第175話 情報と検証


 2枠目作って早々ではあるけど、移動はいきなりアル任せ。背の上から落っこちないようにハサミでクジラの背びれを掴むのだけは注意しておいてっと。うーむ、乗ってる時の安定感は木の方が圧倒的に上だ。少し気は早いけど、アルの共生進化に期待しよう。

 さてと、情報共有板はどんな会話をしてるかな?


 サル    : よっしゃ! 魔法なしで火を起こすのに成功!

 木     : 思った以上に大成功だな。よく燃えている。

 草花    : なんですと!? 詳細を早く!

 オオカミ  : 森林火災でも起きなければ不可能かと思っていたが、可能だったのか。

 サル    : 俺も半信半疑だったんだよ! リアルにサバイバル好きの友達がいて、そいつに聞いた話を元にやってみたら、上手く行った!


 カンガルー : どんな手段?

 サル    : 最近は電子決済で見る事も少なくなったけど、硬貨で5円玉ってあるじゃん? あれを水に浸けて穴の部分に水の膜を作れば、レンズ代わりになってそれで火を起こせるって聞いてさ。あとビニール袋に水を入れても出来るって聞いた。


 ヒョウ   : サバイバルの知識か。……っていうか最近はもう電子決済ばっかで貨幣見る事も少なくなったよな。


 カンガルー : 一応どこの店でも現金はまだ使えるけど、うちの店長が面倒だってボヤいてたな。

 ネズミ   : 完全に現金が消えるのは当分先じゃない? 何だかんだで現金の方が良いって人も一定数いるしね。


 草花    : 正直リアル側の話はどうでもいい! ゲーム内に硬貨なんかないけど、どうやったの? ビニール袋に水なら水の操作でもいける?


 サル    : 水の操作はLv3じゃ微調整が難しくて無理だった。多分、もっとLvがあれば出来るとは思う。それで5円玉の方のやり方を工夫してみた。


 草花    : あー、水の操作Lv3くらいじゃ細かな調整が難しいよね。それで工夫って?

 サル    : 要は水の膜が出来る程度の穴があれば良いわけだから、厚めの皮に穴を空けて代用してね。サルだから手で持って光を集める位置の微調整がしやすくてさ。後は整備クエストで手に入る木材を植物系のプレイヤーに水分吸収で乾燥してもらって、その辺の一般生物の植物も水分吸収で枯らして、それに虫メガネの要領で火をつけて、焚き火の完成だよ!


 カメ    : そんな手段があったのか! え、そんな簡単に!?


 え、ちょっと待って!? なんか凄い重要な情報が流れてる! え、魔法産でなく、天然物の火が入手可能になったって事か!? ……そうか、5円玉で火って起こせるんだ。っていうか水の操作でも出来る可能性があるって!? 水の操作ならLv6になったし、後で試してみようかな。


 サル    : 森林深部の西側のミズキの森の湖の畔で焚き火してるから、火種が欲しい人は是非おいで! 何かの称号取得が可能そうな人は特にね!


 ヒョウ   : ……行きたいが、草原エリアからはまだ行けないな。もう少しだとは思うんだが……。


<群集クエスト《群集拠点種の強化・灰の群集》、群集拠点種:エン(始まりの森林深部・灰の群集エリア2)と群集拠点種:ユカリ(始まりの草原・灰の群集エリア3)の間で経路が確立されました>

<群集クエスト《群集拠点種の強化・灰の群集》・群集拠点種:エン(始まりの森林深部・灰の群集エリア2)経路確立 2/4>

<群集クエスト《群集拠点種の強化・灰の群集》・群集拠点種:ユカリ(始まりの草原・灰の群集エリア3)経路確立 1/4>


<群集クエスト《群集拠点種の強化・灰の群集》、群集拠点種:エン(始まりの森林深部・灰の群集エリア2)を経由して群集拠点種:ユカリ(始まりの草原・灰の群集エリア3)と群集拠点種:ヨシミ(始まりの海原・灰の群集エリア5)の間で経路が確立されました>

<群集クエスト《群集拠点種の強化・灰の群集》・群集拠点種:ユカリ(始まりの草原・灰の群集エリア3)経路確立 2/4>

<群集クエスト《群集拠点種の強化・灰の群集》・群集拠点種:ヨシミ(始まりの海原・灰の群集エリア5)経路確立 2/4>


 おっ! 一気に群集クエストが進んだぞ。これで森林深部は海原と草原と繋がった訳だ。そして既に経路確立済みの場所に繋がれば連鎖的に経路は確立されるのか。ちょっと書き込む前に群集クエストの詳細も見ておこうかな。


群集クエスト《群集拠点種の強化・灰の群集》


【群集拠点種:エニシ(始まりの森林・灰の群集エリア1)】


 経路確立   0/4

 経験値強化  50%

 進化ポイント 769/2000

 転移地点   3/10


【群集拠点種:エン(始まりの森林深部・灰の群集エリア2)】


 経路確立   2/4

 経験値強化  65%

 進化ポイント 1358/2000

 転移地点   6/10


【群集拠点種:ユカリ(始まりの草原・灰の群集エリア3)】


 経路確立   2/4

 経験値強化  41%

 進化ポイント 868/2000

 転移地点   4/10


【群集拠点種:キズナ(始まりの荒野・灰の群集エリア4)】


 経路確立   0/4

 経験値強化  42%

 進化ポイント 879/2000

 転移地点   4/10


【群集拠点種:ヨシミ(始まりの海原・灰の群集エリア5)】


 経路確立   2/4

 経験値強化  60%

 進化ポイント 1289/2000

 転移地点   6/10


 ※進化ポイントは譲渡された増強進化ポイント、融合進化ポイント、生存進化ポイントの合算になります。


 経験値よりも進化ポイントに差が出てる……? あ、そうか、常闇の洞窟入りの為の光源確保に進化ポイントを消費して、今はまだ内部で探索中ってとこか。群集拠点まで戻らなきゃ情報ポイントの受け渡しも出来ないから、探索終わって集めたポイントを後から譲渡って感じになる? そうなれば一気に進む可能性もあるのか。

 とりあえず簡単に確認終了。情報共有板に戻って情報収集の続きだ!


 ヒョウ   : すげぇタイミングで経路確立!?

 クラゲ   : おー! ヒョウの人、良いタイミングで経路確立が来たね!

 ヒョウ   : よし、今から火種を貰いに行くわ!

 サル    : おう、待ってるぜ!

 ザリガニ  : 火種が手に入るとは良い情報だな、サルの人!

 サル    : お、新顔だな。ザリガニって2枠目からの種族か?

 ザリガニ  : うわ!? こっちの表示ってザリガニになるのか!? 俺は一応ロブスターなんだけど……。


 まさかのロブスターではなくザリガニ表記。いやまぁ、全くの間違いって訳でもないけどさ。……まぁ草花とかざっくり纏められてたりするんだし、これくらいは別に良いか。


 オオカミ  : まぁ、そういう事もあるだろう。ところで誰かの2枠目か……?

 ザリガニ  : あー、オオカミの人、俺はコケだ!

 クラゲ   : そして私はリスの2枠目なのさー!

 オオカミ  : あー、全員海エリアに居るとは思ってたがお前らの2枠目か。なんか新情報か?

 ザリガニ  : おう。聞きたいことがあったのもあるけど、情報もあるぞ。

 草花    : 是非ともご教授下さいませ!

 コウモリ  : お、新情報は気になるな。……天然の火の入手方法が分かっても悔しくはないもんな!


 あ、このコウモリは多分だけど紅焔さんだな。火を起こすのは諦めてポイント取得したって言ってたから、微妙な心境かもしれないね。


 ザリガニ  : とりあえず、看破の情報とか操作系スキル取得に使えそうな称号とか色々とあるから話していこうかな。


 草花    : ほう、また色々とあるんだね!?


 という事で、看破の取得方法、『同族の命を脅かすモノ』、『同族の救世主』、『マッチポンプ』などの情報を公開していく。『同族の命を脅かすモノ』はそれなりに取得している人はいたようで、操作系スキルの取得には利用されてたようだけど。まぁ何でもかんでも新情報というわけでもないか。


 草花    : ねぇ、もしかしてだけど植物系なら火種を貰って一般生物の同じ系統の植物を燃やして、取引で貰った水を掛ければ、一気に火の操作と水の操作が手に入ったりする……?


 ザリガニ  : 多分出来るんじゃないか……?

 草花2   : 有り得そうな話だな。サルの人、ちょっと実験してみたいんだけど火種を貰えるか。

 サル    : それは別にいいけど、草花2の人が火種って大丈夫……? 自分が燃えたりしない?

 草花2   : あ、確かに。燃えるのを覚悟しながらやってみるか……?

 ヘビ    : ……少し思いついたんだけど、纏火を使ってみるのはどう?

 草花    : え、どういう事? それって意味あるの?

 ヘビ    : いやさ、操作系スキルって天然物と魔法産のどっちも操作出来るじゃん? 纏属進化での一時付与スキルの操作系スキルを使って、天然物を操作して称号取得の条件満たしたらどうなるのか気になってさ?


 オオカミ  : ……あくまで一時付与スキルでしかない訳だから、本来の取得条件を満たしてしまえばそのまま取得出来る可能性もあるのか。だが、これは試してみないとなんとも言えんな。


 草花2   : それなら俺が実験してみるよ。もしうまく行ったら、この手段って相当便利だろうし。

 草花    : おー! 草花2の人、任せたよ!

 クラゲ   : 草花2の人、頑張ってね!

 草花2   : おうよ! って事で、ミズキの森林まで行ってくる。

 木     : 俺はもう既に『同族の命を脅かすモノ』は取っちまってるからな……。『マッチポンプ』の条件でも探ってみるか。同じ個体で弱らすのと回復が両方必要なのか、2つの称号があれば良いのか、どっちか分かればやりやすいだろ。


 オオカミ  : 既に持ってなければ出来ない検証だな。その辺は任せるぞ。

 ザリガニ  : 木なら水をぶっかければ回復するぞ! それで水の操作も手に入る!

 木     : そういやそういう話だったっけ。水の操作の取得はまだだから丁度いいや。目の前は湖だし、インベントリに水の保管は可能になったし、やってみるか。


 ヘビ    : 自分で言っといてなんだけど、まだ『同族の命を脅かすモノ』は取ってないし火の操作狙いに火種を貰いに行こうかな。ミズキの森林って一般生物のヘビはいる?


 コウモリ  : 確かいたはず。今ならミズキの森林に一般生物がいる種族だと火の操作の取得がしやすい……? 


 ヘビ    : それなら俺も行ってこようっと。

 オオカミ  : そうなるか。……もう少し早めに欲しい情報ではあったが、これは仕方ないか。

 草花    : あーそうだね。もう少し早ければ常闇の洞窟での光源問題があっさり解決出来たかも。


 コウモリ  : 今からでも遅くはないだろ? まだ結構な範囲の未踏破部分あるぜ?

 オオカミ  : 確かにな。正解ルートが早い段階で分かったから、無駄な踏破が少ない。……そろそろ細かい行き止まりを踏破していくか。


 ザリガニ  : あ、そうだ、オオカミの人に確認したい事があったんだ。看破が必要な未成体ってどうやって確認したんだ?


 オオカミ  : あー、それか。逆に聞きたいんだが、擬態してない奴は見つけてないのか? 普通にいたはずなんだが……。


 クラゲ   : え、擬態してないのもいたの!? 擬態してたのばっかだったよ!?

 コウモリ  : ん? どういうこった? こっちも少しではあるけど海属性の未成体は見つけてたぞ? 攻撃はしなかったけどさ。


 ザリガニ  : なんですと? え、どういう事?

 イルカ   : あー、それは海水部分の特有の状況っぽいよ。海水の間違った道の奥にいる未成体が擬態無しが大半。正解の道にいるのが擬態有りみたい。ついでに正解の道だと海水内にはいないっていうね。


 海藻    :クジラの人の海流の操作で何度か試したもんね。いやー外れの道から未成体が複数体集まってきた時は焦ったね。


 イルカ   : そうそう、あの時は慌てて逃げたもんね。ある程度距離を離せば、大丈夫だったけどクジラの人が方向転換に手間取ってたりね。


 オオカミ  : ……なにやってんだか。ともかく未成体の配置も正解ルートへのヒントって訳か。

 クラゲ   : 正解ルートしか進んでなかったから、擬態してるのしか見なかったって事なんだ!?

 コウモリ  : え、それだとこっちのルートにいる海属性の未成体って何……?

 草花    : 外れルートの証……? もしかしたら気付いてないだけで、陸地の方の正解ルートに擬態の未成体がいるのかも?


 コウモリ  : そういや居たのは行き止まりばっかりだったっけ。可能性としてはありそうな話だな。……よし、ちょっと怪しげな石とかあれば識別してみるか。


 オオカミ  : 見落としているだけで、あちこちにヒントがありそうだな。……その辺も含めて改めて探索してみるか。全経路の確立も済ませてしまいたいからな。


 どうやらコケの配置や、海水の流れ以外にもヒントがあるようだ。この感じだと俺達も気付かない内に陸地の未成体を素通りしてた可能性もありそうだね。



 ウマ    : 経路確立が出来たなら草原エリアから競争クエストの増援要請! 青の群集の荒野エリアが案外強い!


 ライオン  : ふん、増援などなくとも倒してくれるわ!

 ヒョウ2  : どっちがより多く倒すか勝負と行こうじゃねぇか!

 ウマ    : ……こんな感じで主力が役立たずでさ。

 ライオン  : 誰が役立たずだ!?

 ヒョウ2  : 誰が役立たずだ!?

 ライオン  : お前の事だろう!

 ヒョウ2  : お前の事だろう!

 ウマ    : 見ての通りなので、誰か余裕があれば増援お願いします!

 オオカミ  : ……どうやら増援は必要そうだな。後で俺が行く。余裕があるやつも可能なら来いよ。

 オオカミ2 : どうやら我らオオカミ組の出番のようだな!

 オオカミ3 : そうっすね! 行くっすよ!

 オオカミ  : ……勧誘してきたらぶっ飛ばすからな?

 オオカミ2 : そんな悲しい事言うなよ。オオカミ組二番隊だって出来てきてるんだぞ?

 オオカミ  : まだ増えるのか!? ともかく俺はお前らのボスにはならん!

 ウマ    : あ、こっちはこっちで大変なんだね。

 草花    : こっちもある意味、日常だけどねー。


 ライオンの人とヒョウの人も相変わらずいがみ合ってるみたいだし、オオカミ組とベスタも変わらないか。……そしてオオカミ組二番隊ってなんだよ。人数増えたの、オオカミ組……? いや、オオカミは人気ありそうだから、2枠目で作った人もいるんだろうけど。


 草花2   : 戻ったぞー!

 ヘビ    : 同じく戻ってきたぞー!

 クラゲ   : おかえりー! どうだった!?

 草花2   : 『火の操作』、『水の操作』、『魔力値増加Ⅰ』は全部ゲット! ついでにヘビの人の言ってた手段は有効だ! 纏属進化はかなり重要!


 草花    : あ、あの手段ってありなんだ。って事は纏属進化して、その属性の天然物を操作系スキルで操作して、何かの称号を狙えばいいんだね? 


 ヘビ    : ついでに付与スキルのLvで取得になるから、少しだけ熟練度稼ぎの短縮になる!

 オオカミ  : ま、Lv2なんざあっという間だけどな。とりあえず検証はありがとよ。

 木     : 『マッチポンプ』の条件は同じ個体に対して攻撃と回復の両方をする事じゃなくて、『同族の命を脅かすモノ』と『同族の救世主』の両方を持ってる事みたいだな。


 オオカミ  : ほう、それは良い情報だな。

 ヘビ    : え、なんで?

 オオカミ  : 単純に強くなり過ぎて、一般生物が最弱の攻撃でも即死って事もあるんだよ……。

 ザリガニ  : あ、オオカミの人って今そういう状態なんだ。

 オオカミ  : ……まぁそういう事になる。


 強くなるというのも、場合によっては考えものか。まぁ両方の称号があれば良いのなら、弱らせる役目は他の人でも良いってことになるから、やりやすいかな。とりあえずこれで持ち込んだ情報とか色々な情報の検証は終了!


 

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