第253話 王の帰還⑤ 生まれ変わったとしても

〈サリーヌ、工房にてモレク神と対峙する〉


「バル、工房へ! モレクの企みを阻止しましょう」


 バルがラシャプの仮初の肉体を打ち倒した後、私たちはモレクが逃げ込んだ工房へと突入する。人のものか、魔獣のものか、赤黒い血と肉で汚れた工房の只中でモレクは手招きをしていた。


「そんなに慌てなくてもよろしい。私も貴方たちと話がしたいのです」


 兄のラシャプとはお話はすみましたでしょうか、とモレクは言葉を結んだ。目が妖しく光り、丁寧ではあるが感情が抜け落ちたその話し方は爬虫類を連想させ怖気が走る。


「アサグ殿の体から出ていけ!」

「バルアダン王、私の魂とアサグ殿の魂は溶け合ったのです。私がアサグでも一向にかまわないではないですか。その証拠に昔は感じられなかった家族という絆を得ることができた」

「家族だと?」

「然り。我が兄、ラシャプとの絆を今は強く感じております。あぁ、これがヒトになるということか。……失礼、神の肉体を捨てて初めて得た感情に些か戸惑っております」

「ラシャプは正者と死者の都に君臨することを望み、お前は人になることが望みか」

「然り。死者の国の門はヒトだけに開けられている。その国を支配するには魂をヒトに寄せる必要があった」


 モレクはそういって、付近に散らばっている肉片を持ち上げ、したたり落ちる血を喉に流し込む。……あれは血を飲んでいるのではない。血を通じて人の魂の本質を吸い上げているのだ。人の真似だけで、人の尊厳を理解できないのかとバルが怒る。



「トゥグラト殿には申し訳ないが、お前はここで討ち果たす」

「おや、ヒトの王はせっかちな事だ」

「シャマール、シャプシュとシルリを連れて工房の秘密を暴け。この魔神は私とサリーヌだけでよい」

「しかし、王よ、それでは御身に万が一のことがあれば……」

「トゥグラト殿の兄の体を討つのだ。私がその業を背負う」


 ハドルメ騎士団の副団長でもあり、内政指導者でもあるシャマールがクルケアンの神殿長を殺害するのはまずい。クルケアンの高位の神官であるシルリにしてみればなおさらだ。彼らには両国の多くの民を守ってもらわなければならないのだ。走り去る彼らをモレクは無感動に眺め、権能杖を持ってこちらに歩いてくる。そして水刃を発し、竜巻のように体に巻き付かせたうえで、手を差し伸べて私達を誘う。


「サリーヌ、アサグ殿の魂を救うことはできるか?」

「彼の精神の内に入ってみる。魂の力が残っていれば呼び起こすことができると思う。でも例えできたとしても彼の魂はぼろぼろよ。神の二つの杯(イルクシール)を使えば対話ができるかも」

「アナトが持っていたものがあと一つあったはずだ。……子供たちのためにも力を使い果たさないでくれ」

「うん」


 バルはアサグさんの肉体を斬るのにためらいがあるらしく、モレクに向けて無言で剣を叩きつけていく。モレクは水刃で防ごうとするが、数合でその水刃に彼の赤い血が混ざる。神を名乗るものとしては弱く、むしろその膂力は人に近い。人として最強の戦士であるバルに勝てるはずがない。……いや、モレクもそれは分かっているはずだ。何かの罠かもしれないが、血を吹き出して倒れこむモレクを前に、私の選択肢は一つしかない。薄く手首を斬り、昏倒したモレクの傷口に当てる。


「月の祝福よ、神の二つの杯(イル=クシール)よ、その力を以て私の魂を彼の者の精神の内に導き給え」


 私はバルに抱きかかえられながら、意識を失った。



「お姉ちゃん、どうして倒れているの?」


 子供の声が耳朶を打ち、私は目を開いた。空は暗く、星々の灯りがきらめいている。いや、その光を打ち消すように夜空には大きな星が輝いていた。太陽ではない、月でもない。それは青い大きな星だった。


「ええと、ここはどこかしら」

「変なお姉ちゃん。ここは広寒宮。月にある神様と神人の宮殿じゃないか」

「……月、そう、そうなのね。あぁ、君の名は?」

「俺の名はアッタル、エルシード様の従者だよ」

「エルシード様……」


 聞きなれているはずの水の女神の名前は、この場所で聞くとそこで生活している人かのようだった。

 それにしても、私はアサグさん、それともモレクのどちらの魂の記憶を見せられているのだろうか。


「おや、アッタル。迷い人ですか? それともナンナ様がまた地上から人を吊り上げてきたのでしょうか」

「モレク様、このお姉ちゃん、頭を打ったのかな。なんか変なんだ」

「それはいけない。エルシード様の治療を受けるとよいでしょう。天界に来た力あるヒトはすべて受け入れるのが掟ですからね」


……この男がモレクなのか。外見は勿論違うが、しかしその温和な物腰からは、先ほどまで殺し合っていた男とは結びつかない。


「じゃぁ、こっちにおいでよ。エルシード様は傷の手当てがうまいんだ! ……拳骨でたんこぶを作るのもうまいけれど」


 道すがらアッタル君が自慢げにエルシード神を紹介してくれる。彼によるとエルシード神はイルモート神と仲がいいようで、最近機嫌もいいらしい。


「だから、お姉ちゃんの悪い頭もあっというまに治してくれるよ!」

「私は頭が悪いわけじゃ……。ア、アッタル君。もう少しゆっくり!」


 エルシード神に会うのが嬉しいのか、アッタル君は手を引いて私を神殿まで連れて行く。神殿の奥には水色の髪をした清楚な女性が佇み、静かに音楽を聴いていた。


「エルシード様、けが人を連れてきました」

「偉いわ、アッタル。でも私のお菓子をくすねなければもっと偉かったのにね」


 前言撤回、清楚な女性は一瞬で愛らしい暴君と化して少年の頬を引っ張っていた。


「エルシード神、私はサリーヌと申します。私がここに来たのは……」


 そういって彼女の瞳を見て驚いた。エリシェだ。水の神エルシードはエリシェにそっくりなのだ。いや少し違う、……エルシャだ。私の世界のエルシャにもそっくりなのだ。


「見たこともない神人ですね、どちらから来たのですか? あ、待ちなさい、アッタル!」


 私に注意が向いている隙にアッタル君が逃げ出し、エルシード神がそれを追いかけていった。何となく悪戯をしたアドニバルが逃げ出した光景と重なり吹き出した。……しかしその光景も闇に包まれて消えていく。ここは精神の内だ。だからその内に住まう魂が私を見ていないのだろう。観測されない存在はいないと同義なのだ。だとすればあのアッタル君の魂に私は見られていたことになる。


「アッタル君が、アサグ……?」

「その通り。先ほど見た光景はアッタル、そしてエルシードと共に地上に堕ち、人としての生を選んだアサグの魂です」

「あなたはモレクなの?」

「さて、誰でしょうか。それよりも、ようこそサリーヌ王妃。私はあなたとこそ話したかった。この精神の宮殿に来ていただき、感謝しております」

「罠だったのね!」

「それは違います。私はヒトが好きなのですよ。だからこそ、この愚かな男の結末をあなたと共有したい。魂が残り僅かとなった男の魂が最後に何を願うか、観劇といきましょう」


 私は血を通して魂の一部をこの精神の内に注入している。モレクが私を侵食しようとするのであれば、私の体、精神に入り込むまでに遮断すればいい。何とか隙を見てアッタル君を呼び覚ますのだ。それまではこの悪神の戯れに付き合うしかはない。


「御覧なさい、アッタルが見ている光景を。主神が地上に消えたことに怒ったラシャプ、ダゴン、メルカルトらが主神のいない世界を滅ぼそうと、敵対するナンナ、タフェレト、バァルに戦いを挑んだ様子です」


 そこには怒り狂う巨大な獣の姿が見て取れた。巨大な獅子、首が長い巨竜、鎧のような鱗を持った竜、そして巨蛇の姿があった。そしてそれに立ち向かう巨大な飛竜達。その間に立って、エルシード神が手を広げて停戦を求めていた。アッタル君はエルシード神の腰にしがみつき、彼女の盾になろうとしているようだった。そしてもう一人の男性が歩み出て、赤い光を解き放つ……。あれは見たことのある人だ。そう、過去の世界におけるエリシェの恋人であるトゥグラト、そして現世におけるエルシャの幼馴染のセトの姿だった。


「……この戦いでラシャプ達は敗北しました。イルモートの破壊の力によって体を、精神を破壊され、滅しきれぬ魂だけがナンナらによって地上に封印され続けた」

「なぜ封印は解かれたの?」

「神々の戦争を仕掛けた者がいました。主神の従者タダイといいます。彼が神々の魂の一部を解放したのですよ。ほら、次の光景が見えてきました」


 空が青くなる。あぁ、ここは地上だ。しかしその空が赤く染まり、人々の怨嗟の声が一つの方向に向かっている。そこには巨大な穴があり、その淵でエルシード神が叫び、穴に落ちようとする彼女をアッタル君が引きとめていた。


「これはどういうことなの?」

「神々の大戦そのものが、主神が愛し、消えた原因でもあるヒト由来のものでした。イルモートはそのヒトになろうと考えたのでしょう。地上を見て、彼らが笑い、愛し、家族と共に過ごすのをいつも見ていましたから」


 男は突然呻くようにそう言った。何かを見てきたかのように話す彼に違和感を覚える。この時、地上に封印されているモレク神は月にはいなかったはずだ。融合したアッタル君の記憶を引き出してるのだろうか。


「故に、イルモートは地上に降りた。そして人と交わるものの、人の欲によってその破壊の力を利用され、多くの死を招いてしまった。ナンナとタフェレトが彼を地下に封印するところです」


 穴の底に向けて多くの人たちが怨嗟の声を投げかけている。その中でエルシード神だけがイルモートを止めようと必死に叫び続けていた。


「イルモート、あなただけのせいじゃない!全ての恨みを引き受けることはないのよ!」

「エルシード、僕は人々を惑わせてしまった。巨大な力を持ったこの体をこの地下に封印する。泣かないでおくれ、肉体を捨て、精神を壊し、魂だけとなれば僕はヒトになれるんだ」

「なら、わたしも、わたしもヒトになる!」

「天をどうする? バァル兄さんを一人にするつもりかい。あぁ、でも会いに来てくれればうれしい。次に生まれ変わる時は、まだ魂の記憶は残っていると思うから。そうすれば、この地上の草原で駆けっこをしよう。……またね、エルシード」


 世界が再び暗くなり、成長したアッタル君とエルシード神のみが淡く光っていた。ここは月で、空に青く光る星はきっと私達の住む地上なのだろう。


「エルシード様、どうしても地上に行かれるのですか?」

「うん、やっとイルモートが転生したの。会いに行かなくちゃ」

「でも、ヒトの命は短いので、すぐにイルモート様も死を迎えます。今回はともかく、次の転生では魂は劣化し、この天界からでは探し出せません」

「……うん。だからこの身ごと地上に降りようと思う。同じ場所にいればイルモートがいつ転生しても探し出せるはずだから」

「肉体も、精神も、魂も地上に! いけません、エルシード様。我々は肉体は広寒宮に、精神は外宮に置いて、魂のみを地上に降ろさねば、二度と天界にもどってこれません!」

「……うん」

「エルシード様!」

「わたしもヒトになりたい。ヒトとしてイルモートと家族になりたいの。お願い、アッタル」

「天界に残されたバァル様の事をお考え下さい」

「……では精神のみを外宮にのこし、魂と肉体を地上に降ろします。そうすれば神としての権能もある程度行使できるし、バァル兄様といつでも連絡がつくはずよ」

「それでも広寒宮には帰れませんし、魂が傷つき、また魔力も半分も使えませんよ」

「……」

「仕方ないですね、条件があります」

「本当?」

「そそっかしいエルシード様だけでは心配です、お供をさせてください。私は全てを地上に降ろし、エルシード様をお守りできるようにします」

「ありがとう、アッタル!」


 こうしてエルシード神はアッタル君を伴って地上に降りた。きっと地上でお姫様は王子様と出会い、めでたしめでたしとなるのだろう。


「しかし、そうはならなかった」

「!」

「失礼、魂の語らいでは考えたことが筒抜けなのですよ。人として転生したイルモートはその魂の力ではなく、知識を以てヒトを導いたのです。しかし、それは天界の知識をヒトに与える禁忌でもありました。やがてイルモートを裁くべく、天に残ったバァル自らが、地上に降りてきた」

「ナンナ神とタフェレト神は?」

「この間に地上に溶けてしまいました。ほら、あれが主神の子、武の祝福をもたらすバァルです」

「バルに似ている…‥‥!」

「そうでしょうとも。私とて驚きました」


 バァル神はイルモート神と彼を慕う民に宣戦布告し、ゲバルという都市で兵を集め、多くの民に祝福をもたらした。進軍しようとするバァル神を必死に止めている。イルモートを何とか助けようと動くエルシード神とアッタル君は奇妙な意匠の服を着た一団と出会う。

 奇妙? 違う、あれは私の時代の服や甲冑だ。そして、その一団の少年や老人達、青年……。

 あれは、あれは!


「ガド! あぁ、ミキト、ゼノビア、サラ導師達! それにシャマール……」


 私の時代で先に失踪した仲間たちがそこにいたのだ。彼らも同じように違う時代に飛ばされ、歴史と関わっていた。サラ導師の提案で、バァル神とその側近、イルモート神とエルシード神、そしてガド達だけでの決闘が行われる。


「この決闘、バァルとガド、どちらが勝利すると思います?」

「ガドに決まっている。だって彼は諦めないんだもの」

「その通り。その通りです」


 結果はもちろん、ガド達の勝利に終わった。私とモレクは手を叩いて彼の健闘を称える。流石はバルアダン中隊第一小隊長だ。

 だが、そこからが地獄の始まりだった。


 私の時代のアサグとタダイが神獣騎士団を率いて、バァル神や神人を竜に変えたのだ。そしてサラ導師は自らの魂を代償に、ガド達とエルシード、イルモートをその時代から弾き飛ばした。サラ導師の肉体が神獣騎士団の槍によって串刺しとなり、私は悲鳴を上げる。シャマールやラメド様達は廃墟となったクルケアンに立て籠もり、戦っていた。そしてその光景がだんだん遠ざかり、世界は再び闇に覆われた。


「廃墟のクルケアン? 私が見たのは過去、現在、それとも未来……」

「どうやら世界はイルモートの力によって、どこかの段階で元に戻されているらしい。場所と時間はそのまま進みながらね。あのクルケアンは前の世界の最後のクルケアンだ。よって廃墟であり、また今の世界の始まりでもある。……さて王妃よ、愚かな男の願いを聞いてくれるかい?」

「……あなたは、あなたはアサグさんですね」

「あぁ、今まで見た光景はほとんどアサグの記憶だ。だが、モレクの記憶も混じってはいるがね。……君と会うためにわずかに残った魂の力をかき集めた。今ここにいるのはアッタルであり、アサグだ」

「アサグさん、体に亀裂が!」

「これは体ではない。魂だよ。アサグという男の魂が壊れていくのだ。それほどまでに私はモレクと混じり合ってしまった。……次が最後だ。そして愚かな男の幸せな記憶を誰かに覚えていて欲しい」

「アサグさん!」


 アサグが手を振ると、世界は再び青い空につつまれた。ガドたちとは違う時代に飛ばされ、不安定な魂を持つイルモート神は再び人に転生をすることになる。そしてエルシード神は眠りにつき、彼の誕生を待ちわびるのだ。そこでアッタル君はアサグと名乗り、人として暮らし、優しい養父母と共に日常を笑っている。養父母に子供が生まれ、トゥグラトと名付けられ、彼は兄となったのだ。


「嬉しかった。私の一生でこんなにも嬉しい事はないだろう。両親と弟と過ごしたこの時間、このために私は生まれてきたのだと、主神とエルシード様に感謝した」

「トゥグラトさんがイルモートが転生した姿なのですね」

「そうだ、そしてこの時代においてエルシード様と結ばれたのだ」


 エルシード神はエリシェと名乗り、トゥグラトという少年と恋に落ちる。幸せそうな二人を見つめるアサグさんが嬉しそうに眼を細める。でもその幸せは長くは続かなくて……。


「私は魔神により養父母を失い、気付かぬうちに魂をモレクに侵食された。そしてクルケアンとハドルメの争いを止めようとした時に君達が現れた」


 そしてアサグさんは頭を下げて私に謝罪する。


「すまない、君の魂の記憶を見せてもらった。幼少時の魔障の苦しみ、兄への思い、記憶をなくしてからのバルアダン王との出会い、そしてセト、エルシャといった仲間たちのことを私は知った」

「いいのです。互いに違う世界を旅してきた者同士、何を隠すことがありましょう」

「君に託したいことがある。君の世界のセトとエルシャは、イルモート様とエルシード様だ。やはりこの世界でも大災害が起こり、イルモート様は転生するのだろう」


 何があったかは知らないが、と申し訳なさそうに彼は語った。


「王ではなく、君と話したかったのは、君があのガドと同じ立場だったからだ。あの勇ましい少年と共にバァルと戦えたからこそ、私は人に憧れ、その幸せを手に入れることができた。彼の代わりといっては何だが、君にこころからの感謝を。ありがとう、サリーヌ王妃」

「ええ、でもそれは直接彼に言うべきではないかしら」

「残念だが、そろそろモレクに魂を喰らいつくされるだろう」

「第二小隊長のガドは戦いで諦めていたかしら?」

「いや、彼は諦めることはしなかった」

「第一小隊長の私もそうよ。わずかとなったあなたの魂をモレクから切り離すわ。今ならできる。そして人として生まれ変わるの」

「いかん、君の力は王とその軍隊が帰る時に必要だ。無理をすれば魂に亀裂が入るぞ!」

「私は諦めない。もとより幸せになれるはずもなかったこの身。大事な人達の為に使わせてください」


 祝福を発動し、月の光でアサグの魂を包み込む。精神の内で私の手の中で青い光が小さく輝いていた。その輝きに向けて私は彼がガドやセト、エルシャに出会えるようにと願いをかける。


「……王妃よ、いや聖女よ。その願い、必ず果たして見せましょう」

「イルモート神の最初の転生では記憶が残っていたとおっしゃっていました。あなたは次の人生で何と名乗るおつもりですか?」

「……ティドアル。争いに長け、何もできなかったという男の名を名乗ろうと思う」


 私はその名を聞いて涙を流す。狼狽えたように震えるアッタルの魂にむけて安心させるように、希望を持たせるように笑いかけた。


「ふふっ、バルアダン中隊第二小隊の隊員はね、ガド、ミキト、ウェル、ゼノビア、それに――ティドアルというの。あなたは来世でガドと一緒に戦っているのよ」


 青い輝きが嬉しさを示すようにその光を一瞬増して、矢の形となった。私は魔力を込め、弓を振り絞るように構えてその矢を虚空に放つ。


 さようなら、神人アッタル。またどこかで会いましょう。

 あなたの魂、確かに未来に届けましたよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る