第176話 各エリアの進化の輝石


 火の操作に関しては凄い有用な情報が手に入ったけど、こうやって改めて情報を纏めると勿体無いことしてしまった気がする。これって俺が『同族の命を脅かすモノ』を取得した時に魔法産の海水じゃなくて、普通の海水を使ってたら海水の操作が取得出来てたんじゃないか……?


 ザリガニ  : うーむ、色々と勿体無いことをした気がする……。

 オオカミ  : 多少の無駄が出るのは仕方ねぇだろ。俺だって後から分かった事実で取り損ねが無い訳じゃないからな。


 コウモリ  : そうだな。全くの無駄なくやろうってのは無理だろ。

 クラゲ   : だよね! でも2枠目からなら存分に情報活用出来るよね!

 草花    : そうなるよね。それでも全くの無駄は無しってのは難しいだろうけどさ。

 ザリガニ  : そりゃそうか。あ、そういや聞きたかった事があるんだった。

 オオカミ  : ……なんかいつも聞きたいことを忘れ去ってないか?

 ザリガニ  : いや、有用な情報があったらついそっちに意識が行っちゃってね?

 コウモリ  : その気持ち、分からなくもない……。

 草花    : 確かにねー! 話してるうちについつい目的を忘れちゃう事はある!


 みんなも結構脱線して、本題を忘れた事があるようで同意してくる人が結構いる。ちょうど重要な会話の真っ最中に流れをぶった切って強引に自分の質問するより、その時の重要な話を発展させた方が色々と有益だしさ。……ってこれじゃまた別方向に話が脱線していきそう。方向修正して、聞くことを聞いておかないと。

 アルに移動を任せてるんだから、サヤの迎えに辿り着く前までには情報収集を終わらせねば。


 ザリガニ  : って事で忘れないうちに聞いておく。ズバリ知りたいのは各エリアで入手可能な進化の輝石の種類!


 カンガルー : ……そういや、明確に情報交換はしてなかったっけ……?

 カツオ   : いや、この前話題に出てた時はあるにはあるぞ。深夜帯だったし、結論としてまだ行き来が出来ないから後でいいやって事になったりはしたけど。


 カメ    : そういやそんなのもあったっけ。

 オオカミ  : ……チャットの弱点だな。会話量が増えると遡りにくくなり過ぎる。

 カメ    : まぁその辺は掲示板とかでも同じだけどね。群集内だけで良いから情報を簡単にでも纏められる場所でもないかな?


 オオカミ  : 確かに欲しい機能ではあるな。運営に要望でも出しておくか。

 カツオ   : そうだな、そうしよう。で、進化の輝石の情報だっけ。

 クラゲ   : どんなのがあるのか気になるんだよね! 合成進化の素材にもなるし!

 カメ    : え!? それ、初耳なんだけど!?

 トリ    : あぁ、それほど進化の輝石の持ち主も多くないからね。進化の輝石を使って合成進化を行えば一時付与スキルと属性を恒久的に定着する事が可能だよ。あとアイテムによる合成進化は1つの進化階位で3回までみたいだね。


 ザリガニ  : お、アイテムでは3回までなのか。

 

 これは良い情報が手に入ったぞ。進化の輝石と特性の種を両方とも合成出来るのか。いや、合成出来るようにするための3回制限かな。……もしかしたら他にも合成進化に使えるアイテムもあるのかもね。


 カメ    : 進化の輝石って合成進化に使えるんだ!? あ、だから何処で何が手に入るかを聞きに来たのか!


 草花    : そういう事だろうね。

 ザリガニ  : まぁそうなる。進化の輝石を持ってても必ず合成進化に使うわけじゃないしね。

 オオカミ  : 俺も進化の輝石は持ってるが、その合成進化はしていないから未検証での情報は出せなくてな。……そろそろいったんからの注意事項も広まってきているか? 大丈夫なら複合進化に関して出せる情報は色々あるが……。


 カツオ   : あーもうちょい待った方が良いと思うぞ。多分、まだ早すぎる。

 コウモリ  : 俺もまだ待つに賛成。課金アイテムが絡むと流石になー。

 トリ    : あ、それならさっきの情報は早まったかな?

 クラゲ   : あれは大丈夫だと思うよ! 纏属進化後と同じようになるんだから、問題ないさー!

 オオカミ  : ……纏属進化で試しもせず、注意事項の確認もしないなら流石に自業自得か。


 問題が起こるとしたら、複合進化が解禁された時点から何もかもを確認せずにすぐに進化の輝石を使って合成進化を行った場合だけだな。……そもそも進化の輝石を使った合成進化の説明欄に恒久的に定着させるとあるから、それを読み飛ばさない限りは大丈夫なはず。そこまで読み飛ばしたら、どう考えてもベスタの言うように自業自得。


 カンガルー : とりあえず、進化の輝石の情報の交換自体は問題なし……?

 草花    : 合成進化に使うかどうかは本人次第だし、進化の輝石の情報自体は良いんじゃない?

 オオカミ  : なら情報交換といくか。森林深部は『火』『氷』『土』『水』『樹』の5つだな。

 ネズミ   : そういう事なら俺も。森林は『毒』『火』『水』『癒』『風』だよ。

 ヒョウ   : なんだ? 進化の輝石の情報交換? 

 サル    : ヒョウの人、火種は持ち帰れた?

 ヒョウ   : あぁ、転移でも一緒に持っていけたわ。とりあえず枯れ木に放火しといた。

 クラゲ   : 放火って大丈夫なの!?

 ヒョウ   : 周辺が土だけの場所だから多分問題ねぇよ。とりあえずサルの人、おまけで『進化の軌跡・火の欠片』までくれてありがとよ。草原には火のやつはないからな。


 サル    : いえいえ、こっちには大量に集めてるメンバーもいるし。それにしても進化の輝石は気になるね。


 クラゲ   : え、それじゃ草原って常闇の洞窟の光源ってどうしてるの!?

 ヒョウ   : 雷で代用してるぜ。あれも光るからな。

 クラゲ   : 雷を使うんだ!? そういうのもありなんだね!


 ヒョウ   : 他の種類は何があったっけな……ちょうど群集拠点種の前にいるから確認しとくわ。えーと、『雷』『風』『草』『癒』『土』ってなってるな。


 ザリガニ  : ほう、森林と草原に『風』があるんだな。

 ヒョウ   : ん? 『風』に興味ありか?

 ザリガニ  : 纏風で飛んでた魚を見た事あったからさ。一時スキルがどんなものかとPTメンバーがね?


 クラゲ   : はい! 興味あるのは私といつもの木の人です!

 オオカミ  : そういや木の人は2枠目は何にしたんだ?

 クラゲ   : クジラだよ! こっちも空飛ぶクジラ計画発動なのさ! あと空飛ぶクラゲ!

 カメ    : あーそういう事。うん、確かに『風』には『空中浮遊』って付与スキルはあるね。泳げる種族ならそれで空中も泳げるよ。


 ヒョウ   : そういやあったな。……クラゲならすぐに使えるだろうけど、クジラはどうなんだ?

 カメ    : 少なくとも進化の軌跡の『空中浮遊Lv2』では無理だろうね。精々ちょっと地面から浮くくらいが限度じゃない……?


 ザリガニ  : もしかしてLv上げなきゃ駄目なタイプ?

 カメ    : うん。Lv上昇で制限は軽減されるみたいだけど、自由に空中を泳げるかは大きさに依存するみたいだぞ。


 オオカミ  : まぁクジラに軽々と空中を泳がれても堪らんか。

 クラゲ   : 確かにそうだね!? んーでもLvさえ上げればなんとかなりそうだよね!

 コウモリ  : ま、誰もまだやってないからやってみないとなんとも言えないか。俺だってドラゴン目指してるんだからな!


 草花    : まぁみんな色々と目指してるとこがあるって事だね。えっと、荒野の人っていないかな?


 カメ    : 俺、一応荒野だよ。荒野にも『風』あるし。

 クラゲ   : 荒野の人だった!? てっきり森林か草原だと思ってた!?

 カメ    : 乾燥に強い陸ガメだって居るってことさ! 荒野は『草』『風』『毒』『火』『土』の5種類!

 

 イルカ   : 海は『毒』『水』『光』『癒』『草』かな。こう見てみると、被ってるのもあれば全く違うのもあるんだね。


 カツオ   : そうだな。空中で泳ぐというのも楽しそうではある。

 カメ    : 俺としては『癒』とか『樹』がかなり気になるんだけど!

 ザリガニ  : 『樹』ならコケで使えばコケ玉になるぞ。

 ネズミ   : コケ玉……ってなに?

 ザリガニ  : あー盆栽の器を全部コケにした感じ!

 オオカミ  : ……説明しにくいとはいえ、その例えは大雑把過ぎないか……?

 クラゲ   : ネットで調べて見てくれた方が早いと思う!

 ネズミ   : そっか。後で調べてみるよ。


 さてと、これで一応欲しい情報は出揃った。俺としては雷に興味があるし、アルとハーレさんは風が欲しそうな感じだから草原でいけるのか。草原エリアとは経路確立されたし、成長体まで育てて合成進化が可能に……あれ、成長体のどのタイミングで進化の輝石を使った合成進化が出来るんだ……?

 確か条件にLvはついていなかった筈だから、成長体にさえなればいけるか。あーでもその前にアルと、ハーレさんは陸地の適応が先だな。死にまくって適応進化で地道にやるか、特性の種で合成するか悩みどころになるかもね。


「ケイ、ハーレさん、そろそろ着くぞ」

「はーい!」

「おうよ」


 欲しい情報は手に入ったけど時間的にはぎりぎりだったな。みんながそれぞれの詳細な一時付与スキルを聞いていっているのに加わりたい気もするけど、それはまた今度だ。

 今はサヤとの合流が最優先。アルの背から落ちないように気を付けながら海底の方を向いてみる。ここら辺は砂地に適度な岩場、そして海藻が多いようである。そしてサヤの姿は見当たらない。あれ、どこに居る……?


「あ、みんな。こっちかな」

「サヤ発見! 海藻に紛れてるよ!」

「マジか!? あ、ホントだ。これは分かりにくいな」


 海藻の中から泳いで出てくるタツノオトシゴのサヤを見つける事が出来た。10センチもないくらいの小型で、垂直に立って泳いでいる不思議な魚だから移動速度が遅めなのは仕方ないのかも。色合いは少し青みがかった灰色っぽい感じである。そういやタツノオトシゴって確か『竜の落とし子』って由来だっけ。このゲームなら東洋風の竜にでも進化するのかもしれない。……うーむ、俺もタツノオトシゴにすれば良かったかな。

 まぁまだ3枠目もあるし、ロブスターだってまだ全然戦っていない。ロブスターだって面白い進化をするかもしれないしね。


「ようやく合流出来たかな」

「んじゃヨッシさんの迎えに行くぞ。サヤは流されて落ちないようにケイにでも掴まっててくれ」

「うん、分かった。ハーレも巻き付いてるんだね?」

「シアンさんの時とは違って、背中に固定して居られないんだよね! アルさんの木との共生進化に期待だよ!」

「あー、そういや情報収集はどうだった? なんか途中で草原エリアとの経路確立されたっぽいけどよ」

「欲しい情報はばっちりだ」

「ほう、じゃあ移動しながら聞かせてもらおうか」

「おうよ。まずはだなーー」


 そしてヨッシさんを迎えに行くまでの間に集めてきた情報を伝えていく。ヨッシさんにももちろん後で伝えるけど、アルの木とクジラの共生進化に必要な情報が結構含まれてるから優先的にね。時間の無駄にならないようにアルの背中に乗りながらになるけけども。なんか移動はアルに乗ってばかりだな。


「なるほどな。それならクジラ側は進化の輝石・風との合成進化と、特性の種:陸地適応の合成進化の両方をして、木側は特性の種:海中適応の合成進化をすればいい訳か。その後に共生進化をすれば水陸両用で、空中遊泳のLvを上げれば空中にも対応は出来そうだ」

「手段は見えたけど、結構手間がかかりそうかな?」

「だが、その分相当強力だぞ。この巨体で空中を制するのは相当優位になる」

「対空砲は俺の魔法やハーレさんの投擲と狙撃か」

「もし登ってこられても私とヨッシで叩き落とせばいいんだよね」


 俺とサヤの共生進化がどんな形になるかわからないけど、こうやって考えてみると結構強烈な事になりそうだな。……ハーレさんとヨッシさんは既に1枠目は未成体になっているので、戦力として全面に出したいのであれば当分は1枠目が主戦力だな。2枠目が未成体になった後の2人の共生進化も楽しみではある。

 ただ、ヨッシさんのハチとウニは相性が悪そうなんだよな。ハーレさんはクラゲをパラシュート代わりにして、飛び回りながら投擲するリスになりそう。


「まずは成長体まで育ててからだな。それより先にヨッシさんの迎えが最優先だけど」

「そうだね! まずはみんなで合流だー!」


 ともかくみんなが合流するのが最優先。育成はそれからだ!

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