やっと終わったね

街について、日は暮れていた。心身共に疲れ果てていたあたし達は1番近いルドットの家にお邪魔させてもらうことにした。ルドットは暖かいスープに、庭で育てている野菜を使ったサラダ、それに豪華な肉料理を出してくれたが、何の肉かは聞かないことにしておいた。


「今日、魔女退治に行ったんだよなぁ…まさか、まさか…」


何かを恐れていふルドットに弥生が問いかけた。何か知っているのか?と。するとゆっくりとルドットは話し始めた。ヤナリー・カルドが弥生に魔女が倒された時に魔女の怨霊が、契約を交わしたタリニヤの子孫である自分を襲ってくる事を恐れ、別の魔女と契約を交わしているという噂があると。その魔女はアルナンドといい、結界を張らずに山奥の洞窟にいるという。


「羅美、行くぞ…」


無言で頷き、原付を飛ばした。山の麓に着いたのは2時間程してから。流石に原付で登れる山ではなかったのでそこから5時間程歩いて辺りは真っ暗になっていた。弥生のトレーニングのおかげで体力はあったが、それでも流石に5時間は辛い。洞窟のようなものが見えた。弥生とサイドからそろりと中を覗く。奥は暗く、しかし異様な匂いがする。ゆっくりと入っていき、足音を立てずに歩いてきた。一本道だったのに、なのに後ろから声が聞こえてきた。


「やかり来たか…ヤヨイとラミというらしいな。ヤナリーから話は聞いているぞ。」


寒気がした。どこから来た?ずっと真っ直ぐの一本道だった、まさか先に入ったあたし達を付けてきていたのか?弥生に奥に走れと言われた。


「弥生は?!どうするん、1人で勝てる相手なん?!」


いいから走れ!と、携行缶と火炎放射器を投げてきた。意味がわかったあたしはがむしゃらに洞窟の奥まで走った。やることはやった。弥生、早く来てくれ。早く、早く!!


「ぐぁぁ!!!!」


弥生の声だ!!弥生!こっちやで!叫んで叫んで、とにかく魔女を最奥まで連れてきた弥生は切り傷だらけの血だらけだった。2人で魔女を最奥になるように向かい合って、一気に矢を放ち壁に魔女を貼り付けた。


「ぐっ…こんなことで私が死ぬとでも思ったか…?」


あたしは笑って火炎放射器を担いだ。


「わたしは炎ごときでやられる分際ではない。」


「でも、やき続けられたらいつかは灰になるんやろ?よう見てみぃ、周りの液体。」


追加で魔女に向かって残った廃油をぶっかけた。火炎放射器を向けると魔女はやめろ!やめろ!!と叫ぶ。構わずに火を放った。魔女はみるみるうちに黒く焦げていき、声をあげなくなっていた。炎が完全に消えるのを待ち、弥生と2人で見に行くと、人の形の灰があった。


「弥生…帰ろう、今度こそ。」


そうだな、と言い2人で洞窟を歩いて出た。明るくなっていた。山を降りる時は滑り転びを繰り返していたから早く原付の所まてま着いた。街に帰る時、2人は笑顔になった。街を囲んでいた暗い森は消え、獣臭も消えていた。ヤナリーを責めるつもりはなかった。そりゃ誰だって怖いもの。ただ、2人に異変が起きた。体がキラキラと光、透けていく


「羅美!羅美聞こえるか?!どうなっているんだ?!」


「わからん!どうなってんの?!え?弥生!!やy…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る