いつもと変わらず、どこか雑に夕食の支度を進める平凡な主婦、みや子さん。
けれど、いつもと全く変わらない日常にもしもこんなことが起こったら……!
童話の中の展開が、現代の平凡な主婦に突然起こってしまうストーリーです。
いつも当たり前にやっていることが、何一つ自力ではできないもどかしさ。家と自分と愛猫の命を守れない焦り、恐怖。もう二度と家族を抱きしめられないかもしれない、家族と思ってもらえないかもしれないという悲しみ。
それらの感情が、とても細やかに、そしてリアルに描き出されています。
そして、こんなアクシンデントが起こったからこそ確認できる、自分の家族への愛情、そして家族が自分へ注いでくれている愛情。自分を救ってくれた頼もしい猫へ改めて向ける愛情。
思わず胸が熱くなります。
平凡な日常を飽き足らなく感じてしまう心に、暖かな火を再び灯してくれるような、素敵な物語です。