一日に三回時間を巻き戻せる男の異世界冒険譚

@shibunneet

第1話異世界転生


白い世界で、神を名乗る立派な髭のお爺さんと対面している。


「始めに謝っておこう。すまなかった。あと六十年は生きるはずだった君を手違いで殺してしまった。本当に申し訳ない」


「殺してしまった…?するとここは天国ってことですか?」


「まぁそんなところじゃ」


「それで、俺はこれからどうなるんです?記憶を失って赤ん坊からやり直しとかですかね?」


「通常の死人であればそうなのだが、君の場合は完全に儂の過失じゃからのう。流石にそれだと可哀想じゃ。だから生き返らせようと思う」


「生き返れるんですね。よかったです」


「ただし問題があっての。一度死んだ人間を同じ世界で生き返らせることは好ましくない。天界の規則でそうなっておる」


「え、じゃあ俺はどうなるんですか?」


「地球ではない世界で君を生き返らせようと思う。異世界というやつじゃな」


「異世界ですか。その世界には、ひょっとして魔法とかがあったりします?」


「あるのお。ついでに言うなら、街並みは中世ヨーロッパ風で、エルフがいたりドラゴンがいたり、人々の平和を脅かす魔王軍なんてものも存在している」


「大体理解できました。その世界で俺は蘇ることになるんですね?」


「物わかりが早くて助かるわい」


「えっと、差し出がましいことをお聞きするんですが、転生特典とかありますかね?」


「おお、そうじゃったそうじゃった。忘れておった。君には異世界でもすぐに死んだりせん様に、特別な力を授けようと思っておったんじゃ。さぁ、言うてみるがいい。どんな力が欲しい?」


「ええと…」


俺はしばし考えてみる。

最強の能力はなんなのか、と。

今まで見てきた漫画やアニメや映画の中に出てきた超常的能力を一通り頭の中で反芻してみる。

今後の人生に関わる重要事項なので、俺はじっくり五分は考えた。

そして…


「えっと、時間を巻き戻す能力とかが欲しいんですけど、出来ます?」


「出来るぞ。時間を巻き戻す能力じゃな」


「え、本当に出来るんですか?」


「勿論じゃ。儂は神じゃからな。出来ないことなどない。ただし、強力過ぎる能力ゆえ、回数制限を設けさせてもらう。時間を巻き戻せるのは一日に3回まで。これでどうじゃ?」


「それで大丈夫です」


「よし、そう言うことなら、早速能力を授けてやろう。ついでに、異世界の住人と問題無くコミュニケーションが取れるよう、言語能力も授けてやるからその辺りも安心して良いぞ」


そんなことをいった神様が俺に手をかざした。


すると俺の全身が眩い光に包まれた。


「ふむ、これで処置は完璧じゃろう。では、異世界での第二の人生を楽しんでくると良い」


「何から何までありがとうございます」


俺がお礼を言うと、神様はにっこり笑った。






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