第177話 海エリアについて
ヨッシさん以外のみんなと合流は完了した。あとはヨッシさん迎えに行く為にアルに乗ってみんなで移動中である。
「あ、そうだ。土の操作の取得に良さそうな地形の場所は聞いといたぞ」
「お、流石アル!」
「どの辺りなのかな?」
「その前に、まずここのエリアの傾向を教えとくぞ」
「はーい!」
「基本的には西側が浅め、東側が深めっていう風になっているらしい。まぁ所々例外はあるし、群集拠点種の場所は特に浅くなってるというか盛り上がってるからな。浅めの場所には程々の岩場や砂地で海藻が多く、深めの場所には岩場や土が多くなるらしい」
「あ、確かに移動している時もそんな感じがしたかな? それでも多少の起伏はあって浅めのところに海藻があったね。不動種のワカメの人にも会ったよ?」
「お、サヤも不動種の人に会ったのか。俺はコンブの不動種に会ったぞ。ちょうどシアンさんとソウさんが競争クエストで戦闘してるとこの中継をやってた」
「あー!? それ、私も見たかった!?」
「見始めたとこでアルの迎えが来たから、俺も大して見てないけどな」
「まぁそういうのは特に予定がない時だな。……少なくとも早めに成長体まで進化させないと色々と先に進まん」
ま、そう思ったから即座に切り上げたんだけど。共生進化は同じ進化階位同士じゃないと駄目だから、コケの方を未成体に進化させる訳にもいかないんだよね。複数枠使用での進化はここが欠点かな。まぁ進化階位が離れすぎてても共生進化が出来たらバランスがおかしくなるし、その為の制限なんだろうけどね。
さっさと先の進化階位にしたければ、複合進化は使わずそのまま変異進化や転生進化をしろって事なんだろう。
「で、今ヨッシさんのいる場所とナギの海原までの中間くらいの場所で少し深くなってるところがあるらしくてな。そこの下は土だそうだ」
「お、それじゃそこで幼生体の黒の暴走種を探すのが良さそうだな」
「フレンドコールで言ってた奴だね! 何の操作スキルを取るのが良いかな!?」
「あんまり取れる手段はないんじゃないかな? でも海水の操作は早めに取っておいた方がいいよね」
「それなら土の操作が取れそうならみんな取って、それが無理でも最低限海水の操作の取得狙いか?」
「それが良いだろうな。あ、ついでに海水の操作があれば海水の防壁でクジラの背中から落ちにくくする小技があるってよ」
「お、マジか。そりゃいいや」
俺は土をハサミで掘り出してぶつけるようにすれば多分土の操作はいける。アルも狙おうと思えば多分狙えるだろう。ハーレさん、ヨッシさん、サヤはちょっと試してみないと分からないか。それでも最序盤に海水の操作を取っておくのは損では無いはずだ。そしてそんなクジラの背中から落ちにくくなる小技があるなら尚更である。
「その海水の操作の取得のコツも聞いておいたぞ。……まぁ単純なもんだったが」
「どんな感じなの!?」
「海藻系の敵の周辺で海水を乱してバランスを崩してやればいいんだと。そこに何かの称号の取得が重なればすぐに取得らしい」
「それならわざと攻撃を外せば出来そうかな?」
「周りの海水を乱せば良いってことは、海藻系がやりやすいだけで他のでも別に問題ないのか?」
「それは大丈夫らしいし、普通の戦闘中に取れる事も多いとさ。あくまで狙って取ろうとした場合には海藻系が良いって事だが、問題としては海藻系の未討伐な黒の暴走種の幼生体がいるかどうかでな」
「まぁ確かに……。でも今回は索敵用のスキルを俺が持ってるし、なんとか探すしかないだろ」
「え、ロブスターって索敵用のスキルがあるの?」
「おうよ。『獲物察知』ってのがあるぜ」
「それなら行けそうだね! リスの危機察知とは違うの!?」
「あーそれは……そういやハーレさんのリスの『危機察知』ってどんな仕様? 聞いてなかった気がする」
「『危機察知』は上限値使用のスキルだね! 危ない時は視覚が少し赤くなって、危険な方向に矢印が出るよ! 隠密とかがあれば矢印はないみたいだけど!」
「あー矢印が出るってとこだけ同じか。『獲物察知』は敵や一般生物のいる方向に少しの間矢印が出るって感じだ。一般生物なら緑の矢印だな」
「へぇ、そんな感じなんだ。それなら探せそうかな?」
「んじゃ索敵はケイ任せだな。上手く見つかれば良いが……」
アルの懸念はもっともだけど、ゲーム的に考えたら多分適度にオリジナルは復活してるか、新たに追加されてるとは思うんだよな。そうでなければ後発のプレイヤーが不利すぎるしね。あと、単純にまだ未発見のものも居るはず。その辺を狙っていこう。
「とりあえず、ヨッシさんの迎えが先だな。一般生物も含めて今は追い払っとくぞ」
「おう、任せた」
<行動値を1消費して『威嚇Lv1』を発動します> 行動値 9/10
そして威嚇を発動すればクジラの周りでも平気に泳いでいた一般生物の魚の群れも散らすように逃げていく。効果は結構あるけど、こういう状況でもなければこのスキルは使いにくいな。でもまぁ今後も必要な時もあるかもしれないし、一応問題ない時に使っとこう。
「私は威嚇って殆ど使った事ないけど、結構効果あるんだね?」
「……すごい今更なんだけど、アルの樹液分泌とサヤの威嚇を組み合わせたら比較的安全に経験値稼ぎ出来たんじゃないか……?」
「……そう言われるとそうなるかな?」
「そういう手があったか!? くそ、見落としてた……」
「過ぎた事を言っても仕方ないさー! それに今からでも不可能とは限らない!」
「それもそうだな。共生進化したら俺とケイで試してみるか」
「だな。そうするか」
すぐにとはいかないけど、成長体になってからも育てる必要はある。その時に色々と試してみればいいだろう。まぁ見落としや取りこぼしが出てくるのは仕方ないかな。攻略サイトとかを見ながら育ててるんじゃなくて、みんな手探りでやってるんだから無駄が出るのはどうしようもない。
そして色々と情報交換や雑談をしながらヨッシさんの待っている位置へと近づいていく。
「あ、あれがヨッシじゃない!?」
「ん? 他に誰かいるのかな?」
「あー海藻のプレイヤーっぽいな。あれはワカメか?」
パッと見で海藻の種類を見分けられるほど海藻には詳しくないからな……。なんとなくワカメっぽい気がしただけではあるけど。あ、こっちに気付いて……立ち去っていったね。何だったんだろう?
「ヨッシ、お待たせ!」
「あ、みんな。わざわざ迎えに来てもらってありがとね」
「ハーレさん以外は結局俺が迎えに行ってるから別に気にしなくていいぞ。……ハーレさんは迎えに行くというか通り過ぎたのを助けに行った感じだしな」
「アルさん、それは内緒!?」
「あー、海流に流され過ぎてアルを通り越したのか」
「ケイさんにも流されてたとこ見られてたんだった!?」
「あはは、みんな色々思った通りにはいかなかったんだね」
「私は普通に泳いでたかな? ところでさっきの海藻の人は?」
「えっと、共生進化済みの人でね。ちょっと色々聞いてたんだ」
「あ、あの海藻の人って共生進化済みだったのか。見た目じゃ分からないもんだな」
「見た目は海藻っぽかったけど、あの人ってヨモギとヤドカリの共生進化って言ってたよ?」
「え!? あれって海藻じゃなかったの!?」
あの見た目はヨモギだったのか。うーむ、陸地の植物でも海水の中で見れば海藻に見えてしまうのか。そしてヤドカリもいるんだな。殻に植わっているって感じなんだろう。それにしても、もう海エリアのヤドカリと陸地エリアのヨモギの共生進化をしてる人がいるんだな。ベスタに至っては更にその先まで行ってるみたいだし。そう考えると、ちょっと俺らは遅れ気味か……? まぁ競ってる訳じゃないから別にいいけど。
「それで、アルさんに役立ちそうな情報も貰ったよ」
「お、どんな情報だ?」
「うん、海エリアと陸エリアのキャラ同士での共生進化の情報かな。形状的に相性が悪い訳じゃないけど、地形的な問題がある組み合わせだといったんの所で『共生適応』っていう項目が出るんだって」
「ほう?」
「どんな種類でも良いから環境適応用の『特性の種』を持っていけば、共生進化をしている間に限定はされるけど両方の種族の生存環境に適応出来るんだって。『特性の種』を媒体にして互いに弱点を補い合うって事らしいよ」
「って事は、俺の場合は共生進化する時に『特性の種:陸地適応』か『特性の種:海水適応』を持っていけばいい訳か」
「多分ね。他にも使える『特性の種』もあるかもしれないけど、何でもいいみたいだしそれでいいと思う」
「これはかなりいい情報じゃないか? よく教えてもらえたな?」
「あはは。実はソロで結構やり込んでる人みたいでね。競争クエストでみんなの名前を覚えてたらしくて、私の名前からケイさんたちのPTだって気付いて、いつもの情報の礼だとか言ってたよ? あと情報をばら撒くのは任せたとも言ってたね」
「自分では書き込まないタイプの人なんだな。まぁそういう事ならありがたく情報は貰うとするか。『特性の種』が1個で良いというのもありがたい」
何だかんだで俺達が流す情報は有効活用されているみたいだね。まぁ俺達も色んな人たちに色んな事を教わっているからお互い様ではあるけども。タケさん達もそうだったけど、やっぱり書き込まないけど見てるって人もそれなりにいるんだね。まぁ書き込む事は強制ではないから問題ないけどさ。
それにしてもベスタを筆頭に2枠目の育成が進んでる人もそこそこいそうだね。しばらくすれば相性の良い組み合わせとかの情報も出てくるかな。
それにしてもこれでアルの共生進化の下準備が少し楽になった。特性の種が1つあれば、海水も陸地にも適応可能って事になる。とはいってもクジラ側では陸地での活動にはまだまだ制約はありそうだけど。
俺は俺でコケとロブスターの共生進化に使えそうな情報だから役立ちそう。そろそろ情報ポイントの使い時がやってきたって訳だ。
「それじゃLv上げと操作系スキルを狙いに行きますか」
「「「「おー!」」」」
それからアルの調べておいた海底が土になっている場所に向けて出発していく。その移動の間に色々と集めた情報をヨッシさんに伝えていく。火の操作についてはあまり興味はなさそうだったけどね。氷と火じゃ相性は良くないから仕方ないか。
その代わりと言ってはなんだけど、火の操作に関してはサヤとハーレさんがやる気になっていた。うん、サヤは操作属性付与の事もあるし、ハーレさんは火の弾を投擲に使えそうだからな。
やる事は一杯あるけど、とにかく順番にやっていこうじゃないか!
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