】
黒の暴走種、半覚醒の解放 1/500
黒の瘴気強化種の撃破 13/5000
【青の群集】
黒の暴走種、半覚醒の解放 1/500
黒の瘴気強化種の撃破 16/5000
【灰の群集】
黒の暴走種、半覚醒の解放 3/500
黒の瘴気強化種の撃破 25/5000
えーと、半覚醒の解放を500体、黒の瘴気強化種の撃破を5000体、それぞれの群集毎にやれと。……うん、まぁ大人数で数日がかりでやるのならそんなに無理な数字でもない? 大雑把に考えて、1つの群集でも5エリアに分かれてるから黒の瘴気強化種は1エリア辺り1000体、半覚醒の解放は100体ずつになる。
瘴気強化種は普通にダメージは通るから比較的楽として、半覚醒の方が厄介か。さっき1体解放したけど、あれはいくらなんでも効率が悪過ぎる。
条件としては全ての群集が終わらないと先に進まない感じかな。……これだけで終わりって事もないだろうし、進行状況によってボスとか出てきそう。とりあえず瘴気の影響を受けたヤツを減らせって事なんだろう。
ダメージ減衰量が増えてるところや共闘イベントって名前から、他の群集の力を借りるのは確定だな。他の群集から出向いて貰って半覚醒を解放してもらいつつ、邪魔な黒の瘴気強化種を一緒に殲滅ってところか。
「……これはここのエリアだと赤の群集の手伝いが必要そうだね」
「だー! 赤の群集はあんまり関わりたくねぇー!」
「紅焔、やっぱりどこか青の群集に隣接しているエリアに移動するかい?」
「それが良いかもなー。そうするかー」
何だか赤の群集と関わるのが嫌そうな紅焔さんである。……誰か嫌な奴にでも遭遇したんだろうか? うーん、気になるけど聞いて良いものか少し悩む。
「紅焔さん、何かあったの!?」
「あー、このゲームを始めてすぐの時にPT組んでた奴が赤の群集に行ったらしくてな……。地味に苦手なんだよ、あいつ」
「あの逃げまくってたキツネの人か? 逃亡ギツネとかいう進化先が出てたとか何とか覚えがあるけど」
「そう、そいつ! 秘密主義過ぎて、一緒にPT組んでた筈なのに逃げまくってた奴!」
「そういえばそんな人も居たね!?」
「どうにも紅焔はそのキツネの人に苦手意識があるみたいでね?」
「……正直あいつとは共闘出来る気はしない」
ハーレさん、遠慮がないな。まぁいつもの事だけど、これは聞いても特に問題はなかったみたいだね。
それにしても逃げまくるキツネの人はいつからか全然情報共有板で見なくなったと思ったけど、赤の群集に移籍したのか。……確かに秘密主義で隠したがる人には灰の群集の今の雰囲気は合わなかったのかもしれない。でも流石に一緒にPTを組んでる相手にすら秘密で逃げまくるのもどうかと思うけど。
「……そもそも共闘イベントに参加してくるのかな?」
「参加しなさそうだけど、俺のワガママで足並み乱すのもあれだから始めっから避けとく!」
「ま、そういう訳で僕たちはやるとしたら青の群集と共闘だね」
「なるほどね。了解っと」
まぁ青の群集とも共闘は必須だろうし、森林深部が開始エリアだったからといって森林深部からのエリアで戦わないといけない決まりもない。紅焔さん達のPTがそういう方針で行くのであれば俺達がとやかく口を出す事でもないだろう。
俺達は俺達でどこで参戦するかは決めといた方が良いかもしれない。まぁこれはアルがログインしてからの話だな。とりあえず夕方はこのまま情報収集に努めておくのが1番かな。
「そういやカステラさんとライルさんは?」
「カステラとライルは今日は夜からだよ。今回は対人戦じゃないし、僕も全力で参加するからね」
「ま、そういう事だから夜までは一緒にやろうって事で! 良いだろ、ケイさん?」
「そういう事なら問題ないぞ。ま、俺らも夜にアルが合流するまでは方針は確定出来ないし、ちょうどいいか」
「晩御飯まで一緒にやるぞー!」
「私もそれで良いけど、具体的にこれからどうするのかな?」
「どうするのが良いんだろうね、これ?」
「うーん、紅焔どうしようか?」
「あー、どうしたもんかな?」
みんなで改めて周囲を見回してみれば、どこの戦闘も苦戦……ではないけども攻めきれないでいるようである。まぁ敵の動き自体は成長体だからそれほどでもないけど、ダメージの与えられなさが酷い。
ところどころで暴発を使って倒している様子も見える。上手く行けば暴発でも普通に倒せない事は無さそうだけど、無差別ダメージで自分たちのHPまで削ってしまってる場合もあるようだ。そこに他の個体から攻撃を受けて死んでいる人もちらほら見受けられる。
暴発でも倒す事は不可能ではないけど、これだと安定性が無さ過ぎるね。そもそもが確率頼りな暴発だから、少しなら良いけど量が多ければ多いほど不安定さが増していくみたいである。こうなると1度情報の整理だな。
「とりあえず情報共有板か?」
「そうだな、今のうちに分かってる情報を上げとくか」
「情報共有板は色々慌ただしくなってるよ!」
「僕は周辺の警戒をしてるから、紅焔は情報収集を頼むね」
「私も警戒しとこうかな?」
「私も周辺警戒で。まだ何があるか分からないからね」
「それじゃそういう役割分担で! あ、紅焔さんもこれ乗るか?」
「お、良いなら乗せてもらおうか。ちょっと興味あったんだよな」
周辺警戒をする事になったサヤ、ヨッシさん、ソラさんはともかくとして、情報共有板での情報交換をする紅焔さんは落ち着いていられる場所がいいだろう。……あ、でもサイズ的にもうちょい大きくした方が良さそうだし、作り直すか。
「それじゃ、私が竜で飛んでおくね」
「え、サヤさんってそんな事が出来るんだね?」
「うーむ、さっきは戦闘中だったから軽く流し見にしてたけど、このドラゴンも中々……。西洋系のドラゴンの方が俺は好きだが、東洋系ドラゴンも中々侮れないな」
「紅焔、もう1体ドラゴンを作りたいとか言わないよね?」
「え、ソラ? 駄目なのか?」
「いや、駄目とは言わないけど僕らの2ndの方の育成も協力してほしいとこだね」
「……それなら一緒に育てるのは駄目か?」
「……そこら辺はライルとカステラが揃ってから応相談だね」
どうやら紅焔さんも東洋系のドラゴンにも興味津々のようである。そっか、合成進化でコウモリをトカゲに合成したって話だから紅焔さんの2ndの枠は今空いているんだな。まぁ何を作るかはそれぞれの自由だし、PTとの兼ね合いもあるからこれも口出しすることじゃないね。
とりあえずサヤが竜に腰掛けて水のカーペットの上から飛んでいったので、その分スペースが空いてそこに紅焔さんが収まっている。……竜に進化させた事でサヤの行動範囲が広がったようで、中々良い強化具合のようだ。
「それじゃ周囲の警戒は任せたぞ!」
「任せてかな!」
「うん、邪魔はさせないよ」
「ま、ここまで飛んでくるのも少なそうだけどさ」
まぁソラさんの言うように少なくともこの辺りには飛行系は少ないようなので、多分大丈夫だとは思うけどね。もっとエリアの奥の方まで行けば分からないけどさ。とにかく、周辺の警戒はサヤ達に任せて情報交換に向かおうか!
オオカミ : ちっ、どういう風に共闘の必要性があるかは気になってたが半覚醒でダメージが与えにくいと来たか。
草花 : とりあえず報告! コケの人の報告欄にあった水の昇華魔法を試してきたぞ!
オオカミ : お、結果はどうだ?
木 : なんかすげぇのな! びっくりするわ、この情報共有の体制!
海藻 : お、移籍の人? 他の群集とどう違うのかは分からないから何とも言えないけど、そんなに違う?
木 : 青の群集からの移籍だ! あ、青の群集の情報をベラベラ喋るのは勘弁な? 流石にそういう不義理な事はしたくないんで!
オオカミ : あー、そういうのは無理強いする気はねぇから気にすんな。
草花 : 報告続けていいかー?
木 : あ、流れぶった切ってすんません!
草花 : そこまで気にしなくていいよ。とりあえずコケの人の報告通り、単独の昇華魔法はコストパフォーマンスが悪いね。これは2人で発動した方が良いと思う。
オオカミ : そうか。まぁまだ数少ないサンプルだ。検証は助かった。
お、俺以外の水の昇華持ちの草花の人がいたか。早速試してくれたみたいだし、まとめ機能が結構機能しているようで良いですな。
ドラゴン : イベント絡みの検証情報を持ってきたけど……。え、何? 昇華魔法って単独発動出来るの?
イノシシ : あ、ドラゴンの人だ。並列制御で昇華の対象の魔法Lv1同士で発動出来るって、コケの人からの報告があったよ。
ドラゴン : そうなのか。……後で試してみるか。
紅焔さんが試してみると書き込みながら、こっちに目線を向けてきている。いや、そんな風に見られても困るし、別に俺は悪い事はしてないよ?
オオカミ : で、イベントはどんな様子だ? 何か進展があったんだろう?
ドラゴン : あぁ、まぁ一応な。
コケ : とりあえず、ドラゴンの人と一緒になったんで昇華魔法を半覚醒の黒の暴走種にぶっ放してみた。
トリ : あー!? さっきの高原での爆発音ってそれだったんだ!?
クワガタ : 誰かが何かしたとは思ったけど、あれが例の昇華魔法か。
オオカミ : ちょっと前からそんな情報が上がってたが、やっぱりお前達だったか。……それで効果の程はどうだ?
コケ : 正直なとこ、悪い情報だな。昇華魔法でも成長体相手のHPを半分削るのがやっと。まだ暴発の方が効果あるぞ。
ドラゴン : ありゃ灰の群集だけだと相当厳しいぜ? まだ未成体の半覚醒もいるだろうし、成長体相手で昇華魔法を使っても半分削るのがやっとだと正面突破は厳しすぎる。
トカゲ : うっそ!? そんなに効かないのか!?
カンガルー : こりゃ、本格的に共闘が必須か。
リス : その後に私が暴発で無差別ダメージになったチャージ系の応用スキルを撃ち込んだけど、それはそれでリスクが高いね!
オオカミ : ……応用スキルで暴発をしくじれば下手すりゃ味方全体が瀕死状態か。やはり共闘を前提にして動くしかなさそうだな。
ネズミ : 確か、青の群集とは協力体制は確約出来てるって事で良いんだよね?
オオカミ : あぁ、そっちは問題ねぇ。問題なのは……。
コケ : 赤の群集か……。
赤の群集は改善に向かっているという話だけど、まだ共闘の確約は取れてないんだな。さて、その辺の調整からが必要になってくるんだな。
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