第121話 調査の経過状況
とりあえず得た情報はサヤとヨッシさんにも伝えておいた。今が10時前で明日は休みだし、このまま北端まで行ってみるのもありかもしれない。うん、カニでハーレさんの土日のゲーム没収を回避出来てて良かったな。このタイミングでログイン出来ないと色々と悔しかったに違いない。
とりあえず聞くだけ聞いてみよう。ほぼ南端から北端移動となるし、遠いといえば遠いから日を改めてもいいしね。……というか実際どの程度の広さか分からないし……。
「これからどうする? 明日休みだし、北の方まで一気に行ってみるか?」
「私達は学生だからいいけど、アルはどうなのかな?」
「あー俺か。明日は残念ながら仕事だ」
「そうか、そういやアルはそうなるのか」
「別に4人でクエストやっててくれても構わんぞ?」
「えー、それは何かやだ!」
「俺もそれは嫌だな」
そうか、社会人のアルは休みとは限らないんだな。ヨッシさんもサヤも頷いているのでアルがいない時にクエストを進めるのに抵抗があるのは同じみたいだ。なので満場一致という事でアルがいない時にはクエストの進行は無し。
となると、その間はまた池作りとか的あてゲームでの熟練度上げか。あれはあれで重要だろうし、土魔法が全然だからそっちも鍛えておきたいところだね。
「あーまぁそう言ってもらえると嬉しくはあるんだがな……。なら、その間にLv上げをしといてくれ。そしたらクエスト攻略も楽になる」
「え、でもLv差が出来ちゃうよ?」
「多少は構わねぇよ。それにLv20で2枠目も開放されるなら、そっちをやっててくれても構わんぞ?」
「あ、その手があるか!」
アルの2枠目の作成は遅くなるかもしれないけど、それはそれでありかもしれない。アルが作る時は仲間の呼び声で呼ぶとか、アル自身の『常闇の洞窟』を踏破するのを楽にしておくというのもいいだろう。ベスタの言ってた条件的には早く作れば良いというものでもなさそうだしな。Lvについてはアルの2枠目なら最悪パワーレベリングという手段もありか。
「それじゃ今日のところは、アルがログアウトするまでみんなで探索しつつLv上げかな?」
「おう、それでいいぜ」
「俺も賛成!」
「目指せ、Lv20だね!」
「2枠目か。何が良いかな?」
確かに2枠目を何にするかも決めないとな。Lv20までには候補を考えておこう。海エリアにも興味はあるけど、あそこだと今ある候補の中ではアンコウとイカがある。だけどどちらもいまいち選ぶ気しないからランダムになるかな。これも『常闇の洞窟』の踏破次第か。
そういや『常闇の洞窟』と言えば、ベスタはどうなったかな? フレンドリストから位置確認をして……って、忘れてた。ベスタは位置表示は不許可だったっけ……。あ、でもフレンドリストの名前がベスタ2ndになってるって事は、全枠でフレンドリストは共通なんだな。
「ちょっとベスタに今の状況を確認してくる」
「確かに何か成果があってもいい頃だよね」
「おー分かった。その間にこっちも適当に『浄化の欠片』とか黒の暴走種を探しとくわ」
とりあえずみんなにベスタにフレンドコールする事を告げておく。その間にみんなはLv上げの為に敵を探すのをメインに移動する事になった。どうしてもPTでの移動の時にはアルとサヤに任せっぱなしになるな。
そしてベスタにフレンドコールをしてみる。そういやこの機能を使うのは地味に初めてだ。
「よう、ベスタ!」
「ケイか。どうした?」
「いや、何か進展あったかなって思ってさ」
「あー、一応あるにはあったぜ。暗い中で殺されまくってる内に『暗棲ゴケ』っていうのに適応進化は発生した。幼生体だと適応進化は同じ死因の死亡25回だな」
「お、成果ありか。それ、1枠目じゃ進化不可能じゃないか……?」
「だろうな。まぁそれはそれで多様性が出て良いだろう」
「確かに。それはちょっと楽しみかも」
コケにも多分、色々な進化先があるのだろう。……まぁ2枠目にコケを選ぶ人がどれだけいるかにもよるけども。
「それで『常闇の洞窟』の方はどうだ? 真っ暗で見えないまま?」
「適応進化のおかげで『暗視』が手に入ったから、中は見えてはいる。死んで結構あちこちに飛ばされたが、相当に広いな。あぁ、それと塞がれているらしき出口を1ヶ所と、開いてる出口を1ヶ所見つけたぞ。開いている先は『始まりの森林・灰の群集エリア1』で、森林深部からは西南西の方角だな」
「マジか!? って事はやっぱり『常闇の洞窟』で初期エリアは繋がってるんだな!」
これは大収穫の情報だ。塞がっているのは多分荒野エリアか草原エリアのどっちかだろう。そしておそらく海エリアは群集拠点種が誕生済みって言ってたから、そっちは開いているはず。
「まぁ慌てんな。後は完全に海水に沈んでいる場所もいくつかあるぜ。……ただランダムリスポーンで移動している関係で順路の確定はまだ無理だな。それは人数を集めてやる必要があるだろう」
「……それもそうか。単独じゃ無理なのは俺も確認済みだし……」
「もう少し出現する黒の暴走種を調べたら、情報共有板に情報は流すからそれを待ってろ。ちっ、敵が来たから切るぞ」
「おう、分かった」
そこで敵が来たらしくベスタがフレンドコールを切った。今は黒の暴走種の種類の調査をしているところか。おそらく未成体がいるかどうかの確認なんだろう。とにかく初期エリアが繋がっている事が分かったのは良い事だ。
「結構な成果があるみたいだな?」
「『常闇の洞窟』が別の初期エリア、少なくとも『始まりの森林・灰の群集エリア1』と繋がってるのは確定だとさ」
「おー! 私の初期エリアだね!」
「それと塞がれてる場所もあったらしいからそこが荒野エリアか草原エリアだと思う。海エリアは海水で満たされた洞窟もあるって事らしいから多分その先……?」
「なるほどな。現時点で開放済みが森林深部、森林、海だったからそうなる訳か」
「海だけ行き来の難易度が高いかな?」
「それは仕方ないんじゃない? 海と陸地じゃ違い過ぎるし」
「はっ! ヨッシが海水を凍らせて通路を作れば良いんだよ!」
「……ハーレ、流石にそれは無理だから……」
ハーレさんも無茶を言うね。……そのうち進化が進んでいけば出来そうな気もするけども、今はまだ流石に無理だろう。……『進化の軌跡・海の欠片』とかあったりするのかな? うん、赤の群集のイカが海水魔法っぽいものを使ってたからあるかもしれない。
そうなると海水の地下湖の黒の暴走種……つまりあのアンコウみたいなのが落とす可能性はある。……進化の軌跡の欠片シリーズって成長体限定だし、もしかして成長体の時に行っておいたほうが良い……? いや、この辺はベスタの続報を待とう。決めつけるにはまだ早い。
「それにしても2枠目か。何にするか悩むな……」
「私は海に行ってみたい!」
「うん、海も良いかもね」
「私も海には興味あるかな?」
「……海か。確かに興味はあるな」
みんな海には興味津々のようである。もちろん俺も海エリアには興味ある。もちろん他のエリアにも興味はあるけど、何処よりも違った景色が楽しめるだろう。これはみんなで一緒に『常闇の洞窟』を突破して海まで行ってみるのも良いかもしれないな。とはいえ、まだ少し気が早い。
「ともかくLv上げかな!」
「それもそうだね! まずは2枠目の開放をしないと意味ないもんね!」
「あと競争クエストもね。ここまでやって中断はしたくないし」
「まぁな。とりあえず、『浄化の欠片』を探しつつLv上げするか!」
そういう事で話が纏まり、Lv上げと『浄化の欠片』を探すのを並行してやっていく。アルに乗ったままだと探すのには効率が悪いのでみんな自力移動である。さてと『浄化の欠片』はどの程度見つけられるものだろうか?
そうして日付けが変わる頃まで頑張った結果、オリジナルの黒の暴走種の成長体を3体討伐、残滓の成長体を12体、残滓の幼生体は30体ほど倒した。少しエリア進出が遅れたので残滓が多くはなっていたけれど初期エリアよりはかなり経験値は良かった。
特に3種類の黒の暴走種を発見と討伐をしたので、1体辺り『増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8』が3体分でそれぞれ24ポイントゲット。地味に黒の暴走種の発見と討伐がポイントが大きいな。
そしてLvも10から12まで上がった。この調子で土日で一気にLv20まで上げてしまおう。
「Lvは上がったけど、思った以上に『浄化の欠片』が見つからないかな?」
「うん、ここまで見つからないとは思わなかったよ!」
「こりゃザリガニが大量に抱え込んでるか?」
「かもな。そうでなきゃ1000個集めるのに結構かかるぞ」
「そうだよね。赤の群集も集めてるんだから、普通に集めると大変そう……」
約2時間ほどで見つかった『浄化の欠片』はたったの3個。見た目はパッと見では小さな白い小石。よく見ると淡く光っているのが見えたりする。多分夜の日の方が探しやすいとは思うし、慣れればもっと見つけやすくはなるだろう。
ただし1PTで2時間でこのペースなら結構な時間がかかりそうだ。赤の群集との奪い合いがあるなら尚更に。結構な人数がこのクエストに参加しているようだけど、これは結構な長期戦になりそうだね。
やっぱりあのザリガニがボーナスボスになってる気がする。でも倒すのには進化が必須……いや、湖の底から誘き出してその間に盗み出すって手段もあるのか? でも、あれ相手の囮はちょっと厳しいか。どちらにしても1PTでどうにかなりそうな話ではない。これは他のプレイヤー達との協力が必須か。
まぁ今日のところはアルがログアウトという事なので、競争クエストはここまで! ちょうどヤナギさんが根下ろし中なので『復路の実』が使える。けど、再入手にはヤナギさんに会う必要もあるから節約して『帰還の実』を使おうかな。
「そんじゃ今日はこの辺で戻りますか」
「そうだねー!」
「おう。あー明日は夕方頃にはログイン出来ると思うぞ」
「お、そりゃいいな。んじゃそれまでにLv上げしとくわ!」
「おう、俺を楽させてくれ」
「ケイは先週みたいに寝坊しないようにね?」
「休日になると気が抜けるんだよ……」
「ケイさんは休日は寝坊は多いからねー!」
「平日に寝坊が多いハーレさんには言われたくはないぞ!?」
まったく、特に問題のない休日の寝坊と、悪影響がある平日の寝坊を一緒にするなよな。あーみんなして笑ってるし。まぁいいよ、別に起きられない訳でもないからな。
そんな話をしつつも、群集拠点へと戻ってくる。忘れないうちに今日使ったヤナギさんのとこに転移する為の『往路の実』と『帰還の実』をエンから貰っておかないと。よし、確保完了。
その後いつもの崖下へと移動していく。いつもの待ち合わせ場所にしているし、アルはそのままログアウト場所に残るので時間に余裕があれば移動しておくのが良い。
もうログアウトしてもいいけど、ベスタのあの後も気になるし、情報共有板に顔出してから終わりにしようかな。
「俺は先にログアウトだな。いつもとは逆なのが不思議な気分だが」
「アルさん、お疲れ様ー!」
「アル、また明日ね」
「お疲れ様、アルさん」
「また明日なー!」
そうしていつもとは違い、アルが一番先にログアウトしていった。この辺が社会人と学生の違いなのかもしれない。
「さてと俺は情報共有板を覗いてからログアウトするけど、みんなは?」
「あ、私も情報共有板を見る!」
「2人は情報収集なら、私はちょっとだけ熟練度上げしようかな?」
「サヤ、私もちょっと毒魔法を鍛えたいから付き合うよ」
「ヨッシ、ありがとね!」
「んじゃここで今日は解散って事で!」
今日のこの後はそれぞれがやりたい事をやって好きなタイミングでログアウトで問題ないだろう。さてと情報共有板を覗きに行こうっと。まぁ解散とは言ってもみんないつもの場所でやりたい事をやってるのだけだけどもね。
【ステータス】
名前:ケイ
種族:水陸コケ
所属:灰の群集
レベル 10 → 12
進化階位:成長体・複合適応種
属性:水、土
特性:複合適応
群体数 1789/2700 → 1789/2900
魔力値 58/58 → 58/62
行動値 35/35 → 35/37
攻撃 25 → 29
防御 33 → 37
俊敏 24 → 28
知識 42 → 48
器用 42 → 48
魔力 58 → 66
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