現世
目が覚めると、冷たい鉄の上で寝ているようだった。日が昇り始めていた。周りを見て驚いた。ここは羅美が飛び降りた結島鉄工所の屋上だった。あれは夢だったのか?弥生はどこへ…何もわからないがとりあえず家に帰ることにした。帰路、記憶にハッキリと残る弥生の顔、街の風景、魔女との戦いを思い出していた。どう考えても夢とは思えなかった。自宅に着くと、父親が出勤するところだった。
「羅美、こんな時間から散歩か?健康にはいいが、危ないから家族に伝えてから行きなさい。じゃあ父さんは仕事に行ってくるからな。」
行ってらっしゃいといい、家のドアを開ける。日常に戻ったのに、感覚はまだあの世界のままだ。自分の部屋に入り、今後のことを考えていた。あの街で弥生や街の人達と出会い、自分に自信がついた。高校ではいじめられていてもう行きたくはなかったが。だから、パソコンを持ち階段を降りて母親と話をした。通信制の高校に転校したいと。
制服を着て軽いスクールバッグを持って電車に揺られていた。通信とはいえ家は裕福ではないので公立の高校に通うことになり、週に3回もスクーリングがある。本当に通信高校と言っていいのかわからないが、校門の前につき、ゆっくり深呼吸して、職員室に向かった。担任と少し話をし、ホームルームで紹介されることになった。それと、もう1人、今日から転入してくる女の子がいると聞いた。ホームルームが始まり、教室のドアの外で待つように言われた。もう1人は今保健室に居て、すぐにくるからと。
「さぁ皆さん!今日からクラスメイトになる結島羅美さんと佐々木弥生さんです!拍手して迎えてあげてください!」
ドアを開けるように言われていたが、後ろにいる人を振り返って見ると、涙が出てきた。弥生だ、弥生がいる。弥生は小声で言った。
「ほら、話は後だぞ。まずは教室に入れ。」
ガラッとドアを開け入ると、30席くらいあるのに18人しかいなかった。そのまま自己紹介が終わると授業が始まり、日常に戻った気がしていたが、隣には弥生がいる。やはり、夢じゃなかったんだ。昼休みになり弥生が手を引いて階段を上がっていく。話したいことが沢山ありすぎて何も言わずに着いて行った。
「別に、ストーカーとかじゃないんだ、私も驚いた。まさか同じ学校に転入してくるとは。」
ストーカーとは思っていなかったが、本当に偶然らしく、驚きは隠せなかった、ら
「大阪に来たのは、東京の息苦しさに耐えられなかったからだ、こっちでは一人暮らしをしているからアレのことは帰ったら話そう。」
アレの話がしたくて早く授業が終わらないか待ち遠しかった。やっと終わった。教科書と筆箱などをしまい、急いで弥生のとこにかけよった。隣の駅のすぐ近くだからと言っていたが、駅とは逆方向に歩いていく弥生。
「え?田奈高駅あっちやで?」
「よく乗り慣れてるだろう。向こうにとめてあるんだ。」
よく、乗り慣れてる…?まさか?!まさかだった、弥生、通学に原付はバレたらまずいよ…走ってること15分、ここだと言われ降りた。そんなに綺麗な見た目のマンションではなかったが、内装は弥生のクールらしさが漂う、黒と青で出来た綺麗に整頓された部屋だった。
「アレがなんだったのかは私にはわからない。多分、羅美もわからないだろう?でも、でも…」
弥生が俯きながら声を詰まらせているから、どしたん?と聞くと、弥生は泣きながら笑顔で答えた。
「また出会えてよかった、唯一の私の友達に!」
ADHD/自閉症&精神疾患が飛び降りたら異世界にぶっ飛ばされた話する? 7792 @__7792__
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます