第25話 改めて自己紹介
「さて、無事合流出来て、敵の排除も成功した事だしーー」
「情報まとめるか! みんなも色々Lv上がったり取得してるだろ?」
「おいこら! 人の台詞を横から奪うな!」
「いや、一度やってみたかったんだよ。あとその前に一応自己紹介しようぜ」
「あ、そういやそうか!」
情報をまとめる事ばっかり考えていたようでアルはまだ正しく自己紹介をしていないことを失念していた。いや、多分必要なさそうな気はするんだけど、一応しといたほうが良いんじゃないかと。伝聞で存在は知っていてもリスのハーレさんは完全に初対面だしな。
「改めて自己紹介を。俺はコケのケイだ。よろしくな!」
「そんで俺は木のアルマースだ! アルでいいぜ!」
「ケイさんは昨日ぶり。アルさんは初対面だね。ハチのヨッシです。サヤとハーレは私のリア友! ケイさんもアルさんも、よろしくね!」
「まぁヨッシさんは昨日暴走中に目撃したから初対面でもないんだがな? 声もかけたんだがな」
「え? ほんとに? どれだけ周り見えてなかったんだろ……」
「なになに? 昨日ヨッシって暴走してたの?」
「それは聞かなくていいの! はい、ハーレの番だよ!」
「わかったよー! リスのハーレです。ヨッシとは今は住んでる場所離れちゃったけどリア友だね。エリア分断で午前中まで『始まりの森林・灰の群集エリア1』にいたけどヨッシが『仲間の呼び声』でこっちに呼び寄せてくれてやって来ました! みんなよろしくね!」
「最後は私だね。クマのサヤです。ヨッシとはこの春に知り合ったばかりだけどリア友です。改めてよろしくね」
うん、大体は予想ついてたけどこれでちゃんと自己紹介も終わったな。こういう事は大事だよな。それにしてもヨッシさん、昨日のことはホントに聞かれたくないんだな。とりあえず、みんなでフレンド登録をして回った。多分一緒にプレイする事も多そうだしな。
「それでなんだけどさ、アルさんとケイさんって情報共有板で話題になってた木の人とコケの人?」
「おう、そうだぜ。ハーレさんはエリア分断食らって困ってたリスの人か?」
「そうだよー。それ、私!」
「なんとなくそんな気はしてたがやっぱりか」
「あ、あの時のリスの人か!」
「あの時ってどの時だろ? ケイさんも見てたなら書き込んでよー」
「あーダメダメ、ケイが書き込むと色々滑るから。ちなみに称号情報の書き込みした時な」
「おいこら、滑らねぇよ! ただ読み専なだけだ」
アルはしれっと失礼なことを言うようになったな。それにしても昨日の夜に情報共有板で見かけたリスの人がハーレさんだったとはな。まぁ俺が覗くちょっと前はエリア分断されてた人達で軽い炎上状態だったらしいし、当事者の1人のハーレさんが居てもおかしくないか。
……それにしても非常に気になる視線があるんけども。
「サヤもアルも、その何か言いたげな視線は何だよ?」
「あのスキルを持ってるケイが滑らないとか何言ってんだろうって思ってな」
「ごめん、ケイ。私もアルと同意見かな」
「ぐっ! ……くっそ、何も言い返せない」
スキルに滑ってる判定されたのは事実なので何も言い返せない。滑ってると言われてもあの『一発芸・滑り』は結構便利なんだぞ! あ、そういや行動値の上限も増えたし後で登録し直しておこう。
「ねぇアルさん、あのスキルってなに?」
「それはなーー」
「それ以上言えば二度と水やりしないけど、アルいいか?」
「……すまんな、ハーレさん。俺は脅迫に屈するしかなさそうだ……」
「アルさん!? 大丈夫、そんなに無理してまで言わなくてもいいよ!」
おいおい、アルとハーレさんはノリノリだな。この2人は結構性格の相性いいんじゃないか? あと、ヨッシさんの暴走の事を聞かれたくない気持ちがよーくわかった。ハーレさんは好奇心が強いみたいだし、今後は気をつけよう。
「ま、冗談はこのくらいにしておいて、それぞれ上がったり取得したものの確認と行こうぜ!」
「えー! 色々聞きたいのになー」
「ハーレ、それはあとにしよう? 私も色々気になってるんだ」
「ヨッシ……うん、それもそうだね。よく考えたら気になる要素が沢山あったよ! 聞く時間ならこれから先、たっぷりあるしね!」
「少しは自重しなさい!」
「ヨッシ!? ダメージは無いとはいえ、針を向けるのもどうかと思うんだけど!?」
ヨッシさんとハーレさんの追いかけっこが始まってしまった。うん、止めたらややこしい事になりそうだし、扱いの慣れているだろうヨッシさんに任せておこう。
とにかく色々と確認をしていこう。結構ポイントも貯まってきたし何かスキルを取得したいとこだ。ん? 進化項目が光ってるな。まぁ先にステータスの確認だ。
【ステータス】
名前:ケイ
種族:コケ
所属:灰の群集
レベル 2 → 4
進化階位:幼生体
群体数 487/800 → 487/1000
行動値 0/11 → 0/13
攻撃 2 → 4
防御 7 → 11
俊敏 2 → 4
知識 3 → 7
器用 7 → 11
うん、Lv2分一気に上がってるな。でも相変わらずLv上がってステータス上がっても実感ないな。コケだとステータス死んでるんじゃないか? そもそもHPないんだから防御も何もあったもんじゃないよな。ステータス的には高いほうだけどさ。俊敏とか群体内移動が瞬間移動みたいなもんだから関係ねぇ……。器用は水の操作とかに関係しそうだな。知識は魔法でも使えるようになれば関係してくるのかね?
やっぱり一番重要なのは行動値の上限が上がることだな。
「うーん、やっぱりステータスって上がってる実感がしない……」
「そう? 私は明らかに俊敏が上がったら動きやすくなってるし、攻撃はちゃんと威力上がってるけどな?」
「俺はケイと同意見だな。多分ステータスの恩恵は種族差が大きいんだろうな」
「動物系はステータス重視、植物系はスキル重視っぽいよね!」
うお!? サラッとハーレさんが会話に混じってきた。追いかけっこは終わったのか?
「ハーレ、地味に逃げ足早い……。捕まえられなかった……」
「ふっふっふ! 『逃げ足』ってスキルがあるもんね!」
「そんなスキルあるんだ」
流石は小動物という事か。……ん? ならなんでフクロウに捕まった? あの時は……コケの人に反応しまくって油断してたからか……。ハーレさんは良くも悪くも気になった事に一直線って感じだな。
それにしても動物系がステータス重視で植物系がスキル重視か。確かにそうかもしれない。俺なんてスキルがなきゃ移動すら出来ないしな。
さてと次は光ってる進化項目の確認だな。光ってるって事はもしかしたらまた進化先が解放されたのかもしれない。ってことで進化項目を選択。
【進化】
増強進化ポイント 10P
融合進化ポイント 17P
生存進化ポイント 6P
《変異進化》
『水棲コケ』
進化階位:成長体
進化条件:Lv10、『淡水適応Lv1』以上、融合進化ポイント5、生存進化ポイント5
水中での活動に特化したコケの一種。主な活動場所は陸地から水中へと変わる事となる。水中へと進む道を選ぶのならば、この進化を受け入れるといいであろう。
《転生進化》
『ミズゴケ』
進化階位:成長体
進化条件:Lv10、『水の操作』を使い何かを倒す事、増強進化ポイント5
通常のコケよりも水との親和性が高くなったコケ。陸地にありながらも、水と共に過ごす道を歩む事を選んだ姿。正当進化系統で属性適応型の進化である。
所属ボーナス:生存進化ポイント上昇、増強進化ポイント微減少、融合ポイント微減少
おぉ! 《転生進化》の方に進化先が解放されてる! 水属性のコケで水棲コケとは違ってちゃんと陸地での進化か! 選ぶならこっちの進化だな。
「誰か進化情報が出てる人っている? 私は出たんだけど」
「俺は出てるぞ」
「え、マジか!?」
「ケイ、ほんと!?」
「ケイさん、情報の宝庫だね!」
ヨッシさんの呼びかけに答えたら他の3人が食いついてきた。あれ? みんなはまだ出てないのか? そういやオフライン版だと最初の進化って選択肢はほぼ無かったっけ。少ないけど無い訳ではなかったから気にしてなかったけど。
「えっと、《変異進化》で『水棲コケ』と《転生進化》で『ミズゴケ』って出てる。まだLv足りないから進化無理だけどな」
「Lv足りてなくて、進化先が2つ……? え、私と全然違うんだけど」
「ヨッシさんはどんな感じなんだ?」
「《転生進化》で『女王バチ』だね。多分Lv10になったから出たんだと思うんだけど、これは普通の正当進化かな?」
「Lv以外に条件なければ多分正当進化だと思うぞ。俺のはどっちも条件付いてるしさ。てかもうヨッシさんLv10なのか! 早いな!」
ヨッシさんは昨日暴走してた時にでも経験値入ってたのかもな。あの感じだと逃げなかった邪魔な一般生物とか倒しまくってそうだしさ。ってみんな黙り込んだけどどうしたんだろうか?
「ねぇ、アルさん。私わかったよ、ケイさんじゃなくてアルさんが代行して書き込んでた理由」
「そうか、わかってくれたか」
「……迂闊に書き込ませたら混乱起きそうだね」
「アル、情報管理お願いね?」
「サヤは手綱握っといてくれよ?」
「あはは、ちょっと難しそうかな?」
なんだろう、凄い不本意な事を言われている気がする。コケをやってみれば分かるって! この種族、色々と今までのオフライン版の情報は役に立たないから、試行錯誤するしかないんだぜ!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます