第7ミントちゃん探し-解決のかいけつ

事務所に戻って、ミントちゃん探しが解決したことを雅美さんが、報告する。

「皆さん、ご苦労様でしたー」

「これで、終わらないのが雅美さん流だよね。」と宮根くんはごつい身体のわりには、人懐こそうな顔で、つぶやく。

「おせっかいだよなー、ここからは誰に頼まれた訳でもない、金にもならんのに」と相変わらず、美形の顔に反比例な言葉が出る。


その意味が、すぐにわかることになる。

後日、事務所にはミントちゃんの飼い主、増田 京子と今回の犯人?町内会長の上田 聡が、顔を揃えている。

「よくも、うちのミントちゃんを誘拐したわね」

「人聞きの悪いこと、いってもらったら困る、そのデブネコが迷い混んできたんだよ」

「なんですって、デブネコ」

「見た目、まんまじゃないか」

「私、今日はここへは来るつもりはなかったわ。でも、このままじゃなにも解決しないからといわれて。それに、あんたの息子が電話してくれてネコが帰ってきたから今回のことは、公にしなかったのよ」

「あいつ、余計なことしやがって。

あんたが、来てから皆が掻き回されているようだ。会費だって今まで、何も問題なくやってきたのに」

「私は、あんたじゃありません。名前があります。前の住んでいたところに比べて3倍近く高いのよー。そりゃあ、文句のひとつもいいたくなるわよ」

これでは、ますます火に油口調も、声のトーンもだんだんと、ヒートアップしてくる。

しばらくしてから、雅美さんは手を拍手のようにして手をたたき。さあ、お二人の貴重な時間を使って来てもらったのですから。ここからは、互いに良いところだけいってもらいます。でないと、このくだらない会話を町内の皆さんに聞いて貰います。と、ボイスレコーダーを、ティシュの箱の下から取り出す。

「な、なんだよそれ!!」と、あきらかに動揺を隠せない上田氏と

「わ、私は別にそれでもかまわないわ」と、ふくよかな身体付きに、威厳が加わる。

「あんたは、何を決めるにもワンマンで偉そうなのよ。だから、皆に嫌われているのよ。それでも、上手くまとめてると勘違いもはなはだしい。ただ・・・」と、いっては雅美さんのボイスレコーダーを意識してか。次の言葉を選びつつ話す。奥さんが先に亡くなってから、男手ひとつでよく育てたって皆がいってること。

「私は子供が出来なくて義母から追い出されたの」だから、せめて悩みをもっている人達の、悩みを聞いてあげたくて・・・昔むかしの話だけどね。」と、顔をあげた時にしばらくの沈黙の後、上田氏がずるずると鼻水をすすりながら「す、すまない。俺は何も知らない苦労しらずの奥さんだと思ってた。後からきて、皆の人気をさらって気に食わなかった。高そうな猫も」

「あの子はね。結婚した時に、旦那側の家族皆に子なしと言われ、旦那もかばってくれなかった時、何のために私生きてるんだろうって近所をさまよってた時、薄汚い大猫が人懐っこい身体を擦り寄せてきたの。それからの付き合いなの」これも、何かの縁だと思ってと、増田さんは、懐かしそうな目をしている。その時から、二人の間の険悪な空気が変わりだした。


帰りは近所だからと上田氏の車で増田さんは帰って行った。


私のなかでこの初めてのバイトを振り返った時 、嫌なことも沢山あった。だけど、最後は無事ミントちゃんも見つかったし何にしろ、拗れていた人間関係が修復出来きる瞬間をみることができたのは、うれしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

便利屋スタッフ見習い クースケ @kusuk

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ